バー、居酒屋、ダーツバーなど、アルコールを提供する店舗がTikTok広告を出稿すると、審査で止まることが頻繁に起こります。原因の多くは、店舗の魅力を伝えようとした動画に、乾杯シーンやドリンクメニューが自然に入っていることです。
TikTok広告において、アルコールは「禁止」ではなく「制限業種」です。つまり、条件を満たせば配信できます。ただし、年齢ターゲティング、クリエイティブの表現、着地ページの記載という3つの条件があり、どれか1つでも欠けると不承認になります。
この記事では、アルコール関連のTikTok広告ポリシーを条件ごとに整理したうえで、飲食・バー業態が実務でつまずきやすい点、審査に通る訴求の作り方、そしてアルコールを主訴求にしない設計までを解説します。
この記事でわかること
・TikTok広告でアルコールが「制限業種」として扱われる意味
・年齢ターゲティングで実務上どこまで絞る必要があるか
・クリエイティブで禁止される表現(出演者の年齢、飲酒シーンの描写など)
・広告と着地ページに必要な記載事項
・アルコールを主訴求にせず集客する設計
・入稿前チェックリストと、不承認時の対応
結論:条件を満たせば配信できる。条件は3つ
TikTok広告のアルコールポリシーでは、アルコール関連の広告は市場ごとの要件を満たす場合に配信が認められる制限業種として扱われます。押さえるべき条件は次の3つです。
| 条件 | 内容 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 1. 資格・許認可 | 対象地域の規制当局から必要なライセンスを取得し、提出できること、または合法的な事業認可があること | 飲食店営業許可・酒類販売業免許などの提示を求められる場合がある |
| 2. 年齢ターゲティング | 法定飲酒年齢に達していない人へのターゲティングおよび訴求の禁止 | TikTokの年齢指定は区分(ブラケット)単位で、1歳刻みでは指定できない |
| 3. 表現とページの記載 | クリエイティブの禁止表現を避け、広告とランディングページにアルコール含有量・度数、責任ある飲酒を促す免責事項を記載 | LP側の記載漏れが原因で不承認になるケースが多い |
(出典:TikTok広告ポリシー「アルコール」)
アルコールは禁止業種ではなく制限業種です。落ちているのは「表現」か「LPの記載」であることがほとんどです。
クリエイティブだけを作り直す前に、着地ページの記載を確認してください。
1. 年齢ターゲティングの考え方
日本の法定飲酒年齢と、TikTokの年齢区分のずれ
日本では飲酒は20歳以上と法律で定められています。一方、TikTok広告の年齢ターゲティングは区分(ブラケット)単位で指定する仕組みで、1歳刻みでの指定はできません。そのため、「20歳以上」ちょうどで区切ることができないという構造的な問題が生じます。
実務上の判断は次のようになります。
| 設定 | リスク | 判断 |
|---|---|---|
| 18歳以上を含む区分から配信 | 法定飲酒年齢未満(18〜19歳)が配信対象に含まれる | アルコールを訴求する広告では避ける |
| 法定飲酒年齢を確実に上回る区分から配信 | 配信母数は減るが、ポリシー上の安全性が高い | アルコールを主訴求にする場合はこちらを選ぶ |
| 年齢を絞らず、アルコールを訴求しない | 配信母数を確保しつつ、規制対象を回避 | 店舗の雰囲気・フード・イベントを主訴求にする設計 |
選択可能な年齢区分は管理画面で変更されることがあるため、入稿時に必ず広告マネージャーで現在の区分を確認してください。また、TikTokでは18歳未満のユーザーへの広告配信について別途の制限が設けられており、年齢制限のある商品・サービスの広告では一部のターゲティング設定が利用できない場合があります。
リターゲティングでも年齢条件は外れない
サイト訪問者やカスタムオーディエンスへのリターゲティングであっても、年齢に関する条件は適用されます。「既存顧客だから成人である」という前提は通りません。オーディエンスリストを使う場合も、年齢ターゲティングは別途設定してください。
2. クリエイティブで禁止される表現
TikTok広告のアルコールポリシーでは、次の表現が禁止されています。飲食店の紹介動画で起こりがちなものばかりです。
| 禁止される内容 | 店舗広告で起こりがちな例 | 回避の方法 |
|---|---|---|
| 25歳未満の人物の起用 | 若いスタッフや若年層のモデルを起用した動画 | 出演者の年齢を確認し、記録しておく |
| 過度の飲酒・酩酊状態の描写 | 複数杯を一気に飲む、酔って盛り上がる様子 | 注ぐ・提供する場面までにとどめる |
| アルコールの影響下での無謀な行動の描写 | 飲酒後に運転する、危険な行為をする演出 | 飲酒と移動・運転を同一動画内で結びつけない |
