獲得単価が上がった、表示回数が減った。こうした変化の原因は、自社の管理画面だけを見ても分かりません。広告の掲載はオークションで決まるため、自社が何も変えていなくても、競合の動きで結果が変わります。
オークション分析レポートは、この「自社の外側」を見るための唯一の標準機能です。ただし分かるのは相対的な位置関係だけで、競合の予算額や入札額そのものは分かりません。何が分かって何が分からないかを取り違えると、読み違えます。
この記事では、5つの指標の意味を整理したうえで、数値のパターン別に取るべき打ち手、そして見ても意味がない場面を扱います。
この記事でわかること
・オークション分析レポートの5指標の意味
・このレポートで分からないこと
・数値のパターン別に取るべき打ち手
・獲得単価が上がったときの原因の切り分け
・見ても意味がない場面
・確認する頻度の目安
5つの指標が示していること
| 指標 | 意味 | 読み取れること |
|---|---|---|
| インプレッションシェア | 実際の表示回数を、表示される可能性があった回数の推定値で割った割合 | 掲載機会をどれだけ取れているか |
| 重複率 | 自社が表示されたときに、その競合も同時に表示された割合 | 誰と同じ土俵にいるか |
| 優位表示シェア | オークションで自社の広告が相手より上位に掲載された割合 | 相手との相対的な強さ |
| 上位掲載率 | 相手の広告が自社より上位に掲載された割合 | 誰に押されているか |
| ページ上部・最上部の表示率 | 検索結果のページ上部、最上部に掲載された割合 | 露出の位置 |
実務で最初に見るべきは重複率です。ここに知らない社名が並んでいる場合、想定していない相手と競合しています。業種が違うのに同じ検索語句を狙っている、というケースは珍しくありません。
次に見るのが優位表示シェアと上位掲載率です。この2つは対になっており、特定の相手にだけ押されているのか、全体的に押されているのかが分かります。
自社の数字が悪化しても、原因が自社にあるとは限らない。
まず重複率を見て、誰と競合しているかを確認する。
このレポートで分からないこと
読み違えを避けるため、分からないことを先に確認してください。
- 競合の予算額や入札額:金額そのものは表示されない
- インプレッションシェアが一定の水準に満たないデータ:少ない場合は表示されない
- 競合の成果:相手のコンバージョン数や獲得単価は分からない
- 順位の理由:入札額なのか、広告の関連性なのか、遷移先の質なのかは分からない
- 実在するすべての競合:一定の条件を満たしたドメインのみが表示される
4つ目が最も重要です。相手に押されている理由が入札額とは限りません。広告の関連性や遷移先の品質が影響するため、単純に入札を上げても改善しない場合があります。何を改善すべきかの切り分けはGoogle広告の品質スコアとは?改善すべき指標と無視してよい指標を参照してください。
数値のパターン別の打ち手
| パターン | 考えられる状況 | 打ち手 |
|---|---|---|
| インプレッションシェアが下がった/重複率は変わらない | 予算または入札が不足している | 予算の上限に達していないか確認する |
| インプレッションシェアが下がった/新しい社名が増えた | 新規参入がある | 訴求の差別化。単純な入札の引き上げは消耗戦になる |
| 優位表示シェアが特定の1社にだけ低い | その相手が集中的に入札している | その相手が弱いキーワードへ配分を寄せる |
| 上位掲載率が全体的に上がった | 自社の関連性か遷移先が弱い | 広告文と遷移先の一致を見直す |
| 最上部の表示率だけが低い | 上位掲載の条件を満たしていない | 広告文の改善と入札の見直しを同時に行う |
| 数値が安定している/成果だけ悪化 | 競合ではなく自社側の問題 | 遷移先、計測、季節要因を確認する |
2行目で入札を上げると、相手も上げるため単価だけが上がります。新規参入への対処は、同じ土俵で競るのではなく、相手が対応していない条件を探すことです。対応エリア、営業時間、対象顧客のいずれかで差を作れないかを先に検討してください。
最終行は見落とされがちです。オークション分析の数値が動いていないなら、原因は外ではなく内にあります。
獲得単価が上がったときの切り分け
原因を順に潰します。オークション分析は3番目に見てください。
- 自社が何を変えたか:入札、予算、広告文、遷移先、除外の変更履歴を確認する
- 成果側の変化:計測が止まっていないか、フォームが壊れていないか
- 競合環境:オークション分析で重複率と優位表示シェアの推移を見る
