クリニックや歯科医院からWeb集客の相談を受けるとき、他業種と決定的に違う点が1つあります。集客の打ち手を考える前に、何を言ってよいかが法令で決まっていることです。

他業種であれば標準的に使われる施策が、医療機関では使えません。患者の声を載せる。施術前後の写真を並べる。「地域No.1」と書く。「今なら初回半額」と出す。これらはいずれも、医療機関のサイトや広告では原則として認められていません。真実かどうかは関係なく、表示そのものが規制の対象になります。

「歯科医院 集客」「クリニック 集客」で検索して出てくる記事の多くは、この前提を後半の注意書きに回しています。MEO、SNS、リスティング広告、ホームページ改善といった施策を先に並べ、最後に「医療広告ガイドラインに注意しましょう」と付け足す構成です。順序が逆になっています。使える表現が決まってから施策の効き方が決まるのであって、施策を選んでから表現を調整するのでは、作り直しになります。

そのうえで、規制を理由に打ち手が無くなるわけではありません。規制が縛っているのは訴求の言い方であり、集客手段そのものではないからです。この記事では、2026年4月に施行された改正の内容、広告できることの決まり方、保険診療と自由診療で変わる規制の重さ、体験談と口コミの線引き、そして制約の下で配分を寄せるべき打ち手とKPIを整理します。業種を問わないチャネルの選び方は自社の業種に合う集客チャネルの決め方|業種名ではなく4つの軸で選ぶで扱っています。

この記事でわかること

・医療機関の広告は限定列挙。書いてよいことが法令で決められている

・ウェブサイトは限定解除の要件を満たせば範囲が広がるが、禁止広告は解除されない

・体験談は限定解除しても不可。ビフォーアフターは詳細な説明を付せば可

・2026年4月1日施行の改正でオンライン診療受診施設の広告規制が新設された

・保険診療と自由診療で規制の重さが違う。同じ院内でも設計を分ける

・厚生労働省の委託事業として、第三者が通報できる監視の経路が常設されている

・保険診療は単価が公定価格。広告費の上限は制度側で決まっている

他業種の集客施策は、医療機関でそのまま使えるか
他業種の集客施策は、医療機関でそのまま使えるか

集客手段は減らない。減るのは訴求の言い方

最初に、規制の効き方を正しく捉えておく必要があります。医療広告の規制は、集客チャネルを禁止しているのではありません。検索広告を出してはいけない、SNSを使ってはいけない、といった規定はありません。規制しているのは、そこに載せる表示の内容です。

この区別が付いていないと、判断を2方向に誤ります。一方は「医療は規制が厳しいから広告はやめておく」と過度に萎縮する誤りで、もう一方は「他院もやっているから大丈夫」と表示の内容を確認しないまま進める誤りです。正しくは、チャネルは他業種と同じように選び、表示の内容だけを別の基準で作ります。

そのため実務上は、次の順序になります。

  1. 自院の診療内容を、保険診療と自由診療に分ける
  2. それぞれについて、広告可能な事項と、限定解除で書けるようになる範囲を確認する
  3. 使える表現の範囲が決まってから、ページとクリエイティブを作る
  4. そのうえで、チャネルごとの配分を決める

順序を守る理由は、作り直しのコストが大きいからです。広告のクリエイティブもランディングページも、表現を前提に構成が決まります。体験談を軸にした構成を作ったあとで削ると、残るのは骨組みだけになります。

なお、整体院・接骨院・鍼灸院は医療広告等ガイドラインの直接の対象ではありません。医業または歯科医業に当たらないためです。ただし規制が無いわけではなく、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師等については、それぞれの法律で別に広告の制限が定められています。この領域の集客設計は整体院・治療院の集客戦略|地域名検索と地図表示を軸にした設計で扱っています。医科・歯科と同じ基準で考えないでください。

また、医療広告の規制と、景品表示法や薬機法は別の軸で働きます。医療広告等ガイドラインを満たしていても、景品表示法上の不当表示になることはあります。表現そのものの適法性は広告表現で問題になりやすい言い方|景表法・薬機法と媒体ポリシーの整理で整理しています。

規制されているのは表示の内容であって、チャネルではない。

使える表現を決めてからページと広告を作る。逆にすると作り直しになる。

2026年4月に何が変わったか

医療広告の指針は、2026年3月30日に改正されました。厚生労働省医政局長通知(医政発0330第4号)によるもので、2026年4月1日から施行されています。改正されたのはガイドライン本体、Q&A、そして「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」の3点で、事例解説書は第6版になりました。

実務上まず押さえるべきは、通称が変わったことです。これまで「医療広告ガイドライン」と呼ばれていたものが、「医療広告等ガイドライン」になりました。正式名称である「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」は変わっていません。制作会社や代理店の提案書、あるいは検索して出てくる解説記事が旧称のままであれば、それは2026年3月以前の内容を参照している可能性があります。

項目 内容
改正日 2026年3月30日(令和8年3月30日)
通知 医政発0330第4号
施行日 2026年4月1日
通称の変更 医療広告ガイドライン から 医療広告等ガイドライン へ
改正された文書 ガイドライン本体、Q&A、事例解説書(第6版)
新設された章 オンライン診療受診施設に関する広告について

内容面で新設されたのが、オンライン診療受診施設に関する規定です。医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)によってオンライン診療が法令上に位置づけられ、患者がオンライン診療を受ける場所として「オンライン診療受診施設」が制度化されました。これに伴い、その施設に関する広告を制限する規定が置かれました。

この施設については、医療の内容を含まない広告であっても患者を誘引する性質を持つと整理されており、オンライン診療受診施設である旨を、医療を受ける者が理解できる方法で明示したうえでなければ広告できません。広告できる事項も、施設の名称、所在地、設備、営業時間、予約の要否といった範囲に限られます。

自院の外に受診場所を設ける形でオンライン診療を提供している場合、あるいは今後その形を検討している場合は、告知の作り方がこの規定の対象になります。該当しない一般の診療所であっても、事例解説書が第6版に更新された点は確認しておく価値があります。第6版では、InstagramやYouTube、TikTokといったSNSでの発信について、何が違反に当たるかが事例として具体化されました。院長個人のアカウントで発信している場合も、誘引性が認められれば広告として扱われます。SNS運用そのものを始めるかどうかの判断は店舗のSNS運用は何から始めるか|媒体の選び方と、続けない判断で扱っています。

2026年3月30日改正、4月1日施行。通称は「医療広告等ガイドライン」に変わった。

オンライン診療受診施設の広告規制が新設され、事例解説書は第6版でSNSの事例が具体化された。

書いてよいことは、あらかじめ決められている

医療機関の広告が他業種と根本的に違うのは、規制の方向です。一般の広告規制は「これをやってはいけない」という禁止の形を取りますが、医療広告は「これは書いてよい」という限定列挙の形を取ります。列挙されていない事項は、原則として広告できません。

広告可能な事項として定められているのは、医師や歯科医師である旨、診療科名、名称と所在地と連絡先、診療日時、そして法令で定められた資格や施設の基準に関する事項などです。共通しているのは、客観的な評価が可能で、事後の検証ができる事項に限られていることです。治療の効果や技術の優劣といった、検証しにくい事項は入りません。

この限定列挙のままでは、患者が診療内容を比較して選ぶための情報が足りません。そこで用意されているのが限定解除です。患者が自ら求めて入手する情報、つまりウェブサイトのような媒体については、一定の要件を満たせば限定列挙の枠を外せます。

限定解除の要件 適用範囲
患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること すべて
表示される情報について患者等が容易に照会できるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること すべて
自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること 自由診療のみ
自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること 自由診療のみ

1つ目の要件が意味しているのは、媒体の性質です。患者が自分で検索してたどり着くウェブサイトは限定解除の対象になりますが、こちらから一方的に届けるものは対象になりません。看板、チラシ、ダイレクトメール、そして不特定多数に配信されるバナー広告は、限定解除の枠外に置かれると考えて設計してください。検索広告のリンク先ページは自ら求めて入手する情報に当たり得ますが、広告文そのものは別に判断されます。

ここで最も見落とされるのが、次の点です。限定解除は、広告できる事項の範囲を広げるだけであって、禁止されている広告を許すものではありません。虚偽広告、比較優良広告、誇大広告、そして体験談は、要件を満たしても認められません。「ウェブサイトなら限定解除で書ける」という理解のまま体験談を載せている例が実際に多く、ここが最初につまずく場所です。

広告できる事項は限定列挙。ウェブサイトは4要件を満たせば限定を解除できる。

3つ目と4つ目の要件は自由診療のみ。限定解除しても禁止広告は認められない。

保険診療と自由診療では、規制の重さが違う

同じ「クリニック」でも、扱う診療の種類によって設計は大きく変わります。限定解除の要件のうち2つが自由診療にだけかかるためです。この差を意識せずに1つのサイトを作ると、保険診療のページは要件を満たしているのに、自由診療のページだけが要件を欠くという状態になります。

保険診療(内科・小児科・一般歯科など) 自由診療(矯正・インプラント・美容など)
価格 公定価格。院ごとの差はほぼ無い 院ごとに設定。比較の対象になる
限定解除の要件 2つ 4つ(内容・費用とリスク・副作用の記載が加わる)
費用の表示 自己負担の目安を示す程度 通常必要とされる費用を具体的に示す
リスクの表示 求められる場面は限られる 主なリスク・副作用の記載が必須
競合の相手 同一商圏の他院 商圏を越えた他院。遠方からも来院する
集客の主戦場 MEO・指名検索・地域名検索 診療内容の検索・比較検討

保険診療の集客は、実質的に商圏の勝負になります。価格が制度で決まっているため差別化の余地が乏しく、選ばれる理由は近さ、予約の取りやすさ、診療時間、そして評判に集約されます。ここで効くのはGoogleビジネスプロフィールと指名検索であり、費用対効果の面でも最初に整えるべき場所になります。地図表示での上位化についてはMEO対策とは?Googleビジネスプロフィールで来店数を増やす具体的手順を参照してください。

自由診療は構造が異なります。価格を自院で決められる以上、患者は複数の院を比較します。商圏も広がり、電車で1時間かけて通う患者が現実に存在します。そのぶん、費用とリスクを具体的に書く義務が発生します。矯正歯科で「〇〇万円から」とだけ書き、総額の目安も治療期間も抜歯の可能性も書いていないページは、要件を満たしていません。

実務としては、同じサイトの中で自由診療のページ群だけを別のテンプレートにするのが扱いやすい形です。治療内容、標準的な費用の総額、治療期間と回数、主なリスクと副作用、この4点を必ず同じページ内に置く枠を作ります。ページごとに書いたり書かなかったりする状態が、最も指摘を受けやすくなります。

限定解除の4要件のうち2つは自由診療にのみ適用される。

保険診療は商圏と指名検索の勝負。自由診療は費用とリスクの記載が前提になる。

体験談と口コミは、どこで線が引かれるか

医療機関の集客で最も判断を誤りやすいのが、この論点です。結果から書くと、自院が載せる体験談は不可、患者が自発的に書いた口コミは広告に当たらない、という線引きになります。

禁止されているのは、患者その他の者の主観または伝聞に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談の広告です。内容が事実であっても認められません。個々の患者の状態は異なるため、体験談が他の患者に誤認を与えるおそれがあるという考え方によります。他業種で信頼要素として機能する「お客様の声」が、医療機関ではそのまま使えないということです。掲載の一般的な考え方は「お客様の声」の効果的な掲載方法|信頼につながる集め方と見せ方で扱っていますが、医科・歯科ではこの方法を採れません。

一方で、Googleマップなどに患者が自発的に書き込んだ口コミは、医療機関の広告ではありません。広告に当たるかどうかは誘引性と特定性で判断され、医療機関が費用を負担したり便宜を図ったりして書かせたものでなければ、そもそも広告として扱われないためです。

やり方 扱い
自院サイトに患者の体験談を掲載する 不可
体験談を引用してSNSに固定表示する 不可
謝礼や割引と引き換えに口コミを依頼する 誘引性が生じる。避ける
来院した患者に口コミの投稿をお願いする 可。便宜供与を伴わないこと
投稿された口コミに院として返信する 可。返信の中で効果をうたわないこと

つまり医療機関では、信頼の材料を自院サイトの内側ではなく、外側に置くことになります。これは制約であると同時に、口コミの重要度が他業種より相対的に高いという意味でもあります。依頼の仕方と返信の作法はGoogleマップの口コミを増やす方法|依頼の仕方と返信のコツ、低評価が付いたときの対応は悪い口コミへの対応方法|返信の型と、削除依頼が通る条件で整理しています。

患者が投稿したコンテンツを自院で二次利用する場合は、さらに注意が要ります。許諾を得て転載した時点で、それは自院が掲載した表示になります。治療の内容や効果に触れていれば体験談の禁止に当たり得ますし、依頼して書かせたものであれば景品表示法上のステルスマーケティング規制の問題にもなります。二次利用の考え方はUGCを集客に活用する方法|二次利用の許諾と、依頼が「広告」になる線引きを参照してください。

では自院サイトには何を置くのか。体験談の代わりに置けるのは、客観的に検証できる事実です。症例数、在籍する医師の経歴と保有資格のうち広告可能なもの、導入している設備、対応できる診療内容、診療実績の件数。いずれも数えられるか、確認できるものです。「患者様に喜ばれています」ではなく「年間の症例数は〇件です」に置き換える作業になります。

自院が載せる体験談は事実であっても不可。患者が自発的に書いた口コミは広告ではない。

信頼の材料は自院サイトの外側に置く。サイト内には検証できる事実を並べる。

ビフォーアフター写真は、条件を満たせば掲載できる

術前術後の写真は、体験談とは扱いが違います。体験談が一律で不可であるのに対し、ビフォーアフター写真は条件付きで認められます。ここを混同して「写真も全部だめ」と理解している例が多くあります。

原則としては広告できません。加工した写真や、効果の著しい例だけを選んで並べた写真は、誇大広告として扱われます。ただし、その写真に、通常必要とされる治療内容や費用等に関する事項と、治療等の主なリスクや副作用等に関する事項について詳細な説明を付した場合は、禁止される表示に当たらないとされています。

実装するときの要点は、説明を写真と同じ画面に置くことです。

別ページへのリンクで済ませたり、ページ下部の注記にまとめたりする形は避けてください。スクロールしなければ説明に到達しない構成は、写真だけを見て判断される余地を残します。症例ごとに写真と説明を1つの塊として組み、テンプレート化しておくのが確実です。

運用上は、テンプレートを先に作ることが効きます。院内で撮影した写真をあとから掲載する流れになるため、説明の枠が空欄のまま公開できてしまう作りにしないことが実質的な対策になります。入力必須の項目としてCMS側で縛っておけば、担当者が変わっても抜けません。

ビフォーアフターは原則不可だが、詳細な説明を付せば掲載できる。

説明は写真と同じ画面に置く。CMS側で必須項目にして抜けを防ぐ。

制約の下で、配分を寄せる先

使える表現が限られると、施策ごとの費用対効果の順番が他業種と変わります。訴求の強さで差を付けられないぶん、見つけられる状態を作ることの比重が上がるためです。

打ち手 規制の影響 優先度
Googleビジネスプロフィールの整備 小さい。事実の記載が中心 最優先
自院サイトの診療内容ページ 限定解除の要件を満たせば広く書ける 高い
指名検索の受け皿 ほぼ影響なし 高い
地域名と診療内容の検索対策 影響なし。表現に注意する程度 高い
検索広告 広告文が限定解除の枠外。書ける内容が狭い 中程度
SNSでの情報発信 誘引性があれば広告として扱われる 中程度
ディスプレイ・SNS広告のクリエイティブ 限定解除が及ばず、作れる幅が最も狭い 低い

最初に手を付けるべきはGoogleビジネスプロフィールです。診療時間、休診日、駐車場の有無、対応する診療科目、予約手段といった情報は、そのほとんどが事実の記載であり、規制の制約をほとんど受けません。にもかかわらず未整備の医療機関が多く、投じる費用に対する効果が最も大きい領域として残っています。

次に自院サイトの診療内容ページです。限定解除の要件を満たしたウェブサイトは、医療機関が最も自由に書ける媒体になります。広告のクリエイティブでは書けないことも、ここでなら書けます。したがって、広告費を増やす前に、このページ群の情報量を先に埋めるのが順序として正しくなります。地域名を含むページの作り方は地域キーワードのコンテンツ設計|量産せずに成果を出す方法、対策する語の選び方はSEOキーワードの選び方|検索数で選ぶと問い合わせにつながらない理由で扱っています。

逆に、優先度を下げるべきはバナー広告のクリエイティブです。限定解除が及ばず、体験談もビフォーアフターも使えない条件下で作れる訴求は、名称と診療科目と所在地の提示にほぼ限られます。他業種であれば表現で差を付けられる領域が、医療では最も差の付きにくい領域になります。ここに制作費を投じるより、診療内容ページとGoogleビジネスプロフィールに回すほうが回収は早くなります。

表現で差が付けられないぶん、見つけられる状態を作る施策の比重が上がる。

限定解除が及ぶ自院サイトが最も自由に書ける媒体。バナーが最も狭い。

見張っているのは、行政だけではない

医療広告の規制が他業種と違うもう1つの点は、第三者が通報できる経路が制度として常設されていることです。

厚生労働省は「医業等に係るウェブサイトの監視体制強化事業」を委託事業として実施しており、医療機関ネットパトロールという窓口が置かれています。誰でも、違反の疑いがあるウェブサイトを通報フォームから報告できます。受け付けている類型には、内容が虚偽であること、他機関との不当な比較、誇大な表現、治療内容の説明不足、費用の記載不足、リスクや副作用の記載不足、口コミや体験談の掲載、ビフォーアフター写真の掲載が含まれます。窓口は医療機関ネットパトロールで公開されています。

つまり、患者からの苦情がなくても、競合する医療機関や第三者の通報によって指摘が始まり得ます。「他院もやっているから大丈夫」という判断が成立しにくい構造です。

指摘を受けた場合、直ちに罰則が科されるわけではありません。通常は行政指導から始まり、応じない場合に中止命令や是正命令へ進みます。命令に従わないときに罰則が適用される流れです。

罰則の内容は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(医療法第87条第1号)。ここは記述が古くなっている資料が多い箇所です。2025年6月1日に施行された刑法の改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたため、それ以前に書かれた解説は「懲役」と表記しています。悪質な場合は開設許可の取消しに至ることもあります。

実務的に重い負担は、罰則そのものよりも対応の工数です。指摘を受けた時点でページの公開を止め、内容を精査し、修正して再公開するまで、その診療科の集客が止まります。自由診療の主力ページで起きれば、機会損失は罰金の額を容易に上回ります。事前に整えておく理由はここにあります。

なお、個別の表示が違反に当たるかどうかの最終的な判断は、所管する保健所や自治体の医療広告相談窓口が行います。判断に迷う表現は、公開前に照会してください。厚生労働省が相談窓口の一覧を公開しています。サイトに必要な法定表記の整理は企業サイトに必要な表記の整理|プライバシーポリシーと、特商法表記が要る条件で扱っています。

厚生労働省の委託事業として、第三者が通報できる窓口が常設されている。

行政指導から中止命令へ進み、従わない場合に罰則。重い負担は公開停止による機会損失。

KPIは新患数ではなく、単価と再来率まで見る

医療機関の集客を新患数だけで評価すると、ほぼ確実に判断を誤ります。保険診療は単価が公定価格で決まっているためです。広告に使える金額の上限が、自院の努力ではなく制度側で決まっているということです。

この点は他業種と構造が違います。一般の事業であれば、単価を上げることでCPAの許容値も上げられます。保険診療ではそれができません。したがって、保険診療の集客でCPAを他業種の相場と比べても意味がありません。比較すべきは、自院の1患者あたりの診療報酬と再来回数から逆算した上限値です。基準の決め方は広告のCPA目安はどう決めるか|業種別平均が使えない理由で扱っています。

追う指標 追わなくてよい指標
新患数と、そのうち予約が成立した数 サイトのセッション数
初診から再来につながった割合 問い合わせ件数の絶対値
1患者あたりの累計診療単価 初診時の単価
予約の無断キャンセル率 SNSのフォロワー数
自由診療の相談件数と成約率 PV数
紹介と指名検索の比率 順位そのもの

仮に再来を含めた1患者あたりの累計診療報酬が3万円、そのうち利益として残る割合を3割と置けば、1人あたり9000円が上限の目安になります。予約の10件に3件が来院に至らないなら、予約1件あたりに使える金額はさらに下がります。数値は例であり、自院の実績値に置き換えてください。この逆算をせずに広告費を決めると、新患は増えたのに収支が悪化するという結果になります。

