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広告表現で問題になりやすい言い方|景表法・薬機法と媒体ポリシーの整理

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「No.1」「地域最安値」「必ず効果が出ます」——広告文でよく使われるこれらの表現は、いずれも問題になりやすい類型です。しかも厄介なのは、媒体の審査を通過したからといって、法令上問題がないわけではないという点です。

広告表現には2つの独立した関門があります。ひとつは景品表示法や薬機法などの法令、もうひとつはGoogleやMetaといった媒体のポリシーです。この2つは重なる部分もありますが、審査を通った表現が行政の指摘を受けることも、適法な表現が媒体で否認されることもあります。

この記事では、問題になりやすい表現の類型、業種別の注意点、そして表現を書き換えるときの考え方を整理します。個別の表示が適法かどうかは事案ごとの判断になるため、最終的には消費者庁・厚生労働省などの公表資料と、必要に応じて専門家の確認を前提としてください。媒体審査で落ちた場合の対応はFacebook/Meta広告の審査落ち、補助金訴求についてはGoogle広告で「補助金」表記が審査落ちする理由で個別に解説しています。

この記事でわかること

・媒体審査と法令は別の関門であるという前提

・問題になりやすい表現の6類型と、その理由

・「No.1」「最安」を使う場合に求められる根拠

・効果・効能をうたえる範囲の考え方

・ステルスマーケティング規制で注意すべき点

・表現を書き換えるときの言い換えの型と、社内チェックの回し方

結論:媒体審査を通ることと、適法であることは別

広告の審査に通ると、その表現に問題がないと受け取られがちですが、媒体の審査はあくまで媒体側の掲載基準に基づくものです。法令の適合性を保証するものではありません。

関門 判断するのは誰か 違反したときに起きること 確認先
法令(景品表示法・薬機法・医療広告規制など) 行政(消費者庁・都道府県・厚生労働省など) 措置命令、課徴金納付命令、事案により刑事罰。社名が公表される 各官庁の公表資料・ガイドライン
媒体ポリシー 媒体(Google・Meta・TikTokなど) 広告の不承認、アカウントの停止 各媒体のポリシーヘルプ

実務上のリスクの大きさは、圧倒的に法令側です。媒体で否認されれば配信が止まるだけですが、行政処分は事業そのものに影響します。審査に通ったかどうかで表現の是非を判断しないでください。

審査が通った = 表現が適切、ではない。

法令の観点と媒体ポリシーの観点は、それぞれ独立して確認する。

問題になりやすい表現の6類型

実際に指摘を受けやすい表現は、いくつかの型に整理できます。自社の広告文・LPを点検する際のチェック軸として使えます。

類型 なぜ問題になりやすいか
最上級・No.1表示 「地域No.1」「顧客満足度第1位」 客観的な調査に基づく合理的な根拠が必要。調査の対象・範囲・時期の明示も求められる
価格の優良性・有利性 「地域最安」「通常価格50,000円→今だけ19,800円」 比較対象の価格が実際に販売された実績のない価格だと、有利誤認にあたるおそれがある
効果・効能の断定 「シミが消える」「痩せます」「必ず治ります」 医薬品等以外の商品で医薬品的な効能を標ぼうすると薬機法上の問題となる
体験談・お客様の声 「1か月で−8kg!(個人の感想です)」 打消し表示があっても、体験談が全体の印象を左右する場合は認められないことがある
期間・数量の限定 「本日限り」「残り3枠」 実際には常時掲示している場合、有利誤認にあたるおそれがある
無料・0円の強調 「初期費用0円」 条件(契約期間、別途費用)が明瞭に併記されていないと問題となりやすい

共通しているのは、表示された内容と、実際に提供されるものとの間にズレがあるかどうかという点です。景品表示法では、実際よりも著しく優良に見せる表示(優良誤認)と、取引条件を著しく有利に見せる表示(有利誤認)が禁じられています。

「No.1」「最安」を使うなら、根拠を先に用意する

最上級表示は、根拠なしに使える表現ではありません。景品表示法には不実証広告規制があり、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められる仕組みがあります。求めに応じて提出できなければ、不当表示とみなされる可能性があります。

消費者庁は、No.1表示について実態調査を行い、調査方法や表示の在り方に関する考え方を公表しています。使用を検討する場合は、その内容を確認してください。

実務上、最低限そろえておくべき要素は次のとおりです。

  1. 調査の主体:誰が実施した調査か(自社調査か、第三者機関か)
  2. 調査の対象と範囲:どの地域・どの業種・どの期間か
  3. 比較の基準:何をもってNo.1としているか(売上、店舗数、満足度など)
  4. 調査の時点:いつ時点のデータか
  5. 広告への併記:上記を、消費者が認識できる形で表示する

