チラシは最後まで読まれる前提では作れません。ポストから取り出して他の郵便物と一緒に持ち、要不要を判断するまでがおよそ2秒です。この2秒で「自分に関係がある」と思わせられなければ、内容がどれだけ良くても読まれません。
したがって、改善すべきは情報の量ではありません。2秒で伝わる要素が何で、それが目立つ位置にあるかです。実際、反響が出ないチラシの多くは情報が足りないのではなく、多すぎて何も目に入らない状態になっています。
この記事では、2秒で伝える要素の順序、配りかたと内容の関係、効果の測り方、そしてWeb施策との使い分けを整理します。
この記事でわかること
・手に取ってからの2秒で判断される要素
・情報の優先順位と配置
・配りかたによって変わる内容
・反響を測る方法(測れない状態を避ける)
・紙とWebの使い分け
・発注前に決めておくこと
2秒で判断される要素
順序が決まっています。上から順に、この順で認識されます。
- 自分に関係があるか:地域名、対象者、商材
- 何の店・何のサービスか:業種が一目で分かるか
- いくらか:価格帯または具体的な金額
- いつまでか:期限があるか
- どうすればよいか:電話、来店、予約
1番目が最も重要です。「◯◯市の方へ」「小学生のお子さまをお持ちの方へ」といった名指しは、地味に見えて最も効きます。自分向けだと分かった時点で、読む姿勢が変わります。
逆に、社名やキャッチコピーを最も大きく置いたチラシは反響が出にくくなります。知られていない会社の名前は、判断の材料になりません。この考え方はWebの最初の画面と共通で、詳細はファーストビュー設計の重要性|離脱を防ぐ最初の3秒の作り方で扱っています。
最初に置くのは社名でもキャッチコピーでもなく、読み手の名指し。
「自分に関係がある」と分かって初めて、その先が読まれる。
情報の優先順位と配置
| 領域 | 置くもの | 面積の目安 |
|---|---|---|
| 上部 | 対象の名指し+何の店か | 全体の3割程度 |
| 中央 | 主となる訴求(価格、特典、変化) | 最も大きく |
| 下部 | 連絡先、地図、営業時間 | 小さくてよいが読める大きさで |
| 余白 | 何も置かない領域 | 詰めない |
4行目を確保できるかで印象が変わります。紙面を埋めたくなりますが、詰めるほど何も目に入らなくなります。入れたい情報が多い場合は、両面を使うか、内容を絞ってください。
3行目は小さくて構いませんが、読める大きさは確保してください。特に電話番号と住所は、高齢の読み手が多い業種では大きめにします。
配りかたによって内容が変わる
| 配りかた | 読み手の状態 | 適した内容 |
|---|---|---|
| ポスティング | 自宅で他の郵便物と一緒に見る | 地域名の名指し、期限のある特典 |
| 新聞折込 | 同上。年齢層が上がる傾向 | 文字を大きく、電話での問い合わせを主に |
| 店頭での手渡し | 既に店の前にいる | その場での来店理由、次回使える特典 |
| イベントでの配布 | 他社の資料と一緒になる | 見返したときに何の会社か分かること |
| 同封・同梱 | 既存客が受け取る | 再購入、紹介の依頼 |
同じ内容のチラシをすべての配りかたに使い回すと、どこかで機能しません。特に4行目は、持ち帰った後に見返される前提が必要です。その場の勢いで作った文言は、後から見ると意味が分かりません。
5行目は費用対効果が最も高い配りかたです。既に取引のある相手に届くため、反応率が桁違いになります。
反響を測れる状態にする
チラシで最も多い失敗は、効果が測れないまま次を刷ることです。次の手段のいずれかを必ず入れてください。
- チラシ限定の特典を作る:持参で割引。回収すれば枚数が分かる
- 専用の電話番号を載せる:番号ごとに着信を分けられる
- 専用のページを作る:短いURLかコードで誘導する
- 来店時に聞く:「何をご覧になりましたか」を記録する
- 配布エリアを分ける:エリア別に内容や時期を変えて比較する
最も簡単で確実なのは1つ目です。「このチラシをお持ちください」の一文を入れるだけで、回収した枚数が反響数になります。
2つ目については、印刷物に載せる番号の性質に注意してください。広告媒体が発行する転送番号は変更や再割り当てがあるため、印刷物には使えません。紙で使うなら、自社で保有する番号を用意する必要があります。判断の材料は電話の問い合わせを媒体別に把握する方法|コールトラッキング導入の判断基準を参照してください。
