求人媒体を検討するとき、掲載料の金額で比較すると判断を誤ります。安い媒体で応募がゼロなら費用対効果は無限に悪く、高い媒体でも採用に至れば結果的に安くなります。
比較すべき単位は採用1名あたりの費用です。そしてこの数字は媒体の力だけで決まるわけではなく、原稿の内容と応募後の対応にも左右されます。媒体を変える前に、自社側の要因を確認する必要があります。
この記事では、課金の仕組みごとの違い、比較すべき単位、自社に合う媒体の判定、そして媒体を変える前に確認すべきことを整理します。料金体系は変更されるため、検討時には各媒体の最新情報を確認してください。
この記事でわかること
・掲載料ではなく採用1名あたりで比較する
・課金の仕組みによってリスクの所在が違う
・媒体で変わる部分と、原稿で変わる部分を分ける
・職種と地域で有効な媒体が変わる
・媒体を変える前に応募後の対応を確認する
・評価は応募数ではなく採用数と定着率で行う
掲載料ではなく採用1名あたりで比較する
媒体の比較は、次の式で揃えてください。
- その媒体にかかった総額を出す(掲載料、オプション、成功報酬すべて)
- その媒体経由の応募数を数える
- そのうち面接に進んだ数、採用に至った数を数える
- 総額 ÷ 採用数 が、採用1名あたりの費用になる
- 定着率まで含めるなら、一定期間在籍した人数で割る
| 比較する単位 | 分かること | 限界 |
|---|---|---|
| 掲載料 | 初期の負担 | 成果と無関係 |
| 応募1件あたり | 集客の効率 | 質が反映されない |
| 採用1名あたり | 実質の費用 | 最も実用的 |
| 定着1名あたり | 本当の費用 | 測るのに時間がかかる |
応募単価が安くても、面接に進まない応募ばかりなら意味がありません。採用まで通した数字で比較してください。
採用1名あたりの費用で媒体を並べる。
応募単価が安くても、採用に至らなければ無意味。
課金の仕組みによってリスクの所在が違う
求人媒体の課金には複数の型があり、採用できなかった場合の負担が変わります。
| 課金の型 | 支払うタイミング | リスクの所在 |
|---|---|---|
| 掲載課金 | 掲載時に前払い | 採用できなくても費用が発生 |
| クリック課金 | 閲覧されたとき | 応募がなくても費用が発生 |
| 応募課金 | 応募が来たとき | 採用できなくても費用が発生 |
| 成功報酬 | 採用が決まったとき | 採用時の負担が大きい |
採用の実績が読めない段階では、成果に近い課金のほうがリスクは小さくなります。ただし成功報酬は1名あたりの金額が大きいため、採用数が多い場合は掲載課金のほうが総額で安くなることがあります。
自社の採用計画の規模で判断してください。
実績が読めない段階では、成果に近い課金がリスクが小さい。
採用数が多いなら、掲載課金のほうが総額で安くなることがある。
媒体で変わる部分と、原稿で変わる部分を分ける
応募が集まらないとき、媒体を変えれば解決するとは限りません。
| 症状 | 疑うべき箇所 | 対応 |
|---|---|---|
| 表示はされるが閲覧されない | 職種名、給与の表示 | 原稿の見出し部分 |
| 閲覧はされるが応募がない | 仕事内容、条件の書き方 | 原稿の本文 |
| 応募はあるが面接に来ない | 連絡の速さ、日程調整 | 運用 |
| 面接するが採用に至らない | 求める人物像とのずれ | 原稿の条件記載 |
| そもそも表示されない | 媒体内での露出 | 媒体側の要因 |
媒体側の要因といえるのは、最後の1行だけです。他は原稿と運用で改善できます。媒体を変える前に、この切り分けを行ってください。
原稿の書き方は店舗の求人広告で応募を増やす方法|媒体で変わる部分と、原稿で変わる部分を参照してください。
応募が集まらない原因の多くは、媒体ではなく原稿と運用にある。
媒体を変える前に、どこで落ちているかを切り分ける。
職種と地域で有効な媒体が変わる
同じ媒体でも、職種と地域によって集まる人数は大きく変わります。
- 地域によって、利用されている媒体が異なる
- 職種によって、求職者が使う媒体が分かれる
- 雇用形態(正社員、パート)で有効な媒体が変わる
- 同じ媒体でも、その地域での掲載数によって埋もれ方が違う
- 検索エンジン型の媒体は、原稿の書き方の影響が大きい
他社の成功事例をそのまま当てはめられません。自社の職種と地域で、実際に応募が来るかをテストして判断してください。複数媒体を同時に試すと比較できますが、費用がかかるため、まず2つ程度から始めるのが現実的です。
職種と地域で有効な媒体は変わる。他社事例は当てはまらない。
まず2つ程度でテストし、実績で判断する。
媒体を変える前に応募後の対応を確認する
応募があっても採用に至らない場合、多くは応募後の対応に原因があります。
| 確認項目 | 基準 | 改善の効果 |
|---|---|---|
| 応募への連絡までの時間 | 当日中が望ましい | 非常に大きい |
