店のショップカードを作りたいが、名刺と何が違うのか分からない。レジ横に置いているが、減らない。営業時間を変えたら、刷ったカードがすべて使えなくなった。店舗の販促の相談では、こうした声がよくあります。
ショップカードは、名刺と同じ大きさでも、渡す相手と役割が違う販促物です。名刺は商談の相手に連絡先を渡すものですが、ショップカードは店に来た客に、次にもう一度来てもらうため、あるいは知り合いに店を紹介してもらうために渡します。役割が違えば、載せることも、渡し方も変わります。
この記事では、役割の分け方、レジ横に置くか手で渡すか、載せる情報と載せない情報、スタンプカードやLINEのショップカードとの使い分け、部数と効果の確かめ方を、店舗や小規模な事業者を前提に整理します。
この記事でわかること
・ショップカードの役割は再来店・紹介・場所の記憶のどれか。先に1つ決める
・レジ横に置くだけでは、ほとんど持ち帰られない。渡したい客には会計のときに手で渡す
・営業時間・定休日・価格など変わる情報は印刷しない。QRコードでGoogleビジネスプロフィールやWebに任せる
・スタンプを押すなら紙かLINEかを先に決める。両方を同時に始めると、どちらも貯まらない
・部数は1年で使い切る量。効果は、カードを持って来た客とQRコードからの訪問で数える

ショップカードと名刺は、渡す相手と役割が違う
結論として、ショップカードは「店の連絡先」ではなく「次に来る理由」を渡すものとして作ります。名刺の作り方をそのまま当てはめると、店名と住所と電話番号だけのカードになり、受け取った客がそれを見返す理由がありません。
| ショップカード | 名刺 | |
|---|---|---|
| 渡す相手 | 店に来た客。多くは個人 | 商談や打ち合わせの相手 |
| 渡す場面 | 会計のとき、袋に入れて、レジ横から客が自分で取る | 初めて会ったときに手渡しで交換する |
| 受け取った人がすること | 次に来るか、知り合いに渡すか、場所を調べる | 後日、連絡するか、会社を調べる |
| しまわれる場所 | 財布、カード入れ、袋の中。捨てられることも多い | 名刺入れ、名刺管理のアプリ |
| 載せる中心 | 次に来る理由、場所、予約や注文の方法 | 氏名、会社の事業、連絡先 |
大きさは名刺と同じ91×55ミリが多く使われています。財布やカード入れに収まり、印刷の費用も抑えやすいためです。大きさが同じでも、名刺のように「交換したら必ず受け取ってもらえる」わけではない点が違います。ショップカードは、客が要らないと思えば受け取らず、受け取っても袋ごと捨てられます。
名刺の作り方は名刺デザインを依頼する前に決めること|営業ツールとして機能させるで扱っています。
先に決めること1:役割を1つに絞る
最初に、カードを受け取った客に何をしてほしいかを1つ決めます。役割によって、表に大きく載せることが変わります。
| 役割 | 受け取った客にしてほしいこと | 表に大きく載せること | 向いている店 |
|---|---|---|---|
| 再来店 | 次も来る。予約する | 予約の方法、次回使える特典、スタンプ | 美容室、整体、飲食店など、同じ客が繰り返し来る店 |
| 紹介 | 知り合いに渡す | 何の店か、どんな人に向いているか | 口コミで客が増える店。紹介した人と紹介された人の両方に特典を付ける店 |
| 場所の記憶 | 後で地図で探して来る | 店名、何の店か、地図アプリで探せる手がかり | 路地裏や2階など、場所が分かりにくい店。観光客の多い店 |
| 通販や予約サイトへの案内 | 家に帰ってからWebで買う、予約する | QRコードと、その先で何ができるか | 実店舗とネットショップの両方を持つ店 |
役割を決めないまま作ると、どの役割にも中途半端なカードになります。再来店のための予約方法と、紹介のための店の説明と、場所の地図をすべて表に載せると、91×55ミリでは何も目に入りません。表には1つの役割に必要なことだけを載せ、残りは裏面に回します。
紹介に使うカードは、受け取った客の知り合いが読むことになります。店に来たことのない人が読んでも、何の店か分かるかが基準です。店名だけでは分かりません。「髪を切る店」「足のむくみをとる整体」のように、業種と得意なことを一言で載せます。
