住宅リフォームや窓・給湯器の改修を扱う事業者がGoogle広告を出稿すると、「補助金」を訴求した広告が繰り返し不承認になることがあります。広告文を少し書き換えて再入稿しても、また落ちる。そのうちアカウント全体に警告が付く——という流れは、この業界で頻繁に起こります。
ただし、「補助金」という単語そのものが禁止されているわけではありません。落ちているのは、単語ではなく「補助金をどう説明しているか」です。抵触しているポリシーは主に3つあり、どれに触れているかを特定しないまま書き換えても、通る確率は上がりません。
この記事では、審査落ちの原因になる3つのポリシーを整理したうえで、NG表現とその書き換え例、着地ページ側で見られている点、審査に落ちたときの対応手順、そして補助金訴求に依存しない広告設計までを解説します。
この記事でわかること
・「補助金」表記が不承認になる3つのポリシーと、その見分け方
・そのまま使えるNG表現/OK表現の対応表
・広告文を直しても通らないときに見るべき着地ページの項目
・2026年の住宅省エネ補助金を広告で扱うときの正しい書き方
・不承認になったときの対応手順と、繰り返さないためのチェック体制
・補助金キーワードに依存しない予算配分の考え方
結論:問題は「補助金」の単語ではなく、3つの誤認リスク
補助金訴求の広告が不承認になるとき、抵触しているのはおおむね次の3つです。
| 抵触しやすいポリシー | 典型的な引っかかり方 | 判定の目安 |
|---|---|---|
| 不実表示(許可されないビジネス手法・誤解を招く表現) | 行政や公的機関の支援を受けている、あるいは公式窓口であるかのように見える表現 | 広告文やLPに公的機関のロゴ・名称・「公式」等が使われていないか |
| 不実表示(不適切な価格設定) | 補助金適用後の金額だけを大きく出し、総額や条件を明示していない | 「実質0円」「最大◯◯万円もらえる」だけで条件が書かれていないか |
| 政府発行書類と行政サービス | 行政サービスや給付の申請支援そのものを商材として宣伝している | 「申請代行します」が主訴求になっていないか |
審査落ちの本質は「補助金が確実にもらえる」「実質無料である」とユーザーに誤認させ得るかどうかです。
条件・上限・総額・主体を明示すれば、補助金に触れること自体は問題になりません。
3つのポリシーを個別に見る
1. 不実表示|公的機関の支援を受けているように見せない
Google広告の不実表示ポリシーでは、実際には支援を受けていないのに、他のブランド・組織・政府機関から支援を受けているかのように見せかけることが禁止されています。また、身元や提携関係、資格について誤解を招く表現を使うこと、わかりにくくすること、省略することも対象です(出典:Google広告ポリシーヘルプ「不実表示」)。
リフォーム事業者の広告でよく見られる抵触例は次のとおりです。
- 省庁名や事業名を広告見出しの先頭に置き、事業者名より目立たせている
- 公的機関のロゴやそれに似た意匠をLPの上部に配置している
- 「補助金申請の公式窓口」「認定事務局」など、実態と異なる立場を示す表記を使っている
- 補助金事業の名称をドメインやサイト名に使い、事業の運営主体と誤認させている
ここで重要なのは、意図的に偽っていなくても、表示の結果として誤認され得れば抵触するという点です。事業者名と、補助金事業の実施主体が別であることが、広告文とLPの両方で明確になっている必要があります。
2. 不実表示|補助金適用後の金額だけを出さない
不実表示ポリシーには、購入の前後にユーザーが負担することになる全費用や支払いモデルを、目立つように明確に開示しないことを禁じる規定があります。商品費用について誤った印象を与える価格設定も許可されません。
補助金訴求では、この規定に最も引っかかりやすくなります。
- 「実質0円」「補助金でタダ」——実際には工事費の自己負担が発生する
- 「最大◯◯万円」——上限額であり、全員が受け取れるわけではない