自由診療がある場合は、必ず分けて計算してください。自由診療は単価が桁で違うため、同じ広告アカウントで一括評価すると、保険診療の集客が過大に評価されます。逆に、自由診療の相談は成約までの検討期間が長く、初回接触から数か月かかることも珍しくありません。その期間を織り込まずに広告を止めると、成果が出る直前で撤退することになります。

測定の設計も、着手する時点で決めておく必要があります。来院と再来は電子カルテや予約システムの側で起きるため、広告の管理画面やGA4とは接続されていません。予約の受付時点で流入経路を記録する仕組みが無ければ、後から遡ることはできません。獲得後の歩留まりを管理する考え方は問い合わせ後の歩留まりを改善する|リード管理の始め方、どの段階で止まっているかの切り分けはホームページから問い合わせが来ない原因の切り分け方|5段階で診断するを参照してください。

保険診療は単価が公定価格。広告費の上限は制度側で決まっている。

保険診療と自由診療は分けて計算する。混ぜると保険側が過大に評価される。

よくある失敗

限定解除すれば体験談も書けると理解している

限定解除は広告できる事項の範囲を広げるだけで、禁止広告を許すものではありません。体験談は要件を満たしても掲載できません。最初につまずく場所であり、指摘も受けやすい箇所です。

ビフォーアフター写真の説明を別ページに置いている

治療内容、費用、期間、リスクの説明は、写真と同じ画面に置いてください。リンク先や下部の注記にまとめると、写真だけで判断される余地が残ります。CMSで必須項目にしておくのが確実です。

自由診療のページで費用を「〇〇万円から」とだけ書いている

下限だけの表示は、通常必要とされる費用を提供したことになりません。標準的な総額の範囲、治療期間と回数、主なリスクを併せて示してください。自由診療にだけ課される要件です。

口コミの投稿を割引や謝礼と引き換えに依頼している

依頼そのものは問題ありませんが、費用の負担や便宜の供与を伴うと誘引性が生じます。医療広告の問題であると同時に、景品表示法上のステルスマーケティング規制にも触れます。

保険診療と自由診療を同じ基準で評価している

単価が桁で違うため、同じアカウントで一括評価すると保険診療の集客が過大に評価されます。自由診療は検討期間も長く、途中で止めると成果が出る直前での撤退になります。

院長個人のSNSアカウントだから規制の対象外と考えている

媒体や名義ではなく、誘引性と特定性で判断されます。自院への来院を促す内容であれば広告として扱われます。事例解説書の第6版では、この点が事例として具体化されました。

旧称のまま書かれた資料を基準にしている

2026年3月30日の改正で通称が「医療広告等ガイドライン」に変わりました。提案書や解説記事が旧称のままであれば、それ以前の内容を参照している可能性があります。事例解説書が第6版かどうかで確認できます。

バナー広告のクリエイティブに制作費を集中させている

限定解除が及ばないため、作れる訴求の幅が最も狭い領域です。同じ金額を診療内容ページとGoogleビジネスプロフィールに回すほうが、回収は早くなります。

よくある質問

医療広告等ガイドラインは、ホームページにも適用されますか

適用されます。かつてウェブサイトは広告の規制対象外とされていましたが、現在は対象に含まれています。そのうえで、患者が自ら求めて入手する情報を表示する媒体として、限定解除の要件を満たせば広告できる事項の範囲を広げられる、という構造になっています。適用されないのではなく、条件付きで範囲が広がるという理解が正確です。

患者さんに書いてもらった感想を、名前を伏せれば載せられますか

匿名化しても掲載できません。禁止されているのは患者その他の者の主観または伝聞に基づく治療内容や効果に関する体験談であり、氏名の有無は要件に関係しません。内容が事実であっても同じです。代わりに置くのは、症例数や設備といった客観的に検証できる事実になります。

Googleの口コミに院として返信してもよいですか

返信できます。投稿された口コミ自体は医療機関の広告ではなく、返信も通常は問題になりません。ただし返信の中で治療の効果をうたったり、他の患者にも同じ結果が出ると読める書き方をしたりすると、そこは医療機関自身の表示になります。返信は事実の確認と謝意にとどめてください。

矯正歯科の症例写真を載せたいのですが、何を書けば足りますか

治療内容、通常必要とされる費用の総額、治療期間と通院回数、主なリスクと副作用の4点を、写真と同じ画面に置いてください。抜歯の可能性や、保定期間の必要性も含みます。加工していないこと、撮影条件をそろえていることも前提になります。症例ごとに1つの塊として組む形が確実です。

検索広告は出してよいのですか

出せます。チャネルとして禁止されてはいません。ただし広告文そのものは限定解除の枠外に置いて設計してください。誘導先のランディングページは患者が自ら求めて入手する情報に当たり得ますが、配信される広告文は自ら求めたものとは言えないためです。広告文は名称、診療科目、所在地、診療時間といった範囲で組み立て、詳細はページ側に持たせる形になります。

整体院を併設していますが、同じサイトでよいですか

医科・歯科の診療と、整体や接骨の施術では、適用される法律が違います。医療広告等ガイドラインの対象は医業と歯科医業であり、柔道整復やあん摩マッサージ指圧は別の法律で広告が制限されています。同一のサイトに置くこと自体は可能ですが、ページ単位で基準を分け、どちらの規制が及ぶかを明示してください。混在した表現が最も判断を誤ります。

競合の医院がビフォーアフターを載せています。同じことをしてよいですか

他院の状態は基準になりません。医療機関ネットパトロールとして第三者が通報できる窓口が常設されており、指摘が始まる契機は患者からの苦情に限られません。加えて、その医院が要件を満たす説明を付している可能性もあります。判断に迷う場合は、所管の保健所や医療広告相談窓口へ公開前に照会してください。

集客をどこから始めればよいか分かりません

Googleビジネスプロフィールの整備から始めてください。診療時間、休診日、駐車場、診療科目、予約手段といった事実の記載が中心で、規制の制約をほとんど受けないにもかかわらず、未整備のまま残っている医療機関が多い領域です。そのうえで自院サイトの診療内容ページの情報量を埋め、広告はその後になります。順序を逆にすると、流入を増やしても受け皿が無い状態になります。

まとめ

クリニックや歯科医院の集客で最初に決めるのは、チャネルでも予算でもありません。何を言えるかです。医療機関の広告は限定列挙であり、書いてよいことがあらかじめ定められています。他業種で標準的に使われる体験談、比較優良の訴求、期間限定の価格表示は、真実であっても使えません。

そのうえで、規制されているのは表示の内容であって、集客手段そのものではありません。チャネルは他業種と同じように選び、そこに載せる表現だけを別の基準で作ります。順序としては、自院の診療を保険診療と自由診療に分け、使える表現の範囲を確定させてから、ページとクリエイティブを作ります。逆にすると、体験談を軸に組んだ構成から体験談を抜くことになり、骨組みだけが残ります。

ウェブサイトには限定解除があります。患者が自ら求めて入手する媒体であること、問い合わせ先を明示すること。自由診療についてはこれに加えて、通常必要とされる治療内容と費用、そして主なリスクと副作用を示すこと。この4つを満たせば、医療機関にとって自院サイトが最も自由に書ける媒体になります。だからこそ、広告費を増やす前に診療内容ページの情報量を埋めるほうが順序として正しくなります。ただし限定解除は範囲を広げるだけで、体験談をはじめとする禁止広告は解除されません。

ビフォーアフター写真は、体験談とは扱いが違います。治療内容、費用、期間、主なリスクと副作用について詳細な説明を付せば掲載できます。要点は、その説明を写真と同じ画面に置くことです。別ページへのリンクや下部の注記では、写真だけで判断される余地が残ります。CMS側で必須項目にしておけば、担当者が変わっても抜けません。

2026年3月30日の改正(医政発0330第4号)は同年4月1日に施行され、通称が「医療広告等ガイドライン」に変わりました。オンライン診療受診施設に関する広告の規定が新設され、事例解説書は第6版でSNSでの発信に関する事例が具体化されています。手元の資料が旧称のままであれば、参照している内容が古い可能性があります。

見落とされやすいのが監視の経路です。厚生労働省の委託事業として医療機関ネットパトロールが常設されており、第三者が違反の疑いを通報できます。患者からの苦情がなくても指摘は始まり得るため、他院の状態を基準にする判断は成立しません。指摘を受けた場合の実質的な負担は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金という罰則そのものよりも、修正が終わるまでその診療科の集客が止まることにあります。

最後にKPIです。新患数だけで評価しないでください。保険診療は単価が公定価格で決まっているため、広告に使える金額の上限も制度側で決まっています。他業種のCPA相場と比べても意味がありません。見るべきは、再来を含めた1患者あたりの累計診療単価と、初診から再来につながった割合です。そして自由診療は必ず分けて計算してください。単価が桁で違うため、混ぜると保険診療の集客が過大に評価されます。

これらの数字は広告の管理画面には現れず、予約システムや電子カルテの側にあります。予約を受け付けた時点で流入経路を記録する仕組みが無ければ、後から遡ることはできません。着手する時点で残す形にしておいてください。医療機関のサイト設計や広告運用でお困りの場合はお問い合わせからご相談いただけます。これまでに手がけたサイトは制作実績、会社の紹介資料は資料ダウンロードからご覧いただけます。

卸売業からWeb施策の相談を受けるとき、依頼の形はほぼ「新規の取引先を増やしたい」で共通しています。ところが実際にサイトを作り直したあと最初に起きる問題は、問い合わせが来ないことではありません。取引にならない問い合わせが来ることです。

個人から「1個だけ買えますか」。同業から価格だけ聞いて消えるもの。最低ロットに遠く届かない相手。いずれも返信の手間は同じだけかかります。卸売業は1件あたりの粗利が薄い事業なので、この対応コストは粗利を直接削ります。問い合わせ数をKPIに置くと、営業の時間が埋まるほうへ最適化されていきます。

「卸売業 集客」「BtoB 問い合わせ 増やす」で出てくる記事は、BtoBサイトのCVRは1〜3%、フォームを目立たせる、ペルソナを作る、という構成でほぼ一致します。書いているのはWeb制作会社かマーケティングツールの提供会社です。これらに共通して抜けているのは、卸売業には他の業種に無い制約が3つあるという点です。価格を出せないこと、与信と最低ロットという取引の前提があること、そして買い手が小売店とは限らないことです。

この記事では、卸売業の販売先の構造、サイトに来る4者の分け方、取引条件の開示が問い合わせの質を決めること、取扱商品ページをどこまで作るか、仕入れ側の開拓、そして追うべきKPIを整理します。業種を問わないチャネルの選び方は自社の業種に合う集客チャネルの決め方|業種名ではなく4つの軸で選ぶで扱っています。

この記事でわかること

・卸売業の販売先は小売店だけではない。他の卸売業者と産業用使用者を含む

・2025年の卸売業販売額477兆4630億円は、小売業販売額157兆5120億円の約3.0倍

・サイトに来る4者を入口で分ける。分けないと営業の時間が取引にならない対応で埋まる

・取引条件を先に出すと問い合わせは減る。減ったうえで口座になる率が上がる

・価格は出せない。代わりに出すのは掛率が動く要因という「価格の決まり方」

・KPIは問い合わせ数ではなく、新規口座開設数と、開設後12か月の累計粗利

卸売業のサイトに来る4者と、それぞれに置く情報
卸売業のサイトに来る4者と、それぞれに置く情報

卸売業の買い手は、小売店だけではない

サイトの設計を始める前に確認することがあります。自社の売上が、どの種類の買い手から立っているかです。ここを確認せずに「小売バイヤーに見つけてもらうサイト」を作ってしまう例が実際にあります。

総務省の日本標準産業分類では、卸売業は次の業務を行う事業所と定義されています。

卸売業に含まれるもの 買い手は誰か
小売業又は他の卸売業に商品を販売するもの 小売店、二次卸・三次卸
建設業、製造業、運輸業、飲食店、宿泊業、病院、学校、官公庁等の産業用使用者に商品を大量又は多額に販売するもの 事業者・施設・官公庁
主として業務用に使用される商品を販売するもの 業務用の設備・機械・建設材料などの需要家
製造業の会社が別の場所に経営している自己製品の卸売事業所 メーカーの販売拠点としての取引先
他の事業所のために商品の売買の代理行為を行い、又は仲立人として商品の売買のあっせんをするもの 代理商・仲立業としての委託元と販売先

この定義が示しているのは、卸売業の売上のうち小売店向けは一部にすぎないということです。飲食店、病院、学校、官公庁、建設現場、そして次の卸売業者。それぞれ探し方も、決裁の仕方も、必要な情報も違います。

規模でも同じことが確認できます。経済産業省の商業動態統計によれば、2025年(暦年)の商業販売額は634兆9740億円で、うち卸売業が477兆4630億円、小売業が157兆5120億円でした。卸売業の販売額は小売業の約3.0倍あります。最終消費者に届く金額より卸売の取引額のほうがはるかに大きいのは、同じ商品が卸から卸へと渡ること、そして小売を経由しない産業用・業務用の需要が大きいことによります。

つまり、卸売業のサイトが相手にすべき買い手は、必ずしも店頭を持つ小売店ではありません。自社の販売先構成を業態別に出して、どこが伸ばしたい先かを決めることが最初の作業になります。全体像から施策を選ぶ考え方はWeb集客の全体像|施策の選び方と着手する順序で扱っています。

卸売業の販売先には、他の卸売業者と、飲食店・病院・学校・官公庁などの産業用使用者が含まれる。

2025年の卸売業販売額477兆4630億円は小売業157兆5120億円の約3.0倍。小売経由でない需要が大きい。

サイトに来る4者を、入口で分ける

卸売業のサイトには、目的の異なる4種類の相手が同時に来ます。この4者を1つの問い合わせフォームで受けると、営業の時間が取引にならない対応で埋まります。

誰が来るか 探していること 置くべき情報
開業予定・仕入先を変える店 自社と取引できる相手かどうか 取引条件、最低発注ロット、初回取引の流れ
既存の取引先 商品情報と、担当者への連絡手段 取扱商品の一覧、受注窓口、担当外の連絡先
メーカー・生産者 扱ってくれる卸を探している 取扱商材の募集、販路と物流の条件
個人の消費者 小売より安く買えないか 個人向け販売の可否を明記する

分けるといっても、サイト自体を分ける必要は通常ありません。グローバルナビゲーションの項目と、問い合わせの入口を分ければ足ります。サイトを分けるとドメインの評価も運用も二重になり、更新されないほうが放置されます。ナビゲーションの項目の決め方はグローバルナビの設計|項目の決め方と並べ方を参照してください。

4者のうち、対応を明示するだけで最も工数が減るのは個人の消費者です。「個人のお客様への販売は行っておりません」と1行書くだけで、問い合わせは目に見えて減ります。逆に個人にも販売しているなら、特定商取引法に基づく表記が必要になります。表記の要否判定は企業サイトに必要な表記の整理|プライバシーポリシーと、特商法表記が要る条件で整理しています。

どの段階で止まっているかを切り分ける考え方そのものはホームページから問い合わせが来ない原因の切り分け方|5段階で診断すると同じです。卸売業の場合は、この診断を「取引にならない問い合わせが混ざっている」という前提のもとで行うことになります。

サイトには目的の異なる4者が同時に来る。入口を分けないと対応コストだけが増える。

サイトを分ける必要はない。ナビゲーションの項目と問い合わせの入口を分ければ足りる。

取引条件を先に出すと、問い合わせは減って通過率が上がる

Webの改善というと、フォームの項目を減らす、ボタンを目立たせる、といった話になりがちです。卸売業では、その手前に置くフィルタのほうが効きます。取引の前提を満たさない相手の問い合わせを、問い合わせる前の段階で止める設計です。

これは一般的なCVR改善とは逆方向の判断です。数は減ります。ただし卸売業では、減ったうえで口座になる率が上がるほうが事業として正しい。1件あたりの粗利が薄いため、審査や条件確認で落ちる相手への対応コストが粗利を上回りやすいからです。

開示する項目 書き方の目安
取引できる相手 法人・個人事業主のみ、業態の指定(小売店・飲食店・施設など)
最低発注ロット/最低発注金額 初回と2回目以降で分けて記載する
初回取引の支払条件 前払いか掛けか。掛けに移行する条件
支払サイト 締め日と支払日。手形の有無
対応エリアと配送 配送可能な範囲、送料の負担、リードタイム
許認可が必要な商材 免許・許可の種類を明記する
取引開始までの流れ 問い合わせから初回納品までの段階と、おおよその日数

この一覧を見て「ここまで出すと問い合わせが来なくなる」と感じる場合、判断の基準を確認してください。問い合わせは目的ではなく、口座開設の手前の指標にすぎません。条件を伏せて集めた問い合わせは、与信審査か最低ロットの説明のどこかで落ちます。落ちる場所が問い合わせの前か後かの違いであって、口座になる件数はほとんど変わりません。

変わるのは営業の時間の使われ方です。条件を先に出せば、残った問い合わせは条件を読んだうえで送られてきます。「読んだうえで送ってきた」という事実そのものが、確度の情報になります。

なお、フォームの項目設計そのものにも改善余地はあります。取引条件で絞ったあとに取り組む順序になります。項目の考え方は入力フォームの離脱率を改善するデザインの工夫を参照してください。BtoBサイトで信頼につながる掲載情報の整理は会社案内サイトで信頼感を作る方法|見た目より先に埋めるべき情報で扱っています。

取引条件を先に出すと問い合わせは減るが、口座になる率は上がる。

条件を伏せても落ちる場所が後ろにずれるだけで、口座の数は増えない。

価格は出せない。出すのは「価格の決まり方」

卸売業のサイトで必ず論点になるのが価格です。掛率は取引先ごとに違うため、そのまま出すことはできません。既存の取引先が自社より有利な条件を見つければ、その場で交渉になります。出せない理由には正当性があります。

一方で「価格はお問い合わせください」だけを置くと、比較の土俵にすら乗りません。仕入先を探している側は、複数の候補を並べて絞り込んでから連絡します。金額の手がかりがゼロのページは、その絞り込みの段階で外れます。

解決策は、価格そのものではなく価格の決まり方を出すことです。掛率が何によって動くのかを説明すれば、読み手は自社がどのあたりに入るかを見積もれます。

参考上代が公表されている商材であれば、上代を掲載したうえで「掛率は上記の条件で決まります」と書くだけでも、手がかりとしては十分に機能します。数字を1つも出さないことと、レンジを出すことの差は大きい。

価格で選ばれる形に寄せるべきではない、という点も併せて確認してください。価格を軸に獲得した取引は、次も価格で比較されます。卸売業の競争優位は、品揃え・小ロット対応・リードタイム・在庫の持ち方といった条件面にあります。その条件を言語化して出すことが、価格を出せない事業における実質的な価格開示になります。

掛率は出せないが、掛率が何で決まるかは出せる。

手がかりがゼロのページは、仕入先の絞り込みの段階で候補から外れる。

新規取引の入口は、「開業」と「切り替え」に集中している

検索から新規の取引先を獲得しようとするとき、対象になる相手は限られています。すでに営業している店舗や事業者は、ほぼ例外なく仕入先を持っているからです。問題なく回っている取引をわざわざ検索して変える動機はありません。

検索してくるのは主に2種類です。

  1. 開業を準備している事業者。まだ仕入先が決まっていない
  2. 既存の仕入先に不満がある事業者。欠品、値上げ、担当者の対応、最低ロットの引き上げなどが引き金になる

この2つに向けたページは、書く内容が違います。開業予定者には「取引開始までの流れ」と「開業時に必要な数量の目安」が要り、切り替え検討者には「他社から乗り換える場合の手順」と「並行して取引できるか」が要ります。後者は特に検索されにくいものの、成約すれば取引額が最初から大きくなります。

検索クエリの型もこの2つに対応します。「(商材名) 卸」「(商材名) 仕入れ」「業務用 (商材名)」「(商材名) 小ロット」「(商材名) 卸 個人事業主」。いずれも検索数は多くありません。月間数十回という規模のことも珍しくない。それでも1件が口座になれば数年にわたる取引額になるため、検索数で判断すると見誤ります。キーワードの選定基準はSEOキーワードの選び方|検索数で選ぶと問い合わせにつながらない理由で扱っています。

開業には季節性があることも押さえておいてください。業種によって開業が集中する時期があり、その2〜3か月前から情報収集が始まります。記事や取引条件のページは、その時期に間に合うよう先に用意しておく必要があります。公開してから検索で拾われるまでには時間がかかるためです。