先に決めること2:置くか、手で渡すか
レジ横に置いておくだけでは、ショップカードはほとんど持ち帰られません。客が自分から取るのは、もともと店を気に入って、また来るつもりのある人です。カードがなくても来る人に、カードを渡していることになります。
| 渡し方 | 届く客 | 向いている役割 | 注意すること |
|---|---|---|---|
| レジ横やテーブルに置く | 自分から手に取る客。すでに店を気に入っている人 | 紹介(知り合いに渡す分を持ち帰ってもらう) | 置いただけでは減らない。減らないことは、効いていないことの目安になる |
| 会計のときに手で渡す | 初めて来た客、まだ迷っている客 | 再来店 | 誰に渡すかを決めておく。全員に渡すと、カードの費用が増えるだけになる |
| 買った品の袋に入れる | 買った客全員 | 通販や予約サイトへの案内 | 袋ごと捨てられやすい。品と一緒に使うときに目に入る場所に入れる |
| 配送の荷物に同梱する | ネットで買った客 | 実店舗への来店、次の注文 | 店に来たことのない客なので、場所より次の注文の方法を載せる |
手で渡すときは、一言を添えます。「次回これをお持ちいただくと」「ご予約はこちらから」のように、カードで何ができるかを口で伝えると、受け取った客はカードを見返す理由を持ちます。この一言は、店の誰が渡しても同じになるように決めておきます。
先に決めること3:変わる情報は載せない
営業時間、定休日、価格、メニューのように変わる情報は、ショップカードに印刷しません。ショップカードは財布の中に何か月も残ります。営業時間を変えたあとで、古いカードを見て来た客が閉まった店の前に立つことになり、刷った残りもすべて使えなくなります。
| 情報 | カードに印刷するか | 理由 |
|---|---|---|
| 店名・何の店か | 印刷する | 変わらない。カードの役割の中心 |
| 住所・最寄り駅からの道順 | 印刷する | 移転しない限り変わらない |
| 電話番号 | 予約や問い合わせを電話で受けるなら印刷する | 変わりにくい |
| 営業時間・定休日 | 印刷しない。どうしても載せるなら「詳しくはWebで」と添える | 季節や人手で変わる。祝日や年末年始は例外が出る |
| 価格・メニュー | 印刷しない | 改定のたびにカードが使えなくなる |
| 期間の決まった特典 | 印刷しない。載せるなら期限のない特典にする | 期限が過ぎたカードが財布に残り、使えないと分かって客ががっかりする |
| QRコード | 印刷する | 変わる情報を、カードを刷り直さずに伝える手段になる |
変わる情報は、QRコードの先に任せます。来店型の店なら、営業時間を最新にしておく場所はGoogleビジネスプロフィールが確実です。地図で店を探した人が最初に見る場所で、臨時休業や祝日の営業時間も設定できます。設定の進め方はMEO対策とは?Googleビジネスプロフィールで来店数を増やす具体的手順で扱っています。
QRコードの先は、店のトップページより、カードの役割に合ったページにします。再来店が役割なら予約のページ、通販への案内なら商品の一覧です。QRコードの先のURLは、カードを刷ったあとに変えられないため、店のサイトを作り直してもそのURLが残るかを確かめてから刷ります。
QRコードの横に「何が見られるか」を書く
QRコードだけを置いても、客は読み取る理由が分かりません。「ご予約はこちら」「営業時間はこちら」のように、読み取ると何ができるかを一言添えます。QRコードは、印刷が小さすぎるとスマートフォンで読み取れないことがあります。刷る前に、試し刷りを実際のスマートフォンで読み取って確かめます。
先に決めること4:スタンプを押すなら、紙かLINEか
再来店が役割なら、ショップカードにスタンプ欄を付けて、ポイントカードと兼ねる方法があります。一方で、LINE公式アカウントには、紙のポイントカードをLINEの上に置き換える「ショップカード」という機能があります。来店や購入のときに、店が用意したQRコードを客がスマートフォンで読み取るとポイントが付き、貯まったポイントに応じて店が決めた特典を渡せます。