「このチラシをお持ちください」の一文で、反響が数えられる。
測れないまま次を刷ると、何回配っても改善しない。
紙とWebの使い分け
| 条件 | 紙が向く | Webが向く |
|---|---|---|
| 対象の年齢 | 高い | 低い |
| 商圏 | 狭い(徒歩・自転車圏) | 広い |
| 緊急性 | 低い(保存される) | 高い(今探している) |
| 情報量 | 少ない | 多い。ページを分けられる |
| 効果測定 | 工夫が要る | 標準で測れる |
| 変更のしやすさ | 刷り直しが必要 | その場で直せる |
3行目が判断の分かれ目です。今すぐ必要な人はチラシを待たずに検索します。したがって、緊急性の高い商材(水漏れ、鍵、修理)では紙の効果は限定的です。逆に、保存されて後日使われる商材(飲食、教室、季節のサービス)では紙が効きます。
両方を使う場合は、紙で認知を作り、Webで受け止める構成にします。チラシに載せた内容が自社サイトにも書かれている状態にしておいてください。
発注前に決めておくこと
- 対象:どのエリアの、どんな人に配るか
- 主となる訴求:1つに絞る
- 反響の測り方:特典、番号、コードのいずれか
- 配布の方法と枚数:内容が変わるため先に決める
- 次の行動:電話か、来店か、予約か
- 版の使い回し:季節ごとに差し替える箇所を決めておく
6番目を決めておくと、次回以降の制作費が下がります。日付や特典の部分だけを差し替える設計にしておけば、毎回一から作る必要がありません。
デザインの評価の仕方はバナーと共通する部分があります。考え方はバナーデザインの作り方|クリックされる設計と評価の仕方を参照してください。
よくある失敗
情報を詰め込む
詰めるほど何も目に入りません。訴求を1つに絞り、余白を確保してください。
社名を最も大きく置く
知られていない会社の名前は判断材料になりません。読み手の名指しを先に置いてください。
反響を測る手段を入れない
何回配っても改善しません。特典の持参や専用のコードを必ず入れてください。
同じ版をすべての配りかたに使う
読み手の状態が違うため、どこかで機能しません。配りかたごとに内容を調整してください。
電話番号と住所を小さくする
行動の直前で情報が読めない状態になります。小さくてよいが、読める大きさを確保してください。
よくある質問
反響率の目安はありますか
業種、商圏、配りかたで大きく変わるため、外部の平均値は基準になりません。自社で数回配って測り、その数値を基準にしてください。測る仕組みを先に入れることが前提です。
両面と片面のどちらがよいですか
伝えたい情報が2秒で判断される要素に収まるなら片面で足ります。詳細な説明や複数の商品を載せる必要があるなら両面です。ただし裏面は読まれない前提で、表面だけで完結させてください。
何回配れば効果が分かりますか
1回では判断できません。同じ内容で複数回、または内容を変えてエリア別に配って比較してください。1回の反響がゼロでも、時期や内容の問題である可能性があります。
デザインは自社で作れますか
訴求が明確で、テンプレートを使う範囲なら可能です。ただし文字の大きさと余白の扱いで差が出ます。反響が出た版ができたら、そこから先を依頼する進め方が効率的です。
会社案内やパンフレットとは分けるべきですか
目的が違います。チラシはその場の行動を促すもの、パンフレットは検討の材料です。判断の考え方は会社案内パンフレット制作の進め方|作るべきかの判断と費用の考え方で扱っています。
まとめ
チラシは最後まで読まれる前提では作れません。手に取ってから要不要を判断するまでが、およそ2秒です。この間に伝わるのは、自分に関係があるか、何の店か、いくらか、いつまでか、どうすればよいか。この順序で認識されます。
最初に置くべきは社名でもキャッチコピーでもなく、読み手の名指しです。「◯◯市の方へ」「小学生のお子さまをお持ちの方へ」といった一文は地味に見えますが、自分向けだと分かった時点で読む姿勢が変わります。そして紙面を詰めるほど、何も目に入らなくなります。
そのうえで、反響を測る手段を必ず入れてください。最も簡単なのは「このチラシをお持ちください」の一文で、回収した枚数がそのまま反響数になります。測れないまま次を刷ると、何回配っても改善しません。なお、広告媒体が発行する転送番号は変更や再割り当てがあるため、印刷物には使えない点に注意してください。
当社ではデザイン制作において、紙とWebを含めた設計をご相談いただけます。販促の全体像を整理したい場合は、資料をダウンロードのうえご活用ください。