検索してくるのは、開業準備中の事業者と、仕入先の切り替えを検討している事業者。

検索数は少ない。1件あたりの取引額と継続年数で判断する。

取扱商品のページは、どこまで作るか

卸売業は扱う商品数が多く、ここでほぼ必ず判断を求められます。先に決めておくべきことは3つあります。カタログをどう扱うか、どの粒度でページを作るか、取扱終了後にどうするかです。

カタログPDFに閉じ込めない

取扱商品をPDFのカタログ1つにまとめ、ダウンロードのリンクだけを置いている例が多くあります。PDF自体は検索エンジンに読まれることもありますが、閲覧に会員登録や問い合わせを要する形にしていれば読まれません。加えてPDFの中では内部リンクを設計できず、問い合わせへの導線も作れません。更新のたびにファイルごと差し替えになるため、鮮度も保ちにくい。

カタログは既存の取引先向けの資料として残しつつ、新規に向けた取扱商品の情報はHTMLのページとして別に持つのが基本形です。

SKU単位では作らない

商品1点ごとにページを作ると、内容の薄いページが大量に並びます。型番と価格だけが違うページが数千あっても、検索側からは区別されません。用途、課題、カテゴリ、対象業態のいずれかを単位にして、その中で複数の商品を比較できる形にしてください。「飲食店の開業時にそろえる(商材)」「小ロットで仕入れられる(商材)」といった括りです。

似た内容のページが増えてしまった場合の整理は似た内容のページが複数あるときの整理|正規URLの指定と、統合の判断、商品ページで見せる情報の順序は商品ページのデザインで購入率は変わるのか|見せる順序と、離脱を生む要素を参照してください。

取扱終了後の扱いを、作る前に決める

商品は必ず入れ替わります。取扱いが終わったページをどうするかを、ページを作る前に規則として決めておいてください。数千ページを作ってから一括で直すことはできません。

終了後の扱い 選ぶ条件
削除して410を返す 単発の商材。再度取り扱う見込みがない
同じカテゴリの一覧へ301で転送 後継品があり、同じ用途の商品を継続して扱っている
残して終了を明示し、noindexにする 型番で検索されており、既存の取引先が参照する

転送の設計を誤ると評価を落とします。やってよい転送とやってはいけない転送はURLを変えるときのリダイレクト|評価を落とさない手順と、やってはいけない転送で整理しています。

カタログPDFだけでは新規には届かない。HTMLの取扱商品ページを別に持つ。

SKU単位ではなく用途・課題・業態の単位で作り、取扱終了後の扱いを先に決める。

展示会とWebの役割を分ける

卸売業の新規取引は、いまも展示会で始まることが多い領域です。Webはその代替ではなく、前後の導線として設計するほうが成果に近くなります。

段階 Webの役割
展示会の前 出展情報の告知、商談予約の受付、来場前に条件を確認できるページ
会期中 その場で見せる取扱商品のページ、名刺交換後に送るURLの用意
展示会の後 フォローの導線、資料の提供、取引条件と初回の流れの確認

特に効くのは会期前の商談予約です。当日ブースで初めて会う相手と、事前に時間を押さえてある相手では、会話の深さが違います。予約フォームに取引条件のページへのリンクを添えておけば、来場時点で前提が共有されています。

会期後のフォローは、名刺の枚数ではなく追う基準を決めることが要点になります。手順は展示会で集めた名刺を商談につなげる方法|フォローの順序と、追わない基準で扱っています。BtoBのリード獲得手段全体の選び方はBtoBのリード獲得手段はどう選ぶか|獲得単価ではなく商談化率から逆算するを参照してください。

Webは展示会の代替ではなく、前後の導線として設計する。

会期前の商談予約が最も効く。予約時点で取引条件を共有できる。

売り先だけでなく、仕入れ側も開拓の対象になる

卸売業の集客の記事は、ほぼすべてが売り先の開拓だけを扱います。実務では、扱える商材を増やすことも同じくらい売上に近い場所にあります。卸売業の競争優位は品揃えと物流にあり、扱える商材が増えれば、既存の取引先への提案の幅もそのまま広がるからです。

そしてメーカーや生産者の側は、「どの卸に扱ってもらうか」を選んでいます。選ぶ側は、必ず相手のサイトを見ます。それにもかかわらず、取扱商材の募集ページを持っている卸売業者は多くありません。ここは競合が少ないまま空いています。

メーカー側が見ていること サイトに置く情報
どこに売ってくれるのか 販路。業態別の取引先数、対応エリア
どう届けてくれるのか 物流の条件。倉庫、温度帯、配送頻度、小分けの可否
取引開始までに何をするのか 商談から取扱開始までの段階と期間
条件はどうなるのか 取引形態(買取/委託)、支払条件
実際に扱っている商材の傾向 取扱カテゴリと、伸ばしている領域

メーカー側がWebで販路を探すときの考え方は製造業のWebマーケティングは何を増やすべきか|問い合わせ数より先に決める、取りたい引き合いの条件で扱っています。相手が何を見ているかは、相手側の記事を読むほうが早い。

扱える商材が増えれば、既存取引先への提案の幅も広がる。

取扱商材の募集ページを持つ卸売業者は少なく、競合が少ないまま空いている。

KPIは、問い合わせ数ではなく口座と粗利で置く

卸売業でWeb施策を評価するとき、問い合わせ数とCPAだけを見ると必ず判断を誤ります。初回取引の粗利では、獲得コストはまず回収できないからです。初回は小ロットの試験的な発注になることが多く、そこだけを見れば赤字になります。

追う指標 追わなくてよい指標
新規の口座開設数 問い合わせ件数の絶対値
問い合わせから口座開設までの通過率 サイトのセッション数
口座開設後12か月の累計粗利 初回取引の金額
口座あたりの継続月数と、休眠率 資料ダウンロード数の絶対値
取扱商材の新規獲得件数 PV数

広告に使える上限は、口座あたりの累計粗利から逆算します。仮に1口座の年間取引額が300万円、粗利率が15%であれば年間の粗利は45万円です。平均の継続年数を3年と置けば、口座あたりの粗利は135万円になります。問い合わせ10件に1件が口座になるなら、問い合わせ1件あたりに使える金額の上限は、営業対応の人件費を差し引いた残りを10で割った額です。数値は例であり、自社の実績値に置き換えてください。この逆算をせずに問い合わせ単価を他社と比べても、高いか安いかは判断できません。基準の決め方は広告のCPA目安はどう決めるか|業種別平均が使えない理由で扱っています。

測定の設計は、着手する時点で決めておいてください。口座の開設と受注は自社の基幹システムの中で進むため、広告やGA4の管理画面とは接続されていません。問い合わせを受けた時点で流入元を記録しておかなければ、後から遡ることはできません。獲得後の歩留まりを管理する考え方は問い合わせ後の歩留まりを改善する|リード管理の始め方で扱っています。

初回取引の粗利では獲得コストは回収できない。12か月以上の累計粗利で見る。

口座開設は基幹システム側で起きる。問い合わせ時に流入元を記録しないと遡れない。

カタログで取引条件をどこまで開示するか

買い手が商品を絞り込む段階で、仕様と同じくらい効くのが取引条件です。納期や最小ロットが合わなければ、仕様がどれだけ合っていても取引は成立しません。ここを問い合わせの後まで隠すと、確認だけで終わる問い合わせが増えます。

確認すること 判断の基準 詳しくは
商品カタログに、条件をどう載せるか 用途、仕様、取引条件の順に絞り込ませ、納期と最小ロットは後ろに回しすぎない。価格は本体ではなく別紙に置くと、取引先ごとに掛率が違う場合も渡し方を変えられる 商品カタログの作り方|商品順ではなく、買い手が絞り込む順に並べる

よくある失敗

問い合わせ数を目標にする

取引にならない問い合わせが増えても、営業の時間が減るだけです。目標は新規の口座開設数に置き、問い合わせ数はその手前の参考値として見てください。

取引条件を伏せたまま集める

与信、最低ロット、支払条件で落ちる相手は、条件を伏せても後工程で落ちます。落ちる場所が後ろにずれるだけで、口座の数は増えません。増えるのは対応コストです。

個人向け販売の可否を書いていない

卸売業のサイトには個人の消費者が一定数来ます。1行明記するだけで問い合わせが減ります。逆に個人にも売っているなら、特定商取引法に基づく表記が必要になります。

小売バイヤーだけを想定してサイトを作る

販売先には飲食店、施設、官公庁、他の卸売業者が含まれます。自社の販売先構成を業態別に確認せずに設計すると、売上の大きい相手に向けた情報が抜けます。

取扱商品をSKU単位でページ化する

型番と価格だけが違うページが数千あっても、検索側からは区別されません。用途・課題・カテゴリ・対象業態のいずれかを単位にしてください。

取扱終了後の扱いを決めずに商品ページを作る

商品は必ず入れ替わります。410・301・noindexのどれで扱うかを、作る前に規則として決めてください。数千ページを作ってから一括では直せません。

仕入れ側の開拓をサイトの対象に入れていない

メーカーや生産者は、扱ってもらう卸を選ぶときにサイトを見ます。販路と物流の条件を書いたページを持っている卸売業者は少なく、そのまま差になります。

よくある質問

最低ロットを公開すると、小さい取引先を取り逃しませんか

最低ロットを満たさない相手は、公開していなくても取引にはなりません。取り逃すのではなく、対応する前に分かるだけです。むしろ小ロット対応を強みにしているなら、その数値こそ前面に出す材料になります。「小ロット可」とだけ書くより、具体的な数量を書いたほうが問い合わせは増えます。

掛率をまったく出さないと問い合わせが来ないのではないですか

掛率そのものを出す必要はありません。掛率が何によって動くのか(発注量、支払条件、配送条件、継続年数)を説明してください。参考上代が公表されている商材なら上代を載せるだけでも手がかりになります。数字を1つも出さないページは、仕入先の絞り込み段階で候補から外れます。

BtoB向けのECサイトは作るべきですか

集客の観点から言えば、ECを作っても新規の取引先は増えません。ECは既存の取引先の受注業務を効率化するための投資であり、新規開拓とは目的が違います。順序としては、取引条件の開示と取扱商品のページで新規の入口を作るほうが先です。受注業務の改善は、取引先の数と受注の頻度が一定を超えてから検討する話になります。

既存の取引先向けの情報と、新規向けの情報は同じページに置いてよいですか

分けてください。既存の取引先が探しているのは商品情報と担当者への連絡手段で、新規が探しているのは取引できる相手かどうかです。同じページに混ぜると、どちらにとっても読みにくくなります。ナビゲーションで入口を分ければ足り、サイトを分ける必要はありません。

展示会に出ているので、Webは不要ではないですか

展示会で会った相手は、その後ほぼ確実に社名を検索します。そこで取引条件も販路も分からないサイトが出てくると、ブースでの会話が続きません。Webは展示会の代替ではなく、会期前の商談予約と会期後のフォローを支える導線として意味を持ちます。

SEOと広告のどちらから始めるべきですか

まず取引条件と取扱商品のページを整えてください。ここが無い状態で流入を増やしても、取引にならない問い合わせが増えるだけです。整えたあとであれば、指名検索と「(商材名) 卸」系のクエリでの露出を先に押さえ、そのうえで検索広告を足す順序になります。開業の季節性がある業種では、その時期に合わせて広告を寄せる形が取りやすくなります。

扱っている商材が多すぎて、どこから記事にすればよいか分かりません

粗利率が高く、継続して発注される商材から着手してください。卸売業では商材ごとに粗利率も継続性も違います。単価が高くても単発で終わる商材より、金額は小さくても毎月発注される商材のほうが、口座あたりの累計粗利は大きくなります。

まとめ

卸売業のWeb施策で最初に決めるのは、チャネルでも予算でもありません。誰に向けて設計するかです。総務省の日本標準産業分類が定義するとおり、卸売業の販売先には小売店だけでなく、他の卸売業者と、建設業・製造業・飲食店・病院・学校・官公庁といった産業用使用者が含まれます。自社の販売先構成を業態別に出さないまま「小売バイヤー向けのサイト」を作ると、売上の大きい相手に向けた情報が抜けます。

規模の面からも同じことが確認できます。2025年の卸売業販売額は477兆4630億円で、小売業の157兆5120億円の約3.0倍でした(商業動態統計)。小売を経由しない需要が、それだけ大きいということです。

サイトには目的の異なる4者が同時に来ます。開業予定または仕入先を変える店、既存の取引先、扱ってくれる卸を探しているメーカー、そして個人の消費者です。この4者を1つのフォームで受けると、営業の時間が取引にならない対応で埋まります。入口を分けてください。サイトを分ける必要はなく、ナビゲーションの項目と問い合わせの入口を分ければ足ります。

そのうえで、取引条件を先に出します。取引できる相手、最低発注ロット、初回の支払条件、支払サイト、対応エリアと配送、許認可、取引開始までの流れ。これらを出すと問い合わせは減りますが、口座になる率は上がります。条件を伏せても、与信や最低ロットで落ちる場所が後ろにずれるだけです。落ちる件数は変わらず、対応コストだけが増えます。

価格については、掛率そのものは出せなくても掛率が何によって決まるかは出せます。発注量、支払条件、配送の条件、継続年数。この説明があれば、読み手は自社がどのあたりに入るかを見積もれます。数字の手がかりがまったく無いページは、仕入先の絞り込みの段階で候補から外れます。

取扱商品のページは、カタログPDFに閉じ込めず、SKU単位ではなく用途・課題・業態の単位で作ります。そして取扱いが終わったときの扱いを、作る前に規則として決めてください。410で消すのか、同じカテゴリの一覧へ301で転送するのか、終了を明示してnoindexにするのか。数千ページを作ってから一括では直せません。

そして見落とされやすいのが、仕入れ側の開拓です。卸売業の競争優位は品揃えと物流にあり、扱える商材が増えれば既存の取引先への提案の幅もそのまま広がります。メーカーや生産者は、扱ってもらう卸を選ぶときに必ずサイトを見ます。販路と物流の条件を書いたページを持っている卸売業者は多くありません。

最後にKPIです。問い合わせ数ではなく、新規の口座開設数と、開設後12か月の累計粗利で置いてください。初回取引は小ロットの試験的な発注になることが多く、そこだけを見れば必ず赤字になります。そしてこの数字は広告の管理画面には現れず、基幹システムの側にあります。問い合わせを受けた時点で流入元を記録していなければ、後から遡ることはできません。着手する時点で残す形にしておいてください。これまでに手がけたサイトは制作実績、会社の紹介資料は資料ダウンロードからご覧いただけます。

人材会社からWeb施策の相談を受けるとき、依頼の内容はほぼ「登録者を増やしたい」で共通しています。ただし登録者を増やしても売上が動かない会社が一定数あります。求人の在庫が足りていない、あるいは決定率が低いために、登録が増えた分だけ未決定の求職者が積み上がる状態です。

人材ビジネスは、求職者と求人企業の両方が揃わなければ1円も売上になりません。片側だけを増やす施策は、需給の悪い側をさらに悪化させます。そのため最初にやるのは集客チャネルの選定ではなく、どちら側で詰まっているかの判定です。

「人材紹介 集客」「人材派遣 集客」で検索して出てくる記事は、SEO・Indeed・SNS・オウンドメディアを並べる構成でほぼ一致します。書いているのはWeb制作会社か求人媒体の運営会社です。これらの記事に共通して抜けているのは、人材ビジネスでは自社サイトが集客媒体である前に、法律で定められた情報開示の媒体だという点です。派遣のマージン率も、紹介の手数料率も、公開が義務づけられています。集客の前に、比較される情報がすでに外に出ています。

この記事では、詰まっている側の判定方法、事業モデルごとの売上の式、法定開示が競争条件を変えている状況、求人ページを掲載終了後にどう扱うか、そして追うべきKPIを整理します。業種を問わないチャネルの選び方は自社の業種に合う集客チャネルの決め方|業種名ではなく4つの軸で選ぶで扱っています。

この記事でわかること

・求職者側と求人企業側の、どちらが詰まっているかを先に判定する

・登録型派遣・無期雇用派遣・人材紹介で、売上の式もWebの役割も違う

・派遣はマージン率など7項目の情報提供が義務。2021年4月からインターネットが原則

・紹介は2025年4月から、職種ごとの平均手数料率が人材サービス総合サイトで公開される

・求人ページは、掲載終了後の扱いを決めてから作る。的確表示義務と検索の両方に関わる

・KPIは登録者数ではなく、稼働人数と決定数、そして返戻を差し引いた粗利で置く

事業モデルごとに、売上の式もWebの効き方も違う
事業モデルごとに、売上の式もWebの効き方も違う

求職者と求人企業、どちらが詰まっているかを先に判定する

人材ビジネスは、需要と供給の両方を自社で集める必要がある事業です。片側が余っている状態で同じ側を増やしても、増えるのは在庫であって売上ではありません。判定に必要な数字は2つで、どちらも社内の管理台帳から取れます。

確認する数字 計算のしかた 低いときに詰まっている側
決定率 就業開始した人数 ÷ 登録・面談した人数 求人側。紹介できる案件が足りていない
充足率 充足したオーダー数 ÷ 受注したオーダー数 求職者側。条件に合う人が出せていない
失注理由の内訳 決まらなかった案件を理由別に分類 どちらが原因かを個別に確認できる

決定率が低いのに求職者の集客に予算を足すと、面談だけが増えて担当者の稼働が埋まります。登録者1人あたりの対応コストは、決まらなくても発生します。面談・条件確認・フォローの人件費は、成約の有無にかかわらず出ていくためです。ここを踏まえずに登録単価だけで広告を評価すると、赤字の方向に最適化されます。

逆に充足率が低い場合は、求人企業の開拓を止めて求職者側に寄せます。オーダーを取っても埋められない状態が続くと、次のオーダーが来なくなるためです。人材ビジネスでは、取引の継続がオーダー数を決めています。

どちらが詰まっているかは四半期ごとに変わります。年に1度の判定では遅く、月次で見る数字として置いてください。どの段階で止まっているかを切り分ける考え方そのものはホームページから問い合わせが来ない原因の切り分け方|5段階で診断すると同じです。人材ビジネスの場合は、この診断を求職者側と求人企業側で2本持つことになります。

決定率が低ければ求人側、充足率が低ければ求職者側が詰まっている。

詰まっている側と反対に予算を投じると、在庫と対応コストだけが増える。

事業モデルで、売上の式もWebの役割も変わる

「人材会社」と一括りにされますが、売上のつくり方は事業モデルごとに違います。式が違えば、Webで増やすべき項も違います。まず自社がどの式で売上を立てているかを確認してください。

事業モデル 売上の式 増やすべき項
登録型派遣 稼働人数 × 時間単価 × 稼働時間 稼働の継続。次の就業までの空白を短くする
無期雇用派遣 在籍人数 × 稼働率 × 単価 稼働率。待機を減らし、単価の上がる案件を取る
人材紹介 成約数 × 理論年収 × 手数料率 − 返戻 成約数と、返戻の発生率

規模の感覚として、厚生労働省の労働者派遣事業の事業報告の集計結果(令和7年6月1日現在の速報)では、派遣労働者数は約201万人で前年比5.0%増、うち無期雇用派遣労働者が874,747人、有期雇用派遣労働者が1,134,347人でした。無期雇用が全体の4割強を占めています。

この比率が意味するのは、業界の売上の相当部分が「新規登録」ではなく「すでに雇っている人の稼働」で立っているということです。無期雇用派遣では、在籍者の待機が1か月あれば、その分の人件費は自社の持ち出しになります。この構造では、登録者の集客より、自社の正社員採用と派遣先の開拓のほうが売上に近い場所にあります。

登録型派遣では話が変わります。ここでは求職者の集客が直接の供給になりますが、それでも新規登録の獲得単価だけを見るのは危険です。すでに登録している人の再稼働は、新規登録より圧倒的に安く供給を増やせます。就業が終わった人へのフォロー、稼働可能日の更新、条件が合う案件の通知。この運用が回っていない会社ほど、新規登録の広告費が膨らみます。

人材紹介では、成約数の手前に「求人の在庫」があります。求職者を集めても、その人の希望職種・年収帯・勤務地に合う求人がなければ決まりません。職種を絞っている会社ほど求人在庫の回転が読めるため、求職者集客の投資判断もしやすくなります。

派遣労働者約201万人のうち、無期雇用が874,747人と4割強を占める(令和7年6月1日現在・速報)。

無期雇用派遣では、登録者集客より稼働率と派遣先の開拓が売上に近い。

自社サイトは、集客媒体である前に法定の情報開示媒体

他の業種と決定的に違うのがここです。人材派遣会社には、事業所ごとに定められた情報を提供する義務があり、2021年4月1日からはインターネットでの提供が原則になっています。根拠は労働者派遣法第23条第5項です。つまり自社サイトは、集客のために作るかどうかを選べる媒体ではなく、法令上の開示先として先に存在しています。

