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複数媒体の広告運用をまとめて依頼するメリットとは

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Google広告はA社、Meta広告はB社、サイト制作はC社、SEOはD社。媒体ごとに得意な会社へ分けて依頼するのは、一見合理的です。しかし運用を続けると、次の問題が出ます。

成果が出ないとき、誰も原因を特定できない。広告A社は「LPが悪い」と言い、制作C社は「流入の質が悪い」と言う。どちらも部分的に正しく、どちらも検証できません。

この記事では、分散依頼で何が起きるかを整理したうえで、一括依頼のメリットとデメリット、判断基準、そして分けたまま機能させる方法までを解説します。

この記事でわかること

・媒体ごとに分けて依頼したときに起きる3つの問題

・一括依頼のメリットと、見落とされがちなデメリット

・自社にとってどちらが合うかの判断基準

・分散したまま機能させるための最低条件

・切り替える場合の進め方と、失わないための準備

結論:判断軸は「誰が計測の責任を持つか」

一括依頼が優れているのは、媒体の知識が集約されるからではありません。広告からLP、CV、商談までを1つの数字の流れとして見る主体が生まれることにあります。

論点 分散依頼 一括依頼
媒体ごとの専門性 各社の得意領域を活かせる 会社によって媒体の得手不得手がある
成果が出ないときの原因特定 互いに責任を押し付け合い、止まる 1社で切り分けられる
計測環境 誰が管理するか曖昧になりやすい 管理主体が明確
予算配分の見直し 媒体をまたぐ判断ができない 全体最適で配分できる
交渉力 複数社で比較できる 1社依存になる
手数料 個別に発生。合計が見えにくい まとめられる場合がある

分散させる場合でも、計測の責任だけは1社(または自社)に寄せてください。数字が共通言語になっていないと、議論が前に進みません。

分けること自体は問題ではありません。問題は、全体を見る主体がいないことです。

分散させるなら、計測の管理主体を明示的に決めてください。

分散依頼で起きる3つの問題

1. 原因の切り分けができない

CVが伸びないとき、原因は「流入の質」「LPのCVR」「フォームの離脱」「商談プロセス」のいずれかにあります。しかし各社は自分の担当範囲しか数字を持っていません。

結果として、広告側は広告の中で改善し、制作側はデザインの中で改善するという状態になります。どちらも上限に近づいていれば、変化は起きません。

2. 計測環境の管理者が不明になる

起きること 影響
GTMコンテナが広告会社のアカウントで作られている 契約終了で計測が止まる
GA4のプロパティが制作会社のアカウント 過去データを引き継げない
CVの定義が各社で違う 数字が一致せず、会議で照合作業が発生する
タグが重複して設置される CV数が実態の2倍近くになる

最後の項目は実際に起こります。広告会社と制作会社が別々にタグを入れた結果、二重計測になっているというケースは珍しくありません。

3. 施策が媒体単位で最適化される

各社は自社の担当媒体で成果を出そうとします。その結果、媒体をまたぐ判断(この媒体は止めて別に回す)が誰からも出てきません

役割別の予算配分については複数媒体への広告予算配分の考え方で解説しています。

一括依頼のメリット

  • 原因の切り分けが1社で完結する:広告・LP・計測を横断して見られる
  • 予算配分を全体最適で判断できる:媒体をまたぐ移動ができる
  • 計測の管理主体が明確になる:CV定義も1つに統一される
  • コミュニケーションコストが下がる:定例が1本に集約される
  • クリエイティブとLPの整合が取りやすい:広告文と着地ページを同じ主体が設計する

4番目は実務的に大きい効果です。3社と個別に定例を持つと、担当者の時間が会議で消えます。中小企業でマーケ担当が1人の場合、この負荷は無視できません。

一括依頼のデメリット

デメリット 対処
1社依存になり、交渉力が下がる 契約期間を区切る。アカウントの所有権を自社に置く
得意でない媒体も任せることになる 媒体ごとの実績を確認する。不得手な媒体は範囲外にする
成果が出ないとき、比較対象がない 業界の一般値ではなく、自社の過去実績と比較する
乗り換え時の影響が大きい データとアカウントを自社管理にしておく
提案が偏る可能性がある なぜその媒体を推すのか、根拠を毎回確認する

2番目への対処が重要です。「すべての媒体に対応できます」という説明を鵜呑みにせず、媒体ごとの運用実績を確認してください。TikTok広告とGoogle検索広告では、必要な知識がかなり異なります。

どちらが合うかの判断基準

状況 推奨 理由
社内にマーケ専任者がいない 一括依頼 各社の調整と原因切り分けを担う人がいない
広告費が月30万円未満 一括依頼 分散させると各社での優先度が下がる
CVが伸びない原因を特定できていない 一括依頼 横断して見る主体が必要
社内に計測を理解している担当者がいる 分散でも可 自社が全体を見る主体になれる
広告費が月100万円以上で媒体ごとに規模がある 分散でも可 各媒体で専門性を求める価値が出る
特定媒体で高度な運用が必要(大規模EC等) 分散 その媒体の専門会社に依頼する

