類似オーディエンスは、既存顧客と似た特徴を持つ人へ配信する機能です。ただし「似ている」の基準は、こちらが渡したデータで決まります。
渡したデータが「サイト訪問者全員」であれば、サイトを訪問する人に似た人が集まります。その中には、対象外の人も大量に含まれます。
この記事では、精度を決める元データの選び方と、期待できる範囲を整理します。
この記事でわかること
・精度を決めるのは元データであるという構造
・元データの選び方(質の高い順)
・件数が足りない場合の対処
・拡張の幅をどう設定するか
・効果の確認方法
精度を決めるのは元データ
類似オーディエンスの品質は、機能の性能ではなく渡した元データの質で決まります。
| 元データ | 集まる人 | 精度 |
|---|---|---|
| サイト訪問者全員 | サイトを見る人に似た人 | 低い |
| 資料ダウンロード者 | 資料を落とす人に似た人 | 中 |
| 問い合わせ者 | 問い合わせる人に似た人 | 高い |
| 成約した顧客 | 成約する人に似た人 | 最も高い |
| 高単価で成約した顧客 | 単価の高い人に似た人 | 最も高い(件数は少ない) |
下に行くほど精度は上がりますが、件数は減ります。ここがこの機能の難しさです。件数が最低条件を下回ると、そもそも作成できません。
「サイト訪問者全員」を元データにするのは、最も手軽で最も精度が低い選択です。
成約者リストを作れるかどうかが、この施策の成否を分けます。
元データの作り方
方法1:サイト上の行動から作る
- 問い合わせ完了ページの到達者:実装が容易
- 資料ダウンロード完了者:同上
- 特定ページの閲覧者:料金ページ、事例ページなど
- 滞在時間・閲覧ページ数の条件:関心の高い訪問者
1番目が基本です。計測が正しく動いていることが前提になります。確認方法はGA4のコンバージョンが計測されない時に確認すべき5つのポイントを参照してください。
方法2:顧客データをアップロードする
成約した顧客の情報をアップロードして元データにする方法です。最も精度が高い一方、取り扱いに注意が必要です。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 取得時の同意 | 広告配信への利用について同意を得ているか |
| プライバシーポリシー | 第三者提供に関する記載があるか |
| アップロードの形式 | 媒体が定める方式に従う |
| データの最小化 | 必要な項目のみをアップロードする |
| 社内の管理ルール | 誰がどこで扱うか |
| 媒体の規約 | データの取り扱い方針を確認 |
要件は法令および媒体規約の改定により変わります。実施前に最新の公的情報と各媒体の公式ドキュメントを確認し、判断に迷う場合は専門家へ相談してください。
件数が足りない場合
元データの件数には最低条件があります。成約者だけでは足りないケースが多くあります。
- 期間を延ばす:直近1年から2年へ
- 1段階手前の行動を含める:成約者+商談実施者
- 複数のCVをまとめる:問い合わせ+資料DL
- それでも足りなければ、まだ導入段階ではない
4番目の判断も必要です。無理に件数を確保するため対象を広げると、精度が落ちて機能しません。まずCV数を増やすことが先です。
最低件数の条件は媒体ごとに異なり、変更されることもあります。各媒体の公式ヘルプで確認してください。
拡張の幅
媒体によっては、元データとの類似度をどこまで広げるかを設定できます。
| 幅 | 対象人数 | 精度 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| 狭い | 少ない | 高い | まずここから |
| 中程度 | 中 | 中 | 配信量が足りない場合 |
| 広い | 多い | 低い | 認知拡大が目的の場合 |
狭い設定から始めてください。精度を確認してから広げるほうが、無駄な配信を減らせます。いきなり広く設定すると、通常のターゲティングと変わらない結果になります。
地域指定との併用
店舗・地域ビジネスでは、必ず地域指定と併用してください。類似オーディエンスは全国から対象を集めるため、商圏外の人に配信されます。
地域設定の方法はGoogle広告の地域ターゲティング設定方法|商圏に絞った集客のコツを参照してください。
除外設定
類似オーディエンスには、すでに顧客である人も含まれます。
- 既存顧客リストを除外する:すでに成約した人への配信は無駄