- 補助金適用後の価格だけを大きく表示し、工事総額を小さく(またはまったく)書いていない
- 補助金の申請期間・予算上限・要件(住宅の種類、工事内容、世帯要件など)に触れていない
景品表示法の観点でも、実際よりも著しく有利であると誤認させる表示(有利誤認表示)は問題になります。媒体審査と法令の両面で、条件の明示は必須です。
3. 政府発行書類と行政サービス|申請支援を主商材にしない
Google広告には「政府発行書類と行政サービス」というポリシーがあり、政府機関または委託業者から直接入手できる文書・サービスについて、その利用申込や有料での利用を支援する事業の宣伝が制限されています。認証を受けた政府機関または認定事業者のみが掲載できる区分です(出典:Google広告ポリシーヘルプ)。
リフォーム事業者の場合、工事の受注が本業であり、補助金申請の支援は付随サービスであることがほとんどです。しかし広告の見せ方によっては、「補助金申請の支援サービス」を売っているように読めることがあります。
| 読まれ方 | 評価 |
|---|---|
| 「窓の断熱リフォームを行う工事会社。補助金対象工事にも対応し、申請手続きも代行する」 | 工事が主商材。付随サービスとしての申請代行は主訴求ではない |
| 「補助金の申請を代行します。手数料◯万円」 | 行政サービスの申請支援そのものが商材。制限対象に該当し得る |
広告文の主語を「工事・サービス」に置き、申請サポートは補足として書く。これが基本の型になります。
NG表現とOK表現の対応表
実際の広告見出し・説明文で使われがちな表現を、書き換え例とあわせて整理します。文字数の制約があるため、条件はすべて広告文に入れず、LP上部で補完する設計にします。
| NG表現 | 抵触しやすい点 | 書き換え例 |
|---|---|---|
| 補助金で実質0円 | 全費用の不開示・有利誤認 | 窓リフォーム 補助金対象工事|見積無料 |
| 最大200万円もらえる | 上限額を全員が受け取れるかのような表示 | 補助対象工事の上限は制度により異なります/要件を診断 |
| 必ず受給できます | 利用できない特典の約束 | 要件を満たす場合に申請可能。事前診断で確認します |
| 国の公式窓口 | 公的機関との関係の誤認 | ◯◯県◯◯市の窓・断熱リフォーム施工店 |
| 補助金申請代行 手数料無料 | 行政サービスの申請支援が主商材 | 断熱リフォーム施工|申請書類の作成もサポート |
| 今だけ!補助金キャンペーン中 | 制度を自社の販促施策と誤認させる | 2026年度の補助事業に対応|予算上限に達し次第終了 |
| ◯◯事業 事務局 | 実施主体との誤認 | ◯◯事業 対象工事の施工業者 |
書き換えの原則
- 主語を自社の工事・サービスにする:補助金を主語にしない
- 断定を避ける:「もらえる」ではなく「申請できる」「対象となる場合があります」
- 上限値は上限と分かるように書く:「最大」の語だけでなく、条件により変動する旨を添える
- 総額と自己負担が分かる導線を用意する:広告文で書ききれない分はLP上部に置く
- 公式情報への導線を置く:制度の詳細は公的機関の公式サイトを参照させる
広告文を直しても通らないとき|着地ページを見る
Google広告の審査は、広告文だけでなく着地ページも対象です。広告文を穏当にしても不承認が続く場合、原因はLP側にあります。次を確認してください。
| 確認項目 | 望ましい状態 |
|---|---|
| ファーストビューの見出し | 工事・サービスが主語になっている。補助金は補足 |
| 公的機関の名称・ロゴ | ロゴは使用しない。名称は制度名として正確に表記し、実施主体を明記 |
| 金額表示 | 工事総額と補助金適用後の自己負担が並記されている |
| 条件の記載 | 対象工事、住宅の要件、申請期間、予算上限に達した場合の扱いが書かれている |
| 事業者情報 | 会社名、所在地、電話番号、建設業許可番号などが明記されている |