提供が求められている項目は次のとおりです。

実務で見かける典型は、サイトの隅にPDFを1枚置いて終わりにしている形です。事業所ごとに分かれておらず、いつ時点の数字かも書かれていないことが少なくありません。これは法令の要件を満たしているかという問題であると同時に、求職者が他社と比較する場面で不利に働きます。

もう1つ、開示のしかたで差が出るのがマージン率の説明です。マージンには社会保険料の事業主負担分、有給休暇に対応する賃金、教育訓練費、募集や事業運営の費用が含まれます。したがってマージン率は低いほど良いという数字ではありません。厚生労働省も、率だけで判断せず他の情報と併せて見るべき旨を示しています。ところが、率の数字だけを置いて内訳を説明しているサイトはごく少数です。

ここが実際の差になります。求職者は複数社のマージン率を並べて見ますが、内訳の説明が無ければ、低い会社が良い会社に見えます。自社の教育訓練や社会保険の負担が率に含まれていることを説明したページを1枚持つだけで、比較の土俵が変わります。開示は義務として最低限を満たすものと考えられがちですが、比較される前提で作れば、そのまま訴求の材料になります。

派遣は7項目の情報提供が義務。2021年4月1日からインターネットでの提供が原則。

マージン率には法定福利費・有給休暇費用・教育訓練費が含まれる。低いほど良い数字ではない。

紹介手数料は、2025年4月から横並びで比較できるようになった

人材紹介側にも、同じ構造の変化が起きています。職業紹介事業者は、厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトで、職業紹介の実績に関する情報を提供する義務を負っています。公開される項目には次が含まれます。

そして2025年(令和7年)4月1日から、取扱職種ごとの常用就職1件あたりの平均手数料率が、この公開項目に加わりました。令和6年度に徴収した実績から掲載が始まっています。対象は常用就職(4か月以上の有期または無期の雇用)の実績が多い上位5職種で、常用就職の実績が10件以下の職種は掲載不要とされています。平均手数料率は「求人者から徴収した手数料の総額 ÷ 求職者の予定年収の総額 × 100」で算出します。

これが競争条件に与える影響は小さくありません。求人企業の担当者は、商談の前に自社と他社の手数料率を同じ画面で比較できます。価格交渉の材料が、こちらの提示より先に公開情報として存在している状態です。

手数料の制度そのものも確認しておきます。有料職業紹介の手数料には上限制手数料と届出制手数料の2種類があり、上限制手数料は求人者から徴収する場合に支払われた賃金額の11%(免税事業者は10.3%)が上限です。届出制手数料は届け出た手数料表に基づいて徴収します。実務でこちらを選ぶ事業者が多いのは、上限制より徴収できる額が大きくなるためです。なお求職者からの手数料徴収は原則として禁止されており、芸能家やモデルなど限られた職種が例外として認められています。

サイト上の訴求として避けたいのは、「手数料が相場より安い」という書き方です。理由は2つあります。第一に、自社の平均手数料率は公開されているため、書いた内容と実績が食い違えば確認できてしまいます。第二に、価格で選ばれた取引は次も価格で比較されます。公開されているのは手数料率だけではなく、6か月以内の離職者数も並んでいます。ここは価格ではなく定着で語れる数少ない領域です。

2025年4月から、職種別の平均手数料率が人材サービス総合サイトで公開される。

手数料率と6か月以内の離職者数が並んで見られる。訴求は価格ではなく定着に置く。

求人ページのSEOは、掲載終了後の扱いを決めてから始める

人材会社のサイトで最大のページ数を占めるのは求人詳細ページです。ここには、他の業種のオウンドメディアには無い制約があります。2022年10月1日から、職業安定法第5条の4により、求人等に関する情報の的確な表示が義務になりました。それまでの努力義務から法的義務に変わっています。

内容は2つです。虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならないこと、そして求人等に関する情報を正確かつ最新の内容に保つための措置を講じることです。つまり、充足して募集が終わった求人を検索結果に残したままにする運用は、この2つ目に照らして問題になります。

同時に、これは検索側の問題でもあります。掲載終了した求人ページが大量に残ると、内容の薄いページの比率が上がり、サイト全体のクロールとインデックスの効率が落ちます。法令の側からも検索の側からも、掲載終了後の扱いを先に決める必要があるということです。選択肢は3つあります。

終了後の扱い 向いている場合 注意点
ページを削除し、410を返す 求人が単発で、再掲載の見込みがない 外部リンクや保存済みURLからの流入は失われる
職種・エリアの一覧ページへ301 同じ条件の求人が継続的に出る 無関係な一覧へまとめて転送しない。関連性を保つ
ページは残し、終了を明示してnoindex 応募実績があり、募集再開の可能性がある 終了である旨をページ上部に明示する。募集中と誤認させない

どれを選ぶかは、求人の出方によって決まります。判断を後回しにして数千ページを放置している状態が最も悪く、法令上のリスクと検索上の不利を同時に抱えます。ページがインデックスされない状態の切り分けはページがインデックスされない原因と確認の順序|検索に出ない状態を切り分けるに、似た内容のページが増えたときの整理は似た内容のページが複数あるときの整理|正規URLの指定と、統合の判断にまとめています。

もう1つ、職種×エリアの掛け合わせでページを量産する設計にも注意が必要です。求人が1件も無い組み合わせのページを先に作ると、中身の無いページが並びます。作るなら、求人が一定数ある組み合わせに限り、件数が0になったときの扱いも同じ規則で決めておいてください。

職業安定法第5条の4により、求人情報を正確かつ最新に保つ措置が義務(2022年10月1日から)。

掲載終了後の扱いを410・301・noindexのどれにするかを、作る前に決める。

広告文は、求人票と一致する範囲でしか書けない

的確表示義務は、求人詳細ページだけの話ではありません。求人を広告として出す場面にも同じ規制がかかります。虚偽の表示と、誤解を生じさせる表示が禁止されているためです。実際に問題になりやすいのは、次のような書き方です。

この制約があるため、人材会社の広告では条件の良さで差をつけにくくなります。そこで訴求の軸は、条件そのものではなく、応募前後の体験に移ります。選考の速さ、面談の形式と所要時間、就業開始までの日数、担当者が同席する範囲。これらは事実として書けて、他社と比較したときの差にもなります。

求人媒体と自社サイトの役割分担も整理しておいてください。媒体は比較の場であり、自社サイトは会社そのものを確認される場です。Googleしごと検索への掲載の仕組みはGoogleしごと検索に求人を載せるには|掲載の仕組みと、載らないときの確認順序に、媒体の費用を採用1名あたりで比較する方法は求人サイトの費用はどう比較すべきか|掲載料ではなく採用1名あたりで見るにまとめています。

登録フォームの設計も、ここでは事業指標に直結します。人材会社の登録フォームは、他業種の問い合わせフォームより項目が多くなりがちです。希望職種、勤務可能日、経験年数、資格。必要な情報ではありますが、すべてを初回に取ろうとすると離脱します。初回は連絡先と希望職種までにし、残りは面談で埋める設計が現実的です。項目数と離脱の関係は入力フォームの離脱率を改善するデザインの工夫で扱っています。

求人企業の開拓に、Webはどこまで効くか

求職者側に比べると、求人企業側の獲得は「Webでは取れない」と扱われがちです。実際には、検索は発生しています。ただし検索するのは発注の直前ではなく、条件を調べる段階です。

人事や現場の担当者は、社内で人材会社の利用を検討する時点で、手数料の相場、契約の流れ、派遣期間の制限、直接雇用に切り替える場合の扱いを調べます。ここで自社の記事が読まれていれば、比較の候補に入ります。BtoBで手段をどう選ぶかはBtoBのリード獲得手段はどう選ぶか|獲得単価ではなく商談化率から逆算するに整理しています。

そのうえで、実際に受注が決まる場面で見られているのは記事ではありません。社名で検索したときに出てくる情報です。取引を始める前に、次が確認されます。

  1. 許可を持っているか:許可番号と、人材サービス総合サイトの掲載内容
  2. 実績があるか:対応してきた職種、業種、規模
  3. 体制があるか:拠点、担当者数、対応エリア、緊急時の連絡先
  4. 開示が整っているか:マージン率や手数料率が、最新の数字で確認できるか

この4点は、記事を何本書いても代替できません。会社概要と実績のページで扱う情報です。とくに4点目は、他の業種には存在しない確認項目です。公開が義務づけられている情報が最新でない会社は、その1点で候補から外れることがあります。

業種特化で開拓する場合は、その業種側の事情を理解していることが伝わるかどうかで差がつきます。たとえば製造業への派遣であれば、繁閑の波、必要な資格、安全教育の扱いが論点になります。製造業がWebに何を求めているかは製造業のWebマーケティングは何を増やすべきか|問い合わせ数より先に決める、取りたい引き合いの条件で扱っています。実績は制作実績の形でまとめておくと、商談の場でそのまま使えます。

KPIは登録者数ではなく、稼働と決定に置く

最後に、何を数えるかを決めます。登録者数は、増やしても売上と結びつかない場合がある指標です。それでも多くの会社が主要KPIに置いているのは、広告の管理画面から取れる数字だからです。人材ビジネスでは、管理画面の外まで数えないと投資判断ができません。

事業モデル 追う指標 追わなくてよい指標
登録型派遣 就業開始人数、平均稼働月数、再稼働率 登録者数の絶対値
無期雇用派遣 稼働率、待機日数、1人あたり月額単価 サイトのセッション数
人材紹介 決定数、平均理論年収、返戻率 求人票の掲載本数

紹介の場合、広告費の上限は返戻を差し引いた粗利から逆算します。仮に平均理論年収が400万円、手数料率が30%であれば1件あたりの売上は120万円です。ここから返戻の発生率を10%と置くと、期待できる売上は108万円になります。決定率が登録者20人に1人であれば、登録1件あたりに使える金額の上限は、担当者の人件費を差し引いた残りを20で割った額です。この計算をせずに登録単価だけを他社と比べても、高いか安いかは判断できません。数値は例であり、自社の実績値で置き換えてください。CPAの基準の決め方は広告のCPA目安はどう決めるか|業種別平均が使えない理由で扱っています。

返戻率を計算に入れる理由はもう1つあります。職業安定法の指針では、紹介により無期雇用で就職した者に対し、就職した日から2年間、転職の勧奨を行うことが禁止されています。つまり一度成約した求職者を短期間で再び動かして売上にすることは制度上できません。1件あたりの粗利は、その1回で確定します。獲得単価の許容範囲を広く見積もる根拠にはなりません。

測定の設計は、着手する時点で決めておいてください。登録から就業開始までは自社の基幹システムの中で進むため、広告の管理画面とは接続されていません。登録時に流入元を記録しておかなければ、後から遡ることはできません。

紹介の広告費上限は、返戻を差し引いた粗利と決定率から逆算する。

無期雇用で就職した人への転職勧奨は2年間禁止。1件の粗利は1回で確定する。

よくある失敗

詰まっている側を確認せずに登録者集客を増やす

決定率が低い状態で登録を増やすと、面談だけが増えて担当者の稼働が埋まります。対応コストは決まらなくても発生します。決定率と充足率を月次で見て、投じる側を決めてください。

マージン率をPDF1枚で置いて終わりにする

事業所ごとの数字か、いつ時点か、内訳に何が含まれるかが読み取れない開示は、比較の場面で不利に働きます。法令の要件を満たすことと、比較されたときに選ばれることは別の設計です。

手数料の安さを訴求の軸にする

2025年4月から職種別の平均手数料率が公開されています。書いた内容と実績は突き合わせられます。価格で選ばれた取引は、次も価格で比較されます。

掲載終了した求人ページを放置する

職業安定法第5条の4は、求人情報を正確かつ最新に保つ措置を義務づけています。同時に、薄いページが積み上がることで検索側の評価にも影響します。410・301・noindexのどれで扱うかを、作る前に決めてください。

職種×エリアの掛け合わせでページを量産する

求人が0件の組み合わせまで作ると、中身の無いページが並びます。求人が一定数ある組み合わせに限り、件数が0になったときの扱いも同じ規則で決めておいてください。

登録フォームで面談用の情報まで取ろうとする

希望職種、勤務可能日、経験年数、資格。すべてを初回に求めると離脱します。初回は連絡先と希望職種までにして、残りは面談で埋めてください。

よくある質問

登録者を増やす広告と、求人企業を開拓する広告は、どちらを先に始めるべきですか

決定率と充足率を出してから決めてください。決定率が低ければ求人企業側、充足率が低ければ求職者側です。どちらも問題ない場合は、事業モデルで判断します。無期雇用派遣なら派遣先の開拓、登録型派遣と人材紹介なら求職者側から始めるほうが、売上への距離が近くなります。

マージン率を公開すると、求職者に敬遠されませんか

公開は労働者派遣法第23条第5項に基づく義務であり、選択の余地はありません。実務上の論点は、公開するかどうかではなく、どう説明するかです。マージンには社会保険料の事業主負担分、有給休暇に対応する賃金、教育訓練費が含まれます。この内訳を説明したページを併せて置いている会社は多くありません。率だけが並ぶ状態では、低い会社が良い会社に見えてしまいます。

自社の平均手数料率が他社より高い場合、どう扱えばよいですか

下げる前に、公開されている他の項目と併せて見てください。人材サービス総合サイトには、無期雇用就職者のうち6か月以内に離職した者の数も掲載されています。定着している実績があるなら、それが手数料率の根拠になります。率だけを下げても、比較の軸が価格に固定されるだけです。

求人ページはSEOに有効ですか

職種名と勤務地の組み合わせで検索する求職者がいるため、有効な場合はあります。ただし大手の求人媒体が上位を占めている領域でもあります。着手するなら、自社が継続的に求人を持っている職種に絞ってください。そして掲載終了後の扱いを先に決めてください。ここを決めずに始めると、ページ数が増えるほど管理できなくなります。

求職者向けのサイトと、求人企業向けのサイトは分けるべきですか

読む人も判断材料も違うため、入口は分けてください。サイト自体を分ける必要は通常ありません。同一サイト内で導線を分け、求職者側には登録の流れと就業条件、求人企業側には対応職種・実績・契約の流れと開示情報を置く形で足ります。分けるとドメインの評価も運用も二重になります。

SNSでの発信は人材ビジネスに向いていますか

求職者側には有効です。就業先の雰囲気や働き方は、求人票からは読み取れない情報になるためです。求人企業側の開拓を目的にすると効率は落ちます。人材会社の利用を検討する担当者は、まず条件を検索して調べる行動を取るためです。なお発信内容も的確表示義務の対象になりうるため、具体的な求人条件を扱う場合は求人票と一致させてください。

まとめ

人材ビジネスのWeb施策で最初に決めるのは、チャネルでも予算配分でもありません。求職者側と求人企業側の、どちらが詰まっているかです。決定率が低ければ求人の在庫が足りておらず、充足率が低ければ条件に合う人を出せていません。詰まっている側と反対に予算を投じると、在庫と対応コストだけが増えます。

次に、自社の売上の式を確認します。登録型派遣は稼働人数と稼働時間、無期雇用派遣は稼働率、人材紹介は成約数と返戻率で決まります。派遣労働者約201万人のうち無期雇用が874,747人と4割強を占めており(令和7年6月1日現在・速報)、業界の売上の相当部分は新規登録ではなく既存の稼働で立っています。この構造では、登録者集客より稼働の継続と派遣先の開拓のほうが売上に近い位置にあります。

人材会社のサイトには、他の業種に無い前提があります。集客媒体である前に、法定の情報開示媒体だということです。派遣ではマージン率を含む7項目の情報提供が義務で、2021年4月1日からインターネットでの提供が原則になりました。紹介では人材サービス総合サイトに就職者数・6か月以内の離職者数・手数料・返戻金制度が掲載され、2025年4月からは職種別の平均手数料率が加わっています。比較される情報は、こちらが訴求を考える前にすでに公開されています。

この状況で、手数料の安さやマージン率の低さを訴求の軸に置くのは得策ではありません。数字は突き合わせられるうえ、価格で選ばれた取引は次も価格で比較されます。開示されている項目のうち、定着に関する数字は価格以外で語れる数少ない材料です。マージン率の内訳を説明するページ、6か月以内の離職状況を踏まえた実績の示し方。ここに手を入れている会社は多くありません。

求人ページを作るなら、掲載終了後の扱いを先に決めてください。職業安定法第5条の4により、求人情報を正確かつ最新に保つ措置が2022年10月1日から義務になっています。掲載終了した求人の放置は、法令の側からも検索の側からも不利になります。410で消すのか、関連する一覧へ301で転送するのか、終了を明示してnoindexにするのか。求人の出方に応じて、作る前に規則として決めておくことです。

そしてKPIは、登録者数ではなく稼働人数と決定数、返戻を差し引いた粗利で置いてください。これらは広告の管理画面には現れず、社内の基幹システムの側にあります。登録時に流入元を記録していなければ、後から遡ることはできません。着手する時点で残す形にしておいてください。会社の紹介資料は資料ダウンロードからご覧いただけます。

建設会社からWeb施策の相談を受けるとき、最初にうかがうのは「昨年の完成工事高の内訳」です。集客の話をする前に売上の構成を聞くのは、建設業では受注の入口によって、Webサイトが届く範囲がまったく違うためです。ここを分けずに施策を決めると、届かない場所に費用を投じることになります。

「建設業 集客」で検索して出てくる記事は、施工事例を増やす、SNSで発信する、SEOで上位を取る、という構成でほぼ一致します。書いているのはWeb制作会社かホームページ作成サービスの運営会社です。これらの記事に共通して抜けているのは、自社の売上のうちWebが影響しうる比率はどれだけか、という問いです。サイトを作れば成果が出る側が書いているため、構造的に触れにくい論点になっています。

実際には、公共工事の受注は経営事項審査の点数と入札参加資格で決まり、サイトの出来は関係しません。下請けとしての受注は元請けとの関係と施工能力で決まります。Webが直接効くのは民間の直請けと、採用の2つです。そして採用は、経営事項審査の点数を通じて公共工事の受注枠にも効きます。この経路は集客の記事にはまず書かれていません。

この記事では、受注の入口ごとにWebの効き方を分け、民間直請けを増やす前に確認すべき許可区分と資金繰り、採用への投資が入札に効く仕組み、施工事例の掲載可否、そして価格訴求が制度の側から塞がりつつある状況を整理します。業種を問わないチャネルの選び方は自社の業種に合う集客チャネルの決め方|業種名ではなく4つの軸で選ぶで扱っています。

この記事でわかること

・建設業の完成工事高のうち、4割強は下請けとして施工されている

・公共工事と下請けの受注に、サイトの出来はほぼ影響しない

・民間直請けを増やす前に、許可区分・技術者・資金繰りを確認する

・採用が経営事項審査のZ点とW点を通じて入札の枠に効く

・施工事例は、載せる前に元請けと発注者の許諾を確認する

・労務費の基準により、安さで取りに行く導線は成立しにくくなった

受注の入口ごとに、Webが届く範囲は違う
受注の入口ごとに、Webが届く範囲は違う

完成工事高を3つに割ると、投資先が決まる

業界全体の数字を先に見ておきます。国土交通省の建設工事施工統計調査(令和6年度実績)によると、完成工事高は約154.5兆円で、このうち元請として施工された分は90.8兆円、元請比率は58.7%でした。元請完成工事高の内訳は民間が66.7兆円(73.5%)、公共が24.0兆円(26.5%)です。

これを完成工事高の全体に対する比率に直すと、次のようになります。

区分 全体に占めるおおよその比率 Webの関与
元請・民間 約43% 検索と比較検討が発生する。効く
元請・公共 約16% 入札で決まる。受注には効かない
下請け 約41% 元請けとの関係で決まる。効かない

業界平均ではおよそ4割がWebの届く範囲にあり、残る6割弱は別の要因で決まっています。重要なのは平均値そのものではなく、自社の内訳が平均とどれだけ違うかです。公共工事と下請けで売上の8割を占めている会社が、民間直請け向けのサイトに投資しても、当面の受注は動きません。

そこで最初の作業は、昨年の完成工事高を上の3区分で分けることです。経理の資料から数時間で出せます。この1枚が出たあとで、はじめて何に投資するかを決められます。どの段階で問い合わせが止まっているかを切り分ける手順はホームページから問い合わせが来ない原因の切り分け方|5段階で診断するにまとめています。

