販促物を作る話は、たいてい品目から始まります。展示会が近いのでパンフレットを、新店舗を出すのでチラシを、周年なのでノベルティを。品目が先に決まり、そこに載せる情報を後から集める。この順序で進めると、決まって同じ3つのことが起きます。
1つめは、情報が入りきらないことです。載せたい内容を全部並べると誌面が埋まり、文字を小さくして詰め込むことになります。2つめは、刷った直後に情報が変わることです。料金を改定した、担当者が異動した、キャンペーンが終わった。在庫が箱ごと使えなくなります。3つめは、効果が分からないことです。何部刷ったかは記録に残るのに、それで何が起きたかは残りません。次に作るべきかを判断する材料がないまま、また同じ相談を繰り返します。
「販促物 種類」で検索すると、品目を並べた一覧が並びます。のぼり、POP、タペストリー、DM、カタログ、サンプル。数十種類が説明されていますが、一覧を最後まで読んでも、自社が何を作るべきかは決まりません。選ぶための軸が示されていないからです。プッシュ型とプル型に二分する分類もよく見かけますが、これは施策の性質を説明する言葉で、品目を選ぶ基準にはなりません。
この記事は、販促物の品目を決める前に確定させるべき4つの条件を扱います。誰がどこで手に取るか、どれだけの時間を前提に設計するか、載せる情報が何年もつか、次にどう動いてほしいか。この4つが決まると、品目と部数と載せる情報が自動的に絞られます。個別の制作物の作り方は、それぞれの記事で扱っています。
この記事でわかること
・品目から決めると、情報が入りきらないか、刷った直後に情報が変わる
・販促物ごとに「前提にする時間」が違い、それが情報量の上限を決める
・刷る部数は、配れる数ではなく情報が変わるまでの期間で決める
・変わる情報と変わらない情報は、別の紙に分ける
・QRコードの遷移先は、自社ドメインの転送用URLにする
・紙は回収できない。表現の確認は刷る前にしか効かない
・「当店通常価格」との比較には、消費者庁が示す期間の基準がある

販促物の種類を並べても、選べるようにはならない
販促物とは、商品やサービスの販売を促すために作る制作物の総称です。配るもの(チラシ、DM、ノベルティ、サンプル)、掲示するもの(ポスター、のぼり、POP、看板)、手渡すもの(名刺、パンフレット、カタログ)と幅があり、近年はバナーやSNSのビジュアルなど画面上のものも含めて呼ばれます。
この定義から分かるとおり、販促物は品目の集合であって、機能で分類された何かではありません。だから種類を並べた一覧は、読み物としては成立しても、意思決定には使えません。「のぼりは店頭で視認性を高める」と説明されても、自社がのぼりを作るべきかは分からないままです。
選定に効く軸は、品目の側ではなく受け取る人の側にあります。次の4つです。
| 決めること | 確定するもの | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 誰が、どこで手に取るか | 品目の候補 | 使われない場所に置かれる |
| 前提にする時間 | 載せられる情報量 | 情報が入りきらず、文字が小さくなる |
| 情報の寿命 | 刷ってよい部数 | 改定のたびに在庫を捨てる |
| 次にどう動いてほしいか | 導線と測り方 | 配布数しか記録が残らない |
順番にも意味があります。上から順に確定させると、下の判断が自動的に絞られます。逆に、品目とデザインを先に決めてから4つを埋めようとすると、どこかで必ず矛盾が出ます。以下、順に見ていきます。
販促物は品目の集合で、種類の一覧は意思決定に使えない。
選ぶ軸は品目側ではなく、受け取る人の側に4つある。
条件1:誰が、どこで手に取るか
最初に決めるのは接触の場面です。同じ情報を伝える制作物でも、手に取られる場所が違えば、成立する品目は別になります。
| 接触の場面 | 受け取る人の状態 | 向く販促物 |
|---|---|---|
| 店頭・通行時 | 移動中。立ち止まっていない | ポスター、のぼり、看板 |
| ポスティング・折込 | 他の紙と束になっている | チラシ |
| 商談・訪問 | 着席していて、時間がある | パンフレット、カタログ、名刺 |
| 展示会・イベント | 荷物が増え続けている | 軽い印刷物、ノベルティ |
| 採用説明会 | 持ち帰って自室で読む | 採用パンフレット、ノベルティ |
| 商品棚・売り場 | 商品を比較している最中 | POP、パッケージ |
この表で押さえておきたいのは、受け取る人の状態が、読む姿勢を決めているという点です。通行中の人は立ち止まりません。折込チラシは他社のチラシと一緒に届きます。展示会の来場者は、その日のうちに荷物を減らしたいと考えています。制作物の出来ではなく、置かれる状況のほうが強く効きます。