判断の起点は「社内に全体を見る人がいるか」です。いるなら分散でも機能します。いないなら、その役割を外部に持ってもらう必要があります。

分散したまま機能させる最低条件

分けること自体は問題ではありません。次を満たせば機能します。

  1. 計測環境を自社アカウントで管理する:GA4・GTM・Search Consoleを自社のGoogleアカウントで作成し、各社には権限を付与する
  2. CVの定義を1つに統一する:どのイベントを成果とするかを自社が決め、全社に共有する
  3. 共通のレポート形式を決める:媒体別に同じ指標(CV数、実質CPA、商談化率)で提出させる
  4. 月1回、全社が同席する場を作る:または自社が全社の数字を1枚にまとめる
  5. 商談・来店データを全社に共有する:管理画面からは見えない後工程の数字を渡す

1番目が最重要です。計測環境が各社のアカウントに散らばっていると、契約が変わるたびにデータを失います。この1点だけでも自社管理に移してください。

5番目も効果が大きい項目です。各社は管理画面のCV数しか見えません。そのうち何件が商談・来店に至ったかを共有するだけで、提案の質が変わります

切り替える場合の進め方

分散から一括へ

  1. 各社のアカウント所有権と、管理者権限の状況を確認する
  2. 過去12か月のデータ(検索語句、CV履歴、キャンペーン構成、クリエイティブ)をエクスポートする
  3. GA4・GTM・Search Consoleの所有者を自社に移管する
  4. 新しい依頼先に、CVの定義と過去データを共有する
  5. 切り替え直後は成果が一時的に落ちることを前提に、評価期間を決めておく

5番目は重要です。担当が変わると学習データの一部は引き継がれても、運用の勘所は引き継がれません。1〜2か月は移行期間として見てください。

一括から分散へ

規模が大きくなり、媒体ごとに専門性を求める段階での判断です。この場合も、計測環境だけは自社に残すことを条件にしてください。分散させた後で全体を見るのは自社の役割になります。

依頼先を選ぶときの確認事項

一括依頼を検討する場合、次を確認してください。

  • 各媒体の運用実績(「対応可能」ではなく、実際の運用件数と期間)
  • 計測実装の範囲(GA4・GTM・電話タップ・LINEタップまで対応するか)
  • 着地ページの改善まで含むか(提案だけか、実装まで行うか)
  • レポートに「来月何を変えるか」が書かれているか
  • アカウントの所有権を自社名義にできるか
  • 担当者の体制(1人が何アカウント持っているか)

詳細な確認項目は失敗しない広告代理店の選び方|店舗ビジネスが確認すべき5つのポイントで解説しています。

よくある失敗

失敗1:安さだけで分散させる

各社の単価が安くても、調整工数と原因特定にかかる時間を含めると、総コストは上がることがあります。

失敗2:計測を各社任せにする

アカウントが分散し、契約終了とともにデータが失われます。自社管理にしてください。

失敗3:CVの定義がバラバラのまま進める

各社の報告数字が一致せず、会議が照合作業で終わります。定義は自社が決めてください。

失敗4:後工程のデータを共有しない

商談化率や来店率を渡さないと、各社は問い合わせ数を最大化する方向にしか動けません。

失敗5:一括にしたのに丸投げする

一括依頼でも、CV定義の決定と後工程データの共有は自社の役割です。ここを渡さないと成果は伸びません。

よくある質問

Q. 一括依頼のほうが手数料は安くなりますか?

必ずしも安くなるとは限りません。ただし、複数社との調整工数、定例会議の時間、原因特定にかかる期間まで含めると、総コストでは有利になることが多くなります。金額だけでなく、社内工数も含めて比較してください。

Q. 制作会社に広告も任せてよいですか?

広告の運用実績があるかを確認してください。制作が主業の会社では、媒体の最新仕様への追随が弱い場合があります。逆に、広告代理店に制作を任せる場合は、デザイン品質を実績で確認してください。

Q. 1社依存が不安です。

契約期間を区切り、アカウントの所有権を自社に置いてください。この2つを満たしていれば、依存のリスクは大きく下がります。データと権限が自社にあれば、いつでも切り替えられます。

Q. 現在3社に分散していますが、すぐ変えるべきですか?

成果が出ていて、原因の切り分けもできているなら、変える必要はありません。まず「計測環境が自社管理か」「CV定義が統一されているか」を確認してください。この2つが満たされていれば、分散のまま機能します。

Q. 社内に担当者を置くべきですか?

置けるなら、分散でも一括でも成果は上がりやすくなります。担当者の役割は運用そのものではなく、CV定義の決定、後工程データの共有、全体の数字の把握です。この3つだけでも、外部の提案の質が変わります。

まとめ

媒体ごとに分けて依頼すること自体は問題ではありません。問題は、広告からLP、CV、商談までを1つの流れとして見る主体がいないことです。

一括依頼の価値は、媒体知識の集約ではなく、原因の切り分けが1社で完結することにあります。社内にマーケ専任者がいない場合や、広告費が月30万円未満の規模では、一括依頼のほうが機能しやすくなります。

分散させる場合でも、計測環境を自社アカウントで管理し、CVの定義を統一し、後工程のデータを全社に共有してください。この3つを満たせば、分散のまま機能します。

「成果が出ないが、どこに原因があるか各社の話が食い違う」「レポートの数字が会社ごとに違う」「調整に時間ばかりかかっている」といった状態にある場合は、依頼先の見直しだけでなく、計測環境の管理主体とCV定義を先に整理する必要があります。

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