「お客様の声」は、掲載すれば信頼につながるコンテンツではありません。読み手が「作られたもの」と判断すれば、逆に不信を招きます。
「大変満足しています」「丁寧に対応していただきました」——この種の短い賛辞が並んでいるページは、実在性が疑われます。読み手は日常的に多くのレビューを見ており、本物かどうかの判断に慣れています。
この記事では、信頼につながる声の集め方と見せ方、そして絶対にやってはいけないことを整理します。
この記事でわかること
・掲載してはいけない声(法令上の問題を含む)
・信頼される声に共通する要素
・集め方(質問の設計)
・見せ方と配置する場所
・声が集まらない場合の代替
掲載してはいけないもの
まずここを確認してください。知らずに問題のある表示をしているケースがあります。
| 行為 | 問題 |
|---|---|
| 実在しない声を創作する | 虚偽の表示。法令上の問題 |
| 対価を渡して書いてもらう | 事業者の関与を隠した表示は問題となり得る |
| スタッフや関係者の声を顧客として掲載 | 同上 |
| 素材写真を顧客の写真として使う | 実在性の偽装 |
| 内容を大きく書き換える | 本人の意図と異なる表示 |
| 許諾を得ずに掲載する | 権利上の問題 |
| 効果を保証する表現を含める | 業種によっては規制対象 |
1〜3番目は、景品表示法をはじめとする法令上の問題になり得ます。事業者が自ら作成した、または関与したことを隠して第三者の声のように見せる表示は、規制の対象となる可能性があります。
規制の詳細は改定されるため、掲載前に最新の公的情報を確認してください。判断に迷う場合は専門家へ相談してください。
声が集まらないなら、載せないでください。
創作した声を載せるより、載せないほうがはるかに安全で、信頼も損ないません。
信頼される声の要素
実在性を感じさせるのは、賛辞の強さではなく具体性です。
| 要素 | 弱い例 | 強い例 |
|---|---|---|
| 状況 | 家の修繕をお願いしました | 築25年で外壁の色あせが気になっていました |
| 迷い | 特にありません | 複数社に見積もりを取り、価格差の理由が分からず迷いました |
| 決め手 | 対応が良かった | 見積書の内訳を1項目ずつ説明してもらえた点 |
| 具体的な出来事 | 丁寧でした | 雨天で1日延びた際、前日に連絡がありました |
| 結果 | 満足しています | 近所からも「きれいになった」と言われました |
| 不満・懸念 | (なし) | 工期がもう少し読めると良かった |
最後の行が重要です。すべてが賛辞の声だけが並ぶと、選別されている印象を与えます。軽微な要望や懸念が含まれているほうが、実在性が伝わります。
ただし、本人が述べていない不満を追記してはいけません。あくまで、いただいた内容をそのまま掲載してください。
集め方:質問の設計
「ご感想をお聞かせください」と聞くと、「満足しました」しか返ってきません。質問を分解してください。
- 依頼前、どんなことでお困りでしたか:状況が引き出せる
- 他社と比較されましたか。何で迷いましたか:検討過程が引き出せる
- 当社に決めた理由は何でしたか:決め手が引き出せる
- 実際に依頼して、印象に残っていることはありますか:具体的な出来事
- 依頼後、何か変化はありましたか:結果
- 改善してほしい点があれば教えてください:実在性が高まる
2番目と3番目が、見込み客にとって最も価値のある情報です。同じ状況で迷っている人が読んだとき、判断材料になります。
6番目は勇気が要りますが、掲載する価値があります。もちろん、掲載するかは内容次第です。
集めるタイミング
| タイミング | 得られる内容 | 回答率 |
|---|---|---|
| 納品・施工直後 | その場の印象 | 高い |
| 1〜3か月後 | 使ってみた結果 | 中 |
| アフターフォロー時 | 継続的な満足度 | 中 |
| 何もない日に依頼 | — | 低い |
結果に関する声は、時間が経ってからでないと得られません。直後に集める声と、後から集める声を分けて設計してください。
掲載時の許諾
掲載前に、範囲を明確にして許諾を得てください。
| 確認項目 | 選択肢 |
|---|---|
| 氏名の表示 | 実名/イニシャル/匿名 |
| 所在地の表示 | 市区町村まで/県まで/なし |
| 顔写真 | 掲載可/不可 |
| 施工写真・物件写真 | 掲載可/不可/一部加工 |
| 掲載媒体 | サイトのみ/印刷物/SNS/広告 |
| 掲載期間 | 無期限/期間限定 |
| 取り下げ | いつでも可能とする |
5番目を最初に確認してください。「サイト掲載」として許諾を得た声を、後日パンフレットや広告で使うことはできません。想定される用途をすべて伝えてください。
7番目も明記しておくと、相手が承諾しやすくなります。「ご希望があればいつでも取り下げます」という一言があるかどうかで、許諾率は変わります。
見せ方
| 要素 | 推奨 | 避ける |