建設業の完成工事高のうち、Webが直接届くのは元請・民間の部分だけ。

自社の内訳を3区分で出してから、投資先を決める。

公共工事にサイトは効かないが、間接的な経路が1つある

公共工事の受注は、経営事項審査(経審)の総合評定値と、発注機関ごとの入札参加資格で決まります。総合評定値P点は「0.25×X1+0.15×X2+0.20×Y+0.25×Z+0.15×W」で算出され、X1が完成工事高、X2が自己資本額と利益額、Yが経営状況、Zが技術力、Wが社会性等です。この式のどこにも、サイトの品質や検索順位は入りません。総合評価方式の技術提案でも評価されるのは施工計画と実績であり、Web上の情報ではありません。

ただし、係数を見ると別の経路が見えます。Zの係数は0.25で、完成工事高のX1と並んで最も大きく設定されています。そしてZ点は技術職員の資格と人数で決まります。つまり技術者を採用して定着させることは、そのまま点数の上昇として現れます。

さらにW点(社会性等)には、若年の技術者・技能労働者の育成と確保に関する加点があります。35歳未満の技術職員が技術職員全体の15%以上であれば1点、新規に採用した35歳未満の技術職員が全体の1%以上であれば1点が加算されます。若手の採用が、そのまま加点項目として定義されているということです。

したがって、公共工事の比率が高い会社にとってのWeb投資の答えは「集客サイト」ではなく「採用サイト」になります。この経路は次のように整理できます。

  1. 採用サイトと求人で技術者が採れる:とくに35歳未満の有資格者
  2. Z点が上がる:資格の種類と人数がそのまま技術力の評点になる
  3. W点にも加点が入る:若年技術者の比率と新規採用の条件を満たす
  4. 総合評定値が上がる:等級が上がれば、応札できる工事の規模が変わる

応募が集まらない原因をどこで切り分けるかは応募が集まらない原因の切り分け方|求人広告・採用サイト・応募フォームのどこで止まっているかに、採用サイトに何を載せるかは中小企業が採用サイトを作るべき理由と制作のポイントにまとめています。建設業では、この投資が採用の枠を超えて受注の枠に効く点が、他の業種と違います。投資判断の説明も社内で通りやすくなります。

経審のZ点の係数は0.25で、完成工事高と並んで最大。技術職員の資格と人数で決まる。

若年技術者の比率15%以上、新規採用1%以上で、それぞれ1点の加点がある。

民間直請けを増やす前に、受けられる体制かを確認する

下請け中心の会社が直請けを増やしたいと考えるのは自然です。ただし元請けになることは、受注経路が変わることではなく、負う責任の範囲が変わることです。問い合わせだけを増やしても、受けられなければ意味がありません。着手前に3つを確認してください。

確認すること 基準 満たしていない場合
許可の区分 下請に出す総額が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)になるなら特定建設業許可 その規模の元請けはできない。一般のまま受けられる範囲で設計する
技術者の配置 同じ基準額以上の工事には監理技術者の配置が必要 有資格者を確保するまで、規模の上限を決めて受ける
運転資金 工事完成まで入金がない一方、下請代金と材料費は先に出ていく 手持ち資金と融資枠で受けられる工事規模が決まる

金額の基準は改正されています。特定建設業許可と監理技術者の配置が必要になる下請代金の下限は、令和7年2月1日の建設業法施行令の改正により、4,500万円から5,000万円へ(建築一式工事は7,000万円から8,000万円へ)引き上げられました。古い記事や社内資料には旧基準が残っているため、直請けの規模を検討するときは現行の数値で確認してください。

3つ目の運転資金は、Web施策の記事ではまず触れられませんが、実務では最も詰まる箇所です。下請けなら出来高に応じて元請けから支払いを受けられますが、元請けになると発注者からの入金は出来高払いか完成時になり、その間の下請代金と材料費は自社が立て替えます。受注できる工事の規模は、営業力ではなく資金繰りが決めています。

この3点を確認すると、「どの規模の直請けを取りに行くか」が決まります。そこが決まってはじめて、サイトに載せる情報と対策する検索語が決まります。順序を逆にすると、受けられない規模の引き合いに対応する時間が増えます。

施工事例は、載せる前に許諾の線を引く

施工事例が有効であることは、上位の記事が書いているとおりです。実務で詰まるのはその手前で、載せてよい案件かどうかの判断です。建設業には、他の業種にない制約が2つあります。

そこで、事例を1件つくる前に、どこまで出せるかを段階で決めておきます。全件について許諾を取りに行くのではなく、出せる範囲に応じて掲載の形を変えるほうが早く進みます。

出せる範囲 掲載の形
発注者名・写真・所在地まで可 1件1ページの事例。最も強い
写真は可、発注者名は不可 工種・規模・工期・写真で構成し、名称を伏せる
写真も不可 工種・構造・延床面積・工期・工事金額帯を一覧の1行にする
いずれも不可 掲載しない。自社施設や協力会社との共同案件で代替する

3行目の一覧でも、判断材料としては十分に機能します。発注者が知りたいのは写真の見栄えではなく、自社と同じ規模・同じ工種の工事を、どれだけの工期で完了させた実績があるかだからです。掲載の枚数を目標にすると、許諾の確認が雑になり、あとから取り下げる事態になります。

第三者の言葉をどう集めて見せるかは「お客様の声」の効果的な掲載方法|信頼につながる集め方と見せ方で扱っています。会社としての信頼を先に埋める考え方は会社案内サイトで信頼感を作る方法|見た目より先に埋めるべき情報を参照してください。

安さで取りに行く導線は、制度の側からも塞がりつつある

Webで直請けを増やそうとするとき、価格の優位を前面に出す構成が選ばれがちです。この方向は、いま制度の側から狭められています。

改正建設業法が令和7年12月12日に全面施行され、中央建設業審議会が作成した労務費に関する基準の運用が始まりました。この基準は、公共工事と民間工事の別を問わず、下請取引を含むすべての建設工事の請負契約を対象とします。適正な労務費を著しく下回る労務費等による見積りと契約締結が禁止され、そうした見積りへの変更依頼も建設業法違反となりうる、という整理です。基準となる額は、職種ごとの公共工事設計労務単価に、施工条件に照らして適正な歩掛と施工量を乗じて算定されます。

実務上の意味は次のとおりです。価格で差をつけるという訴求は、その原資を労務費以外から捻出できる範囲でしか成立しません。集客の設計としても、価格を軸にした導線は最初から上限が決まっていることになります。

同じ時期に、受注量そのものにも制約がかかっています。時間外労働の罰則付き上限規制は、2024年4月1日から建設業にも適用されました。原則は月45時間・年360時間、特別条項を結んでも年720時間以内などの条件があり、災害の復旧・復興事業には一部の上限を適用しない特例が置かれています。受注を増やす前に、増えた分を施工できる人員と工期の余裕があるかを確認してください。取ってから残業で吸収する運用は、罰則の対象になります。

したがって建設業のWeb施策で狙うのは、件数の最大化ではありません。工期に余裕があり、対応工種の内側にあり、価格以外の理由で選ばれる案件の比率を上げることです。同じ構造は受託製造にもあり、製造業のWebマーケティングは何を増やすべきか|問い合わせ数より先に決める、取りたい引き合いの条件で詳しく扱いました。

労務費に関する基準により、著しく低い労務費での見積りと契約締結が禁止された。

時間外労働の上限規制は2024年4月から罰則付きで適用されている。

商圏と検索語をどう決めるか

民間直請けを取りに行くと決めた場合、対策する語は工種と地域の組み合わせになります。ここで検索数の多い順に並べると、対策すべき語が上位に来ません。

「リフォーム」「注文住宅」のような大きな語は、検索数は大きいものの、探しているのは個人の施主で、ハウスメーカーとポータルサイトが上位を占めています。一方、実際に直請けにつながるのは「地域名+工種」「地域名+建物用途」のような語で、検索数は月に数十から数百にとどまります。数の大きさで優先順位をつけると、勝てず、かつ受注につながらない語だけが残ります。

代わりに使う基準は3つです。

地域名を含む語をどう設計するかは地域キーワードのコンテンツ設計|量産せずに成果を出す方法で扱っています。市区町村ごとにページを量産する方法は、内容が同じであれば評価されません。施工実績が実際にあるエリアから順に、実績と紐づけて作るほうが確実です。

許可番号と資格の表記で気をつけること

建設業法により、許可を受けた建設業者は店舗と建設工事の現場ごとに許可票を掲示する義務があります。現場への掲示義務は、令和2年10月1日以降は元請業者のみが対象です。一方、自社のWebサイトに許可番号を掲載する義務はありません。

義務ではありませんが、掲載を勧めます。発注者が取引の可否を確認するとき、許可番号があれば行政の検索システムで実在と業種と有効期限を照合できるためです。逆に言えば、掲載した以上は照合されます。更新後に番号や許可年月日が古いままになっていると、確認した相手に不信感を与えます。サイトの更新項目に許可情報を入れておいてください。

資格の表記も同様です。「一級建築士在籍」「1級土木施工管理技士◯名」と書くなら、退職や異動のたびに直す必要があります。実態と違う表記は、景品表示法上の問題になるだけでなく、確認された時点で商談が止まります。広告や自社サイトの表現で問題になりやすい範囲は広告表現で問題になりやすい言い方|景表法・薬機法と媒体ポリシーの整理にまとめました。

何から着手するか

順序を飛ばすと、公開した情報を後から書き換えることになります。特に1番目を出さずに4番目から始めると、届かない場所に費用を投じたまま数か月が過ぎます。

  1. 昨年の完成工事高を3区分で分ける:元請・民間/元請・公共/下請け
  2. 投資先を決める:公共と下請けが大半なら採用側、民間直請けが伸ばせるなら集客側
  3. 受けられる規模の上限を確認する:許可区分、技術者の配置、運転資金の3点
  4. 掲載できる実績の範囲を確定する:許諾の段階に応じて掲載の形を変える
  5. 対応工種と施工エリアを明記する:受けられる範囲を先に書くと、範囲外は自分で降りる
  6. 検索語を対応範囲の内側から選ぶ:検索数ではなく、発注権限と施工可否で選ぶ
  7. 引き合いの記録を残す形にする:工種・規模・経路・受注可否を1行ずつ残す

7番目を最初から入れておくと、次の改善対象が数字で決まります。BtoBのリード獲得手段を商談化率から選ぶ考え方はBtoBのリード獲得手段はどう選ぶか|獲得単価ではなく商談化率から逆算するを参照してください。

KPIをどこに置くか

件数と流入だけを見ると、この記事で扱った問題は数字の上に現れません。投資先ごとに、見るべき指標を分けてください。

投資先 主に見る指標 注意点
民間直請けの集客 対応工種・施工エリアの内側から来た問い合わせ件数 総数ではなく条件を満たした件数を数える。条件の定義が先
同上 見積提出から受注までの率 工事規模が混ざるため、金額帯で分けて見る
採用 有資格者の応募数と、35歳未満の入社数 経審の加点条件と同じ区切りで数えると、次の点数が読める
共通 受注1件あたりの粗利と、工期の余裕 件数が増えても、工期が詰まっていれば受けられない

3行目を経審の区切りに合わせておくと、採用の成果を受注の枠として説明できます。「応募が◯件増えました」ではなく「35歳未満の技術職員の比率が加点の条件を満たしました」と報告できる形にしてください。社内での投資判断が通りやすくなります。

当社では、受注構成の整理から掲載できる実績の設計、サイトと採用サイトの構築までを一貫してご相談いただけます。どちらに投資すべきか決まっていない段階でも、完成工事高の内訳が出ていれば設計は進みます。お問い合わせからご相談ください。制作したサイトは制作実績でご覧いただけます。

よくある失敗

受注構成を分けずにサイトを作り直す

公共工事と下請けで売上の大半を占めている会社が集客用のサイトに投資しても、当面の受注は動きません。完成工事高を3区分で分ける作業は数時間で終わります。先にやってください。

直請けを増やす前に、許可区分と資金繰りを確認していない

下請に出す総額が5,000万円(建築一式は8,000万円)以上になる元請け工事には特定建設業許可と監理技術者が必要です。運転資金の上限も受注規模を決めます。問い合わせだけ増やしても受けられません。

採用サイトを「集客とは別の話」として後回しにする

建設業では、技術者の採用が経審のZ点とW点に直結し、応札できる工事の規模を変えます。公共工事の比率が高い会社ほど、採用側への投資のほうが受注への距離が近くなります。

下請け案件の写真を確認せずに掲載する

現場の写真も発注者名も、自社の判断だけでは公開できません。元請けと発注者の双方に確認してください。掲載件数を目標にすると、この確認が雑になります。

価格の安さを前面に出す

労務費に関する基準により、適正な労務費を著しく下回る見積りと契約締結は禁止されています。価格を軸にした訴求は、最初から上限が決まっている設計です。

検索数の多いキーワードから対策する

大きな語はハウスメーカーとポータルサイトが占めています。直請けにつながるのは地域名と工種の組み合わせで、検索数は月に数十から数百です。発注権限と施工可否で選んでください。

許可番号を載せたまま更新していない

掲載した以上は照合されます。番号や許可年月日が古いままだと、確認した相手に不信感を与えます。更新のたびに直す項目として運用に入れてください。

よくある質問

下請け中心ですが、ホームページは必要ですか

必要です。ただし目的が違います。下請けの受注はサイトでは増えませんが、新しい元請けと取引を始めるとき、相手は社名で検索して実在・許可・保有設備・技術者の体制を確認します。ここで情報が出てこないと、取引前の確認に手間がかかる相手として扱われます。加えて、採用の入口としては下請け中心の会社でも同じように機能します。

施工事例は何件くらい必要ですか

許諾が取れて内容が埋まるものを3件から始めてください。件数より、工種・規模・工期が読み取れることのほうが効きます。許諾が取れない場合は、工種と延床面積と工期を一覧の1行にするだけでも判断材料になります。写真がないことを理由に着手を止めないでください。

SNSでの発信は建設業に向いていますか

採用を目的にするなら有効です。現場の様子や職人の仕事は、求職者にとって求人票からは読み取れない情報になります。一方、民間直請けの受注を目的にすると効率は落ちます。工場や店舗の改修を検討している担当者は、検索して比較する行動を取るためです。

公共工事の比率が高いのですが、Webに投資する意味はありますか

あります。ただし集客ではなく採用の側です。経審の総合評定値は技術力を示すZ点の係数が0.25と最も大きく、技術職員の資格と人数で決まります。若年技術者の育成・確保にも加点があります。採用への投資は、次回の点数と応札できる工事の規模として返ってきます。

エリアはどこまで広げて書くべきですか

実際に施工できる範囲までにしてください。移動時間と職人の手配が現実的な範囲を超えると、断る連絡が増えるだけになります。広げるなら、その前に協力会社の体制を確保してください。書ける範囲は営業の希望ではなく、現場の実態で決まります。

土木と建築の両方をやっている場合、サイトは分けるべきですか

発注者が違うため、ページは分けてください。土木は公共発注が中心で確認の場として働き、建築は民間の直請けで検討と比較が起きます。サイト自体を分ける必要は通常ありません。同一サイト内で入口を分け、それぞれに対応工種と実績を置く形で足ります。

まとめ

建設業のWeb施策で最初に決めるのは、サイトの構成でも対策キーワードでもありません。自社の完成工事高を、元請・民間/元請・公共/下請けの3つに分けることです。業界全体では元請比率が58.7%、そのうち民間が73.5%を占めており、Webが直接届くのは完成工事高のおよそ4割にあたる部分だけです。自社の内訳が平均とどれだけ違うかで、投資先は変わります。

公共工事の受注に、サイトの出来は影響しません。しかし間接的な経路が1つあります。経審の総合評定値は技術力を示すZ点の係数が0.25と最も大きく、技術職員の資格と人数で決まります。さらに若年技術者の育成・確保にも加点があり、35歳未満の技術職員が全体の15%以上、新規採用が1%以上でそれぞれ1点が加わります。公共工事の比率が高い会社ほど、集客サイトより採用サイトのほうが受注への距離が近くなります。

民間直請けを増やすなら、問い合わせを増やす前に受けられる体制かを確認してください。下請に出す総額が5,000万円(建築一式は8,000万円)以上になる元請け工事には、特定建設業許可と監理技術者の配置が必要です。この基準額は令和7年2月1日に引き上げられているため、古い資料の数値で判断しないでください。そして受注できる工事の規模を実際に決めているのは、営業力ではなく運転資金です。

施工事例は、載せる前に許諾の線を引きます。下請けとして施工した案件は自社の判断だけでは公開できず、民間の建物は発注者が公開を望まないことがあります。出せる範囲に応じて掲載の形を変えれば、写真がなくても実績は伝わります。工種・規模・工期が読み取れることのほうが、写真の見栄えより効きます。

価格の安さを軸にした導線は勧めません。労務費に関する基準が令和7年12月12日から全面施行され、公共・民間を問わずすべての建設工事の請負契約で、適正な労務費を著しく下回る見積りと契約締結が禁止されました。加えて時間外労働の上限規制が2024年4月から罰則付きで適用されており、取ってから残業で吸収する運用は成立しません。狙うのは件数の最大化ではなく、工期に余裕があり、対応工種の内側にあり、価格以外の理由で選ばれる案件の比率です。

これらの効果は、アクセス解析だけでは確認できません。対応工種とエリアの内側から来た件数、見積提出からの受注率、有資格者と35歳未満の入社数。いずれも社内の記録からしか取れないため、着手する時点で残す形にしておいてください。会社の紹介資料は資料ダウンロードからご覧いただけます。

製造業のWeb施策の相談は、ほとんどが「問い合わせが来ない」から始まります。ところが実際にサイトを直して流入が増えた後、半年ほどで出てくる相談は別のものに変わります。問い合わせは増えたのに、受注はほとんど増えていない。そして技術者が見積の作成に取られる時間だけが確実に増えている、という状態です。

これは施策の失敗ではなく、目標の置き方の問題です。製造業の引き合いは1件あたりの金額が大きく、取引が始まれば数年続くこともあります。その代わり見積を1件出すのに技術者の時間がかかり、その工数は受注しても失注しても同じだけ発生します。件数だけを指標にすると、工数を増やして粗利を減らす方向に最適化が進みます。

「製造業 ホームページ 問い合わせ」で検索すると、加工事例を増やす、導入事例を載せる、コンテンツを充実させるという記事が並びます。書いているのはほぼ全てWeb制作会社かBtoBマーケティングの支援会社です。これらの記事に共通して抜けているのは、増やしてはいけない引き合いがあるという視点です。問い合わせが増えれば成果として報告できる側が書いているため、構造的に書きにくい論点になっています。

この記事では、件数を目標に置く前に決めるべきこと、対応範囲の公開が選別として働く仕組み、守秘義務があっても出せる加工事例の書き方、そして検索数では選べない技術キーワードの扱いを整理します。業種を問わないチャネルの選び方は自社の業種に合う集客チャネルの決め方|業種名ではなく4つの軸で選ぶで扱っています。

この記事でわかること

・問い合わせ件数を主目標にすると、粗利が下がることがある

・増やして得をする引き合いと、増えても損をする引き合いの分かれ目

・対応範囲を数値で公開すると、範囲外の人は自分で降りる

・加工事例は「出せないものがある」前提から設計する

・技術キーワードは検索数で優先順位を決められない

・何から着手するか、KPIをどこに置くか

増やして得をする引き合いと、増やすと損をする引き合い
増やして得をする引き合いと、増やすと損をする引き合い

起きているのは「来ない」ではなく「取れないものが来る」

製造業でWeb経由の引き合いが増えたとき、内訳は一般的な消費者向けの商材とは違う偏り方をします。多いのは、概算だけ知りたいという相談、対応外の材質や寸法の依頼、そして相見積もりの比較対象として呼ばれるケースです。

相見積もりそのものは正常な商習慣で、避けるべきものではありません。問題はすでに発注先が事実上決まっている案件の、社内手続き用の3社目として呼ばれている場合です。この見積にも技術者の時間はかかりますが、受注する確率は最初から低く設定されています。

数字にすると分かりやすくなります。以下は仮に置いた数値で、実際の比率は業態によって変わります。

改善前 件数だけ増やした後
見積依頼 20件 40件
受注率 10% 5%
受注 2件 2件
見積1件の工数 3時間 3時間
見積にかけた総工数 60時間 120時間

右の列は「問い合わせが2倍になりました」と報告できる状態です。受注は変わらず、技術者の時間だけが60時間増えています。その60時間は本来、既存客の量産案件か、精度の高い引き合いへの対応に使われていた時間です。失っているものが機会費用の形をとるため、レポート上は損失として見えません。