場面ごとの作り方は個別に扱っています。捨てられる前の数秒で何を伝えるかは反響が出るチラシデザインの作り方|捨てられる前の2秒で決まること、掲示場所から構図を逆算する考え方は目を引くポスターデザインの作り方|掲示場所から逆算する構図とコピー、売り場で比較されている最中の見え方は商品パッケージのデザインを依頼する流れ|印刷が絡むと何が変わるかを参照してください。
接触の場面が、成立する品目を決める。
受け取る人の状態(移動中か、着席しているか)が読む姿勢を決めている。
条件2:前提にする時間が、情報量の上限を決める
ここが、販促物の設計で最も飛ばされる工程です。制作物ごとに、読まれる時間の前提が違います。そして前提にする時間が、載せられる情報の量を決めます。
最初に断っておくと、冒頭の図に置いた秒数は実測値ではありません。業界平均として測られた数字でもありません。設計の前提として、こちら側が置く時間です。「移動しながら数秒」を前提にポスターを作るのか、「立ち止まって読む」を前提にするのかで、成立する誌面はまったく別物になります。数字の正確さより、前提を明示的に置くことに意味があります。
実務で起きているのは、その逆です。前提を置かないまま「載せたい情報」を集めるところから始まります。事業内容、実績、料金、アクセス、スタッフ紹介、QRコード、電話番号、SNSのアカウント。集まった情報は必ず誌面を超え、超えた分は文字を小さくして収めることになります。結果として、数秒しか見られない紙面に、数分かけないと読めない情報が載ります。
順序を逆にします。前提にする時間を先に決め、その時間で読める量まで情報を削ります。削る順序は次のとおりです。
- 次の行動に不要な情報:読んだ人に取ってほしい行動が「電話する」なら、沿革も理念も要りません
- 後から聞けば済む情報:問い合わせの電話口で答えられることは、紙に載せる必要がありません
- 載せなくても信用が落ちない情報:会社の規模や設立年は、載せないことで不利になる場合にだけ載せます
3つ削ってもまだ入らないなら、それは品目の選択が場面に合っていないという信号です。数分の閲覧を前提とする情報量をチラシに載せようとしているなら、必要なのはチラシではなくパンフレットです。
削ったうえで、残った情報に差をつけます。同じ大きさで並べると、どれも読まれません。見出しと本文の大きさの比率についてはデザインのジャンプ率とは|差をつける幅で印象と伝わり方が変わる、視線が動く順序についてはFの法則・Zの法則とは?視線誘導を意識したレイアウト設計で扱っています。画面上のバナーはさらに短い時間を前提にする必要があり、考え方はバナーデザインの作り方|クリックされる設計と評価の仕方にまとめました。
秒数は実測ではなく、設計の前提としてこちらが置くもの。
情報は集めてから削る。削りきれないなら、品目の選択が合っていない。
条件3:情報の寿命が、刷ってよい部数を決める
部数の相談は、ほぼ例外なく「たくさん刷ったほうが単価が安い」という話から始まります。これ自体は正しい説明です。ただし、安くなるのは刷り単価であって、実際に払った金額ではありません。
印刷の費用は、大きく2つに分かれます。版を作る工程や初期設定にかかる費用は、部数が増えても大きくは変わりません。一方、紙と刷りにかかる費用は部数に比例します。前者が部数で割られるため、部数を増やすほど1部あたりの単価は下がります。だから見積書には、部数を増やすと単価が大きく下がる表が並びます。
この構造には続きがあります。単価の安さが実現するのは、刷った分を使い切ったときだけです。3,000部刷って1,000部配った時点で情報が変わったなら、実際の単価は3倍になっています。2,000部を捨てているからです。
したがって、部数を決める基準は「配れる数」ではありません。載せた情報が変わるまでの期間です。紙面に載る情報は、寿命が大きく違います。
| 載せる情報 | 変わる頻度 | 部数への影響 |
|---|---|---|
| 社名・事業内容・理念 | 数年単位で変わらない | まとめて刷ってよい |
| 住所・電話番号 | 移転や番号変更まで変わらない | 移転予定の有無を確認する |
| 料金・プラン | 改定がある | 改定の予定から逆算する |
| 担当者・スタッフ | 異動・入退社で変わる | 個人名は載せない判断もある |
| キャンペーン・期間 | 終わる前提の情報 | 期間内に配り切る数だけ |
| 実績・導入社数 | 増え続ける | 数値ではなく範囲で書く |
ここから、実務上いちばん効く打ち手が導けます。変わる情報と変わらない情報を、別の紙に分けることです。