| 飲酒を賞品やインセンティブとして提供する内容 | 「来店で1杯無料」「アンケート回答でドリンク進呈」 | 特典を飲食全体の割引や食事メニューに置き換える |
| 妊娠中の人物の使用 | 妊婦が同席している家族向けシーン | 出演者の状況を確認する |
| 法定飲酒年齢未満への訴求 | 学生向けの表現、若年層を想起させる演出 | 訴求対象を明確に成人に設定する |
特に「25歳未満の人物の起用」は見落とされやすい項目です。TikTokは若年層の利用が多い媒体であるため、出演者を実年齢で確認せずに制作すると、この条件で不承認になります。スタッフを出演させる場合は、事前に年齢を確認して記録に残してください。
「乾杯」は使えるのか
乾杯シーン自体が一律に禁止されているわけではありません。問題になるのは、過度な飲酒や酩酊、それを美化する演出です。判断が難しい場合は、次の基準で考えてください。
- 飲む行為そのものを強調していないか(提供・盛り付け・雰囲気に焦点を移す)
- 量の多さを訴求していないか(飲み放題の強調は表現に注意が必要)
- 酔った状態を面白さとして扱っていないか
- 未成年に見える人物が映り込んでいないか
3. 広告と着地ページに必要な記載
TikTok広告のアルコールポリシーでは、広告とランディングページに、飲料のアルコール含有量と度数を明記し、責任ある飲酒を促す免責事項を掲載することが求められています。クリエイティブだけを直しても不承認が続く場合、この記載漏れが原因であることが多くあります。
着地ページのチェック項目
- 提供するアルコール飲料の度数・含有量が記載されているか
- 責任ある飲酒を促す注意書き(20歳未満の飲酒は法律で禁止されている旨、飲酒運転をしない旨など)が掲載されているか
- 20歳未満の入店・提供に関する方針が明記されているか
- 店舗の運営者情報(会社名・店舗名・所在地・連絡先)が記載されているか
- 営業許可に関する情報を提示できる状態か
店舗のInstagramや予約サイトを着地ページにしている場合、これらの記載を自社でコントロールできません。アルコールを訴求する広告では、記載を管理できる自社サイトまたはLPを着地ページにしてください。
アルコールを主訴求にしない設計
ここまでの条件を満たしたうえで、事業判断としてもう一段考えるべきことがあります。飲食店・バーの集客において、アルコールを主訴求にしないほうが配信の自由度が上がり、結果的に成果が出やすいケースが多いという点です。
| 主訴求 | ポリシー上の扱い | 配信の自由度 | 向いている業態 |
|---|---|---|---|
| アルコールそのもの(銘柄・飲み放題) | 制限業種として全条件が適用 | 低い(年齢・表現・記載の制約) | 酒販、専門性の高いバー |
| 料理・フード | 通常の飲食店広告 | 高い | 居酒屋、ダイニングバー |
| 空間・雰囲気・利用シーン | 通常の飲食店広告 | 高い | ダーツバー、貸切利用のある店舗 |
| イベント・貸切プラン | 通常の飲食店広告 | 高い | 団体利用を取りたい店舗 |
たとえばダーツバーであれば、ダーツやビリヤードの体験、貸切パーティーの様子、フードメニューを主訴求にすることで、アルコール関連の制約を受けずに配信できます。来店後にドリンクが注文されることは変わりません。
集客の目的は「アルコールを訴求すること」ではなく「来店してもらうこと」です。訴求軸をずらすだけで、審査リスクと配信制約の両方を下げられます。
入稿前チェックリスト
- 年齢ターゲティングを、法定飲酒年齢を確実に上回る区分に設定したか
- 出演者全員の年齢を確認し、25歳未満が映っていないか
- 過度な飲酒・酩酊・飲酒後の運転を想起させる場面がないか
- ドリンクを特典やインセンティブとして提示していないか
- 広告文に未成年を想起させる表現(学生向け等)が入っていないか
- 着地ページに度数・含有量と、責任ある飲酒の注意書きがあるか
- 着地ページに店舗情報と運営者情報が記載されているか
- 許認可に関する情報を提出できる状態か
不承認になったときの対応
不承認の通知には理由が表示されます。まず理由を控え、次の順序で確認してください。
- 着地ページの記載を先に確認する:クリエイティブより修正が容易で、原因である割合が高い
- クリエイティブを1要素ずつ直す:全面差し替えではなく、該当箇所を特定して修正する
- 年齢ターゲティングの設定を確認する:区分の指定漏れがないか
- 修正後に再入稿し、それでも通らなければ異議申し立てを行う:何をどう修正したかを具体的に記載する
不承認を繰り返すと、アカウントの健全性ステータスが低下し、一時停止につながることがあります。同じ素材で再入稿を繰り返さないでください。アカウント停止時の対応は広告アカウントが停止された時の原因と復旧方法で解説しています。
