表示速度の改善は、着手すると際限がなくなる領域です。計測ツールが出す指摘項目は数十件に及び、すべてに対応しようとすると費用も期間も膨らみます。
一方で、実際に離脱へ影響しているのは、そのうちの数項目です。多くのサイトでは、原因の大半が画像に集中しています。
この記事では、何から手をつけるかの優先順位と、スコアを目的化しないための判断基準を解説します。
この記事でわかること
・表示速度が事業に影響する経路
・改善の優先順位(費用対効果順)
・計測スコアを目的にしてはいけない理由
・自社でできることと、制作会社に依頼すること
・改善効果の確認方法
速度が影響する経路
| 経路 | 内容 |
|---|---|
| 離脱 | 読み込み中に戻る。特にモバイル回線 |
| CVR | 各ページの遷移が遅いと、フォーム完了率が落ちる |
| 広告の評価 | ランディングページの利便性として評価に関わる |
| 検索評価 | ページ体験に関する指標が評価要素に含まれる |
| 計測の精度 | 読み込み前に離脱すると、計測自体がされない |
1番目が最も直接的です。そして、遅さが原因の離脱は数字に残りにくいという性質があります。読み込み完了前に戻られた場合、GA4でもセッションとして記録されないことがあるためです。
遅さによる離脱は、レポート上では「そもそも訪問がなかった」ように見えます。
数字に出ないため、問題として認識されにくい領域です。
改善の優先順位
費用対効果の高い順に並べます。
| # | 項目 | 効果 | 必要な作業 |
|---|---|---|---|
| 1 | 画像のサイズ最適化 | 大きい | 書き出し設定の変更、既存画像の差し替え |
| 2 | 画像の遅延読み込み | 大きい | プラグインまたは実装 |
| 3 | 不要な外部スクリプトの削除 | 中〜大 | 使っていない計測タグ、ツールの整理 |
| 4 | 画像フォーマットの変更 | 中 | WebPなどへの変換 |
| 5 | キャッシュの設定 | 中 | サーバー設定、プラグイン |
| 6 | 使っていない機能の停止 | 中 | プラグイン、テーマ機能の整理 |
| 7 | フォントの読み込み最適化 | 小〜中 | 使用する書体・太さを絞る |
| 8 | サーバーの見直し | 大(費用も大) | 移転作業が必要 |
1番目と2番目で、多くのサイトは体感速度が明確に変わります。まずここを確認してください。
画像が原因である確率が高い理由
- 撮影データをそのまま載せている:表示サイズの何倍もの解像度
- 表示サイズより大きい画像を縮小表示している:CSSで縮小しても読み込み量は変わらない
- 枚数が多い:一覧ページ、施工事例ページで顕著
- 更新担当者が意識していない:投稿のたびに重い画像が増える
4番目が構造的な問題です。一度改善しても、運用の中で重い画像が追加され続ければ元に戻ります。書き出しのルールを決めて運用に組み込んでください。
画像の運用ルールの例
- アップロード前に横幅の上限を決める:表示される最大幅に合わせる
- ファイルサイズの上限を決める:超えるものは圧縮する
- 圧縮ツールを1つ決めて共有する:担当者ごとに違う運用にしない
- 自動リサイズの仕組みを入れる:人の判断に依存させない
4番目が最も確実です。人が毎回判断する運用は、繁忙期に必ず崩れます。
スコアを目的にしない
計測ツールは総合スコアを表示しますが、このスコアを目標値にすると判断を誤ります。
| スコアを追うと起きること | 事業への影響 |
|---|---|
| 必要な機能を削る | 予約フォーム、チャット、計測タグの停止でCVが減る |
| 画像を減らしすぎる | 判断材料が不足しCVRが落ちる |
| 体感に影響しない項目に費用をかける | 改修費に対して効果が出ない |
| サーバー移転を急ぐ | 費用とリスクに対して効果が読めない |
1番目が最も損失の大きい判断です。計測タグを外せばスコアは上がりますが、広告の最適化ができなくなります。スコアと引き換えに失うものを確認してください。
見るべきは、スコアではなく実際の体感速度と、離脱率・CVRの変化です。
計測時の注意
- モバイルの結果を優先して見る:流入の多くはモバイル
- 複数回測る:1回の結果には振れ幅がある
- トップページだけで判断しない:広告のランディングページ、施工事例ページも測る
- 実機でも確認する:ツールの数値と体感は一致しないことがある
- 高速回線・高性能端末だけで確認しない:遅さに気づけない
