「◯◯業の集客方法」を調べても自社に当てはまらないことがあります。同じ業種でも、条件が違えば効くチャネルが変わるためです。同じ飲食店でも、当日の空席を埋めたい居酒屋と、記念日の予約を取りたい店では、使うべき手段が違います。
したがって、業種名から探すのではなく条件で判定するほうが確実です。判定に必要なのは4つの軸だけで、これを埋めれば優先すべきチャネルが決まります。
この記事では、4つの軸の意味と判定方法、軸の組み合わせ別に何から着手するか、そして予算が限られる場合の順序を整理します。
この記事でわかること
・チャネル選定を決める4つの軸
・軸ごとの判定方法(自社がどちらに該当するか)
・組み合わせ別に優先すべきチャネル
・業種別の記事が自社に当てはまらない理由
・予算が限られる場合の着手順序
・チャネルを増やす前に確認すること
判定に使う4つの軸
| 軸 | 問い | 分かれ方 |
|---|---|---|
| 緊急性 | 顧客は今すぐ必要としているか | 高い(水漏れ、鍵、故障)/低い(習い事、リフォーム) |
| 検討期間 | 決めるまでにどれくらいかかるか | 短い(当日〜数日)/長い(数週間〜数か月) |
| 商圏 | どこから来る顧客か | 狭い(徒歩・自転車圏)/広い(車、電車、全国) |
| 再来店 | 1人の顧客が何度も来るか | ある(美容、飲食、整体)/ない(住宅、車、冠婚葬祭) |
この4つを埋めるだけで、優先すべきチャネルはほぼ決まります。業種が違っても、4軸の組み合わせが同じなら、効くチャネルも同じだからです。
逆に、同じ業種でも組み合わせが違えば別の答えになります。整体院でも「急な腰痛」を主に受けるなら緊急性は高く、「姿勢の改善」を主にするなら低くなります。
業種名ではなく、緊急性・検討期間・商圏・再来店の4軸で決まる。
同じ業種でも、主力の客層が違えば答えは変わる。
軸ごとに優先されるチャネル
| 軸の状態 | 優先されるチャネル | 理由 |
|---|---|---|
| 緊急性が高い | 検索広告、地図検索(MEO) | その場で探している人に当てる |
| 緊急性が低い | SNS、動画、認知向けの配信 | 存在を知ってもらう段階から必要 |
| 検討期間が短い | 検索広告、地図検索 | 接触からすぐ決まる |
| 検討期間が長い | 自社サイトの情報量、再訪を促す配信、メール | 何度も比較される |
| 商圏が狭い | 地図検索、チラシ、地域を絞った広告 | 届く範囲を限定する |
| 商圏が広い | 検索広告、SNS広告、比較サイト | 母数を確保する |
| 再来店がある | LINE、メール、会員の仕組み | 既存客への接点が利益を作る |
| 再来店がない | 新規獲得への集中、紹介の仕組み | 1回の取引で回収する設計 |
複数の軸で同じチャネルが挙がったものが、最優先です。緊急性が高く、検討期間が短く、商圏が狭い事業なら、地図検索が3回登場します。ここから着手するのが最も確実です。
地図検索の整備手順はMEO対策とは?Googleビジネスプロフィールで来店数を増やす具体的手順にまとめています。
組み合わせ別の着手順序
| 組み合わせ | 該当する業種の例 | 着手の順序 |
|---|---|---|
| 緊急性が高い/商圏が狭い | 水道修理、鍵、整体(急性)、動物病院 | 地図検索 → 検索広告 → 電話導線 |
| 検討期間が長い/商圏が広い | リフォーム、住宅、車、スクール | 自社サイトの情報量 → 検索広告 → 再訪の配信 |
| 再来店がある/商圏が狭い | 美容、飲食、整体(継続)、フィットネス | 地図検索 → 口コミ → LINE |
| 緊急性が低い/再来店がない | 冠婚葬祭、記念撮影、士業(相続など) | 認知の配信 → 自社サイト → 検索広告 |
