サイトのリニューアル後に検索からの流入が落ちる原因の多くは、デザインでも内容でもありません。URLが変わったときの転送設計です。
特に多いのが、旧サイトのすべてのURLを新サイトのトップページへまとめて転送する方法です。作業としては最も簡単ですが、Googleの公式ドキュメントでは「多数の元のURLから、関連性の低い1つのURL(新しいサイトのホームページなど)にリダイレクトすることは避けてください」と明記されています(Google検索セントラル「URLの変更を伴うサイト移転」)。
この記事では、公式の手順を踏まえた進め方、1対1で対応づける理由、維持すべき期間、そして着手前に作る対応表を整理します。
この記事でわかること
・URLが変わる場面と、変えなくてよい場面
・まとめてトップページへ転送してはいけない理由
・使うべきリダイレクトの種類
・着手前に作る対応表
・転送を維持する期間
・公開後に確認すること
そもそもURLを変えなくてよい場合がある
| やること | URLは変わるか | 対応 |
|---|---|---|
| デザインだけを変える | 変わらない | 転送は不要 |
| ページの内容を書き換える | 変わらない | 転送は不要 |
| ページの構成を組み替える | 変わることがある | 変わるページだけ対応 |
| CMSを入れ替える | 変わることが多い | 全ページの対応表が必要 |
| ドメインを変える | すべて変わる | 全ページの対応表が必要 |
| 常時暗号化に対応する | すべて変わる | 全ページの対応が必要 |
URLを変える必要がないなら、変えないのが最も安全です。「この機会にURLも整理したい」という理由で変更すると、得られるものより失うもののほうが大きくなることがあります。
4行目については、CMSを入れ替えるとURLの構造が自動的に変わることがあります。選定の段階で、既存URLを維持できるかを確認してください。判断の観点は更新しやすい企業サイトの作り方|CMS選定と運用設計のポイントにまとめています。
URLを変える必要がないなら、変えない。
「ついでに整理する」は、失うもののほうが大きくなることがある。
まとめてトップページへ転送すると何が起きるか
- 個別ページに蓄積した評価が引き継がれない:内容が対応していないため
- 訪問者が求めていた情報にたどり着けない:トップから探し直すことになる
- 外部からのリンクが実質的に無効になる:リンク先の内容が消える
- どのページが失われたか分からなくなる:後から復旧しにくい
1つ目が最も影響します。個別のページが持っていた評価は、内容が対応している転送先があって初めて引き継がれます。トップページは内容が違うため、対応しているとは扱われません。
2つ目は成果に直結します。検索結果からクリックした人が、求めていた情報ではなくトップページに着くと、多くはそこで離脱します。
使うリダイレクトの種類
| 種類 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| サーバー側の永続的な転送(301・308) | 恒久的にURLが変わった | リニューアル、ドメイン変更。原則これ |
| サーバー側の一時的な転送(302・307) | 一時的に別のURLを表示する | メンテナンス、期間限定の切り替え |
| ページ内での転送(meta refresh等) | ページを読み込んでから転送する | 推奨されない |
| 転送せず404を返す | ページが存在しない | 対応するページが本当にない場合 |
Googleの公式ドキュメントではサーバー側の永続的な転送(301や308)が推奨されています。恒久的な変更に一時的な転送を使うと、旧URLが残り続けると解釈される可能性があります。
また、転送の連鎖は少ないほど良いとされています。同ドキュメントでは、最大10回まで対応するとしつつ「直接リダイレクトすることをおすすめします。チェーン内のリダイレクトの数を5個未満(理想的には3個以下)に抑えてください」と記載されています。過去に何度もURLを変えている場合、途中を飛ばして最新のURLへ直接つなぎ直してください。
4行目も選択肢です。対応する内容が本当にないページを、無理に別のページへ転送すると、訪問者にとって不親切になります。
着手前に作る対応表
作業を始める前に、旧URLと新URLを1対1で対応づけた表を作ってください。これがないまま進めると、必ず抜けが出ます。
| 列 | 内容 | 取得元 |
|---|---|---|
| 旧URL | 現在存在するすべてのURL | サイトマップ、CMSの一覧、解析データ |
| 流入の有無 | 検索や広告から流入があるか | Search Console、GA4 |
| 外部リンクの有無 | 他サイトから貼られているか | Search Consoleのリンク |
| 新URL | 対応する新しいページ | 新サイトの構成 |
| 対応の有無 | 対応するページがあるか | なければ判断が必要 |
| 確認済み | 公開後に転送を確認したか | 公開後に記入 |
5行目で「対応するページがない」と分かったURLの扱いを、公開前に決めてください。選択肢は3つです。新サイトに同等のページを作る、最も近い内容のページへ転送する、転送せず404を返す。
