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広告出稿の社内ルールブックの作り方|審査落ちと表現トラブルを未然に防ぐ体制

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広告の審査落ちや表現の指摘が続く会社に共通しているのは、担当者の知識不足ではありません。誰が、どの順番で、何を確認してから入稿するかが決まっていないことです。知識のある人が1人で運用しているうちは問題が表面化せず、担当が2人以上になった時点で一気に出ます。

ルールブックの中身を「使ってはいけない言葉の一覧」だと考えると、作っても機能しません。禁止語は商材と媒体で変わり、更新も追いつかないためです。実際に効くのは確認の順序と、確認する人を固定することで、禁止語リストはその中の1工程にすぎません。

この記事では、確認を2つの関門に分ける考え方、ルールブックに入れる7項目、機械的な検査への落とし込み、生成AIを使う場合の追記事項までを整理します。

この記事でわかること

・ルールブックが必要になる組織の条件

・法令と媒体ポリシーを分けた確認の順序

・ルールブックに入れる7項目と、入れなくてよいもの

・禁止語リストを機械的な検査に変える方法

・アカウント権限と入稿できる人の決め方

・生成AIを使う場合に追記すること

・事故が起きたときの手順

必要になるのは、確認する人が2人以上になったとき

運用担当が1人で、その人が表現の判断もできる状態なら、ルールブックはなくても回ります。文書が必要になるのは次のいずれかに該当したときです。

  • 広告の作成者と入稿者が別の人になった
  • 代理店と自社の両方が入稿できる状態になった
  • 商材が増え、規制の異なるカテゴリが混ざった(食品、化粧品、医療、金融など)
  • 現場や店舗が独自にキャンペーンの文言を作っている
  • 担当者の交代が予定されている

逆に、該当がないのに厚い文書を作ると読まれずに終わります。作るべき分量は、確認に関わる人数で決まります。2人なら1ページで足り、部署をまたぐなら手順書が要ります。

確認は2つの関門に分ける

表現の確認でつまずく最大の原因は、法令上の適否と媒体の審査を1つの作業として扱うことです。この2つは判断する主体も基準も別で、一方を通っても、もう一方で止まります

関門1:法令 関門2:媒体ポリシー
判断するのは 行政(景品表示法、薬機法など) 各広告媒体
いつ分かるか 指摘や措置を受けたとき 入稿時の審査
通らなかった場合 表示の是正、措置命令、課徴金の対象になりうる 配信されない、アカウントに影響が出る
対象 自社サイトやLPの表示も含む 広告文、遷移先、アカウントの運用状況
確認の担当 法務または責任者 運用担当
確認の順序

順序を逆にしないでください。媒体の審査に通ったことを理由に表現を確定させると、審査を通った不当表示という状態が生まれます。逆に、法令上問題のない表現でも媒体ポリシーで止まることは日常的に起きます。2つの関門の具体的な線引きは広告表現で問題になりやすい言い方|景表法・薬機法と媒体ポリシーの整理で整理しています。

法令の確認が先、媒体審査が後。順序を固定するだけで手戻りが減る。

媒体審査を通ったことは、適法であることの証明にはならない。

ルールブックに入れる7項目

次の7つで足ります。これ以上増やすと更新されなくなります。

  1. 対象範囲:どの媒体、どの商材、どの制作物に適用するか
  2. 確認の順序と担当:誰が何を見て、誰が承認したら入稿できるか
  3. 自社商材ごとの注意点:扱う商品カテゴリで固有に問題になる表現
  4. 使用を避ける表現のリスト:最上級、断定、比較優良、価格の表示条件
  5. 根拠が必要な表現と、その保管場所:実績、件数、調査結果の出典
  6. アカウントと権限:誰が入稿でき、誰がオーナー権限を持つか
  7. 事故時の手順:止める、報告する、記録する、の順序と連絡先

多くの会社が4番目だけを作って終わりにします。しかし実務で効くのは2番目と5番目です。誰が承認するかが決まっていなければリストは使われず、根拠の保管場所が決まっていなければ「その数字はどこから来たのか」に答えられません。

5番目は具体的にしてください。実績件数を広告に書くなら、その集計元のファイルと集計日を記録する。調査結果を引用するなら、調査主体、時期、対象、方法まで残す。広告に数字を出すときは、出典の保管が同時に発生すると考えてください。

禁止語リストを、機械的な検査に変える

リストを作っても、目視の確認では必ず漏れます。本数が増えるほど確実に漏れます。有効なのは、入稿前に必ず通る場所で機械的に検索することです。

区分 含める語の例 扱い
最上級 No.1、最安、日本一、業界唯一 根拠と出典がなければ使わない
断定・保証 必ず、確実に、100%、保証 効果の断定にあたる可能性がある
比較優良 他社より、どこよりも 比較の対象と時点が示せなければ使わない
価格・無料 完全無料、0円、実質無料 条件の併記が必要
期間・スピード 最短即日、24時間対応 常時可能でなければ条件を書く
身体・健康への言及 治る、改善する、痩せる 商材によっては薬機法の対象になる

運用の形は3段階あります。第1段階は、スプレッドシートに広告文を集約して条件付き書式で色を付けるだけ。第2段階は、入稿前のチェックシートに検索する語を明記する。第3段階は、入稿を通すスクリプトやツール側で検出したら止める。人数が増えるなら第2段階以上にしてください。

