商品パッケージのデザインは、Web制作と違って印刷と加工の制約が先にあります。形状、材質、印刷方法が決まらないと、デザインの検討に入れません。
また表示が義務づけられる情報があります。商品の種類によって必要な項目が異なり、書き漏らすと販売できません。デザインの前に、この整理が必要です。
この記事では、着手前に決めること、表示義務のある情報、印刷会社との関係、費用が増える箇所、そして依頼時の確認事項を整理します。表示に関する規制は商品ごとに異なるため、詳細は所管の情報を確認してください。
この記事でわかること
・形状と材質が決まらないとデザインに入れない
・表示が義務づけられる情報を先に整理する
・印刷会社を先に決めるか、後にするかで進め方が変わる
・色は画面と刷り上がりで違う
・費用が増えるのは加工と校正の回数
・売り場での見え方で判断する
形状と材質が決まらないとデザインに入れない
デザインは展開図の上に配置する作業です。形が決まっていないと着手できません。
| 決めること | デザインへの影響 |
|---|---|
| 形状と寸法 | 配置できる面積と面数が決まる |
| 材質 | 発色と質感が変わる |
| 印刷方法 | 使える色数と表現が変わる |
| 加工の有無 | 光沢、箔、型抜きなどの可否 |
| 製造数量 | 印刷方法の選択肢が変わる |
数量が少ない場合、選べる印刷方法が限られます。結果として使える色数や質感も制約を受けます。まず数量を決めてから、実現可能な範囲を確認してください。
形状と材質が決まらないと、デザインは着手できない。
製造数量によって、選べる印刷方法が変わる。
表示が義務づけられる情報を先に整理する
商品の種類によって、記載が必要な項目が法令で定められています。
- 商品の種類によって、必要な項目と表示方法が異なる
- 文字の大きさに下限が定められている場合がある
- 表示する面や位置に決まりがある場合がある
- 内容量、原材料、事業者名などの記載が必要になることがある
- 輸出する場合、相手国の規制も確認が必要になる
これらは所管する官公庁や業界団体の情報で確認してください。デザイン会社が代わりに判断できる領域ではありません。必要な項目を発注側で整理し、原稿として渡すのが基本です。
書き漏らすと販売できず、刷り直しになります。デザインの検討より先に、この整理を終えてください。
必要な記載事項は発注側で整理し、原稿として渡す。
書き漏らすと刷り直しになる。デザインより先に確定させる。
印刷会社を先に決めるか、後にするか
進め方には2通りあり、それぞれ利点が違います。
| 進め方 | 利点 | 注意 |
|---|---|---|
| 印刷会社を先に決める | 制約が明確な状態で設計できる | 価格の比較がしにくい |
| デザインを先に作る | 表現の自由度が高い | 実現できない可能性がある |
| デザイン会社に一括依頼 | 手配の手間が減る | 管理料が乗ることがある |
| 自社で印刷会社に発注 | 費用を抑えやすい | 仕様の指定を自社で行う |
初めての依頼であれば、印刷会社を先に決めるほうが手戻りが少なくなります。使える色数や加工が確定した状態でデザインに入れるためです。
見積もりの読み方はWeb制作の見積書の読み方|同じ金額が別の買い物になる理由の考え方が応用できます。
初めてなら、印刷会社を先に決めるほうが手戻りが少ない。
制約が確定した状態でデザインに入れる。
色は画面と刷り上がりで違う
画面で見た色は、印刷するとそのままには出ません。
| 要因 | 起きること | 対応 |
|---|---|---|
| 表示と印刷の仕組みの違い | 鮮やかな色が沈む | 印刷見本で確認する |
| 材質 | 同じ指定でも発色が変わる | 実際の材質で試し刷りする |
| 印刷方法 | 再現できる範囲が違う | 方法に応じた指定にする |
| ロットによる差 | 刷るたびに微妙に変わる | 許容範囲を決めておく |
ブランドカラーがある場合、印刷での再現方法を確認してください。特定の色を正確に出すには、専用のインクを使う方法があります。ただし費用が上がります。
配色の考え方はWebサイトの配色の決め方|ブランドカラーから展開する方法を参照してください。
画面の色は、そのままには刷り上がらない。
ブランドカラーがあるなら、再現方法を先に確認する。
費用が増えるのは加工と校正の回数
見積もりから増えやすいのは、デザイン費より製造側です。
| 項目 | 増える理由 |
|---|---|
| 加工の追加 | 光沢、箔、型抜きはそれぞれ工程が増える |
| 色数の追加 | 使う色を増やすと版が増える |
| 校正の回数 | 刷り出しの確認を重ねるごとに費用がかかる |
| 修正のタイミング | 版を作った後の修正は作り直しになる |
| 納期の短縮 | 特急の割増が発生する |