| 商圏が広い/再来店がない | 専門性の高いBtoB、ニッチな商材 | 検索広告 → 自社サイトの専門情報 → 資料請求 |
3行目は順序が特に重要です。地図検索で新規を集め、口コミで選ばれる状態を作り、LINEで再来店につなげる。この順序を飛ばしてLINEから始めると、配信する相手がいません。
2行目のように検討期間が長い場合、広告だけでは決まりません。比較検討のために自社サイトが見られるため、そこに情報がなければ広告費が無駄になります。
なぜ業種別の記事が当てはまらないのか
- 同じ業種内で客層が分かれる:急性と慢性、新規と継続
- 商圏が事業者ごとに違う:駅前と郊外では取るべき手段が変わる
- 価格帯が違う:単価が高いほど検討期間が延びる
- 体制が違う:電話に出られるか、更新できる人がいるか
- 既存客の数が違う:ゼロからか、蓄積があるか
特に5つ目が効きます。既存客がいる事業と、これから作る事業では、同じ業種でも優先順位が逆になります。既存客がいるなら再来店の仕組みが最も費用対効果が高く、いないなら新規獲得しか選択肢がありません。
予算が限られる場合の順序
- 今ある問い合わせがどこから来ているか調べる:既に効いている経路を伸ばす
- 受け皿を確認する:サイト、電話、予約の導線が機能しているか
- 4軸で最優先のチャネルを1つ決める:分散させない
- 判断できる金額を確保する:分けると全部が中途半端になる
- 2〜3か月動かす:短期で切り替えない
- 成果が出てから2つ目を足す
1番目を飛ばして新しいチャネルから始める例が多くあります。既に問い合わせが来ている経路があるなら、そこを伸ばすのが最も確実です。来店時に「どこで知りましたか」を聞くだけで分かります。
2番目については、どこで止まっているかの切り分けが先です。手順はホームページから問い合わせが来ない原因の切り分け方|5段階で診断するにまとめています。集客を増やす前に、受け皿が機能しているかを確認してください。
新しいチャネルより先に、今来ている問い合わせの経路を伸ばす。
「どこで知りましたか」を聞くだけで、優先順位が分かる。
チャネルを増やす前に確認すること
| 確認項目 | 確認できていない場合 |
|---|---|
| 現在の経路別の問い合わせ数 | どこを伸ばすべきか判断できない |
| 1件あたりにかけられる金額 | 予算の上限が決まらない |
| 対応できる件数の上限 | 問い合わせが増えても対応しきれない |
| 更新・運用の担当 | 始めても止まる |
| 成果の記録方法 | 効果を判断できない |
3行目は見落とされがちです。予約が埋まっている時間帯に広告を打っても、機会を増やせません。空いている時間帯や、閑散期に絞って配信するほうが同じ予算で効果が出ます。
2行目については、売上比率ではなく粗利から逆算してください。1件の粗利のうち何割まで獲得に使えるかを先に決めれば、予算の上限は自動的に出ます。
業種別の設計はこちらから
4つの軸で自社の型が分かったら、実際の業種での設計を確認してください。同じ業種でも業態が違えば軸の値は変わります。自社の軸と照らして読むと、そのまま当てはめるべき部分と、変えるべき部分が判別できます。
| 業種 | 設計の要点 | 詳しくは |
|---|---|---|
| 飲食店 | 満席の時間帯に広告を出さない | 飲食店の集客に効くWeb広告とは |
| 美容室・サロン | 新規不足より失客を疑う | 美容室・サロンの集客戦略 |
| 整体院・治療院 | 広告表現の制約から逆算する | 整体院・治療院の集客戦略 |
| フィットネスジム | 在籍月数が広告費の上限を決める | フィットネスジムの集客戦略 |
| 学習塾 | 決裁者と利用者が違う | 学習塾の集客に効くWeb広告戦略 |
| 英会話スクール | 無料体験は申込を増やし来校を減らす | 英会話スクールの集客戦略 |