| 紙のスタンプカード | LINEのショップカード | |
|---|---|---|
| 客がすること | 財布に入れて、来店のたびに出す | LINEで店を友だちに追加し、来店のたびにQRコードを読み取る |
| 持ち歩き | 財布に入れ忘れると、その日のスタンプを押せない。なくすと作り直しの対応が要る | カードを持ち歩かなくてよい |
| 店ができること | 来た客に渡すだけ。客に連絡はできない | 友だちになった客に、メッセージで知らせることができる |
| 向いている客 | スマートフォンの操作に慣れていない客が多い店 | LINEを日常的に使う客が多い店 |
| 気をつけること | スタンプの偽造。押すたびに店の印を変えるなどで防ぐ | メッセージを送りすぎるとブロックされる。プランによって、無料で送れる通数に上限がある |
紙とLINEの両方を同時に始めると、スタンプが2か所に分かれて、どちらも貯まりません。どちらか1つに決め、もう一方に移るなら、移る日と、紙に貯まったスタンプの扱いを決めて客に知らせます。
LINEに寄せる場合でも、紙のショップカードは無くなりません。紙のカードの役割を「LINEの友だちに追加してもらう入口」に変えます。QRコードの横に、友だちになると何が届くか、ポイントで何がもらえるかを書きます。店頭で友だちを増やす方法はLINE公式アカウントの友だちを増やす方法|店頭とWebの施策と、増やしすぎない設計で扱っています。
デザインで決めること
デザインは、店の看板や袋、メニューと見た目を揃えます。ショップカードを財布から出したときに、どの店のカードか一目で分かることが、再来店のきっかけになります。
- 店名とロゴは看板と同じにする:カードと看板の見た目が違うと、地図で探して前まで来た客が、店を見つけられないことがある
- 何の店かを一言で載せる:店名から業種が分からない店ほど必要。紹介用のカードでは特に
- 裏面を使う:表に役割の中心、裏に地図と道順、QRコードを分けて置く
- スタンプ欄は書き込める紙にする:表面に光沢のある加工をすると、スタンプのインクが乾かずにこすれる。スタンプを押す面は加工しない
- 文字を小さくしすぎない:91×55ミリに情報を詰めると、電話番号や道順が読めなくなる。載せる情報を減らして文字を大きくする
店の見た目の軸がまだ決まっていないなら、カードより先にブランドコンセプトの作り方|すべてのデザインの軸になる考え方で扱っている、店として何を大事にするかを決めると、看板やカードの判断がぶれなくなります。
部数は、1年で使い切る量を刷る
ショップカードの部数は、1日に渡す枚数から逆算します。1枚あたりの単価は多く刷るほど下がりますが、住所やQRコードの先が変われば、残ったカードはすべて捨てることになります。
| 1日に渡す枚数(例) | 営業日数(例) | 1年で使う枚数 | 刷る部数の目安 |
|---|---|---|---|
| 5枚(初めての客にだけ手で渡す) | 年300日 | 1,500枚 | 1,000〜2,000枚 |
| 20枚(買った客全員の袋に入れる) | 年300日 | 6,000枚 | 数千枚。半年ごとに刷り足す |
| レジ横に置くだけ | — | 減り方を1か月見て決める | まず少なく刷る |
最初は少なめに刷り、1〜2か月の減り方を見てから刷り足します。減り方が分かれば、渡し方を変えたときにも部数を見直せます。デザインの元データを受け取っておけば、刷り足しのたびにデザイン費がかかることはありません。
効果は、カードを持って来た客の数で確かめる
ショップカードの効果は、カードを渡した客のうち、何人がもう一度来たかで確かめます。渡した枚数だけでは、効いているかは分かりません。
| 確かめること | 数え方 | 動かなかったときに見直す場所 |
|---|---|---|
| カードを持って再来店した客 | カードを出すと使える特典を付け、使われた数を数える | 特典の中身、渡すときの一言 |
| QRコードから見られた数 | QRコードのURLにUTMパラメータを付け、アクセス解析で数える | QRコードの横の一言、QRコードの先のページ |