最も避けたいのは、版を作った後の修正です。記載事項の漏れや誤字が後から見つかると、費用が大きく増えます。文字の確認は、デザインの確認とは別に行ってください。
版を作った後の修正が、最も費用に響く。
文字の確認は、デザインの確認とは別工程で行う。
売り場での見え方で判断する
画面上で大きく表示して確認すると、実際の見え方と乖離します。
- 実寸で出力して、手に持って確認する
- 売り場を想定した距離から見る
- 他の商品と並べたときに識別できるか確認する
- 棚に置いたとき、どの面が見えるかを確認する
- その面に、判断に必要な情報が入っているか確認する
棚では正面しか見えないことが多くなります。側面や背面に重要な情報を置いても、手に取ってもらえなければ伝わりません。何を正面に置くかが最も重要な判断になります。
画面上ではなく、実寸で手に持って確認する。
棚では正面しか見えない。何を正面に置くかで決まる。
依頼時の確認事項
デザイン会社に依頼する際、次を確認してください。
| 確認項目 | 確認しない場合 |
|---|---|
| 印刷用データの形式 | 印刷会社が扱えないことがある |
| 修正できる回数 | 回数を超えると追加費用になる |
| 記載事項の確認は誰が行うか | 漏れの責任が曖昧になる |
| 写真やイラストの利用条件 | 使用範囲が限られることがある |
| 展開商品への流用の可否 | 追加費用が発生することがある |
| 編集可能なデータの受け渡し | 次回の修正で作り直しになる |
記載事項の確認を誰が行うかは、必ず明確にしてください。デザイン会社は表示規制の専門家ではありません。最終的な確認は発注側の責任になるのが通常です。
契約時の確認事項はグラフィックデザインを外注する流れ|初めての依頼で決めておくことも参照してください。
記載事項の確認を誰が行うかを明確にする。
編集可能なデータを受け取らないと、次回は作り直しになる。
よくある失敗
形状を決めずにデザインを依頼する
配置できる面積が決まらず、着手できません。仕様を先に確定させてください。
記載事項の整理を後回しにする
書き漏らすと販売できず、刷り直しになります。デザインより先に確定させてください。
画面の色で判断する
印刷ではそのまま出ません。実際の材質で試し刷りを確認してください。
版を作った後に修正する
作り直しになり、費用が大きく増えます。文字の確認は別工程で行ってください。
画面上で拡大して確認する
実際の見え方と乖離します。実寸で出力し、手に持って確認してください。
よくある質問
デザイン費用の目安はありますか
形状の面数、加工の有無、展開する商品数によって大きく変わるため、一律の金額は示せません。同じ条件を伝えて複数社から見積もりを取ってください。特に展開商品がある場合、1点あたりの単価が変わることがあります。
印刷会社の紹介は依頼できますか
対応するデザイン会社もあります。ただし管理料が乗ることがあるため、自社で発注する場合との差を確認してください。初めての場合は、手配を含めて依頼するほうが手戻りは少なくなります。
既存パッケージのリニューアルはどう進めますか
既存商品の場合、売り場で認識されている要素を変えると、同じ商品だと気づかれないことがあります。何を残し何を変えるかを先に決めてください。考え方はリブランディングの進め方|既存顧客を離さないための手順を参照してください。
小ロットでも依頼できますか
可能ですが、1個あたりの単価は上がります。また選べる印刷方法や加工が限られます。試作や小規模な販売であれば、簡易な方法から始めて反応を見る進め方もあります。
生成AIで作れますか
案出しには使えますが、印刷用のデータとしてはそのまま使えません。展開図への正確な配置、文字の正確さ、記載事項の確認が必要です。適用範囲はAIがあればデザインの外注は不要になるのか|依頼する側が判断すべきことを参照してください。
まとめ
商品パッケージのデザインは、印刷と加工の制約が先にあるため、Web制作とは進め方が異なります。形状、材質、印刷方法、そして製造数量が決まらないとデザインの検討に入れません。数量が少なければ選べる印刷方法が限られ、使える色数や質感にも制約が出ます。
そしてデザインより先に終えておくべきなのが、表示が義務づけられる情報の整理です。商品の種類によって必要な項目と表示方法が異なり、書き漏らすと販売できず刷り直しになります。これはデザイン会社が代わりに判断できる領域ではないため、発注側で整理して原稿として渡してください。誰が最終確認を行うかも、契約の段階で明確にしておく必要があります。
費用が増えやすいのは、デザイン費より製造側です。加工の追加、色数の増加、そして版を作った後の修正が大きく響きます。特に記載事項の漏れや誤字が後から見つかると、作り直しになります。確認は画面上ではなく、実寸で出力して手に持って行ってください。棚では正面しか見えないことが多く、何を正面に置くかが最も重要な判断になります。