よくある質問
Q. TikTok広告でお酒の広告は出せないのですか?
出せます。アルコールは禁止業種ではなく制限業種であり、市場ごとの要件を満たせば配信が認められています。要件は、必要な許認可、法定飲酒年齢に配慮した年齢ターゲティング、表現の制限、そして広告と着地ページへの度数・免責事項の記載です。
Q. 年齢は何歳以上に設定すればよいですか?
日本の法定飲酒年齢は20歳ですが、TikTokの年齢ターゲティングは区分単位のため、20歳ちょうどで区切れません。法定飲酒年齢を確実に上回る区分を選ぶのが安全側の判断です。選択できる区分は変更されることがあるため、入稿時に広告マネージャーで確認してください。
Q. 飲み放題を訴求してもよいですか?
過度の飲酒を推奨する表現とみなされる可能性があります。飲み放題プランの存在を記載すること自体より、「浴びるほど飲める」「限界まで」といった量を煽る表現が問題になります。プラン名として事実を記載し、量を強調しないことを推奨します。
Q. スタッフを出演させる場合、何を確認すべきですか?
実年齢が25歳以上であることを確認してください。見た目ではなく実年齢が基準です。複数名が映る場合は全員が対象になります。撮影前に確認し、記録として残しておくと、審査での説明が容易になります。
Q. Instagram等の外部ページを着地ページにできますか?
技術的には可能ですが、推奨しません。アルコール広告では、着地ページに度数・含有量と責任ある飲酒の免責事項を掲載する必要があり、外部サービスでは記載を管理できません。自社サイトまたはLPを用意してください。
Q. 他媒体(Google・Meta)でも同じルールですか?
媒体ごとに要件が異なります。共通しているのは、年齢に関する配慮と、飲酒を推奨・美化する表現の制限です。ただし、必要な記載事項や年齢ターゲティングの仕様は媒体で違うため、同じ素材をそのまま横展開しないでください。ある媒体で通った素材が、別の媒体で不承認になることは珍しくありません。
まとめ
TikTok広告におけるアルコールは、禁止業種ではなく制限業種です。必要な許認可、法定飲酒年齢に配慮した年齢ターゲティング、表現の制限、そして広告と着地ページへの度数・免責事項の記載という条件を満たせば配信できます。
不承認が続くときは、クリエイティブを作り直す前に着地ページの記載を確認してください。度数・含有量と責任ある飲酒の注意書きが抜けているケースが多く見られます。また、出演者の実年齢が25歳以上かどうかも、見落とされやすい条件です。
そのうえで、事業判断としては、アルコールを主訴求にしない設計を検討する価値があります。フード、空間、イベント、貸切プランを主訴求にすれば、制限業種としての制約を受けずに配信でき、来店後にドリンクが注文されることは変わりません。
「TikTok広告の審査で止まり続けている」「どの表現が原因か特定できない」「飲食業態でどう訴求すればよいか判断できない」といった状態にある場合は、クリエイティブ単体ではなく、着地ページ・ターゲティング設定・訴求軸を合わせて確認する必要があります。
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