「イメージ調査」のみを根拠とした満足度No.1表示は、実際の商品・サービスの優良性を示すものではないため、注意が必要です。No.1という言葉を使わずに事実を示す方法もあります。「創業◯年」「施工実績◯件」といった検証できる数字のほうが、表現としての強度も高くなります。

効果・効能をうたえる範囲

化粧品、健康食品、美容機器、施術サービスなどでは、医薬品的な効能を標ぼうすると薬機法上の問題となります。「治る」「改善する」「予防する」といった表現が典型です。

また、医療機関の広告については医療法に基づく規制があり、体験談や、術前術後を比較する写真の掲載に制限が設けられています。整体・エステなど医業類似行為を扱う業種でも、施術の効果に関する表現には慎重な確認が必要です。

避けるべき方向 検討できる方向
症状が治る・改善すると断定する 施術の内容・所要時間・回数の目安を事実として書く
術前術後の写真で効果を示す 施術環境、担当者の資格・経歴、対応の流れを見せる
「必ず」「絶対に」といった断定 「◯◯という方に選ばれています」など実績に基づく事実
個人の体験談で効果を訴求する サービス提供の範囲と、想定される流れの説明

この領域は業種ごとに所管する規制が異なるため、記事の一般論だけで判断せず、厚生労働省や関係機関が公表しているガイドラインを確認してください。あわせて、広告の遷移先であるLPも規制の対象です。広告文だけを直してもLPが同じ表現のままなら、リスクは解消しません。

ステルスマーケティング規制

2023年10月から、事業者の広告であるにもかかわらず、一般消費者がそれを判別することが困難な表示は、景品表示法上の不当表示として規制の対象となっています。

対象になるのは事業者側です。インフルエンサーへの依頼、口コミの投稿依頼、アフィリエイターへの指示など、事業者が表示内容に関与している場合は、広告であることが分かる表示が必要になります。

  • インフルエンサーに投稿を依頼する場合は、広告・PRであることの明示を依頼内容に含める
  • 口コミの投稿を依頼する場合、内容を指定したり、対価と引き換えに高評価を求めたりしない
  • 自社の従業員・関係者が一般利用者を装って投稿しない
  • アフィリエイトの表示内容についても、事業者側の責任が問われる場合があることを前提に管理する

口コミの集め方についてはGoogleマップの口コミを増やす方法、掲載する「お客様の声」の扱いについては「お客様の声」の効果的な掲載方法で、それぞれ注意点を整理しています。

業種別に注意すべきポイント

業種 特に注意する表現 確認の起点
リフォーム・住宅 補助金の受給を確約する表現、期間限定の値引き 補助事業の公式サイト、媒体の関連ポリシー
整体・エステ・美容 効果の断定、術前術後の写真、体験談 薬機法・医療広告に関する所管官庁のガイドライン
飲食・バー 酒類の訴求、年齢に関する配信条件 酒類広告の規制を参照
学習塾・スクール 合格実績の集計方法、「必ず伸びる」等の断定 実績の集計範囲を明示できるか
求人・採用 労働条件の表示、実際と異なる条件 労働関連法令の最新の公的情報
中古車・不動産 総額表示、別途費用の明示 業界の表示規約・公正競争規約

業界ごとに公正競争規約が定められている場合があります。自社の業界に規約があるかどうかは、確認しておく価値があります。

表現を書き換えるときの型

表現を弱めると訴求力が落ちる、という懸念はよく聞きます。ただし多くの場合、問題のある表現は抽象的で検証できないために強く見えているだけです。事実に置き換えると、かえって具体性が増します。

問題になりやすい表現 書き換えの方向 書き換え例
地域No.1の実績 検証できる数字にする 施工実績◯件(2020年〜2025年累計)
業界最安値 条件を明示した価格にする 同条件での見積り比較を承ります/◯◯プラン月額◯円(税込・工事費別)
必ず効果が出ます 提供内容と範囲を書く 初回に現状を確認し、3か月の計画を作成します
今だけ限定 期間を実際に区切る ◯月◯日までのお申込み分
初期費用0円 条件を併記する 初期費用0円(12か月契約の場合。中途解約時は残額を申し受けます)
満足度No.1 調査の出所を書くか、使わない 継続率◯%(2025年実績・当社調べ)