2行目と3行目で流入や外部リンクがあるURLは、優先して対応先を用意してください。流入がゼロで外部リンクもないURLは、無理に転送先を作る必要はありません。
対応表がないまま進めると、必ず抜けが出る。
流入と外部リンクがあるURLから優先して対応先を決める。
転送を維持する期間
公開したら終わりではありません。転送は長期間維持する必要があります。
- Googleの公式ドキュメントでは、リダイレクトをできるだけ長く(一般的には1年以上)保持することが推奨されている
- 同ドキュメントでは、訪問者の観点から無期限に保持することを検討するようにも記載されている
- 外部サイトやメール、印刷物に旧URLが残っている場合、1年を超えてもアクセスは発生する
「1年経ったから外してよい」と判断する前に、旧URLへのアクセスがまだあるかを確認してください。アクセスが続いているなら、維持したほうが機会損失を防げます。
サーバーの設定として残しておくコストは小さく、外すことで得られるものはほとんどありません。
公開後に確認すること
- 対応表のURLを1件ずつ開く:意図した先へ転送されるか
- 転送の連鎖が起きていないか確認する:途中を経由していないか
- Search Consoleで新旧の所有権を確認する:両方を登録しておく
- 新しいサイトマップを送信する
- インデックスの状況を追う:新URLが登録されていくか
- 流入の推移を見る:1〜2か月は変動する前提で
ドメインが変わる場合、Search Consoleにアドレス変更を通知する機能があります。ただし同ドキュメントによれば、常時暗号化への移行のようにドメインが同じ場合は不要です。
6番目については、公開直後に流入が落ちること自体は珍しくありません。1〜2か月かけて戻るかどうかで判断してください。1週間で慌てて設定を変えると、原因が分からなくなります。
よくある失敗
全URLをトップページへ転送する
個別ページの評価が引き継がれず、訪問者も情報にたどり着けません。1対1で対応づけてください。
対応表を作らずに進める
転送の抜けが出ます。旧URLの一覧を先に用意してください。
恒久的な変更に一時的な転送を使う
旧URLが残り続けると解釈される可能性があります。永続的な転送を使ってください。
転送を1年で外す
旧URLへのアクセスが続いている場合、機会損失になります。維持するコストは小さいままです。
公開直後の落ち込みで設定を変える
1〜2か月は変動します。慌てて触ると原因が分からなくなります。
よくある質問
URLに日本語が含まれている場合、変更すべきですか
動作上の問題はありませんが、共有時に文字列が変換されて読みにくくなることがあります。変更する場合はURLが変わるため、転送の設定が前提になります。流入があるページなら、変更しないという判断も合理的です。
URLの階層は浅いほうがよいですか
階層の深さそのものより、構造が分かりやすいかが重要です。既存のURLを整理するためだけに変更すると、得られるものより失うもののほうが大きくなることがあります。移転後に表示が遅くなった場合の切り分けはサイトの表示速度を改善する優先順位|何から手をつけるかを参照してください。
ページを統合する場合はどうしますか
残すページへ転送してください。ただし内容が対応していることが前提です。まったく別の内容へ転送すると、トップページへまとめるのと同じ問題が起きます。
転送の設定は誰が行いますか
サーバーやCMSの設定になるため、制作を依頼している場合は制作会社の作業範囲に含まれるかを確認してください。見積の範囲外になっていることがあります。確認の観点はWeb制作の見積書の読み方|同じ金額が別の買い物になる理由を参照してください。
リニューアルで流入が落ちたら元に戻せますか
転送の設定は戻せますが、失った期間の評価がそのまま復旧するとは限りません。事前に対応表を作るほうが確実です。リニューアル全体の進め方はコーポレートサイトのリニューアルで扱っています。
まとめ
サイトのリニューアル後に流入が落ちる原因の多くは、URLが変わったときの転送設計にあります。最も多い失敗は、旧サイトのすべてのURLを新サイトのトップページへまとめて転送することです。Googleの公式ドキュメントでも、多数の元URLから関連性の低い1つのURLへ転送することは避けるよう明記されています。
使うのはサーバー側の永続的な転送です。そして転送の連鎖は少ないほどよく、公式では5個未満、理想は3個以下とされています。過去に何度もURLを変えている場合は、途中を飛ばして最新のURLへ直接つなぎ直してください。
着手前に必ず対応表を作ってください。旧URL、流入の有無、外部リンクの有無、新URL、対応の有無。この5列があれば抜けが出ません。対応するページがないURLの扱いは、公開前に決めておきます。そして転送は長く維持してください。公式では1年以上、訪問者の観点からは無期限の保持も検討するよう記載されています。維持するコストは小さく、外して得られるものはほとんどありません。
当社ではホームページ制作において、リニューアル時の移行設計をご相談いただけます。自社サイトの状況を整理したい場合は、資料をダウンロードのうえご活用ください。