リストは商材が増えるたびに追加します。更新の担当と頻度を決めておかないと、1年で実態と合わなくなります。

表現のルールは「気をつける」で終わらせず、必ず検索できる形にする。

本数が増えると目視の確認は必ず漏れる。

アカウントと権限を先に決める

表現の管理は、誰が入稿できるかの管理と一体です。ここが曖昧だと、ルールブックを通らない広告が配信されます。

決めること 確認する内容
オーナー権限 広告アカウントの管理権限を自社が持っているか
入稿できる人 実際に配信を開始できる権限を持つのは誰か
代理店の権限 編集権限か、閲覧権限か。範囲はどこまでか
店舗や現場の扱い 現場が独自に広告を出していないか
退職・異動時の手順 権限の削除を誰がいつ行うか
自動生成機能の設定 媒体側で広告文が自動生成される設定になっていないか

最後の行は見落とされがちです。媒体によっては、有効にしている限り自分が書いていない広告文が配信されます。機能を使うかどうかを社内で決め、使う場合は生成された文言を月次で確認する担当を置いてください。

権限の所在は、代理店との関係が変わるときに問題になります。オーナー権限がどちら側にあるかで、引き継ぎの難易度が大きく変わります。詳細は広告アカウントが停止された時の原因と復旧方法で扱っています。

生成AIを使う場合に追記すること

広告文の作成に生成AIを使う場合でも、法令と媒体ポリシーの責任は広告主に残ります。ルールブックには次の3点を足してください。

  • 生成物をそのまま入稿しない:数値、実績、条件は人が事実と照合する
  • 渡してよい情報の範囲:顧客情報や未公開の資料を外部サービスに入力しない
  • 確認の工程は短縮しない:作成が速くなった分、確認の時間を削らない

生成AIは、もっともらしい最上級表現を自然に混ぜてきます。特に、元にした自社サイトの文言に問題があると、その表現がそのまま広告文に引き継がれます。指示の出し方と確認項目は生成AIで広告文を作成する方法|精度を上げる指示の出し方と、人が確認すべき箇所にまとめています。

事故が起きたときの手順

防ぐ体制と同じくらい、起きた後の手順が重要です。判断を待っている間に配信が続くことが、被害を大きくします。

  1. 止める:該当の広告を停止する。判断を待たない。停止の権限は運用担当に持たせる
  2. 範囲を確認する:同じ表現が他の媒体、LP、チラシ、店頭に使われていないか
  3. 記録する:いつからいつまで、どの表現が、どれだけ配信されたか
  4. 差し替える:表現を修正し、遷移先も同時に直す
  5. 原因を1行で書く:確認の工程のどこを通らなかったか
  6. 検査に反映する:同じ表現が次回検出されるようリストへ追加する

1番目を「上長の判断を待つ」にすると、必ず遅れます。止める判断は現場に、再開の判断は責任者にという配分にしてください。

5番目を担当者個人の反省にしないことも重要です。原因を「注意不足」と書くと再発します。工程のどこが機能しなかったかを書けば、改善できる形になります。

よくある失敗

禁止語リストだけを作る

誰が確認して承認するかが決まっていなければ、リストは使われません。順序と担当を先に決めてください。

文書が長すぎて読まれない

入稿前に見るのは1ページです。詳細の解説は別紙に分け、確認用のチェックシートを1枚にしてください。

代理店に任せているから不要と考える

表現の責任は広告主に残ります。代理店に確認を委ねる場合も、誰がどの工程を見ているかを把握しておく必要があります。委託時の確認項目は失敗しない広告代理店の選び方|店舗ビジネスが確認すべき5つのポイントを参照してください。

広告文だけを確認する

媒体の審査は遷移先も見ます。LPの表現を放置したまま広告文だけ整えても、審査は通りません。法令上も、LPの表示は同じ対象です。

更新の担当を決めない

媒体のポリシーも法令の運用も変わります。年1回でよいので見直す日を決め、担当を割り当ててください。

よくある質問

小さい会社でもルールブックは必要ですか

運用担当が1人で、その人が表現の判断もできるなら不要です。担当が2人になる、あるいは交代が発生する時点で作ってください。作るきっかけとして最も適しているのは、担当者の引き継ぎです。

どこまで法務に確認すべきですか

すべての広告文を法務に回すと運用が止まります。現実的なのは、訴求の型を先に法務と確認して承認済みの表現集を作り、日々の入稿はその範囲内で行う運用です。新しい訴求を出すときだけ確認します。

媒体ポリシーは全部読む必要がありますか

全文を読む必要はありません。自社の商材が該当する制限カテゴリの項目と、審査で実際に止まった箇所だけを社内文書に転記してください。止まった事例の記録が、最も実用的な資料になります。

店舗が独自に広告を出しています

まず把握することが先です。禁止するより、使ってよい表現の型を配布するほうが機能します。現場は売りたい理由があって作っているため、代わりの手段がないと止まりません。

過去の広告を遡って確認すべきですか

現在配信中のものと、LPやチラシなど今も掲出されている制作物を優先してください。停止済みの過去分より、今出ているものの点検のほうが効果があります。

まとめ

広告の審査落ちや表現の指摘は、知識ではなく体制の問題として扱うと再発が止まります。最初に固定するのは確認の順序で、法令の確認が先、媒体審査が後です。媒体の審査を通ったことは、適法であることの証明にはなりません。

ルールブックに必要なのは7項目です。対象範囲、確認の順序と担当、商材ごとの注意点、避ける表現、根拠の保管場所、アカウントと権限、事故時の手順。このうち実務で効くのは、確認の順序と根拠の保管場所の2つです。禁止語のリストは重要ですが、それ単体では機能しません。

そして、表現のルールは必ず機械的に検索できる形にしてください。本数が増えると目視の確認は漏れます。生成AIを使う場合も同じで、作成が速くなった分だけ確認を薄くすると、審査落ちか表示上の問題のどちらかに当たります。

当社では広告運用代行において、表現の確認体制と権限設計を含めたご相談を承っています。自社の運用体制を整理したい場合は、資料をダウンロードのうえご活用ください。

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