会社案内であれば、本体には社名・事業内容・拠点といった数年もつ情報だけを載せ、料金表と担当者情報は差し込みの1枚にします。本体は数年ぶんをまとめて刷り、差し込みは必要なときに少部数だけ刷り直す。これで、料金改定のたびに会社案内を全部捨てる事態がなくなります。差し込みを作らず、変動する情報をQRコードの先のページに置く方法もあります。
会社案内そのものを作るべきかの判断と費用の考え方は会社案内パンフレット制作の進め方|作るべきかの判断と費用の考え方で扱っています。名刺も同じ構造で、肩書きや部署が変わる前提なら刷る枚数を抑える判断になります。考え方は名刺デザインを依頼する前に決めること|営業ツールとして機能させるを参照してください。
なお、印刷会社や印刷通販の記事にこの論点はほとんど出てきません。部数を増やすほど売上が増える側が書いているためです。単価表は正確ですが、捨てた分は単価表に出てきません。
単価が下がるのは、刷った分を使い切ったときだけ。
部数は情報の寿命から決める。変わる情報は本体から分離する。
条件4:次の行動と、その測り方
紙の販促物は効果が測れない、とよく言われます。正確には、測る仕組みを刷る前に入れていないから測れません。配り終えた後から測る方法はありません。
測定の入口は3つです。専用のURLかQRコード、提示すると何かが起きる特典、そして販促物ごとに分けた電話番号です。どれも紙面の設計に関わるため、デザインの確定前に決める必要があります。
QRコードの遷移先は、刷った瞬間に固定される
ここが実務で最も効く注意点です。紙に印刷したQRコードの中身は、後から変更できません。Webの導線ならリンク先をいつでも差し替えられますが、10,000部配ったチラシのQRコードは、そのURLを永久に指し続けます。
そのため、QRコードの遷移先には、着地させたいページのURLを直接入れないでください。自社ドメインに転送用のURLを1つ用意し、QRコードにはそちらを入れます。実際の遷移先は、サーバー側の設定で後から差し替えます。
- キャンペーンが終わったら、転送先を通常のページに切り替えられる
- 着地ページのURLが変わっても、刷り直しが要らない
- 計測用のパラメータを後から付け替えられる
- 販促物ごとに転送用URLを分ければ、どの配布物からの流入かが分かる
転送先には計測用のパラメータを付けます。付けずに運用すると、アクセス解析上は直接訪問に混ざり、チラシ経由かどうかを区別できません。付け方と命名の規則はUTMパラメータの設計と命名規則|流入元を正しく計測する方法にまとめています。転送の設定そのものは、URLを変更するときの転送と同じ仕組みで、注意点はURLを変えるときのリダイレクト|評価を落とさない手順と、やってはいけない転送を参照してください。
電話で受ける業態なら、販促物ごとに番号を分ける方法もあります。導入の判断基準は電話の問い合わせを媒体別に把握する方法|コールトラッキング導入の判断基準、Web側での電話計測は電話問い合わせをコンバージョンとして計測する方法で扱っています。
最後に1つ、量産前の確認項目があります。実機のスマートフォンでQRコードを読み取ってください。小さすぎる印刷、背景の色に沈んだ配置、光沢のある紙での反射。いずれも読み取り精度を落とします。色校正とは別の確認として入れてください。
QRコードの中身は刷った瞬間に固定される。自社ドメインの転送用URLを挟む。
販促物ごとに転送用URLを分ければ、流入元まで分かる。
紙は回収できない。だから表現の確認が先に来る
Webサイトの表現に問題が見つかったら、直せます。数分で修正でき、修正後は元の表現が残りません。印刷物では、これができません。配り終えた紙は回収できず、修正は刷り直しを意味します。
つまり、媒体の可逆性が、許容できる表現上のリスクを変えます。Webなら「指摘されたら直す」で運用できる領域が、印刷物では「刷る前に確認する」以外に選択肢がありません。校了は、デザインの確認ではなく表現の確認の締切でもあります。
「通常価格」との比較には、期間の基準がある
チラシで最も使われ、最も見落とされるのが価格の見せ方です。「通常価格10,000円のところ、今なら5,000円」という書き方は二重価格表示と呼ばれ、比較の対象にした価格が実態を伴わない場合、景品表示法上の問題になります。
消費者庁は表示に関するQ&Aで、比較対照価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」に当たるかどうかについて、一般的な考え方を次のように示しています。
