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中小企業が採用サイトを作るべき理由と制作のポイント

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求人媒体に掲載しても応募が来ない、来ても面接前に辞退される、採用できても半年で辞めてしまう。人手不足に悩む中小企業では、この3つが同時に起きていることが少なくありません。

共通する原因は、求職者が応募前に「この会社で働くとどうなるか」を知る手段がないことです。求人媒体の掲載枠は書式が決まっており、書ける情報量に限りがあります。求職者は必ず社名で検索しますが、そこで出てくるのが会社概要だけのコーポレートサイトであれば、判断材料が得られないまま離脱します。

この記事では、採用サイトを作るべきかどうかを採用単価で判断する方法を示したうえで、応募につながるコンテンツ構成、費用の目安、Googleしごと検索への対応、そして「まだ作るべきでない」ケースまでを解説します。

この記事でわかること

・採用サイトの投資判断を採用単価で計算する方法

・求人媒体だけでは埋まらない情報のギャップ

・応募につながるコンテンツ構成と、求職者が見る順序

・早期離職を減らすためにあえて開示すべき情報

・Googleしごと検索に無料で掲載するための要件

・採用サイトを作るべきでないケースの判断基準

結論:判断基準は「採用単価 × 年間採用人数」

採用サイトを作るかどうかは、感覚ではなく次の計算で判断できます。

年間の採用関連費用 = 求人媒体費 + 人材紹介手数料 + 採用担当の人件費相当

採用単価 = 年間の採用関連費用 ÷ 年間採用人数

この採用単価を、採用サイトの制作費と比べます。仮の数値で計算します。

項目 数値
年間の求人媒体費 120万円
人材紹介手数料(1名分) 80万円
年間採用人数 4名
採用単価 50万円
採用サイト制作費(想定) 100万円
投資回収に必要な効果 採用単価を2名分(=25%)削減できれば1年で回収

この計算に、もう1つの効果を加えます。早期離職の削減です。入社半年以内の離職が発生すると、採用費だけでなく、教育にかけた時間と、再募集の費用が二重に失われます。採用サイトで働き方や仕事の実態を事前に開示しておくと、入社後のギャップによる離職を減らせます。

逆に、年間の採用人数が0〜1名で、求人媒体の費用も限定的であれば、採用サイトへの投資は回収しにくくなります。その場合は、まずIndeed等への直接投稿と、コーポレートサイト内の採用ページ充実から始めるほうが合理的です。

判断基準は「採用単価 × 年間採用人数」。この金額が制作費を上回る規模なら投資の価値があります。

年間採用が1名以下なら、まずコーポレートサイト内の採用ページで十分です。

求人媒体だけでは埋まらない情報のギャップ

求職者は必ず社名で検索する

求人媒体で興味を持った求職者は、応募前に社名で検索します。このとき、次の情報が見つからないと不安が残ります。

求職者の疑問 求人媒体で伝えられる範囲 採用サイトで補える範囲
どんな人が働いているか 限定的(数名の写真程度) 社員インタビュー、1日の流れ、チーム構成
入社後どう成長できるか ほぼ書けない 育成の仕組み、資格取得支援、キャリアの実例
会社の方向性はどうか ほぼ書けない 事業の状況、今後の方針、代表のメッセージ
実際の働き方はどうか 制度の記載のみ 残業の実態、休暇の取得状況、繁忙期の様子
職場の雰囲気はどうか 伝わりにくい 写真、動画、社内の様子

中小企業の場合、知名度が高くない分、この情報格差が応募のハードルになります。大手企業なら社名だけである程度の想像がつきますが、中小企業では「よく分からない会社」に応募することへの心理的抵抗が発生します。

媒体経由でも採用サイトは効く

採用サイトの効果は「サイト経由の直接応募」だけではありません。求人媒体を見た求職者が検索して閲覧し、応募を後押しされるという経路が実際には多く発生します。そのため、効果測定を「サイトからの直接応募数」だけで行うと、実際の貢献を過小評価します。

面接時に「当社のどこを見ましたか」と質問し、記録するだけでも、この経路の存在を把握できます。

応募につながるコンテンツ構成

求職者が知りたい順序に沿って構成します。会社が伝えたい順序ではありません。

優先度 コンテンツ 役割 よくある失敗
1 募集要項(職種・勤務地・給与・休日) 応募可否の一次判断 待遇が曖昧で、条件が読み取れない
2 仕事内容の具体化 入社後の想像を作る 「◯◯業務全般」で終わっている
3 社員インタビュー 働く人のイメージを作る 当たり障りのない優等生的な回答のみ
4 1日・1週間の流れ 生活の見通しを作る 掲載されていない
5 育成・キャリアの実例 長期の見通しを作る 制度名の列挙にとどまる
6 数字で見る会社 客観的な判断材料 都合の良い数字だけを載せている
7 選考フローと期間 応募のハードルを下げる 記載がなく、応募後が不透明
8 代表メッセージ 方向性への納得 理念の抽象的な説明に終始