つまり最初に決めるべきは、増やす件数ではなくどの引き合いを取りに行き、どの引き合いには来てほしくないかです。どの段階で止まっているのかを切り分ける手順はホームページから問い合わせが来ない原因の切り分け方|5段階で診断するにまとめています。

見積の作成工数は、受注しても失注しても同じだけかかる。

件数を主目標にすると、受注率の低下が見えないまま工数だけが増える。

取りたい引き合いの条件を先に言語化する

条件は5つの観点で書き出せます。営業と技術の双方が同じ答えを出せる粒度まで具体化してください。「小ロットは避けたい」では判断できませんが、「10個未満は原則受けない」なら判断できます。

観点 決めること 書き方の例
範囲 対応できる材質・寸法・公差 ステンレスとアルミ、最大500ミリ角まで
数量 成立する下限と上限 試作1個から可、量産は月500個まで
納期 標準リードタイムと最短 標準3週間、特急は要相談
工程 自社内で完結する範囲 熱処理と表面処理は協力会社へ
取引 望ましい継続の形 量産の継続を前提に試作から受けたい

この表を埋めると、多くの会社で1行目と2行目が社内で割れます。営業は「相談してもらえれば大抵できる」と考え、現場は「その条件は毎回無理をしている」と考えているためです。この不一致を放置したままサイトの情報を増やすと、無理をしている条件の依頼が増えます。

決まった条件は、そのまま次の章の掲載内容になります。社内で合意していない条件は公開できないため、この作業はWeb施策の前提であり、Web施策そのものでもあります。

選別はフォームではなく、その手前のページで行う

取りたくない引き合いを減らそうとして、問い合わせフォームの入力項目を増やす対処がよく取られます。これは効果はありますが、副作用のほうが大きくなります。項目を増やすと、対応範囲外の人と一緒に、条件の合う人も同じ割合で離脱するためです。フォーム側の設計は入力フォームの離脱率を改善するデザインの工夫で扱っています。

選別は、フォームに到達する前に終わらせるほうが確実です。具体的には、対応可能な範囲を数値で公開します。材質、最大寸法、対応できる公差、ロットの下限と上限、標準的なリードタイム。この5つが数値で書かれていれば、範囲外の人は問い合わせる前に自分で判断して離れます。

この掲載には、集客と選別のほかにもう1つ働きがあります。数値を公開している会社は、確認しなくても発注の可否が分かるため、検討の初期段階で候補に残りやすくなります。逆に「お気軽にご相談ください」しか書かれていないサイトは、可否を確認する手間がかかる相手として後回しになります。

「何ができないか」を書くことが信頼につながる仕組みは会社案内サイトで信頼感を作る方法|見た目より先に埋めるべき情報でも扱いました。製造業ではこれが精神論ではなく、見積工数という具体的なコストの削減として効きます。

フォームの項目を増やす選別は、条件の合う相手も同じ割合で落とす。

対応範囲を数値で公開すれば、範囲外の相手は問い合わせる前に降りる。

加工事例は「出せないものがある」前提から設計する

製造業のWeb施策を扱う記事は、ほぼ例外なく加工事例の掲載を勧めます。事例が有効であること自体は正しく、対応できる証明として最も強い材料です。ただし実務で詰まるのは、事例を作る手間ではなく、出してよい情報の線引きです。この線引きに触れている記事はほとんどありません。

顧客から預かった図面は当然公開できません。問題はその先で、自社が蓄積した加工条件やノウハウも、書きすぎれば模倣される対象になります。中小企業庁は知的財産取引に関するガイドラインを公表しており、型の図面やデータ、製作技術やノウハウは型そのものの所有権に関わらず製作者の知的財産であるという整理と、秘密保持を含めた取り決めの書面化が基本原則として示されています。取引の場で保護される前提の情報を、自社サイトで先に公開してしまう矛盾を避ける必要があります。

そこで、顧客名も製品名も図面も出さずに成立する書き方をとります。事例1件を次の5項目で構成してください。

  1. 依頼された条件:材質、おおよその寸法、数量、要求された公差
  2. 難所:なぜ簡単ではなかったか(薄肉、深穴、異形状、短納期など)
  3. 対応:どう解いたか。工程の順序や治具の考え方まで。具体的な加工条件は書かない
  4. 結果:リードタイム、歩留まり、量産に移行したかどうか
  5. 同種の依頼を受けられる範囲:この事例に近い条件でどこまで対応できるか

3番目が線引きの要です。「何を考えて解いたか」は公開してよく、「どの条件値で加工したか」は公開しないという分け方をすると、判断が安定します。前者は発注側が読みたい情報であり、後者は競合が読みたい情報です。

5番目は事例を営業資料に変える項目です。読んだ人が「自社の案件も該当しそうだ」と判断できるところまで書いて、はじめて問い合わせにつながります。掲載前には顧客の許諾を取り、業種と規模の表現でも特定できないかを確認してください。

事例を1ページずつ独立させると、材質名や加工名の組み合わせで検索に拾われる入口が増えます。ただし数を目的にすると内容が薄くなり、同じような説明のページが並びます。5項目が埋まらない案件は、事例にせず一覧の1行に留めてください。

技術キーワードは検索数で優先順位を決められない

対策するキーワードを選ぶとき、月間検索数の大きい順に並べる方法は製造業では機能しません。実際に発注につながる語は、材質と加工方法と形状を組み合わせた具体的な言葉で、検索数は月に数十程度にしかならないためです。この基準でふるいにかけると、対策すべき語がすべて落ちます。

そもそも数値の精度にも限界があります。Googleはキーワードプランナーのヘルプで、検索ボリュームの統計値は丸められていること、月間平均検索数は既定で12か月の平均であることを明示しています。数値が小さい語ほど、丸めと平均化の影響が相対的に大きくなります。月10と月40の差を根拠に優先順位を決めても、その差は判断に耐えません。

代わりに使う基準は3つです。

検索数を判断基準から外す考え方はSEOキーワードの選び方|検索数で選ぶと問い合わせにつながらない理由で詳しく扱っています。製造業では、この記事で書いた原則がさらに極端な形で当てはまります。

発注につながる技術キーワードは、月間検索数が数十以下になることが多い。

検索数の小さい語ほど、丸めと12か月平均の影響で数値の信頼度が下がる。

問い合わせフォームで図面を受け取るかどうか

図面の添付を受け付けると、引き合いの精度は上がります。仕様の往復が減り、初回の返信で概算まで出せる場合もあります。一方で、受け取った瞬間から他社の機密情報を預かる立場になります。

受け付けるなら、次の3つを決めてから公開してください。決めずに窓口だけ開くと、社内の誰のパソコンに図面が残っているのか分からない状態になります。

決めること 具体例
保管の場所と期間 受信後は共有フォルダの指定場所へ移し、失注から6か月で削除する
閲覧できる範囲 営業担当と見積担当のみ。転送は社内に限る
受領時の表示 送信前の画面に、目的外に使用しない旨と保管期間を明記する

添付を受けない選択も十分に成立します。その場合は、材質・寸法・数量・公差・希望納期の5項目を選択式または短い入力欄にすると、図面がなくても一次判断ができます。添付の可否よりも、返信までに何時間かかるかのほうが受注率への影響は大きいことが多いです。

自動送信のスパムが混ざる場合の対処は問い合わせフォームのスパム対策|本物の問い合わせを減らさずに止める順序を参照してください。項目を増やして防ぐ方法は、ここでも副作用が大きくなります。

展示会と営業活動は、Webと同じ導線の上にある

製造業では、Webだけで発注が決まる比率は高くありません。多くの場合、展示会や紹介、既存取引からの派生で接点ができ、その後に社名と加工内容で検索して、発注してよい相手かを確認します。このとき見られるのが、設備一覧、対応範囲、事例、そして会社概要です。

つまり自社サイトは、新規の獲得だけでなく確認の場として働いています。展示会で名刺を集めても、その後の確認でつまずけば商談は進みません。名刺を商談につなげる手順は展示会で集めた名刺を商談につなげる方法|フォローの順序と、追わない基準で扱いました。

確認の場として整えるべき情報は、獲得用のコンテンツとは優先順位が違います。設備一覧に型式と加工可能寸法が入っているか、認証や資格の取得状況が最新か、担当窓口が分かるか。派手さは不要で、事実が抜けていないことのほうが効きます。

資料をダウンロードしてもらう形でリードを取る場合、記事の要約を配っても取れません。設計者や購買担当が手元に置きたいのは、対応範囲と実績を一覧にした技術資料です。設計の考え方は資料ダウンロードでリードを獲得する設計|記事の要約を配っても取れない理由にまとめています。手段全体の選び方はBtoBのリード獲得手段はどう選ぶか|獲得単価ではなく商談化率から逆算するを参照してください。

何から着手するか

順序を飛ばすと、後の工程でやり直しが発生します。特に1番目を決めずに3番目から始めると、公開した情報を後で書き換えることになります。

  1. 取りたい引き合いの条件を営業と技術で合意する:材質、寸法、数量、納期、工程の5観点
  2. 対応範囲を数値でページにする:合意した条件をそのまま公開する
  3. 事例を3件だけ作る:5項目が埋まる案件を選ぶ。数を先に増やさない
  4. 問い合わせ後の対応を決める:初回返信の時間、一次判断に必要な項目、担当
  5. 技術キーワードを対応範囲の内側から選ぶ:検索数ではなく発注権限と対応可否で選ぶ
  6. 記録を残す形にする:引き合いごとに、受注可否と見積工数を残す

6番目を最初から入れておくと、次の改善対象が数字で決まります。獲得後の歩留まりを追う考え方は問い合わせ後の歩留まりを改善する|リード管理の始め方で扱っています。

KPIをどこに置くか

問い合わせ件数を主目標から外すと、代わりに何を見るかが問題になります。製造業では次の3つの組み合わせが実態に合います。

指標 見る理由 注意点
条件に合う引き合いの件数 総数ではなく、取りたい条件を満たした件数だけを数える 条件の定義を先に文書化しないと数えられない
見積提出から受注までの率 引き合いの質が上がったかを直接示す 案件の規模が混ざるため、金額帯で分けて見る
見積にかけた総工数 増やした施策が現場を圧迫していないかを見る 記録の習慣がないと取得できない。着手時から残す

3つとも社内の記録が必要で、アクセス解析だけでは取れません。逆に言えば、Web側の数値だけを見ている限り、この記事で扱った問題は数字の上に現れません。件数と流入は増え続け、粗利だけが静かに下がります。

当社では、対応範囲の整理から事例の構成、サイトの設計までを一貫してご相談いただけます。どこから手をつけるか決まっていない段階でも、取りたい引き合いの条件が言語化できていれば設計は進みます。お問い合わせからご相談ください。制作したサイトは制作実績でご覧いただけます。

自社で引き合いを取るほかに、扱ってもらうという選択肢がある

ここまでは、自社サイトで直接の引き合いを取る前提で整理してきました。販路を広げる手段には、卸売業者に取り扱ってもらう道もあります。その場合、選ぶのは相手側です。卸売業者が取扱いを決めるときに何を見ているかは、卸売業側の視点で書いた記事のほうが具体的に確認できます。

確認すること 判断の基準 詳しくは
卸売業者が取扱いを決めるときに見る情報 販路(業態別の取引先数・対応エリア)と物流の条件、取引形態と支払条件 卸売業のWeb集客は誰に向けて設計するか|買い手は小売店だけではなく、取引条件の開示が問い合わせの質を決める

海外からの引き合いを取りに行く場合

取りたい引き合いの条件に海外が含まれる場合、サイトの作りが変わります。ただし商談の入口が展示会と紹介で完結しているなら、検索対策まで進める必要はありません。どこで相手と出会っているかを先に洗い出してください。

確認すること 判断の基準 詳しくは
英語版のサイトは、どこまで作る必要があるか 訳すのは相手が判断に使うページだけでよい。会社概要、製品の仕様、問い合わせフォームの3つが優先。お知らせやブログを含めると更新が追いつかず、言語版全体が放置される ホームページの多言語対応はどこまで必要か|翻訳ツールで足りる場合と、URLを分けるべき場合

よくある失敗

問い合わせ件数だけを目標にする

件数は増やせますが、受注率が下がれば受注は増えません。見積工数だけが増え、その分は既存客と量産案件への対応から差し引かれます。条件に合う件数を数える形に変えてください。

対応範囲を書かずに「お気軽にご相談ください」で受ける

範囲外の依頼を断る連絡が増え、条件の合う相手からは可否の確認に手間がかかる会社と見なされます。数値で書くほど、検討の初期に候補として残りやすくなります。

加工事例の件数を目標にする

5項目が埋まらない案件まで事例にすると、似た説明のページが並びます。出せる情報の線引きを決めないまま量を追うと、公開してはいけない情報が混ざる危険もあります。

検索数の多いキーワードから対策する

検索数の大きい語は、同業やコンサルティング会社が調べている語であることが多く、発注権限を持つ人の検索とは重なりません。対応範囲の内側にある具体的な語から始めてください。

フォームの項目を増やして絞ろうとする

条件の合う相手も同じ割合で離脱します。選別はフォームの手前で終わらせ、フォーム自体は短く保つほうが結果が良くなります。

図面の添付を受け付けてから保管の運用を考える

受信した時点で他社の機密を預かる立場になります。保管場所、期間、閲覧範囲を決めてから窓口を開いてください。

Webを新規獲得だけの道具として見る

展示会や紹介で接点ができた相手は、後から社名で検索して確認します。設備一覧や認証情報の抜けは、獲得ではなく既にある商談を止める形で効きます。

よくある質問

問い合わせが月に数件しかありませんが、少なすぎませんか

受注1件あたりの金額と、取引が続く年数から逆算してください。月3件の引き合いで、うち1件が量産に移行し数年続くのであれば、事業として成立します。件数の絶対値ではなく、条件に合う件数と受注後の金額で判断する指標です。

加工事例は何件くらい必要ですか

最初は3件で十分です。依頼された条件、難所、対応、結果、受けられる範囲の5項目が埋まる案件を選んでください。件数を先に増やすと、内容の薄いページが並び、どれを読んでも対応力が伝わらなくなります。

顧客の許諾が取れず、事例が1件も出せません

顧客名と製品名を伏せ、材質・寸法・公差・数量・リードタイムだけで構成すれば、許諾のハードルは大きく下がります。それでも難しい場合は、自社で作った試作品やサンプルを題材にしてください。設備一覧に加工可能な寸法と公差を明記するだけでも、判断材料としては機能します。

SEOと広告のどちらから始めるべきですか

対応範囲のページと事例が揃っていない段階では、どちらも成果が出ません。遷移先が「お気軽にご相談ください」だけの状態で広告を出すと、範囲外からの問い合わせに費用を払うことになります。掲載する情報を整えてから、まず範囲の内側にある語で検索広告を小さく試すのが安全な順序です。

英語のページは必要ですか

海外からの引き合いを受ける体制があるかで決まります。決済条件、輸出の手続き、納期の保証、問い合わせへの返信を英語で行える担当が社内にいない場合、ページを作ると対応できない引き合いが増えます。受ける準備ができてから作る順序にしてください。

自社製品を持たない受託加工でも、Web施策は有効ですか

有効です。受託加工ではむしろ対応範囲の明示が効きます。設計者は「この形状と公差で受けてくれる会社」を探しており、製品名では検索していません。材質、加工方法、寸法帯、公差の組み合わせが読み取れるページが、そのまま入口になります。

まとめ

製造業のWeb施策で最初に決めるのは、増やす件数ではありません。取りたい引き合いの条件です。材質、寸法、数量、納期、工程の5観点を営業と技術の双方が同じ粒度で言えるようになって、はじめて何を公開するかが決まります。

件数を主目標に置くと、受注率が下がっても件数は増え、報告上は成果として見えます。しかし見積を作る工数は受注しても失注しても同じだけかかり、増えた分は既存客と量産案件への対応から差し引かれています。この損失は機会費用の形をとるため、アクセス解析にも広告レポートにも現れません。

選別はフォームで行わないでください。項目を増やせば範囲外の相手と一緒に条件の合う相手も落ちます。対応可能な材質・寸法・公差・ロット・リードタイムを数値で公開すれば、範囲外の人は問い合わせる前に自分で降ります。同時に、確認しなくても可否が分かる会社として検討の初期に残りやすくなります。

加工事例は、出せない情報がある前提で設計します。何を考えて解いたかは公開してよく、どの条件値で加工したかは公開しません。前者は発注側が読みたい情報で、後者は競合が読みたい情報です。取引の場で保護される前提の技術情報を、自社サイトで先に手放さないでください。

キーワードは検索数で並べ替えないでください。発注につながる語は月に数十しか検索されず、その数値自体も丸めと12か月平均を含んでいます。見るべきは、その語で探す人が発注を判断できる立場にあるか、そして自社の対応範囲の内側かどうかです。

そして、これらの効果はWeb側の数値だけでは確認できません。条件に合う引き合いの件数、見積提出からの受注率、見積にかけた総工数。この3つは社内の記録からしか取れないため、施策を始める時点から残す形にしておいてください。会社の紹介資料は資料ダウンロードからご覧いただけます。

Google広告の構成は、キャンペーン・広告グループ・キーワードの3階層です。設定の多くはキャンペーン単位で決まります。予算、配信地域、入札戦略、配信スケジュールなどです。

そのため「分けたい理由」が設定と結びついていない場合、分ける必要はありません。細かく分けるほど管理はしやすく見えますが、1つあたりのデータ量が減り、自動入札が学習に必要な件数に届かなくなります。

この記事では、分ける基準と、分けてはいけない条件を整理します。

この記事でわかること

・予算・地域・入札戦略はキャンペーン単位で決まる

・分ける理由がこの3つに関わらないなら、分けない

・キーワードの整理は広告グループで足りる

・分けすぎると自動入札が機能しなくなる

・レポートを見やすくするためだけに分けない

・迷ったら分けない。後から分けるほうが簡単

キャンペーンを分ける基準
キャンペーンを分ける基準

何がキャンペーン単位で決まるか

分ける判断は、設定項目がどの階層に属するかで決まります。

設定項目 決まる階層
1日の予算 キャンペーン
配信地域・言語 キャンペーン
入札戦略 キャンペーン
配信スケジュール キャンペーン
キャンペーンタイプ キャンペーン
広告文とアセット 広告グループ
キーワード 広告グループ
遷移先ページ 広告・キーワード

下2つを理由にキャンペーンを分ける必要はありません。広告グループで足ります。

予算・地域・入札戦略・スケジュールはキャンペーン単位。

広告文とキーワードは広告グループ単位。

分けるべき場合

次のいずれかに当てはまるなら、分ける理由があります。

  1. 予算を別々に管理したい(一方が使い切っても他方に影響させない)
  2. 配信する地域が違う(商圏が別、対応エリアが別)
  3. 目的が違い、同じ指標で評価できない(獲得目的と認知目的)
  4. 入札戦略を変えたい(一方は自動、一方は手動で検証する)
  5. 配信する時間帯が違う(受電体制に合わせる)

特に3番目は重要です。目的の違うものを同じキャンペーンに入れると、評価指標が混ざって判断できなくなります。目的と指標の対応は広告運用は何から決めるか|媒体選定から評価までの順序と、飛ばすと起きることで整理しています。

予算・地域・目的・入札戦略・スケジュールが違うなら分ける。

それ以外の理由なら、分けない。

分けすぎると起きること

細かく分けるほど、1つあたりのデータ量が減ります。これが自動入札に影響します。

起きること 内容
自動入札が学習できない 件数が足りず、配信が安定しない
予算が分散する どのキャンペーンも判断できる件数に届かない
管理の手間が増える 変更のたびに全てへ反映が必要になる
同一の語句で競合する 自社のキャンペーン同士が同じ検索に出る
判断が遅れる 件数が貯まるまで待つ期間が長くなる

自動入札は一定の件数がなければ機能しません。切り替えの条件は自動入札の選び方と切り替えるタイミング|機能しない条件も解説を参照してください。

分けるほど1つあたりのデータが薄まる。

自動入札は件数が足りないと機能しない。

広告グループの分け方

キャンペーンを分けずに整理したい場合、広告グループで分けます。基準は「同じ広告文で違和感がないか」です。

広告文がどのキーワードにも当てはまらなくなったら、分ける合図です。広告文の作り方は検索広告の訴求文の作り方|見出しと説明文に入れるべき情報を参照してください。

広告グループは「同じ広告文で成立するか」で分ける。

広告文が当てはまらなくなったら切り出す。

自社のキャンペーン同士が競合する場合

同じ検索語句に複数のキャンペーンが該当すると、広告ランクの高いほうだけが表示されます。意図しない側が出ることがあります。

状況 対応
別キャンペーンに同じ語句がある 一方から除外する
部分一致で他方の語句を拾っている 検索語句レポートで確認し除外する
意図と違うキャンペーンが表示される 除外設定で配信先を固定する

