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最新Webデザイントレンドの取り入れ方|採用する基準と見送る基準

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Webデザインのトレンドをまとめた記事は多くありますが、実務で困るのは「知ること」ではなく「取り入れるかどうかの判断」です。流行の表現をそのまま採用した結果、表示速度が落ちた、更新できなくなった、数年で古く見えるようになった、というケースは頻繁に起こります。

トレンドには、採用してよいものと、見送るべきものがあります。判断の分かれ目は流行の新しさではなく、それが「機能の改善」なのか「表現の流行」なのかです。

この記事では、トレンドを2種類に分ける判断軸を示したうえで、近年見られる主な傾向とその評価、取り入れる際の順序、そして企業サイトで見送るべきものを解説します。

この記事でわかること

・トレンドを「機能」と「表現」に分ける判断軸

・近年見られる主な傾向と、それぞれの採否の考え方

・取り入れる際に確認すべき4つの条件

・企業サイトで見送るべき表現と、その理由

・古く見えないサイトを作るための考え方

結論:トレンドは2種類に分けて判断する

種類 内容 判断 寿命
機能の改善 使いやすさ・アクセシビリティ・表示速度に関わる変化 積極的に採用する 長い。標準になっていく
表現の流行 見た目のスタイル、装飾、演出 目的に合う場合のみ採用 短い。数年で古く見える

この分け方が実務で効きます。機能の改善は、流行に関係なく取り入れる価値があります。一方、表現の流行は、ブランドとして意図がある場合に限って採用します。

「新しいから採用する」は判断ではありません。

機能の改善なら採用、表現の流行なら「自社の目的に合うか」で判断してください。

機能側の傾向(採用を検討する価値が高い)

傾向 内容 評価
モバイル前提の設計 PCではなくスマートフォンの縦順序から設計する 流入の大半がスマートフォン。必須
表示速度の重視 画像の軽量化、フォントの最適化、不要な演出の削減 速度は直帰率とCVRに直結する
アクセシビリティ配慮 コントラスト比、文字サイズ、キーボード操作 対象読者を広げる。法令面の要請も高まっている
ダークモード対応 端末設定に応じて配色を切り替える 必須ではない。通常表示を整えてから
情報の絞り込み 1画面あたりの情報量を減らす 判断しやすさに寄与する
デザインシステム化 パーツを部品化して再利用する 更新の一貫性と速度が上がる

この6つは、流行が変わっても価値が残ります。限られた予算があるなら、表現の刷新より先にここへ配分してください

表現側の傾向(目的に合うかで判断する)

傾向 特徴 向いているケース 注意点
ミニマルデザイン 余白を大きく取り、要素を絞る 専門性・高価格帯を伝えたい 情報量が必要な業種では不向き
大きなタイポグラフィ 見出しを大きく扱う メッセージを強く打ち出したい スマートフォンで文字が切れやすい
スクロール連動アニメーション スクロールに応じて要素が動く ブランドサイト、実績紹介 表示速度と可読性を犠牲にしやすい
グラスモーフィズム等の質感表現 半透明・ぼかしの表現 先進的な印象 コントラスト比を満たしにくい
ブルータリズム的な表現 あえて崩した構成 個性を強く出したいブランド 企業サイトでは信頼を損なう場合がある
3D・インタラクティブ表現 立体表現、操作に反応する演出 製品の理解に動きが必要な場合 制作費と表示負荷が大きい

これらは「良い・悪い」ではなく、目的に合うかどうかです。たとえば士業事務所がブルータリズム的な表現を採用すると、信頼という最も重要な要素を損ないます。

取り入れる際に確認する4条件

表現側のトレンドを採用する場合、次を確認してください。1つでも満たさなければ、見送る判断が妥当です。

  1. 表示速度を犠牲にしないか:変更前後で計測する。モバイル環境で確認する
  2. 可読性を犠牲にしないか:コントラスト比を満たすか。本文サイズで読めるか
  3. 更新できるか:CMSで運用担当者が触れるか。特殊な実装は更新を止める
  4. 3年後も違和感がないか:強い流行ほど、古く見えるのも早い

3番目は見落とされがちです。凝った演出を入れると、更新のたびに制作会社への依頼が必要になります。運用コストは制作費より長く効きます。

企業サイトで見送るべきもの

要素 理由
自動再生する重い動画(ファーストビュー) 読み込み中に離脱される。広告流入では特に損失が大きい
スクロールを乗っ取る演出 意図した位置で止まらず、操作感が損なわれる
閉じにくいポップアップ 内容を読む前に離脱される
ホバーでしか出ない重要情報 スマートフォンでは表示されない
読み込み時のローディング演出 待ち時間を作っている。速度改善が先
過度なパララックス スクロール量が増え、内容にたどり着きにくい