順序を守ることが重要です。代表メッセージや理念から始まる採用サイトは多いのですが、求職者がまず確認するのは条件と仕事内容です。ファーストビューの設計についても、この順序が前提になります(参考:ファーストビュー設計の重要性|離脱を防ぐ最初の3秒の作り方)。

早期離職を減らすために、あえて開示する

採用サイトで良い面だけを並べると、応募数は増えても入社後のギャップが大きくなり、早期離職につながります。中小企業では1名の離職が事業に与える影響が大きいため、応募数より定着率を優先する設計が合理的です。

開示を検討すべき項目は次のとおりです。

  • 繁忙期とその時期の働き方(月平均だけでなく、ピーク時の実態)
  • 求める人物像と、向いていない人(例:指示待ちで進めたい人には合わない)
  • 現時点で整っていないこと(制度の整備途上、少人数体制など)と、今後の方針
  • 入社後1年間で任される範囲と、その後の広がり
  • 選考でどこを見るか

「整っていないこと」を書くのは勇気が要りますが、実際には信頼につながります。求職者は完璧な会社を探しているのではなく、自分が納得して働ける会社を探しています。事前に分かっていれば受け入れられることが、入社後に発覚すると不信になります。

Googleしごと検索への対応

自社の採用ページに構造化データ(JobPosting)を実装すると、Google検索の求人枠に無料で表示される可能性があります。求人媒体費をかけずに露出を増やせるため、採用サイトを作るなら必ず対応してください。

必須プロパティ

Google検索セントラルによれば、JobPosting構造化データの必須プロパティは次の5つです。

プロパティ 内容
datePosted 求人の掲載日(ISO 8601形式)
description 求人の詳細説明(HTML形式)
hiringOrganization 採用を行う組織の情報
jobLocation 勤務地(国の指定が必須)
title 職種名

推奨プロパティとしては、baseSalary(給与)、employmentType(雇用形態)、validThrough(掲載期限)、directApply などが挙げられています。給与の記載は求職者の判断材料としても重要です。

実装時の注意点

  • 1求人につき1ページを用意する:求人一覧ページではなく、職種ごとの詳細ページに構造化データを実装する
  • 期限切れの求人を放置しない:validThroughを設定するか、ページまたはマークアップを削除する。放置すると手動による対策の対象となる場合がある
  • ページの内容と構造化データを一致させる:ページに表示されていない情報をマークアップに入れない

募集が終了した求人を残したままにするのは、実務でよく起こる見落としです。募集停止時に誰が何をするかを、あらかじめ運用ルールとして決めておいてください

費用と制作期間の目安

規模 費用の目安 含まれる範囲 向いているケース
コーポレートサイト内の採用ページ強化 10万〜40万円 募集要項の整理、仕事内容の追記、写真差し替え 年間採用1〜2名。まず着手する段階
小規模な採用サイト(数ページ) 50万〜100万円 構成設計、募集要項、仕事内容、社員インタビュー1〜2本、構造化データ対応 年間採用3〜5名
本格的な採用サイト 100万〜300万円 上記+撮影、複数職種対応、動画、応募フォーム、CMS化 年間採用5名以上、複数職種
採用ブランディングを含む構築 300万円〜 調査、コンセプト設計、コンテンツ制作、運用設計 継続採用が事業計画に組み込まれている

制作期間は、小規模な採用サイトで1〜2か月、撮影やインタビューを含む場合は2〜3か月が目安です。採用計画から逆算して、募集開始の2〜3か月前には着手してください。募集開始と同時に制作を始めると、最も応募が欲しい時期にサイトが間に合いません。

費用を抑えるなら削ってよい箇所・削ってはいけない箇所

項目 判断 理由
動画コンテンツ 削ってよい 写真とテキストで代替可能。効果に対して費用が大きい
凝ったアニメーション 削ってよい 応募率への寄与が小さく、表示速度を落とす
職種ごとの個別ページ 削ってはいけない Googleしごと検索の要件であり、求職者の判断材料でもある
社員の写真 削ってはいけない 中小企業では「誰と働くか」が最大の判断材料になる
スマートフォン対応 削ってはいけない 求職者の閲覧はスマートフォンが中心
応募フォームの動作確認 削ってはいけない 送信できないフォームは、機会損失に直結する