| 紹介で来た客 | 初めての客に「何で知りましたか」と聞く。紹介の特典を使った数を数える | 紹介用のカードに、店に来たことのない人向けの説明があるか |
| カードの減り方 | 月の初めと終わりに残りの枚数を数える | 置く場所、手で渡す相手 |
QRコードのURLにUTMパラメータを付けておくと、カードから来た訪問を、Web広告やSNSからの訪問と分けて数えられます。付け方はUTMパラメータの設計と命名規則|流入元を正しく計測する方法で扱っています。
費用の回収は、再来店1回あたりの粗利で考えます。たとえばデザインと印刷の費用が合わせて3万円で、1回の来店で残る粗利が1,500円なら、カードがきっかけの再来店が20回あれば元が取れます。カードを渡した客のうち何人が戻れば20回に届くかを先に出しておくと、続けるか、渡し方を変えるかを決めやすくなります。
よくある失敗
名刺と同じ項目を並べる
店名・住所・電話番号だけのカードは、受け取った客に見返す理由がありません。次に来る理由か、紹介したくなる一言を載せます。
営業時間や価格を印刷する
変わった時点で、財布の中のカードも、刷った残りも使えなくなります。変わる情報はQRコードの先のGoogleビジネスプロフィールやWebに任せます。
レジ横に置いて終わりにする
自分から取るのは、カードが無くても来る客です。再来店を促したいなら、初めて来た客に会計のときに手で渡し、一言を添えます。
紙のスタンプとLINEのポイントを同時に始める
スタンプが2か所に分かれて、どちらも貯まりません。どちらか1つに決め、移るなら移る日と、紙に貯まったスタンプの扱いを知らせます。
期限付きの特典を印刷する
期限が過ぎたカードが財布に残り、使えないと分かった客をがっかりさせます。カードに載せる特典は期限のないものにし、期間限定の特典はLINEやWebで知らせます。
よくある質問
ショップカードの大きさはどう選べばよいですか
名刺と同じ91×55ミリが多く使われています。財布やカード入れに収まり、印刷の費用も抑えやすい大きさです。形を変えると目には留まりますが、財布に入らず捨てられやすくなります。スタンプ欄を広く取りたい場合は、2つ折りにする方法もあります。
名刺とショップカードを1枚で兼ねてもよいですか
店主が自分で営業もしている小さな店なら、兼ねてもかまいません。ただし、商談の相手に渡す名刺と、店の客に渡すカードでは、載せる中心が違います。兼ねるなら、表を店の客向け、裏を取引先向けの連絡先にするなど、面で分けます。
デザインは自分で作れますか
作れます。多くの印刷会社やデザインツールが、名刺サイズのひな形を用意しています。ただし、QRコードが読み取れるか、スタンプのインクがこすれないかは、試し刷りで確かめてください。店名やロゴを載せるカードは、看板や袋と見た目を揃えると、店を覚えてもらいやすくなります。
LINEのショップカードにしたら、紙のカードは要りませんか
要らなくなるのはスタンプ欄です。紙のカードは、LINEの友だちに追加してもらう入口として残ります。QRコードの横に、友だちになると何が届くか、ポイントで何がもらえるかを書いて渡します。
まとめ
ショップカードは、名刺と同じ大きさでも、店に来た客に、次に来る理由を渡す販促物です。デザインの前に、再来店・紹介・場所の記憶のどれが役割かを1つ決めます。
レジ横に置くだけでは、カードが無くても来る客にしか届きません。再来店を促したい客には、会計のときに一言を添えて手で渡します。営業時間や価格など変わる情報は印刷せず、QRコードの先のGoogleビジネスプロフィールやWebに任せます。
スタンプを押すなら、紙かLINEのどちらか1つに決めます。部数は1年で使い切る量にし、効果はカードを持って来た客とQRコードからの訪問で確かめます。販促物全体の考え方は販促物は何を作るべきか|種類ごとの使い分けと、品目より先に決める4つの条件で扱っています。
ショップカードや看板、のぼり旗、チラシなどの店頭の販促物のデザインは販促・広告デザインで承っています。会社紹介資料は資料ダウンロードから、ご相談はお問い合わせからご連絡ください。