これらに共通するのは、「見せ方」のために「使いやすさ」を犠牲にしている点です。訪問者が判断するためにサイトへ来ている以上、判断を妨げる演出は目的に反します。

古く見えないサイトを作る

「数年後も古く見えない」ことを重視するなら、流行を追うのではなく次を守ってください。

  • 装飾より情報設計を整える:構造が良いサイトは長く機能する
  • 写真の質を上げる:実物の写真は流行に左右されにくく、差別化にもなる
  • タイポグラフィと余白を丁寧に扱う:見た目の印象の大部分はここで決まる
  • 色数を絞る:多色使いは時代性が出やすい
  • 装飾的な演出を減らす:演出は流行の影響を最も受ける

2番目は特に効果があります。ストックフォトを使ったサイトは、素材の流行が変わると一気に古く見えます。自社で撮影した写真は、その影響を受けにくくなります。

情報設計と余白については、情報設計(IA)とは?わかりやすいサイト構成の作り方Webデザインにおける余白の効果で解説しています。

トレンドを追うべきタイミング

状況 判断
サイトが5年以上更新されていない 刷新の価値がある。ただし情報設計から見直す
スマートフォン表示が最適化されていない 最優先で対応する(機能側の改善)
表示が遅い 演出の追加ではなく削減を検討する
CVは出ているが見た目が古いと感じる 数字が出ているなら、刷新の優先度は低い
採用サイトで応募が集まらない 見た目より、掲載情報の不足を先に確認する
競合と見た目が似通っている ブランドコンセプトから差別化を設計する

4番目は判断が難しい項目です。「古く見える」という感覚は、多くの場合社内から出ます。訪問者が離脱しているのか、社内が飽きているのかを、数字で切り分けてください。

よくある失敗

失敗1:新しいから採用する

判断基準が「新しさ」だと、数年ごとに作り直すことになります。目的に合うかで判断してください。

失敗2:他社が使っているから採用する

同商圏の競合と同じ方向性にすると、差別化されず記憶にも残りません。

失敗3:表示速度を確認しない

演出を足すと必ず重くなります。変更前後でモバイル環境の速度を計測してください。

失敗4:更新できない実装にする

運用担当者が触れない実装は、更新が止まり、結果として情報が古いサイトになります。

失敗5:情報設計を放置して装飾だけ変える

見た目を新しくしても、探している情報が見つからなければ成果は変わりません。

よくある質問

Q. トレンドを取り入れないと古く見えませんか?

古く見える主な原因は、流行の表現を使っていないことではなく、写真の質、色数の多さ、余白の少なさ、そして装飾的な演出です。この4つを整えれば、流行を追わなくても古く見えにくくなります。

Q. リニューアルの周期はどのくらいが適切ですか?

周期で決めるものではありません。判断材料は、スマートフォン対応の状況、表示速度、情報の鮮度、そして成果指標の推移です。数字が出ているサイトを見た目の理由だけで作り替える必要はありません。

Q. 競合と似た見た目になってしまいます。

同じ業界では、参考にするサイトも似通うため起こりやすい現象です。差別化の起点は装飾ではなく、伝えたい印象の言語化です。ブランディングとは?価格競争から抜け出す進め方と効果の測り方で解説しています。

Q. アニメーションは入れないほうがよいですか?

目的があれば有効です。要素が表示されたことを伝える、操作に反応する、といった機能的な動きは理解を助けます。一方、スクロールを乗っ取る、待ち時間を作るといった演出は、判断を妨げます。

Q. ダークモードには対応すべきですか?

優先度は高くありません。まず通常表示のコントラスト比と配色ルールを整えてください。ルールが決まっていない状態で対応すると、管理する色が倍になります。

まとめ

Webデザインのトレンドは、機能の改善と表現の流行に分けて判断してください。機能側(モバイル前提、表示速度、アクセシビリティ、情報の絞り込み、デザインシステム化)は流行に関係なく価値が残ります。表現側は、自社の目的に合う場合のみ採用します。

採用する際は、表示速度、可読性、更新のしやすさ、3年後の見え方の4条件を確認してください。1つでも満たさなければ、見送る判断が妥当です。

そして「古く見えないサイト」を作りたいなら、流行を追うのではなく、情報設計、写真の質、タイポグラフィと余白、色数の絞り込みを整えてください。見た目の印象の大部分はここで決まります。

「サイトが古く見える気がする」「リニューアルすべきか判断できない」といった状態にある場合は、見た目の刷新を検討する前に、成果指標とスマートフォンでの表示状況を確認してください。

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