| 公式サイトへのリンク | 制度の詳細を確認できる公的機関の公式ページへの導線がある |
| 問い合わせ後の流れ | 見積・調査・申請・工事の流れと、費用の発生時点が説明されている |
特に「工事総額と自己負担の並記」は、審査対策であると同時に、問い合わせ後の商談品質にも効きます。実質0円と誤解して問い合わせてきた顧客は、見積提示の段階で離脱します。CPAが下がっても受注が増えないという状態は、ここから生まれます。
2026年の住宅省エネ補助金を広告で扱うときの書き方
2026年は、国土交通省・経済産業省・環境省の3省が連携する「住宅省エネ2026キャンペーン」として、複数の補助事業が実施されています。リフォーム関連では、みらいエコ住宅2026事業(国土交通省)、先進的窓リノベ2026事業(環境省)、給湯省エネ2026事業(経済産業省)などが該当します。
広告・LPで制度に触れる場合は、次の3点を守ってください。
- 事業名を正確に表記する:略称や独自の言い換えを使わず、公式の事業名を用いる
- 金額は条件付きであることを明示する:補助額は工事内容・製品性能・世帯要件により変動し、上限額は全員に適用されるものではない
- 予算上限と期間に言及する:交付申請の受付は予算上限に達した時点で終了する場合があるため、その旨を記載する
制度の詳細は、公式サイト(住宅省エネ2026キャンペーン:jutaku-shoene2026.mlit.go.jp)および各省庁の公表資料で確認してください。制度の内容は年度ごとに変わるため、前年度のLPをそのまま流用しないことが重要です。旧年度の事業名や金額が残ったまま配信されている広告は、不実表示に該当し得ます。
年度切り替え時のチェック
- 広告文・LP内の事業名と年度表記を更新したか
- 補助額・要件が前年度から変わっていないか公式資料で確認したか
- 旧年度のLPが検索エンジンに残り、広告のリンク先になっていないか
- キャンペーン終了後、該当広告を停止する運用が決まっているか
不承認・警告が出たときの対応手順
- 不承認の理由を正確に控える:管理画面のポリシー名(不実表示、政府発行書類と行政サービス等)をそのまま記録する
- 広告文とLPを同時に見直す:広告文だけ直しても、LPが原因なら再び不承認になる
- 該当箇所を1つずつ直す:一度に全面改稿すると、何が原因だったか特定できなくなる
- 修正後に再審査を依頼する:広告の編集で自動的に再審査が入る。それでも通らない場合はサポートへ問い合わせる
- アカウント全体の警告に発展していないか確認する:警告が累積すると停止に至る
不承認が繰り返されている状態を放置すると、アカウント単位の措置につながることがあります。アカウント停止時の対応は広告アカウントが停止された時の原因と復旧方法で解説しています。
補助金訴求に依存しない広告設計
ポリシー対応とは別に、事業判断としての論点があります。補助金キーワードは短期的に問い合わせを集めやすい一方で、次のリスクを抱えています。
| リスク | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 予算枯渇による需要消失 | 予算上限に達すると検索需要が急減する | 年度中盤以降は他キーワードへの配分を増やす |
| 制度変更による作り直し | 年度ごとに事業名・要件が変わり、LPと広告文の改修が必要 | 制度依存の記述をLPの一部に限定し、更新しやすい構造にする |
| 商談品質の低下 | 「補助金がもらえるか」だけを目的とした問い合わせが増える | LPで自己負担額と工事の流れを先に開示する |
| 競合の集中 | 同一期間に同業他社が同じキーワードへ集中し、CPCが上がる | 地域名・工事内容・課題ベースのキーワードを併走させる |
配分の考え方としては、補助金キーワードを「刈り取り」、地域名+工事内容(例:「◯◯市 内窓 交換」)を「安定的な母集団」、課題ベース(例:「窓 結露 対策」)を「需要の掘り起こし」と位置づけ、3層に分けて予算を置くと、年度末の落ち込みを緩和できます。