| ペットサロン | 来店周期が読めるので次回予約が効く | ペットサロン・トリミングサロンの集客戦略 |
| 不動産 | 賃貸と売買を別の事業として設計する | 不動産店舗の集客戦略 |
| 士業事務所 | 案件の種類ごとに設計を分ける | 士業事務所の集客に効くWeb広告戦略 |
| 中古車販売店 | 在庫と広告を連動させる | 中古車販売店の集客に効くWeb広告戦略 |
| リフォーム会社 | 補助金は上乗せであって土台ではない | リフォーム会社の集客戦略 |
| ドローンスクール | 受講目的で予算も検討期間も違う | ドローンスクールの集客戦略 |
| エンタメ店舗 | 個人来店と貸切予約は別の設計 | ダーツバー・エンタメ店舗の集客戦略 |
よくある失敗
業種名で検索した記事の通りにやる
同じ業種でも条件が違えば答えが変わります。4つの軸で自社の位置を確認してください。
複数のチャネルを同時に始める
予算が分散し、どれも判断できる量に届きません。1つに絞って2〜3か月動かしてください。
既存の経路を調べずに新しいことを始める
既に効いている経路を伸ばすほうが確実です。来店時に聞くだけで分かります。
受け皿を整えずに集客を増やす
流入が増えても問い合わせにつながりません。導線の確認が先です。
競合と同じチャネルを選ぶ
競合の条件と自社の条件は違います。同じ業種でも商圏と客層が異なれば、答えは変わります。
よくある質問
4つの軸で判定が分かれる場合はどうしますか
売上構成比の大きいほうで判断してください。複数の客層を持つ事業では、主力の客層に合わせて選び、副次的な客層は後から足します。同時に両方を狙うと、どちらにも届きません。
チャネルはいくつまで持つべきですか
運用できる数までです。担当が1人なら2つが上限になります。数を増やすより、1つの精度を上げるほうが成果は出ます。
業種特有のポータルサイトは使うべきですか
並列比較される業種では、掲載しないと検討の土俵に乗らないことがあります。ただし費用対効果の測り方に注意が必要です。判断の基準は口コミ・予約ポータルサイトは使い続けるべきか|費用の測り方と依存度の下げ方を参照してください。
チャネルを切り替える判断はいつしますか
2〜3か月動かして、問い合わせ数と獲得単価の両方が想定を大きく下回った場合です。ただし受け皿や訴求に原因がないかを先に確認してください。チャネルを変えても同じ結果になることがあります。
複数の媒体に予算を配分する考え方は
最初は1つに集中し、成果が出てから2つ目を足す順序が確実です。同時に始める場合の配分は複数媒体への広告予算配分の考え方|テスト予算と本予算の分け方で扱っています。
まとめ
業種名から集客方法を探しても自社に当てはまらないのは、同じ業種の中で条件が分かれるためです。判定に必要なのは、緊急性、検討期間、商圏、再来店の4つの軸だけです。この4つを埋めれば、優先すべきチャネルはほぼ決まります。
複数の軸で同じチャネルが挙がったものが最優先です。緊急性が高く、検討期間が短く、商圏が狭い事業なら地図検索が3回登場します。逆に検討期間が長く商圏が広いなら、広告より先に自社サイトの情報量が効いてきます。比較検討のために必ずサイトが見られるためです。
そして新しいチャネルを始める前に、今来ている問い合わせがどこから来ているかを調べてください。来店時に「どこで知りましたか」と聞くだけで分かります。既に効いている経路を伸ばすほうが、新しいチャネルを立ち上げるより確実です。あわせて、対応できる件数の上限も確認してください。予約が埋まっている時間帯に広告を打っても、機会は増えません。
当社では広告運用代行において、条件に合わせたチャネル設計からご相談を承っています。自社の優先順位を整理したい場合は、資料をダウンロードのうえご活用ください。