| 連絡手段 | 応募者が使いやすい手段 | 大きい |
| 面接日程の柔軟性 | 在職中でも来られるか | 大きい |
| 面接での説明内容 | 条件の齟齬がないか | 採用後の定着に影響 |
| 不採用連絡の有無 | 全員へ連絡する | 評判に影響 |
応募から連絡までの時間は、他社との競合において最も差がつく要素です。求職者は複数社に応募しており、先に連絡が来た会社から面接が進みます。媒体費を上げるより、この対応を改善するほうが効果が大きい場合があります。
応募後の管理は応募が集まらない原因の切り分け方|求人広告・採用サイト・応募フォームのどこで止まっているかを参照してください。
応募から連絡までの速さが、最も差がつく要素。
媒体費を上げるより、対応の改善が効くことがある。
評価は応募数ではなく採用数と定着率で行う
応募数を目標にすると、条件を実態より良く見せる方向に流れます。その結果、入社後の齟齬で早期退職が起きます。
| 見る指標 | 分かること | 頻度 |
|---|---|---|
| 採用数 | 実際の成果 | 毎月 |
| 採用1名あたり費用 | 媒体の効率 | 四半期 |
| 入社後3か月の定着率 | 条件と実態の一致 | 四半期 |
| 応募から面接までの率 | 対応の速さ | 毎月 |
| 応募数 | 母数 | 参考 |
早期退職が発生すると、採用費用は二重にかかります。定着率まで含めて評価しないと、実質の費用が分かりません。条件を良く見せて集めた応募は、この形で跳ね返ります。
応募数ではなく、採用数と定着率で判断する。
早期退職が起きると、採用費用は二重にかかる。
よくある失敗
掲載料の安さで媒体を選ぶ
応募がなければ費用対効果は成立しません。採用1名あたりで比較してください。
原稿を変えずに媒体だけ変える
応募が集まらない原因の多くは原稿と運用にあります。切り分けてから判断してください。
他社の成功事例をそのまま採用する
職種と地域で有効な媒体は変わります。自社でテストして判断してください。
応募後の連絡が遅い
求職者は複数社に応募しています。先に連絡が来た会社から面接が進みます。
条件を実態より良く見せる
入社後の齟齬で早期退職が起き、採用費用が二重にかかります。
よくある質問
複数媒体を同時に使うべきですか
比較のためには有効ですが、費用がかかります。まず2つ程度から始め、採用1名あたりの費用を比較してください。片方に明確な優位があれば集約し、なければ職種ごとに使い分ける判断になります。
自社の採用サイトは必要ですか
媒体経由の応募者も、多くは会社名で検索して自社の情報を確認します。判断材料が不足していると、応募の途中で離脱します。媒体費をかけるなら、受け皿となる情報の整備も並行して行ってください。考え方は中小企業が採用サイトを作るべき理由と制作のポイントを参照してください。
給与は幅を持たせて書くべきですか
実態に基づく範囲であれば問題ありません。ただし上限だけを強調して実際にはほぼ該当しない場合、入社後の齟齬につながります。応募時点で期待値を合わせるほうが、結果的に定着します。
応募がまったく来ない場合はどうすべきですか
まず表示されているかを確認してください。表示があるのに閲覧されないなら職種名と給与の見せ方、閲覧されるのに応募がないなら仕事内容と条件の書き方に原因があります。媒体を変えるのは、この確認の後です。
SNSでの採用は媒体の代わりになりますか
補完にはなりますが、置き換えは難しい場合が多くなります。求職者が探す場としては求人媒体が主流であり、SNSは会社の雰囲気を伝える役割が中心になります。使い分けは採用にSNS広告を使う方法|求人媒体との違いと、応募につながる訴求を参照してください。
まとめ
求人媒体を掲載料の金額で比較すると判断を誤ります。安い媒体で応募がゼロなら費用対効果は成立せず、高い媒体でも採用に至れば結果的に安くなるためです。比較すべき単位は採用1名あたりの費用であり、掲載料、オプション、成功報酬をすべて含めた総額を採用数で割って揃えてください。
ただしこの数字は媒体の力だけで決まるわけではありません。応募が集まらない原因の多くは、媒体ではなく原稿と応募後の対応にあります。表示されているのに閲覧されないなら職種名と給与の見せ方、閲覧されるのに応募がないなら仕事内容の書き方、応募はあるが面接に来ないなら連絡の速さが原因です。媒体側の要因といえるのは、そもそも表示されていない場合だけです。
特に応募から連絡までの時間は、他社との競合で最も差がつく要素です。求職者は複数社に応募しており、先に連絡が来た会社から面接が進みます。媒体費を上げるより、この対応を改善するほうが効果が大きい場合があります。そして評価は応募数ではなく採用数と定着率で行ってください。条件を実態より良く見せて集めた応募は、入社後の齟齬による早期退職という形で跳ね返り、採用費用が二重にかかります。
当社ではホームページ制作において、採用サイトの設計をご相談いただけます。採用全体の導線整理はお問い合わせよりご連絡ください。