放置すると、どちらの成果か分からなくなります。確認の手順は検索語句レポートの見方と除外キーワードの決め方を参照してください。

同じ語句を複数のキャンペーンで持つと、評価が分かれる。

除外設定で配信先を固定する。

最初に作る構成

立ち上げ時は、できるだけ少ない数から始めてください。

  1. 獲得目的の検索キャンペーンを1つ作る
  2. 検索意図ごとに広告グループを分ける(3〜5程度)
  3. 件数が貯まってから、分ける必要があるかを判断する
  4. 地域や予算を分ける理由が出たときに、初めて分割する

後から分けるのは簡単ですが、統合するのは手間がかかります。実績も分断されます。迷ったら分けないでください。立ち上げ期の予算は新規開業時のWeb広告費用の目安|業種別の立ち上げ期予算プランを参照してください。

少ない数から始める。分けるのは理由が出てから。

統合は手間がかかり、実績も分断される。

よくある失敗

レポートを見やすくするために分ける

管理画面の絞り込みで足ります。データを薄めてまで分ける理由になりません。

キーワードの種類ごとにキャンペーンを作る

広告グループで足ります。キャンペーンを分けると予算も分散します。

立ち上げからキャンペーンを大量に作る

どれも判断できる件数に届きません。少数から始めてください。

同じ語句を複数のキャンペーンに入れる

自社同士で競合し、どちらの成果か分からなくなります。除外で固定してください。

一度作った構成を見直さない

予算や商圏が変われば、分ける理由も変わります。定期的に確認してください。

よくある質問

キャンペーンはいくつが適切ですか

数の目安はありません。予算・地域・目的・入札戦略・スケジュールのいずれかが違うかで決めます。違いがなければ1つで構いません。

商材ごとに分けるべきですか

予算を分けて管理する必要があるなら分けます。必要がなければ広告グループで分けて構いません。商材が違うこと自体は、分ける理由になりません。

指名検索は分けるべきですか

分ける理由になります。獲得単価が大きく異なり、混ぜると全体の数値が実態より良く見えます。予算も別に管理できます。

P-MAXと検索を併用する場合はどうしますか

別のキャンペーンになります。掲載面が重なるため、検索語句の重複を確認してください。構成はP-MAXのアセットグループはどう作る?成果を左右する設計のコツを参照してください。

後から分けても大丈夫ですか

分けるのは比較的簡単です。逆に統合は手間がかかり、蓄積した実績も分断されます。迷った時点では分けないほうが安全です。

まとめ

Google広告の構成はキャンペーン・広告グループ・キーワードの3階層で、予算、配信地域、入札戦略、配信スケジュールといった主要な設定はキャンペーン単位で決まります。したがって分けるかどうかは、分けたい理由がこれらの設定に関わるかで判断できます。関わらないなら、分ける必要はありません。

細かく分けるほど管理はしやすく見えますが、1つあたりのデータ量が減ります。自動入札は一定の件数がなければ機能せず、予算も分散して、どのキャンペーンも判断できる件数に届かなくなります。さらに同じ語句を複数のキャンペーンで持つと自社同士が競合し、どちらの成果か分からなくなります。

キーワードの整理が目的であれば、広告グループで足ります。基準は「同じ広告文で違和感がないか」です。広告文がどのキーワードにも当てはまらなくなったら、そこが分ける合図になります。立ち上げ時は少数から始め、分ける理由が出た時点で分割してください。後から分けるのは簡単ですが、統合は手間がかかり、蓄積した実績も分断されます。

当社ではお問い合わせから、構成の設計と運用の体制をあわせてご相談いただけます。進め方は会社紹介資料にまとめています。

ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリ、YouTube、Gmailに画像広告を配信する仕組みです。Googleは配信先の規模を3,500万のサイトとアプリと説明しています。

ただし、検索広告と同じ物差しで評価すると必ず負けます。Googleは検索ネットワークを「特定の商品やサービスを検索している時期に到達できる」もの、ディスプレイネットワークを「購買サイクルの初期段階で注意を引く」ものと位置づけています。担う段階が違います。

この記事では、両者の違い、成果が出る条件、そして向かない場合の見極め方を整理します。

この記事でわかること

・検索は顕在層、ディスプレイは購買サイクルの初期段階

・同じ獲得単価で比較すると、必ずディスプレイが負ける

・最も確実な使い道は、一度訪れた人を戻すこと

・新規への配信は、検索の予算を使い切ってから

・配信面の管理をしないと、費用が想定外の場所へ流れる

・評価は獲得単価ではなく、役割ごとの指標で行う

ディスプレイ広告が向く条件
ディスプレイ広告が向く条件

検索広告との違い

同じGoogle広告でも、接触する相手の状態が違います。

検索広告 ディスプレイ広告
相手の状態 探している最中 探していない
きっかけ 検索した語句 閲覧している内容や属性
購買段階 検討〜比較 認知〜興味
主な形式 テキスト 画像・動画
向く評価軸 獲得数と単価 到達と、その後の指名検索

「探していない人」に見せる仕組みである以上、その場での獲得率は検索より低くなります。これは配信の失敗ではなく、性質です。

検索は探している人、ディスプレイは探していない人に届く。

その場での獲得率が低いのは性質であって失敗ではない。

最も確実な使い道

ディスプレイ広告で最初に取り組むべきは、一度サイトを訪れた人への再接触です。

逆に、初めからリーチの拡大を狙うのは勧めません。母数が大きく、費用の割に判断材料が集まりにくいためです。設定と評価はリターゲティング広告の設定手順と、効果を正しく見極める方法を参照してください。

まず再接触から始める。対象が限定され、判定しやすい。

最初からリーチ拡大を狙わない。

新規に配信する前の条件

新規への配信を検討するのは、検索広告の予算を使い切ってからです。

  1. 検索広告で、需要のある語句を取りきっているか確認する
  2. 予算の上限に達しているか(機会損失が出ているか)を見る
  3. 取りきっていないなら、まず検索に配分する
  4. 使い切っていて、なお伸ばしたい場合にディスプレイを検討する

検索で取れる需要を残したままディスプレイに配分するのは、順序が逆です。探している人を取るほうが確実に安く済みます。使い切れる上限の考え方は広告予算はいくらが適正?売上比率ではなく粗利から決める方法で整理しています。

検索の需要を取りきってから、ディスプレイを検討する。

順序を逆にすると、安く取れる需要を取り逃す。

配信面を管理する

3,500万のサイトとアプリが対象になるため、放置すると意図しない場所へ費用が流れます。

確認する箇所 起きやすいこと 対応
配信先のレポート ゲームアプリなどで消化されている 該当を除外する
端末別の配分 モバイルアプリに偏る 配分を調整する
誤タップの疑い 直帰が極端に多い面がある その面を除外する
ブランドとの適合 掲載面が事業と合わない カテゴリ単位で除外する

配信先の確認は、開始直後ほど頻度を上げてください。初期に除外を積み上げるほど、以降の費用対効果が安定します。

配信先を確認せずに回すと、費用が想定外の場所へ流れる。

開始直後ほど頻繁に確認し、除外を積み上げる。

素材の考え方

レスポンシブディスプレイ広告では、画像・見出し・ロゴ・説明文などを登録し、組み合わせは自動で決まります。

「探していない人」に見せる以上、素材で止められなければ何も起きません。作り方は反応率が上がるMeta広告バナーの作り方|媒体別のサイズと訴求の考え方の考え方が流用できます。

組み合わせは自動で決まる。どの組み合わせでも成立させる。

画像だけで何の広告か分かるようにする。

評価の仕方

検索広告と同じ獲得単価で並べないでください。役割ごとに見る指標を変えます。

役割 見る指標 見ない指標
再接触 再訪と獲得、獲得単価 到達数
認知の獲得 到達、指名検索の推移 直接の獲得単価
検討の後押し サイト内の回遊、資料請求 初回訪問での獲得

認知目的の配信を獲得単価で評価すると、必ず「効果なし」という結論になります。役割を決めてから指標を選んでください。媒体ごとの役割分担は広告運用は何から決めるか|媒体選定から評価までの順序と、飛ばすと起きることを参照してください。

役割を決めてから指標を選ぶ。

認知目的を獲得単価で測れば、必ず効果なしになる。

Yahoo!のディスプレイ広告との違い

同様の仕組みはYahoo!にもあります。併用するかは、配信面の重なりで判断してください。

詳細はYahoo!ディスプレイ広告の費用の考え方と設定の要点|検索広告との違いから理解するを参照してください。

掲載面が違うため、届く相手も一部異なる。

予算を分けすぎると、どちらも判定できなくなる。

よくある失敗

検索広告と同じ獲得単価で比較する

購買段階が違うため、必ずディスプレイが負けます。役割ごとに指標を変えてください。

検索の需要を取りきる前に配分する

探している人を取るほうが安く済みます。順序が逆です。

配信先を確認しない

意図しないアプリやサイトで費用が消化されます。開始直後ほど頻繁に確認してください。

いきなりリーチ拡大から始める

母数が大きく、判断材料が集まりにくくなります。再接触から始めてください。

画像に文字を詰め込む

組み合わせや表示枠によって切れます。画像単体で何の広告か分かる作りにしてください。

よくある質問

いくらから始められますか

金額の下限より、判断できる件数が集まるかで決めてください。再接触から始める場合、対象の母数が小さいため、少額でも判定できることがあります。

成果が出るまでどのくらいかかりますか

役割によります。再接触は数週間で傾向が見えますが、認知目的は指名検索の推移で見るため数か月単位になります。短期で判定しないでください。

クリック単価は検索より安いですか

一般に安くなりますが、獲得までの距離が遠いため、獲得単価が安いとは限りません。クリック単価だけで比較しないでください。

P-MAXとどちらを使うべきですか

P-MAXは複数の掲載面をまとめて扱う仕組みで、配信面の個別管理はできません。面を指定して管理したい場合はディスプレイ、任せる場合はP-MAXという分け方になります。

表示回数だけ増えて成果がありません

配信先を確認してください。意図しない面で消化されている可能性があります。除外を積み上げたうえで、役割に応じた指標で再評価します。

まとめ

ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリ、YouTube、Gmailに配信される仕組みで、Googleは対象を3,500万のサイトとアプリと説明しています。ただし検索広告とは担う段階が違います。Google自身が、検索ネットワークは探している時期に到達するもの、ディスプレイネットワークは購買サイクルの初期段階で注意を引くものと位置づけています。同じ獲得単価で比較すれば、必ずディスプレイが負けます。

最初に取り組むべきは、一度サイトを訪れた人への再接触です。関心の水準が高く、対象が限定されるため費用の増え方が読め、成果の判定もしやすい。新規への配信を検討するのは、検索広告の予算を使い切ってからです。探している人を取り逃したまま、探していない人に配分するのは順序が逆になります。

配信を始めたら、配信先の確認を怠らないでください。対象が広いため、放置すると意図しないアプリやサイトで費用が消化されます。開始直後ほど頻度を上げ、除外を積み上げるほど以降が安定します。そして評価は、役割を決めてから指標を選ぶことです。認知目的の配信を獲得単価で測れば、結論は必ず「効果なし」になります。

当社ではお問い合わせから、媒体の役割分担を含めた設計をご相談いただけます。進め方は会社紹介資料にまとめています。

Google広告のアセットは、広告文の下や横に追加情報を表示する仕組みです。以前は広告表示オプションと呼ばれていました。

設定できるものを全て入れればよい、という施策ではありません。表示されるかどうかは掲載順位や広告ランクによって決まり、業態に合わないものを入れても表示されないか、成果につながらないクリックを増やすだけになります。

この記事では、種類ごとに何が表示されるのか、どの順序で設定するのか、そして外すべき条件を整理します。

この記事でわかること

・アセットは追加情報であって、単独では成果を生まない

・設定しても、必ず表示されるとは限らない

・サイトリンクとコールアウトは、ほぼ全ての業態で先に設定してよい

・電話番号と住所は、業態で要否が分かれる

・外すべき条件がある。特に電話と住所

・効果は広告単体ではなく、獲得後の質まで見て判断する

先に設定すべきアセット
先に設定すべきアセット

アセットとは何か

Google広告のヘルプでは、見出しと説明文自体も必須のアセットと位置づけられています。ここで扱うのは、それに追加する任意のアセットです。

アセット 表示される内容
サイトリンク サイト内の特定ページへ直接遷移するリンク
コールアウト 「24時間対応」などの短い補足テキスト
構造化スニペット サービス、ブランド、品目などの列挙
電話番号 発信ボタンまたは電話番号
住所 所在地と経路案内
価格 サービスや商品の価格
プロモーション 割引やキャンペーンの訴求
リードフォーム 広告上で入力できる問い合わせ欄

いずれも「表示される可能性がある」であって、常に出るわけではありません。掲載順位が低い、または広告ランクが基準に届かない場合は表示されません。

アセットは広告文への追加情報。任意のものと必須のものがある。

設定しても常に表示されるわけではない。

先に設定すべき2つ

サイトリンクとコールアウトは、業態を問わず先に設定して問題ありません。作業量が小さく、悪影響も出にくいためです。

サイトリンク

コールアウト

サイトリンクの遷移先をすべてトップページにするのは避けてください。広告文とページの内容がずれると、到達しても戻られます。ズレの見つけ方はリスティング広告のLPで成果が出ない原因|広告とページのズレを切り分けるを参照してください。

サイトリンクとコールアウトは、まず設定してよい。

サイトリンクの遷移先は内容に対応させる。

業態で要否が分かれるもの

電話番号と住所は、入れることで不利になる場合があります。

アセット 向く業態 向かない業態
電話番号 その場で予約や相談を受ける 折り返し前提、少人数で電話に出られない
住所 来店が前提。実店舗がある 訪問型、オンライン完結、住所を出せない
価格 料金が明確に決まっている 案件ごとに変動する
リードフォーム 取得項目が少なくて済む 詳細なヒアリングが必要

電話に出られない状態で電話番号を出すと、機会損失がそのまま起きます。受電体制を確認してから設定してください。設定と集計の考え方は電話番号アセットの使い方|スマホからの問い合わせを増やす設定と、外すべき条件で詳しく扱っています。

電話と住所は、体制と業態が合っていなければ入れない。

受けられない問い合わせを増やしても損失になる。

設定する順序

作業量と効果のバランスから、次の順序を推奨します。

  1. サイトリンクを4つ以上、対応するページを指定して設定する
  2. コールアウトで、広告文に入らなかった選定理由を補う
  3. 構造化スニペットで、扱うサービスや品目を列挙する
  4. 受電体制を確認したうえで、電話番号を検討する
  5. 来店型であれば住所を追加する
  6. 価格やプロモーションは、条件が固定できる場合のみ

1〜3は同時に進めて構いません。4以降は社内の体制確認が必要なため、切り離して判断してください。全体の順序は広告運用は何から決めるか|媒体選定から評価までの順序と、飛ばすと起きることを参照してください。

サイトリンク → コールアウト → 構造化スニペットの順。

電話・住所は体制の確認とセットで判断する。

表示されない場合に見る箇所

設定したのに表示されない場合、アセットの問題ではないことが多くなります。

確認する箇所 起きていること 対応
掲載順位 順位が低くアセットの枠が出ない 入札と品質を確認する
アセットの数 サイトリンクが少ない 4つ以上用意する
審査状況 個別に不承認になっている 管理画面で状態を確認する
端末 PCとスマホで表示が異なる 端末別に確認する

掲載順位が低い状態では、アセットを増やしても表示は増えません。品質の評価はGoogle広告の品質スコアとは?改善すべき指標と無視してよい指標を参照してください。

表示されない原因は、順位や審査にあることが多い。

アセットを足す前に、順位と審査状況を確認する。

効果をどう判断するか

アセットは追加情報であり、それ単体で成果を生むものではありません。評価も広告単体で完結させないでください。

クリック率の改善だけを見て「効果があった」と判断しないでください。獲得数と、その後の商談化まで確認します。金額での評価はコンバージョン値の設定方法|CV数ではなく金額で広告を運用するを参照してください。

クリック率は上がりやすいが、獲得が増えるとは限らない。

経路が移動しただけでないかを確認する。

外すべき条件

次に当てはまる場合は、設定を外すか停止してください。

状況 判断
電話に出られない時間帯がある スケジュールを設定するか外す
住所を公開したくない 住所アセットは使わない
価格が案件ごとに変わる 価格アセットは使わない
リードフォームの質が低い 止めて通常のフォームへ送る
特定のサイトリンクだけ成果が無い そのリンクだけ差し替える

全部入れて放置するのが最も避けたい状態です。受けられない問い合わせや、質の低い獲得が積み上がります。

体制に合わないアセットは外す。

設定して放置しない。個別に成果を見る。

よくある失敗

サイトリンクの遷移先を全てトップページにする

検索した内容と着地したページがずれ、戻られます。内容に対応したページを指定してください。

受電体制を確認せずに電話番号を入れる

出られない電話が増えるだけです。機会損失がそのまま発生します。

表示されないからアセットを増やす

原因は掲載順位や審査にあることが多く、増やしても変わりません。先に順位を確認してください。

クリック率の改善だけで効果を判断する

占有面積が広がればクリック率は上がります。獲得数と商談化まで見てください。

一度設定して放置する

成果の出ていないサイトリンクが残り続けます。個別に確認して差し替えてください。

よくある質問

全て設定したほうが有利ですか

いいえ。業態に合わないものは表示されないか、成果につながらない獲得を増やします。サイトリンクとコールアウトから始め、他は条件を確認してから追加してください。

サイトリンクはいくつ必要ですか

4つ以上を用意してください。数が少ないと表示されにくくなります。ただし数を揃えるために遷移先を無理に増やすと、内容がずれたリンクが混ざります。

設定すれば必ず表示されますか

いいえ。掲載順位や広告ランクによって表示されないことがあります。設定は表示の条件であって、保証ではありません。

自動で作成されるアセットはどう扱いますか

管理画面で内容を確認し、意図と合わないものは個別に除外できます。放置すると、想定しない文言が表示されることがあります。

P-MAXでも同じですか

P-MAXはアセットグループという単位で素材を登録します。考え方は共通ですが、構成が異なるためP-MAXのアセットグループはどう作る?成果を左右する設計のコツを参照してください。

まとめ

Google広告のアセットは、広告文に追加情報を表示する仕組みです。設定できるものを全て入れればよい施策ではありません。表示されるかどうかは掲載順位や広告ランクに左右され、業態に合わないものを入れても表示されないか、成果につながらない獲得を増やすだけになります。

まず設定してよいのはサイトリンクとコールアウトです。作業量が小さく、悪影響も出にくい。サイトリンクは4つ以上を用意し、遷移先は検索内容に対応したページを指定してください。すべてトップページに送ると、到達しても戻られます。一方、電話番号と住所は業態と体制で要否が分かれます。電話に出られない状態で番号を出せば、機会損失がそのまま発生します。

設定したのに表示されない場合、原因はアセット側にないことが多くなります。掲載順位が低ければ枠自体が出ません。アセットを増やす前に、順位と審査状況を確認してください。そして効果の判断は、クリック率だけで行わないことです。占有面積が広がればクリック率は上がりますが、獲得が増えたかは別の問題です。問い合わせの経路が電話へ移っただけで、総数が変わっていないこともあります。

当社ではお問い合わせから、広告の設定と受け皿の設計をあわせてご相談いただけます。進め方は会社紹介資料にまとめています。

オウンドメディアは、始めるより続けるほうが難しい施策です。広告と違って、止めた翌日に成果がゼロになるわけではない代わりに、動いているのか止まっているのかが分かりにくい。そのため、判断の材料がないまま「もう半年やってみよう」と延長されるか、逆に3か月で打ち切られるかのどちらかになりがちです。

問題は期間ではありません。進捗を段階に分けて見ていないことです。記事の公開から問い合わせまでの間には、いくつもの関門があります。どの関門で止まっているかが分かれば、内容の問題なのか、時期が早いだけなのかを切り分けられます。

この記事では、成果が出るまでに何が順番に起きるか、最初に止まりやすい箇所はどこか、新規記事とリライトのどちらに時間を使うか、そして撤退を判断する条件を整理します。

