スクロール率を見ると、訪問者がページのどこまで読んだかが分かります。特定の位置で急に減っていれば、そこで読むのをやめた人が多いということです。
ただし止まった場所が原因とは限りません。読むのをやめる判断は、その手前で読んだ内容によって起きています。急減した位置を直しても改善しないことがあるのは、このためです。
この記事では、数字の読み方、離脱が正常な箇所との見分け方、原因の切り分け、そして改善の順序を整理します。
この記事でわかること
・急減した位置が原因とは限らない
・離脱が正常な箇所もある
・見るべきは到達率と、その位置の内容
・スクロール率だけでは原因が分からない
・改善は上から順に行う
・評価は到達率ではなく成果で行う
急減した位置が原因とは限らない
読むのをやめる判断は、その位置ではなく、手前の内容によって起きています。
| 観察される現象 | 実際の原因 | 直すべき箇所 |
|---|---|---|
| ある見出しの直前で急減 | 手前の内容で納得できなかった | 手前の説明 |
| 料金の直後で急減 | 金額が想定と合わなかった | 料金か、その前の価値提示 |
| 最初の画面で急減 | 何のページか分からない | 冒頭の見出しと説明 |
| 長い文章の途中で急減 | 読む負荷が高い | 文章量と構成 |
| 特定の画像の直後で急減 | 読み込みが遅い | 画像の最適化 |
急減した位置の要素を消しても、改善しないことがあります。その位置は結果であり、判断は手前で起きています。
読むのをやめる判断は、手前の内容で起きている。
急減した位置を直しても改善しないことがある。
離脱が正常な箇所もある
すべての減少が問題ではありません。目的を達成した後の離脱は正常です。
| 位置 | 減少の意味 | 対応 |
|---|---|---|
| ボタンの直後 | 押して次へ進んだ | 正常 |
| 料金の直後 | 予算が合わない層の離脱 | 一部は正常 |
| 最初の画面 | 対象外の訪問者 | 流入元を確認する |
| 説明の途中 | 理解できずに離脱 | 問題 |
| 最下部の手前 | 読み切る手前で断念 | 問題 |
ボタンを押して遷移した人は、スクロールを止めた人として記録されます。この分を問題として扱うと、誤った改善をします。ボタンのクリック数と併せて確認してください。
目的を達成した後の離脱は正常。
ボタンの直後の減少は、クリック数と併せて見る。
見るべきは到達率とその位置の内容
数字だけを見ても判断できません。その位置に何があるかとセットで確認してください。
- ページを一定の区間に分け、各区間への到達率を出す
- 急減している区間を特定する
- その区間と、その手前の内容を実際に読む
- 自分が読み手ならどこで判断を止めるかを考える
- 仮説を立て、優先度をつける
数字を見た後に、実際にページを読む工程が必要です。この工程を省くと、何を直せばよいか決まりません。細かい挙動の確認はヒートマップ分析のやり方|何を見て、どこを直すのかを参照してください。
数字を見た後、その位置の内容を実際に読む。
この工程を省くと、何を直すか決まらない。
スクロール率だけでは原因が分からない
他の情報と組み合わせることで、原因の切り分けができます。
| 組み合わせる情報 | 分かること |
|---|---|
| 流入元 | 対象と違う人が来ていないか |
| デバイス | 特定の環境で問題が起きていないか |
| 滞在時間 | 読んでいるのか、すぐ離脱したのか |
| 表示速度 | 読み込みで待たされていないか |
| クリックの位置 | 押したい要素があったか |
スマートフォンだけ極端に到達率が低い場合、原因は内容ではなく表示にあります。この切り分けをせずに文章を直しても、改善しません。
流入の質は検索語句レポートの見方と除外キーワードの決め方でも確認できます。
デバイス別に見ると、内容の問題か表示の問題か切り分けられる。
流入元を確認しないと、対象違いを見落とす。
改善は上から順に行う
複数箇所で減少していても、上から順に直してください。
- 上の区間で失った人は、下の区間には到達しない
- 下を直しても、そこまで来る人が増えなければ効果は小さい
- 上を直すと、下の数字も変わるため再測定が必要
- 同時に複数を直すと、何が効いたか分からない
最も上流の減少から着手するのが効率的です。特に最初の画面での減少は、それ以降のすべてに影響します。
冒頭の設計はファーストビュー設計の重要性|離脱を防ぐ最初の3秒の作り方を参照してください。