効果をどう測るか

採用サイトの効果は応募数だけで見ません。最終的に見るのは「定着した採用人数あたりのコスト」です。

指標 取得方法 見方
採用ページの閲覧数 GA4 露出が足りているか
閲覧→応募率 応募数 ÷ 採用ページ閲覧数 コンテンツが応募を後押しできているか
応募→面接実施率 面接数 ÷ 応募数 応募者の質と、連絡スピードの問題を切り分ける
面接→内定承諾率 承諾数 ÷ 面接数 事前情報と面接内容が一致しているか
6か月定着率 在籍者数 ÷ 採用者数 入社後ギャップの大きさ
採用単価 年間採用費用 ÷ 定着した採用人数 投資判断の最終指標

閲覧→応募率が低い場合はコンテンツの不足、応募→面接率が低い場合は連絡の遅さ、6か月定着率が低い場合は事前情報と実態のずれを疑います。数字ごとに原因の所在が違うため、まとめて「採用がうまくいかない」と扱わないことが改善の出発点です。

採用サイトを作るべきでないケース

次に当てはまる場合は、先に別のことをしてください。

  1. 年間採用人数が0〜1名:コーポレートサイト内の採用ページ強化とIndeed等への直接投稿で足りることが多い
  2. 募集条件が市場水準から大きく外れている:サイトを作っても、条件で判断される部分は変わらない。まず条件の見直しを行う
  3. 応募後の連絡が数日かかる体制:応募は増えても辞退される。先に対応体制を整える
  4. 離職の原因が入社後にある:職場環境や評価制度に原因がある場合、採用を増やしても流出が続く
  5. 掲載する情報が社内で用意できない:写真、社員の声、仕事内容の説明が揃わないと、器だけができる

5番目は特に多く見られます。制作会社に依頼しても、社内の情報がなければコンテンツは作れません。着手前に、社員インタビューの対象者と撮影日程を決めておくと、制作がスムーズに進みます。

よくある質問

Q. コーポレートサイトの採用ページと、独立した採用サイトはどちらがよいですか?

年間採用が数名程度であれば、コーポレートサイト内の採用ページで問題ありません。職種が複数あり、継続的に採用する場合は独立した採用サイトのほうが情報量を確保でき、更新もしやすくなります。判断は採用人数と職種数で行ってください。

Q. 社員インタビューは何本必要ですか?

募集職種ごとに1本が目安です。同じ職種で経験年数の異なる2名を載せると、入社直後と数年後の両方が想像でき、判断材料が増えます。全員分を載せる必要はありません。

Q. 写真は社内で撮影しても大丈夫ですか?

スマートフォンでも、明るい場所で撮影すればある程度は使えます。ただし、採用サイトでは人物写真が最も見られる要素であるため、少なくとも社員インタビューの写真はプロに依頼する価値があります。全体をプロに任せるのではなく、重要な数カットに絞る方法もあります。

Q. 作ったあと、どのくらいの頻度で更新すべきですか?

募集要項は募集状況が変わるたび、社員インタビューは年1〜2本の追加、写真は年1回の見直しが目安です。最低限、募集が終了した求人を残さない運用だけは徹底してください。Googleしごと検索の要件でもあります。

Q. Indeedなどの求人媒体は不要になりますか?

不要にはなりません。採用サイトは「検討を深める場所」であり、求人媒体は「出会う場所」です。役割が異なるため、媒体で接点を作り、採用サイトで判断してもらう組み合わせが基本になります。採用サイトができると、媒体経由の応募率も上がることが期待できます。

まとめ

中小企業が採用サイトを作るべきかどうかは、「採用単価 × 年間採用人数」で判断できます。この金額が制作費を上回る規模であれば、投資として成立します。年間採用が1名以下であれば、コーポレートサイト内の採用ページ強化から始めてください。

コンテンツは、求職者が知りたい順序に並べます。募集要項と仕事内容が先で、代表メッセージは後です。そして、良い面だけでなく、繁忙期の実態や整っていないことを開示してください。応募数はやや減っても、入社後のギャップによる早期離職を防げます。

あわせて、JobPosting構造化データを実装し、Googleしごと検索での無料露出を確保してください。1求人1ページの構成と、募集終了時の対応をあらかじめ運用に組み込んでおくことが条件になります。

「求人媒体に出しているが応募が来ない」「応募はあるが辞退される」「採用してもすぐ辞めてしまう」といった状態にある場合は、サイト制作単体ではなく、募集条件・情報開示・応募後の対応体制を合わせて確認する必要があります。

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