評価は問い合わせ数ではなく、キーワード群ごとの受注率と受注単価で行ってください。補助金キーワードは問い合わせ数が多くても、受注率が低いことがあります。予算の決め方は店舗集客のGoogle広告費用相場は?月額予算の決め方を計算式で解説で解説しています。
入稿前チェックリスト
担当者の記憶ではなく、手順として残してください。
- 広告見出しの主語が自社の工事・サービスになっているか
- 「実質0円」「必ず」「もらえる」などの断定・無料訴求を使っていないか
- 金額を出す場合、上限であることと変動条件が分かるか
- 公的機関のロゴを使っていないか。事業名の表記は公式どおりか
- LP上部に工事総額と自己負担の目安があるか
- LPに会社名・所在地・連絡先・許可番号が記載されているか
- 制度の公式サイトへのリンクがあるか
- 事業名と年度が最新か。旧年度のページが残っていないか
- 申請代行が主訴求になっていないか
よくある質問
Q. 「補助金」という言葉は使ってよいのですか?
単語自体が禁止されているわけではありません。問題になるのは、受給が確実であるかのような表現、費用の全体像を示さない表現、公的機関との関係を誤認させる表現です。条件と主体を明示していれば、制度に触れること自体は可能です。
Q. 広告文を修正したのにまた不承認になりました。
着地ページ側が原因である可能性が高い状態です。LPのファーストビュー、金額表示、事業者情報、公的機関のロゴ使用を確認してください。広告審査は広告文とリンク先の両方を対象にしています。
Q. 補助金の申請代行を有料で行っています。広告は出せませんか?
行政サービスの申請支援そのものを商材として宣伝する場合、「政府発行書類と行政サービス」ポリシーの制限対象に該当し得ます。工事の受注が本業であれば、広告の主訴求を工事・サービスに置き、申請サポートは付随的な記載にとどめる構成にしてください。判断に迷う場合は、媒体のサポート窓口に事業内容を説明して確認するのが確実です。
Q. 競合は「実質0円」と出しています。なぜ通っているのですか?
審査は自動と人手の組み合わせで行われるため、同種の表現でも判定が揃わないことがあります。ただし、後から不承認やアカウント措置に転じることがあり、景品表示法上のリスクも残ります。他社が通っていることは、自社が出してよい根拠にはなりません。
Q. 予算上限に達したあとも広告を出し続けてよいですか?
受付が終了した制度を、利用できるかのように訴求することは、利用できない特典の約束に該当し得ます。終了時点で該当広告を停止するか、記載を「終了しました」に更新する運用を決めておいてください。
まとめ
補助金訴求の広告が不承認になる原因は、単語ではなく誤認リスクです。抵触しやすいのは、公的機関との関係を誤認させる表現、補助金適用後の金額だけを示して全費用を開示しない表示、そして行政サービスの申請支援を主商材として宣伝する構成の3つです。
対応の順序は、まず不承認理由のポリシー名を控え、広告文とLPを同時に見直すことです。広告文の主語を自社の工事・サービスに戻し、上限額は条件付きであることを明示し、LP上部に工事総額と自己負担を並記してください。
あわせて、事業としての設計も見直す価値があります。補助金キーワードは年度末の予算枯渇で需要が急減し、問い合わせ数の割に受注率が低いことがあります。地域名+工事内容、課題ベースのキーワードを併走させ、キーワード群ごとの受注率で評価してください。
「不承認の理由が分からず入稿と修正を繰り返している」「補助金の問い合わせは来るが受注につながらない」「LPのどこを直せばよいか判断できない」といった状態にある場合は、広告文単体ではなく、着地ページ・訴求設計・キーワード構成を合わせて確認する必要があります。
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