上流の減少から直す。下を直しても到達者が増えない。
同時に複数を直すと、何が効いたか分からない。
長さそのものを疑う
到達率が全体的に低い場合、ページが長すぎる可能性があります。
| 状態 | 疑うこと | 対応 |
|---|---|---|
| 中盤以降の到達率が低い | 情報量が多すぎる | 優先度の低い内容を削る |
| 同じ内容が繰り返される | 構成の重複 | 統合する |
| 判断に不要な情報が多い | 書き手都合の内容 | 読み手の判断軸で並べ替える |
| 下部にしか要点がない | 順序の問題 | 要点を上に移す |
読ませたい内容が下部にある場合、上に移せないかを検討してください。下まで読ませる努力より、順序を変えるほうが確実です。
情報量の判断はミニマルなWebデザインが成立する条件|情報を減らして成果が上がる場合と、下がる場合を参照してください。
下まで読ませる努力より、順序を変えるほうが確実。
全体的に到達率が低いなら、長さそのものを疑う。
評価は到達率ではなく成果で行う
到達率を上げること自体は目的ではありません。
| 指標 | 位置づけ | 注意 |
|---|---|---|
| 最下部への到達率 | 参考 | 上げても成果と無関係なことがある |
| ボタンのクリック数 | 重要 | 途中で押されていれば十分 |
| 問い合わせ数 | 最重要 | 最終的な成果 |
| 区間ごとの到達率 | 診断用 | 原因の特定に使う |
途中でボタンを押した人は、最下部に到達しません。この場合、到達率が低くても成果は出ています。到達率は診断のための指標であり、改善の目標ではありません。
到達率は診断用の指標であり、目標ではない。
途中で押した人は最下部に到達しない。
よくある失敗
急減した位置の要素を消す
その位置は結果であり、判断は手前で起きています。手前の内容を確認してください。
ボタン直後の減少を問題として扱う
押して遷移した人が含まれます。クリック数と併せて確認してください。
数字だけを見て改善案を出す
その位置に何があるかを実際に読んでください。数字だけでは何を直すか決まりません。
下の区間から直す
そこまで来る人が増えなければ効果は小さくなります。上流から着手してください。
到達率を目標にする
途中で押した人は到達しません。成果で判断してください。
よくある質問
計測にはどのような設定が必要ですか
スクロールの深さを記録する設定が必要です。標準で取得できる場合と、追加の設定が必要な場合があります。仕様は変更されるため、公式の情報を確認してください。設定の考え方は店舗ビジネスのためのGA4×GTM計測設定ガイドを参照してください。
何割まで到達すればよいですか
基準となる割合はありません。ページの長さと目的によって変わります。他社の数値と比べるより、自社の改善前後で比較してください。
スマートフォンとパソコンで数字が違うのは問題ですか
画面の高さが違うため、同じ内容でもスクロール量が変わります。数値をそのまま比較せず、それぞれの中で急減している位置を見てください。
記事ページでも見るべきですか
有効です。読まれていない箇所が分かれば、構成の見直しに使えます。ただし記事は途中で目的を達成することもあるため、到達率の低さがそのまま問題とは限りません。
改善した後、どのくらいで判断できますか
判断できる件数が集まるまでです。訪問数が少ないページでは時間がかかります。件数が少ない段階での差は、偶然の可能性があります。
まとめ
スクロール率を見ると、訪問者がページのどこで読むのをやめたかが分かります。ただし止まった場所が原因とは限りません。読むのをやめる判断はその手前で読んだ内容によって起きているため、急減した位置の要素を消しても改善しないことがあります。
また、すべての減少が問題ではありません。ボタンを押して遷移した人は、スクロールを止めた人として記録されます。この分を問題として扱うと誤った改善につながるため、クリック数と併せて確認してください。料金の直後の減少も、予算が合わない層の離脱であれば一部は正常です。
改善に着手する順序は、上流からです。上の区間で失った人は下の区間に到達しないため、下を直しても効果は限定的になります。そして数字を見た後に、その位置の内容を実際に読む工程が必要です。この工程を省くと何を直せばよいか決まりません。到達率そのものは診断のための指標であり、上げること自体が目的ではないことにも注意してください。
当社ではホームページ制作において、データに基づくページ改善をご相談いただけます。計測の設計から進めたい場合はお問い合わせよりご連絡ください。