|---|---|---|
| 文章の長さ | 状況が分かる長さ | 一文だけの賛辞 |
| 写真 | 実際の顧客・施工物件(許諾済み) | 素材写真 |
| 表記 | ◯◯市 A様(50代) | 匿名のみが並ぶ |
| 件数 | 数は少なくても具体的なもの | 短い声を大量に |
| 配置 | 検討段階に応じた場所 | 1ページにまとめるだけ |
| 星評価 | — | 自社サイトでの自作評価は避ける |
4番目が重要です。短い賛辞を50件並べるより、具体的な声を5件載せるほうが信頼につながります。
配置する場所
- サービスページ内:そのサービスに関する声を、説明の直後に
- 料金ページ:価格に納得した理由が書かれた声
- CVボタンの直前:最後の後押しになる
- 施工事例と組み合わせる:事例+その顧客の声
- お客様の声の一覧ページ:まとめて読みたい人向け
3番目が最も効きます。「お客様の声」ページを作って満足するのではなく、判断する直前の位置に1件置いてください。詳細はCVRを改善するデザイン要素とは?押さえるべき7つのポイントを参照してください。
声が集まらない場合の代替
創作するのではなく、他の信頼要素で代替してください。
| 代替手段 | 内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 施工事例 | 写真+作業内容+期間 | 許諾を得たもののみ |
| 実績の数字 | 施工件数、創業年数 | 正確な数字のみ |
| 保有資格・許認可 | 建設業許可、有資格者数 | 正式名称で |
| 対応の明示 | 対応時間、保証内容 | 実行できる範囲で |
| スタッフの顔・経歴 | 誰が対応するか | 本人の同意を得る |
| Googleの口コミ | 外部プラットフォームの評価 | 操作しない |
6番目は有効な代替です。自社サイトに掲載した声より、外部プラットフォームの口コミのほうが客観性が高いと受け取られます。ただし集め方には規約上の制限があります。詳細はGoogleマップの口コミを増やす方法|依頼の仕方と返信のコツを参照してください。
更新と管理
- 取得日を記録する:いつの声か
- 許諾の範囲を記録する:媒体、期間、氏名表示
- 古い声を見直す:サービス内容が変わっていないか
- 取り下げ依頼に即応する:連絡があれば速やかに削除
- 定期的に新しい声を追加する:数年前の声だけでは古く見える
2番目の記録がないと、後から使える範囲が分からなくなります。担当者が変わったときにも必要です。
よくある失敗
失敗1:声を創作する
虚偽の表示にあたり、法令上の問題になり得ます。載せないほうが安全です。
失敗2:短い賛辞を大量に並べる
実在性が疑われます。具体的な声を少数のほうが信頼につながります。
失敗3:すべて満点の声だけを載せる
選別されている印象を与えます。軽微な要望が含まれるほうが自然です。
失敗4:掲載媒体を確認せずに許諾を得る
後日、広告や印刷物で使えないことが判明します。
失敗5:一覧ページを作って満足する
CVボタンの直前に配置するほうが効きます。
よくある質問
Q. 何件くらい掲載すべきですか?
件数より具体性です。状況・迷い・決め手が書かれた声が3〜5件あれば機能します。短い賛辞を増やしても効果は上がりません。
Q. 匿名でも効果はありますか?
実名より弱くなりますが、内容が具体的であれば機能します。「◯◯市 A様(50代)」のように、地域と年代だけでも実在性は高まります。
Q. 悪い内容が含まれる声も載せるべきですか?
軽微な要望であれば、含めたほうが実在性が伝わります。ただし、本人が述べていない内容を追記してはいけません。
Q. 文章を整えてもよいですか?
誤字の修正や読みやすさのための最小限の調整は一般的ですが、意味が変わる書き換えは避けてください。修正した場合は、本人に確認を取ることが望ましくなります。
Q. 星評価を自社サイトに表示してもよいですか?
自社で集計した評価を、外部の第三者評価のように見せる表示は避けてください。実際の評価を掲載する場合も、算出方法と件数を明示してください。構造化データとして表示する場合は、検索エンジンのガイドラインも確認してください。
まとめ
「お客様の声」は、掲載すれば信頼につながるコンテンツではありません。短い賛辞が並んでいるページは、むしろ実在性を疑われます。
そして、実在しない声の創作、対価を渡しての依頼、関係者の声を顧客として掲載することは、法令上の問題になり得ます。声が集まらないなら、載せないでください。載せないほうがはるかに安全です。
信頼につながるのは、賛辞の強さではなく具体性です。状況・迷い・決め手・具体的な出来事——これらを引き出すには、「ご感想をお聞かせください」ではなく、質問を分解して聞いてください。
配置は、一覧ページを作るだけでなく、CVボタンの直前に1件置いてください。判断する直前の後押しとして最も効きます。
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