- 二重価格表示を行う時点からさかのぼった8週間において、その価格で販売されていた期間が、その商品が販売されていた期間の過半を占めていること
- その価格での販売期間が通算で2週間以上であること
- その価格で販売された最後の日から2週間を経過していないこと
これらを満たせば「最近相当期間にわたって販売していた価格」とみなされる、という整理です。実際には個々の事案ごとに判断されるため、この条件を満たせば必ず問題にならない、という性質のものではありません。ただし、セールのために直前だけ高い価格を付ける運用が基準から外れることは、この考え方から明確に読み取れます。
紙に刷ってしまうと、この判断をやり直せません。価格の見せ方は、デザインの前に確定させてください。
刷る前に確認する表現
| 表現 | 論点 | 刷る前の確認 |
|---|---|---|
| 通常価格との比較 | 二重価格表示 | その価格で実際に販売していた期間 |
| 地域最安・No.1 | 優良誤認・不実証広告 | 根拠となる調査資料を保有しているか |
| 効果・効能の断定 | 薬機法など | 業種ごとに使える範囲が違う |
| 「もれなくプレゼント」 | 総付景品の上限 | 配布の条件と、景品の単価 |
| 体験談・お客様の声 | 実在性と代表性 | 許諾と、誇張のない記載か |
順位や実績を数値で書く場合、根拠となる資料を提出できる状態にしておく必要があります。景品表示法には、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求める仕組みがあり、提出できなければ不当表示として扱われます。「たぶん一番だと思う」で刷ると、後から資料を作れません。
来店者にもれなく配る景品やノベルティには、金額の上限があります。消費者庁の説明では、購入を条件とせず来店者に配る場合の取引の価額は原則100円として扱われ、提供できる景品類は200円までが基準になります。詳しい整理はノベルティグッズのデザインで効果を出す方法|企画から制作まで、使われ続ける条件で扱いました。表現そのものの規制については広告表現で問題になりやすい言い方|景表法・薬機法と媒体ポリシーの整理、社内での確認体制の作り方は広告出稿の社内ルールブックの作り方|審査落ちと表現トラブルを未然に防ぐ体制にまとめています。
Webは直せるが、紙は回収できない。可逆性が許容リスクを変える。
価格・順位・効能の表現は、デザインより前に確定させる。
販促物ごとの役割の違い
4つの条件を踏まえたうえで、主な販促物の役割を整理します。役割が重なっているように見えるものほど、実際には代替できません。
| 販促物 | 主な役割 | 代替できないところ |
|---|---|---|
| チラシ | 面で配って認知を作る | こちらから届けられる数少ない紙 |
| ポスター | その場にいる人に1つ伝える | 掲示している間ずっと効く |
| パンフレット | 検討している相手に説明する | 情報量を持てる唯一の紙 |
| 名刺 | 連絡先を確実に残す | 捨てられにくい |
| ノベルティ | 接触の機会を長く残す | 使われる期間ぶん露出が続く |
| バナー | 画面上でクリックを取る | 後から差し替えられる |
組み合わせるときは、役割が違うものを重ねてください。チラシとポスターはどちらも短時間で1つ伝える役割なので、同じ内容を両方に載せても効果は足し算になりません。一方、チラシで認知を作り、来た人にパンフレットで説明し、名刺で連絡先を残す組み合わせは、それぞれ別の仕事をしています。
デザインの体裁は揃えます。同じ会社の制作物だと分かることが、繰り返しの接触を1つの印象にまとめるからです。何をどこまで揃えるかはブランドガイドラインの作り方|どこまで決めれば運用が回るか、画面側のアカウントまで含めた統一の考え方はSNSアカウントのビジュアル設計|統一感の作り方と揃えすぎない基準を参照してください。
制作を依頼する場合、印刷物とWebでは進め方が違います。印刷物の発注で決めておくことはグラフィックデザインを外注する流れ|初めての依頼で決めておくこと、入稿データの形式で困らないための基礎はPhotoshopとIllustratorの使い分け|制作物別の選び方と、入稿で困らない渡し方にまとめています。制作会社の選び方はデザイン制作会社の選び方|見積り比較で確認すべきポイントで扱いました。
作るべき販促物が絞り切れない段階でも、接触の場面と次に取ってほしい行動が決まっていれば、候補は数個まで絞れます。その整理からでよければお問い合わせください。実際の制作物は制作実績でご覧いただけます。
よくある失敗
品目を先に決めて、載せる情報を後から集める