指標の名称や算出方法は更新されることがあるため、詳細はGoogleの公式ドキュメントで最新情報を確認してください。
自社でできること・依頼すること
| 作業 | 自社 | 制作会社 |
|---|---|---|
| 画像の圧縮・書き出しルール | ◯ | — |
| 既存画像の差し替え | ◯ | ◯ |
| 不要なプラグイン・タグの整理 | △(影響確認が必要) | ◯ |
| 遅延読み込みの実装 | △(プラグインなら可) | ◯ |
| キャッシュ設定 | — | ◯ |
| コードの最適化 | — | ◯ |
| サーバー移転 | — | ◯ |
自社でできる範囲だけでも、多くのサイトは改善します。画像の運用ルールを決めることは、費用をかけずに継続的な効果があります。
依頼する場合は、範囲を指定してください。「速くしてください」では見積が読めません。制作会社の選び方はデザイン制作会社の選び方|見積り比較で確認すべきポイントを参照してください。
効果の確認方法
- 改修前に、主要ページの計測値と離脱率を記録する
- 1つずつ変更する:まとめて実施すると原因が特定できない
- 実機で体感を確認する:数値だけで判断しない
- 2〜4週間後に離脱率・CVRを比較する
- 機能が壊れていないか確認する:フォーム送信、計測タグの動作
5番目を必ず行ってください。速度改善の作業では、スクリプトの読み込み順序が変わることでフォームや計測が動作しなくなる場合があります。速くなっても計測が止まっていれば、事業としては後退です。
計測が動いているかの確認方法はGA4のコンバージョンが計測されない時に確認すべき5つのポイントを参照してください。
よくある失敗
失敗1:計測スコアを目標値にする
必要な機能を削ることになり、CVが減ります。見るのは離脱率とCVRです。
失敗2:画像を放置してコードを最適化する
原因の大半は画像です。費用のかかる作業から始めないでください。
失敗3:一度改善して運用ルールを作らない
重い画像が追加され続け、数か月で元に戻ります。
失敗4:高速回線・高性能端末だけで確認する
遅さに気づけません。一般的な環境で確認してください。
失敗5:改修後に機能の動作確認をしない
フォームや計測タグが止まっていることがあります。必ず確認してください。
よくある質問
Q. 何秒以内なら問題ないですか?
絶対的な基準値を目標にするより、自社の改善前後の離脱率とCVRの変化で判断してください。指標の閾値は更新されることがあるため、最新の公式情報を確認してください。
Q. 高速化プラグインを入れれば解決しますか?
一定の効果はありますが、設定によっては表示崩れやフォームの動作不良を起こします。導入後は必ず主要ページと問い合わせ完了までの動作を確認してください。原因が画像の場合、プラグインだけでは根本解決しません。
Q. サーバーを変えれば速くなりますか?
サーバー性能が原因である場合は効果があります。ただし画像が重い、外部スクリプトが多いといった原因であれば、移転しても大きくは変わりません。まず原因を特定してください。
Q. どのページを優先すべきですか?
広告のランディングページと、流入の多いページです。広告費を払って送客しているページの遅さは、そのまま費用の損失になります。
Q. SEOへの影響はどのくらいありますか?
ページの体験に関する指標は評価要素に含まれますが、順位を決める唯一の要因ではありません。内容の適合性のほうが影響は大きくなります。速度改善は、SEOのためというより離脱とCVRのために行うと考えたほうが判断を誤りません。
まとめ
表示速度の改善は、着手すると際限がなくなります。しかし実際に離脱へ影響しているのは数項目であり、多くのサイトでは原因が画像に集中しています。
優先順位は、画像のサイズ最適化と遅延読み込みからです。この2つで体感速度は明確に変わります。コードの最適化やサーバー移転は、費用がかかるうえに原因でない場合は効果が出ません。
計測スコアを目標値にしないでください。スコアのために計測タグやフォームを削れば、事業としては後退します。見るべきは離脱率とCVRの変化です。
そして、一度改善したら運用ルールを作ってください。画像の書き出し基準を決めなければ、数か月で元の状態に戻ります。
当社ではホームページ制作および運用支援において、制作時だけでなく更新運用まで含めた設計を行っています。資料では運用設計の考え方をまとめていますので、自社サイトを見直したい方はぜひダウンロードしてご活用ください。