- 季節要因:前年の同時期と比較する
- 検索需要そのもの:表示回数の総量が減っていないか
1番目を飛ばして3番目から見ると、ほぼ確実に判断を誤ります。変更履歴を先に確認するという順序は、レポート全般に共通する原則です。考え方は広告レポートの見方|代理店の報告で最低限確認すべき項目で扱っています。
獲得単価の悪化は、まず自社の変更履歴から確認する。
オークション分析は3番目。先に見ると外部要因のせいにしてしまう。
見ても意味がない場面
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 表示回数が少ない | データが表示されない、または信頼できる水準にない |
| 指名検索が中心 | 自社名での検索に競合はほとんど入らない |
| 配信を始めたばかり | 比較できる期間がない |
| 予算に上限がある状態 | 競合以前に予算で止まっている |
| キャンペーン全体でまとめて見ている | キーワードごとの状況が平均化されて消える |
最終行は実務でよくある誤りです。オークション分析はキャンペーン全体ではなく、キーワードや広告グループの単位で見てください。全体で見ると、競合の多い語と少ない語が混ざって平均化され、打ち手につながる情報が消えます。
また、4行目の状態では競合分析の前に予算の話になります。予算の決め方は複数媒体への広告予算配分の考え方|テスト予算と本予算の分け方を参照してください。
全体の中での位置づけ
この工程は広告運用の一部です。前後に決めるべきことがあり、順序を飛ばすと後から戻れなくなります。全体の流れは広告運用は何から決めるかを参照してください。
よくある失敗
競合が増えたらすぐ入札を上げる
相手も上げるため、単価だけが上がります。同じ土俵で競る前に、訴求で差を作れないかを検討してください。
キャンペーン全体で見る
競合状況はキーワードごとに違います。平均化すると打ち手が見えません。
インプレッションシェア100%を目指す
すべての機会を取ることが最適とは限りません。成果につながらない検索語句まで拾うと、獲得単価は悪化します。
重複率の高い相手を競合と決めつける
同じ検索語句に出ているだけで、事業として競合とは限りません。実際に顧客が比較検討している相手かどうかは別に確認してください。
週次で細かく追う
短期の変動に反応すると、設定を触りすぎて学習が乱れます。月次での推移で十分です。
よくある質問
どのくらいの頻度で見るべきですか
月次で十分です。獲得単価や表示回数に想定外の変化があったときに、原因の切り分けとして追加で見る使い方が現実的です。
競合の名前が表示されないことがあります
一定の条件を満たしたドメインのみが表示されるため、すべての競合が出るわけではありません。表示されない相手がいる前提で読んでください。
競合サイトの調査とどう使い分けますか
オークション分析は広告の掲載状況、サイト調査は訴求や情報設計の把握に使います。オークション分析で相手を特定し、その相手のサイトを見る、という順序が効率的です。手順は競合サイト分析のやり方|何を見て、どう自社の判断に変えるかにまとめています。
インプレッションシェアはどのくらいあればよいですか
目標値を一律に置く意味はありません。成果につながる検索語句でのシェアが取れているかが重要で、全体の数値を上げること自体は目的になりません。
Yahoo!広告にも同様の機能はありますか
媒体ごとに提供される分析機能は異なります。名称と表示される指標が違うため、使っている媒体のヘルプで確認してください。考え方(相対的な位置を見る)は共通です。
まとめ
オークション分析レポートは、自社の管理画面だけでは分からない外部環境を確認するための機能です。インプレッションシェア、重複率、優位表示シェア、上位掲載率、ページ上部の表示率。この5つで、誰と競合し、どの程度の相対的な位置にいるかが分かります。
一方で、競合の予算額や入札額、相手の成果、順位が決まった理由は分かりません。特に、押されている理由が入札額とは限らない点は重要です。広告の関連性や遷移先の品質が影響するため、入札を上げても改善しない場合があります。
獲得単価が悪化したときは、まず自社の変更履歴を確認し、次に計測の異常を確認し、その後にオークション分析を見てください。順序を逆にすると、外部要因のせいにして自社の問題を見逃します。そして分析はキャンペーン全体ではなく、キーワードや広告グループの単位で行ってください。
当社では広告運用代行において、競合環境を踏まえた出稿設計をご相談いただけます。自社の状況を整理したい場合は、資料をダウンロードのうえご活用ください。