- サイト訪問者を除外する:新規獲得が目的の場合
- CV済みユーザーを除外する
- リターゲティング配信と重複させない:同じ人に二重に配信しない
4番目が見落とされます。リターゲティングと類似オーディエンスを同時に配信すると、同じ人に重複して表示され、費用が二重にかかります。
効果の確認方法
類似オーディエンスの評価は、通常の新規向け配信と比較して行います。
| 比較対象 | 見る指標 | 判断 |
|---|---|---|
| 類似オーディエンス配信 | CPA、CV数、成約率 | 通常配信より良いか |
| 通常のターゲティング配信 | 同上 | 比較の基準 |
| 全体 | CV数、CPA | 合計で改善しているか |
「類似オーディエンスのCPAが良い」だけでは判断できません。通常配信から予算を移しただけの可能性があります。全体のCV数で確認してください。
成約率まで見る
問い合わせ件数が増えても、成約率が落ちていれば意味がありません。元データの質が低い場合、対象外の問い合わせが増えます。
流入元別の成約率を記録してください。方法は問い合わせ後の歩留まりを改善する|リード管理の始め方を参照してください。
使うべきでない条件
| 状況 | 理由 | 先にやること |
|---|---|---|
| CV数が月に数件 | 元データの件数が足りない | CV数を増やす |
| 計測が不正確 | 元データが誤っている | 計測の修正 |
| 検索広告を取り切っていない | より効率の良い獲得が残っている | 検索広告の拡大 |
| 商圏が極端に狭い | 対象者が少なすぎる | MEO、検索広告 |
| 成約データを記録していない | 精度の高い元データを作れない | 記録の運用 |
3番目が優先順位の判断です。検索広告でまだ取れる需要があるなら、そちらが先です。インプレッションシェアを確認してください。
よくある失敗
失敗1:サイト訪問者全員を元データにする
最も手軽ですが、最も精度が低い選択です。
失敗2:いきなり広い拡張幅で設定する
通常のターゲティングと変わらない結果になります。狭い設定から始めてください。
失敗3:地域指定と併用しない
商圏外に配信されます。地域ビジネスでは必須です。
失敗4:既存顧客を除外しない
すでに成約した人への配信は無駄です。
失敗5:CPAだけで評価する
通常配信から予算を移しただけの可能性があります。全体のCV数と成約率で見てください。
よくある質問
Q. どのくらいの件数があれば作成できますか?
媒体ごとに最低条件が定められており、変更されることもあります。公式ヘルプで確認してください。ただし最低条件ぎりぎりでは精度が出ないため、余裕のある件数が望ましくなります。
Q. 元データはどのくらいの頻度で更新すべきですか?
自動で更新される設定がある場合はそれを使ってください。手動でアップロードする場合は、月次または四半期での更新が実務的です。古いデータのままでは、現在の顧客層とずれます。
Q. 顧客リストのアップロードは必須ですか?
必須ではありません。サイト上の行動(問い合わせ完了など)からも作成できます。個人情報の取り扱いに不安がある場合は、そちらから始めてください。
Q. 精度が低い場合はどうしますか?
元データを見直してください。より成約に近い行動を条件にする、期間を絞る、拡張幅を狭くする——この3つで改善する可能性があります。
Q. リターゲティングとどちらを優先すべきですか?
目的が違います。リターゲティングは既存の訪問者を戻す施策、類似オーディエンスは新規を獲得する施策です。ただし、どちらも検索広告を取り切ってから検討してください。
まとめ
類似オーディエンスの精度は、機能の性能ではなく、渡した元データの質で決まります。「サイト訪問者全員」を元データにするのは、最も手軽で最も精度が低い選択です。
元データは、成約に近い行動ほど精度が上がります。理想は成約した顧客のリストですが、件数が足りない場合は問い合わせ完了者から始めてください。無理に対象を広げて件数を確保すると、精度が落ちて機能しません。
設定では、拡張幅を狭くすることと、地域指定・除外設定を併用することが重要です。特に地域ビジネスでは、地域指定なしでは商圏外に配信されます。
評価は、CPAだけでなく全体のCV数と成約率で行ってください。通常配信から予算を移しただけであれば、事業としては何も変わっていません。
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