情報は必ず誌面を超えます。超えた分を文字の縮小で吸収すると、数秒しか見られない紙面に、数分かけないと読めない情報が載ります。
単価が下がるからと多めに刷る
単価が下がるのは使い切ったときだけです。情報が変わって在庫を捨てれば、実際の単価は跳ね上がります。部数は情報の寿命から決めてください。
変わる情報と変わらない情報を1冊にまとめる
料金や担当者を会社案内の本文に組み込むと、改定のたびに全部を刷り直すことになります。差し込みかQRコードの先に分離してください。
QRコードに着地ページのURLを直接入れる
刷った時点で遷移先が固定されます。自社ドメインの転送用URLを挟めば、キャンペーン終了後の切り替えもパラメータの付け替えも後から効きます。
価格の見せ方をデザインの後に確認する
二重価格表示は、比較対照価格の実態が問われます。校了後に気づいても、紙は回収できません。表現の確認は入稿前が最後の機会です。
効果測定を配布後に考える
配布数以外の記録が残らず、次に作るべきかを判断できません。測定の入口は紙面の設計に関わるため、デザイン確定前に決める必要があります。
よくある質問
販促物と販促品、ノベルティはどう違いますか
販促物は販売促進のために作る制作物の総称で、チラシやポスターなどの印刷物から掲示物、配布物までを含みます。販促品・ノベルティはそのうち「配る物品」を指す言い方です。呼び分けに実務上の意味はあまりありませんが、配る物品には景品表示法上の金額の上限がかかる場合があるため、この記事では区別して扱っています。
予算が限られている場合、何から作るべきですか
接触の場面が最も多いものから作ります。商談で人と会う機会が多いなら名刺とパンフレット、店頭に人が通るならポスター、面で認知を広げる必要があるならチラシです。すべてを少しずつ作るより、1つの場面で機能するものを作り切るほうが結果が出ます。
紙の販促物はもう不要ではないですか
場面によります。相手が画面を見ていない状況(通行中、来店中、商談の席)では、紙が唯一届く手段です。逆に、相手が画面上にいる場面で紙を配る意味は薄くなります。判断軸は媒体の新旧ではなく、接触の場面がどこにあるかです。
デザインは社内で作れますか
印刷物では入稿データの形式と色の扱いが分かれ目になります。画面用のデータをそのまま入稿すると、色が想定と変わることがあります。ロゴのベクターデータがあり、決まった枠に情報を収める作業だけなら社内で完結します。判型から起こす場合や、写真の色を調整する必要がある場合は外注が向きます。
何部刷るか決められないときはどうしますか
配る期間を先に区切ってください。3か月で配り切る前提なら、その期間に接触する人数から必要数が出ます。決められない理由の多くは、配る計画がないことにあります。配る計画が無い状態で刷ると、置き場所だけが決まります。
効果はどのくらいで判断すればよいですか
配り切ってから判断します。1,000部のうち200部しか配っていない段階の数字では、量が足りているのか内容が悪いのかを区別できません。配布の進捗と反応の両方を記録してください。
まとめ
販促物の種類は数十あり、一覧を読んでも自社が何を作るべきかは決まりません。選定に効くのは品目の側ではなく、受け取る人の側にある4つの条件です。
1つめは接触の場面です。移動中の人、束の中から選別する人、着席して読む人、荷物を減らしたい人。受け取る人の状態が、成立する品目を決めます。2つめは前提にする時間です。これは実測値ではなく、こちらが設計の前提として置く時間で、載せられる情報量の上限を決めます。情報を集めてから削るのではなく、時間を決めてから削る順序にしてください。
3つめは情報の寿命です。部数は配れる数ではなく、載せた情報が変わるまでの期間から決めます。単価が下がるのは使い切ったときだけで、改定で捨てた分は単価表に出てきません。変わる情報と変わらない情報を別の紙に分ければ、料金改定のたびに会社案内を全部捨てる事態は避けられます。
4つめは次の行動と測り方です。紙が測れないのではなく、測る仕組みを刷る前に入れていないだけです。QRコードには着地ページを直接入れず、自社ドメインの転送用URLを挟んでください。遷移先も計測用のパラメータも、後から差し替えられます。
そして、紙は回収できません。価格の比較表示、順位や実績の主張、効能の記載。Webなら「指摘されたら直す」で運用できる部分が、印刷物では刷る前の確認しか手段がありません。校了はデザインの締切であると同時に、表現の締切でもあります。
当社では、販促物の企画から印刷物・Webまでを一貫してご相談いただけます。何を作るか決まっていない段階でも、接触の場面と次に取ってほしい行動が決まっていれば、候補は絞れます。会社の紹介資料は資料ダウンロードからご覧いただけます。