書き換えの原則は、形容詞を数字に置き換えることです。数字は根拠の提示とセットになるため、そもそも書ける内容が限定されます。この制約が、結果としてリスクを下げます。

強い表現が効くのではなく、具体的な表現が効く。

「地域No.1」より「施工実績◯件・対応エリア◯市」のほうが、読み手にとって判断材料になる。

社内でチェック体制を作る

広告表現の問題は、担当者個人の知識量ではなく、確認の仕組みがあるかどうかで発生率が変わります。

  1. 禁止表現リストを作る:自社の業種で使わない語(治る、必ず、最安、No.1など)を明文化する
  2. 数字を使う場合は出典欄を設ける:広告文の管理表に、根拠資料の保管場所を書く列を追加する
  3. 広告文とLPを同時に点検する:広告のみ修正してLPが残っている事故が最も多い
  4. 公開前に第三者が確認する:作成者以外が読む工程を1つ入れる
  5. 年1回、公表資料を確認する:規制と媒体ポリシーは更新されるため、リストを更新する

この体制は、代理店に委託している場合も必要です。表示の責任は広告主にあるため、代理店が作った表現であっても、確認するのは自社という前提で運用してください。

よくある失敗

媒体審査に通ったので問題ないと判断する

媒体の審査は掲載基準に基づく判断であり、法令の適合を保証するものではありません。逆に、適法な表現が媒体で否認されることもあります。2つは別の基準です。

広告文だけ修正してLPを放置する

遷移先のページも表示の一部です。広告文から問題表現を消しても、LPに同じ表現が残っていればリスクは変わりません。

打消し表示を小さく入れて済ませる

注記が小さい、色が薄い、スクロールしないと見えないといった場合、打消し表示として機能しないと判断されることがあります。条件は、本体の表示と同じ画面で読める形にしてください。

体験談を「個人の感想です」で回避しようとする

注記があっても、体験談が全体の印象を作っている場合は問題となることがあります。効果の訴求を体験談に依存させない構成が安全です。

アカウント停止まで気づかない

ポリシー違反が累積すると、警告なくアカウントが停止される場合があります。停止時の対応は広告アカウントが停止された時の原因と復旧方法にまとめています。

よくある質問

「No.1」は使ってはいけないのですか

使用が一律に禁止されているわけではありません。客観的な調査に基づく合理的な根拠があり、調査の主体・範囲・時期などを消費者が認識できる形で併記していることが前提になります。根拠を用意できない場合は使用を避けてください。

自社調査でもNo.1表示の根拠になりますか

調査の方法が適切であることが前提です。消費者庁がNo.1表示に関する考え方を公表していますので、実施前にその内容を確認してください。表示する際は、調査の出所を明示します。

罰則はどの程度のものですか

景品表示法では措置命令や課徴金納付命令があり、2024年10月施行の改正で確約手続の導入や罰則の見直しが行われています。金額や要件は改正されるため、最新の内容は消費者庁の公表資料で確認してください。金銭的な負担以上に、社名の公表による影響が大きい点に注意が必要です。

代理店が作った広告文の責任は誰にありますか

表示に関する責任は、原則として広告主が負います。委託していても、自社で確認する工程を残してください。

競合が明らかに問題のある表現を使っています

競合の表現に合わせると、同じリスクを負うことになります。指摘を受ける時期がずれているだけで、表示が適切であることの証明にはなりません。自社は事実に基づく訴求で差をつけるほうが、長期的には有利です。

まとめ

広告表現には、法令と媒体ポリシーという2つの独立した関門があります。媒体審査を通ったことは、法令上の問題がないことを意味しません。事業への影響が大きいのは法令側です。

問題になりやすいのは、最上級表示、価格の有利性、効果・効能の断定、体験談、限定表示、無料の強調という6つの類型です。いずれも「表示された内容と、実際に提供されるものとのズレ」という共通の構造を持っています。

書き換えの方向は明確です。形容詞を数字に置き換え、条件を併記する。この作業は表現を弱めるのではなく、読み手にとっての判断材料を増やします。そのうえで、禁止表現リストと第三者確認の工程を社内に置けば、発生率は大きく下がります。なお、規制の内容は改正されるため、判断の際は消費者庁・厚生労働省など所管官庁の最新の公表資料を確認し、個別の判断が必要な場合は専門家にご相談ください。

当社では広告運用代行とLP制作を一体で支援しており、広告文と遷移先の表現を同時に点検する体制で運用しています。現在の広告表現を見直したい場合は、資料をダウンロードのうえご活用ください。

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