この記事でわかること

・順位が上がらない前に、検索結果に出ていない可能性を先に確認する

・公開した記事は、内部リンクを張らないと孤立したまま残る

・進捗は公開数ではなく、段階ごとの通過率で見る

・ある時点から、新規記事より11位から20位のリライトのほうが効率が高くなる

・撤退の判断は期間ではなく、段階指標が1つも前進していないかで行う

・外注しても、テーマ選定と事実確認は自社に残る

続けるか、やめるかの判断基準
続けるか、やめるかの判断基準

オウンドメディアが向く場合と、向かない場合

先に適性を確認します。止めた後も流入が残る点が最大の利点であり、立ち上がりが遅い点が最大の欠点です。この2つが自社の状況と合うかどうかで決まります。

自社の状況 判断 理由
広告費が上がり続けている 向く 支払いを止めても残る流入を作らないと単価が下がらない
検討期間が長い商材 向く 検討中に何度も読まれる。広告だけでは接点が足りない
今期中に受注が必要 向かない 立ち上がりに半年から1年かかる。間に合わない
書ける人が社内にいない 条件付き 外注できるが、テーマ選定と事実確認は残る
検索されない新しい概念の商材 向かない 検索需要がない領域では流入が発生しない

3行目に該当する場合、オウンドメディアより先に検索広告で商談を確保するほうが順序として正しくなります。手段ごとの立ち上がり期間と、止めた後に残るものの比較はBtoBのリード獲得手段はどう選ぶか|獲得単価ではなく商談化率から逆算するで整理しています。

利点は止めた後も残ること。欠点は立ち上がりが遅いこと。

今期の受注が必要な状況では、この施策は間に合わない。

成果が出るまでに何が順番に起きるか

記事を公開してから問い合わせが届くまでに、次の6つの関門を順に通過します。前の関門を通過していない記事は、後ろの数字が必ずゼロになります。

段階 見る数字 止まっているときの意味
1. 公開 公開本数 そもそも供給が足りていない
2. インデックス登録 登録済みの本数と割合 検索結果に存在しない。順位以前の状態
3. 表示 表示回数 登録されたが、対象キーワードで拾われていない
4. 順位 掲載順位、11位から20位の本数 内容が競合に届いていない
5. クリック クリック数、クリック率 順位はあるが、タイトルで選ばれていない
6. 問い合わせ 問い合わせ数 流入はあるが、記事から次の行動につながっていない

この順序が重要です。問い合わせが増えないという相談の多くは、実際には2段目か3段目で止まっています。そこを確認せずに記事の内容を書き直しても、数字は動きません。

各段階の数字はSearch Consoleで最初に見る3つの画面|順位が分かっても打ち手にならない理由GA4レポートの見方|最初に見るべき3画面で確認できます。

公開から問い合わせまでに6つの関門がある。

前の関門を通過していない記事は、後ろの数字が必ずゼロになる。

最初に止まるのは順位ではなくインデックス

運用を始めて最初につまずくのは、たいてい2段目です。記事を公開しても、検索エンジンに登録されなければ検索結果には一切出ません。表示回数がゼロでも、それは内容が悪いという意味ではありません。

状態 意味 対処
登録済み 検索結果に出る状態 順位とクリック率を見る段階に進む
未登録(未検出) 存在を知られていない 内部リンクを張る。サイトマップを確認する
未登録(未クロール) 知られているが訪問されていない 待つ。内部リンクを増やすと早まる
未登録(クロール済) 見た上で登録されなかった 内容が薄いか重複の疑い。加筆か統合を検討する
除外 noindexやrobots.txtによる除外 意図した設定か確認する

4行目だけが内容の問題です。それ以外は構造や時間の問題であり、記事を書き直しても解決しません。状態ごとの切り分けはページがインデックスされない原因と確認の順序|検索に出ない状態を切り分けるで詳しく扱っています。

運用上の指標としては、公開本数に対する登録済みの割合を月次で見ます。この割合が下がり始めたら、記事の生産ペースが登録の速度を上回っています。本数を増やすより、既存記事の構造を整えるほうが先になります。

表示回数ゼロの原因は、内容ではなく未登録であることが多い。

登録率が下がり始めたら、生産ペースが速すぎるサイン。

公開した記事は放っておくと孤立する

見落とされやすい構造があります。新しく公開した記事は、必ず被リンクがゼロの状態で生まれます。新記事から既存記事へリンクを張っても、既存記事から新記事へは誰も張らないためです。

孤立した記事は、サイト内のどこからもたどり着けません。クロールされにくく、評価も集まりません。公開して終わりにすると、記事は増えているのに登録率と表示回数が伸びない状態になります。

  1. 新記事を公開したら、その記事が属するテーマの中心となる記事を特定する
  2. 中心記事の本文から、新記事へのリンクを追加する(文脈のある位置に置く)
  3. 新記事からも中心記事へ1本張り、上下の往復を作る
  4. 同じテーマの隣接記事が2本以上あれば、そこからも1本ずつ張る

作業としては地味ですが、登録率に直結します。構造の作り方は内部リンクの設計方法|評価が集まるサイト構造の作り方で扱っています。記事数が増えてから一括で直そうとすると、本文の流れに合わない位置へ機械的に挿入することになり、読みにくくなります。公開のたびに1本ずつ処理するほうが結果的に楽です。

新記事は必ず被リンク0で生まれる。放置すると孤立したまま残る。

公開のたびに解消する。後からまとめて直すと不自然な挿入になる。

新規記事とリライトのどちらに時間を使うか

運用の初期は新規記事しか選択肢がありませんが、ある時点からリライトのほうが効率が高くなります。切り替えの目安は、11位から20位に入っている記事が出てきたときです。

対象 必要な作業量 1ページ目に届く可能性
新規記事 1本まるごと執筆 公開直後は低い。数か月かかる
11位から20位の記事 不足している論点を1つか2つ加筆 高い。既に評価されている
21位から50位の記事 構成から見直しが必要 中程度。加筆だけでは届かないことが多い
51位以下の記事 テーマ選定から疑う 低い。統合か放置を検討する

2行目が最も費用対効果が高い領域です。1本の加筆で1ページ目に届く可能性があり、新規記事1本を書く時間より短く済みます。対象の選び方は記事のリライトはどれから手をつけるか|実データで対象を決める手順で扱っています。

もう1つ、順位はあるのにクリックされていない記事は、本文ではなくタイトルの問題です。ただし直す前に実際の検索結果を見てください。AI Overviewや同名の別企業が上に出ている場合、タイトルを直しても回復しません。判断はタイトルとメタディスクリプションの書き方|順位とクリック率は別の問題を参照してください。

11位から20位の記事への加筆が最も効率が高い。

クリック率が低い記事は、直す前に実際の検索結果を確認する。

続けるか、やめるかの判断基準

撤退の判断を期間で決めると、ほぼ確実に誤ります。半年で成果が出る領域もあれば、1年半かかる領域もあるためです。判断は段階指標の前進で行います。

状態 判断 次にやること
登録率が上がっている 継続 本数を維持しつつ内部リンクを整える
登録は進むが表示回数が伸びない 継続。ただしテーマを見直す 検索需要のあるキーワードを選び直す
表示回数は伸びるが順位が21位以下ばかり 継続。リライトへ配分を移す 上位10本に絞って加筆する
11位から20位が増えている 継続。最も効率の良い時期 新規を減らし、加筆に時間を使う
流入はあるが問い合わせがゼロ 継続。導線を直す 記事の中に次の行動を置く
1年以上、どの段階も前進していない 撤退または全面見直し テーマ選定そのものを疑う

撤退にあたるのは最終行だけです。それ以外はすべて、次にやることが特定できている状態です。段階指標を見ずに「成果が出ない」とまとめてしまうと、この区別ができなくなります。

5行目については、記事の中に次の行動を置く必要があります。読み終えた人が資料を受け取れる導線があるかどうかで、同じ流入量でも取得できるリード数が変わります。設計は資料ダウンロードでリードを獲得する設計|記事の要約を配っても取れない理由を参照してください。

撤退にあたるのは、1年以上どの段階も前進していない場合だけ。

それ以外の状態には、必ず次にやることが特定できている。

運用体制で先に決めること

始める前に決めておかないと途中で止まるものが4つあります。本数の目標より、この4つを先に決めてください。

  1. テーマを決める人(検索需要と自社サービスの両方を判断できる人)
  2. 事実確認の責任者(仕様や法令に触れる記述を止められる人)
  3. 公開後に内部リンクを張る担当(公開と同じ工程に組み込む)
  4. 数字を見る頻度(週次で段階指標、月次で本数と登録率)

止まる原因の多くは書き手不足ではなく、1番目が空席になっていることです。テーマが決まらないと執筆が始まらず、決める人がいないと会議のたびに議論が振り出しに戻ります。テーマの選び方はSEOキーワードの選び方|検索数で選ぶと問い合わせにつながらない理由で扱っています。

止まる原因は書き手不足ではなく、テーマを決める人がいないこと。

内部リンクは公開工程の一部として組み込む。

外注する場合に残る仕事

執筆は外注できます。ただし外注しても自社に残る仕事があり、これを渡そうとすると成果が出ません。

工程 外注できるか 備考
キーワード調査・構成案 できる ただし最終決定は自社。サービスとの接続を判断する
執筆 できる 専門用語の使い方は最初の数本で擦り合わせる
自社の実務に基づく判断や事例 できない 社内にしかない情報。ここが独自性の源になる
仕様・法令の事実確認 できない 誤りの責任は発注側に残る
公開作業と内部リンク できる 誰がやるかを契約時に決める
数字を見て次を決める できない 事業側の判断

3行目が最も重要です。外部の書き手が書けるのは、公開情報を整理した内容までです。自社が実際に手を動かして分かったことは社内にしかなく、そこが競合との差になります。取材の時間を確保できない場合、外注しても記事は他社と似た内容になります。

依頼先の選び方の考え方はデザイン制作会社の選び方|見積り比較で確認すべきポイントの判断軸が流用できます。

外注できるのは構成と執筆まで。事実確認と事業判断は残る。

自社の実務でしか分からない情報が入らなければ、他社と似た記事になる。

生成AIで本数を増やす前に決めること

更新が続かないことを理由に、生成AIで本数を増やす判断が出ることがあります。ただし速くなるのは初稿の執筆だけで、事実の確認は速くなりません。計画は「月に何本書けるか」ではなく「月に何本確認できるか」で立ててください。

確認すること 判断の基準 詳しくは
生成AIを入れると、運用のどこが変わるか コストが執筆から確認へ移り、律速になる工程が入れ替わる。公開後にリンクを張り直す作業も本数に比例して増えるため、量産の速度と直接ぶつかる 生成AIでSEO記事は書けるのか|Googleのポリシーと、AIに任せられない工程

よくある失敗

表示回数がゼロの記事を書き直す

原因が未登録の場合、本文をいくら直しても数字は動きません。登録状況を先に確認してください。

公開して終わりにする

新記事は必ず被リンクゼロで生まれます。内部リンクを張らないと、記事数だけが増えて登録率が下がります。

3か月で成果を判定する

立ち上がりに半年から1年かかる施策です。判定するなら期間ではなく、段階指標が前進しているかで見てください。

本数を目標にする

登録が追いつかない速度で公開すると、登録率が下がり、書いた記事が検索結果に出ないまま積み上がります。

上位表示された後に放置する

競合も加筆します。順位は一度取れば維持されるものではなく、11位から20位に落ちた記事の加筆が次の打ち手になります。

外注先に事実確認まで任せる

仕様や法令の誤りは、公開している自社の責任になります。確認の工程を発注側に残してください。

よくある質問

何本くらい公開すれば成果が出ますか

本数では決まりません。同じ10本でも、テーマがばらばらで内部リンクがない状態と、1つの領域にまとまって相互にリンクしている状態では結果が変わります。本数より、領域の絞り込みと構造を優先してください。

更新頻度はどのくらいが適切ですか

公開した記事の登録が追いついている範囲が上限です。登録率が下がり始めたら、その頻度は自社のサイトにとって速すぎます。頻度を落として既存記事の内部リンクを整えるほうが、結果的に登録も順位も進みます。

生成AIで記事を書いてもよいですか

使うこと自体は問題視されていません。判断されるのは作り方ではなく、内容が読者の役に立つかどうかです。ただし、自社の実務でしか分からない情報や事実確認は人が担う必要があり、そこを省くと他社と似た内容になります。

PVを目標にしてはいけませんか

目標に置くと、問い合わせにつながらない集客キーワードへ寄っていきます。段階指標としてPVを見るのは有効ですが、最終目標は問い合わせ数または商談数に置いてください。

記事が増えると、古い記事の順位が下がりませんか

似た検索意図の記事を複数作った場合は起こりえます。同じキーワードを狙う記事が2本あると評価が分散するためです。新規テーマを決める前に、既存記事と検索意図が重ならないかを確認してください。

まとめ

オウンドメディアの判断が難しいのは、動いているのか止まっているのかが見えにくいためです。期間で区切ると、半年で成果が出る領域も1年半かかる領域も同じ基準で切られてしまいます。見るべきは段階です。公開、インデックス登録、表示、順位、クリック、問い合わせ。前の関門を通過していない記事は、後ろの数字が必ずゼロになります。

最初に止まるのは、たいてい順位ではなくインデックス登録です。表示回数がゼロでも、それは内容が悪いという意味ではありません。登録されていない状態と、登録された上で拾われていない状態は、対処がまったく違います。

もう1つ見落とされやすいのが、新しい記事は必ず被リンクゼロで生まれるという点です。公開して終わりにすると孤立したまま残り、記事数だけが増えて登録率が下がります。公開のたびに内部リンクを張る工程を組み込んでください。

11位から20位の記事が出てきたら、新規記事より加筆のほうが効率が高くなります。1本の加筆で1ページ目に届く可能性があり、新規1本を書くより短時間で済みます。撤退にあたるのは、1年以上どの段階も前進していない場合だけです。それ以外の状態には、必ず次にやることが特定できています。

当社ではホームページ制作でメディアの構造設計を、広告代行で立ち上がりまでの流入確保をご相談いただけます。

展示会の報告で最初に出てくる数字は、たいてい名刺の枚数です。しかし名刺は成果ではなく、成果を作るための材料です。枚数を目標にすると、通路を歩く人にノベルティを配れば達成できてしまいます。

出展費用は小さくありません。ブース費、装飾、人件費、移動、印刷物を合わせると、1回で数十万円から数百万円になります。それを回収できるかどうかは、会期の3日間ではなく、終わった翌日からの動き方で決まります。

この記事では、会期中に記録しておくべきこと、名刺のメールアドレスへ送信するときに法律上必要になる対応、フォローの順序、そして追わないリードを決める基準を整理します。

この記事でわかること

・名刺の枚数を目標にすると、翌年の出展可否を判断できなくなる

・温度は会期中にしか記録できない。後から名刺を見ても復元できない

・名刺で受け取ったアドレスへの広告メールは、法律上の扱いが公開情報とは異なる

・受信拒否の通知を受けた後は送れない。表示すべき項目も決まっている

・全件を平等に追うと、費用も時間も足りなくなる

・出展の継続判断は、名刺ではなく受注粗利で行う

名刺は成果ではなく材料
名刺は成果ではなく材料

名刺は成果ではなく材料

展示会を評価する数字を名刺の枚数に置くと、翌年に出展すべきかどうかが判断できません。枚数は、ブースの位置と配布物の魅力で決まる数字であり、商談とはほとんど連動しないためです。

指標 何が分かるか 判断に使えるか
名刺の枚数 ブース前で足を止めた人の数 使えない。翌年の出展額を決められない
会話が成立した件数 説明を聞いた人の数 参考になる。ただし温度は分からない
課題を口にした件数 自社で解決できる相手の数 使える。フォローの母数になる
商談化した件数 実際に打ち合わせに進んだ数 使える
受注粗利の合計 出展費用を回収できたか 最終的な判断はこれで行う

リード獲得の手段ごとに、獲得単価ではなく商談化率から逆算する考え方はBtoBのリード獲得手段はどう選ぶか|獲得単価ではなく商談化率から逆算するで整理しています。展示会は温度の低い手段に分類されるため、フォローの設計を持たないまま出ると回収が難しくなります。

名刺の枚数は、ブースの位置と配布物で決まる数字。

翌年の判断は、受注粗利まで追わないとできない。

会期中に記録すべきこと

温度は会期中にしか記録できません。3日後に名刺の束を見ても、どの相手がどんな話をしたかは思い出せません。記録しなければ、全件が同じ扱いになります。

名刺の裏か、その場で入力するフォームに、次の3つだけを残します。多くすると現場で書かれなくなります。

  1. 相手が口にした課題を一言で(例:問い合わせが減った、採用サイトが古い)
  2. 検討の段階(今すぐ/今期中/情報収集)
  3. 対応者の名前(会話の内容を後で聞ける相手を残す)

この3つは、後から復元できない情報です。逆に、社名・役職・所在地は名刺に書いてあるので記録の必要がありません。現場で書く項目を、名刺に載っていないものだけに絞ってください。

ブースで渡す名刺そのものの設計は名刺デザインを依頼する前に決めること|営業ツールとして機能させるで扱っています。

課題・段階・対応者の3つだけを会期中に記録する。

名刺に書いてある情報は記録しない。現場の手が止まる。

名刺のアドレスへメールを送るときの扱い

広告や宣伝を目的とするメールは、原則として事前に同意を得た相手にしか送れません。特定電子メール法のオプトイン規制と呼ばれるものです。ただし例外があり、名刺はここに関係します。

状況 根拠 扱い
名刺など書面でアドレスを通知された 法第3条第1項第2号(施行規則で「書面による通知」と定義) 事前同意がなくても送信できる範囲がある
Webで公開されている法人・営業を営む個人のアドレス 法第3条第1項第4号 原則として例外にあたる
受信拒否の通知を受けた後 同法のオプトアウト規定 送信できない

重要なのは、名刺を受け取ったことが無制限の配信許可にはならない点です。想定される範囲を超える頻度や内容は、社会通念上相当な範囲を外れると判断されうると説明されています。詳細と最新の解釈は総務省の迷惑メール対策のページおよび同省と消費者庁が公表しているガイドラインを確認してください。

送信するメールには、受信者が認識しやすい形で次の表示が求められます。

受信拒否の通知を受けたら、全ての配信基盤に即座に反映する必要があります。営業担当が個別に送るメールと、配信ツールからの一斉送信で管理が分かれていると、片方だけ止まって片方が送られ続けます。実務ではここが最も事故になりやすい箇所です。

配信そのものの設計はメール施策の始め方|配信して終わりにしないための設計を参照してください。個別の判断は自社の法務または専門家に確認してください。

名刺で受け取ったアドレスは、公開情報とは別の条項で扱われる。

受信拒否の反映漏れが最大の事故。配信経路を1か所に寄せる。

フォローの順序

全件に同じ内容を同じタイミングで送ると、温度の高い相手を取りこぼします。会期中の記録をもとに、送る内容と順序を分けます。

段階 最初の連絡 内容 次の一手
今すぐ 会期中または当日中 会話の内容を要約し、日程候補を出す 電話で日程を確定させる
今期中 翌営業日 会話の内容に対応する資料を1点添える 2週間後に状況を確認する
情報収集 翌営業日から3日以内 定型の御礼と、汎用の資料案内 定期配信のリストへ入れる

差がつくのは1行目です。会場で「今まさに困っている」と口にした相手に、翌週に定型の御礼メールが届くのでは間に合いません。ブースに1人、会期中に日程調整だけを担当する人を置くだけで結果が変わります。

3行目に送る資料は、会社案内では機能しません。相手が自分で作ると時間がかかるものを配る必要があります。何を配るかの考え方は資料ダウンロードでリードを獲得する設計|記事の要約を配っても取れない理由で扱っています。

内容とタイミングを段階ごとに変える。

会期中に日程を確定させる担当を置くと、最も温度の高い層を落とさない。

追わないリードを決める

獲得した全件を平等に追うと、人員の時間が最も温度の低い層に消えます。追わない基準をあらかじめ決めておきます。

条件 扱い 理由
同業他社・調査目的 リストから外す 商談にならない。個別対応の時間が無駄になる
学生・就職活動 採用の窓口へ回す 営業リードではない。採用側では価値がある
商圏や規模が対象外 定期配信のみ 個別フォローの費用が回収できない
3回接触して反応がない 定期配信のみに戻す 個別対応から外す。関係を切るわけではない

追わないことと、関係を切ることは違います。個別のフォローから外しても、定期配信のリストには残します。BtoBは検討期間が長く、1年後に条件が変わることがあるためです。

獲得後のリードをどう管理するかは問い合わせ後の歩留まりを改善する|リード管理の始め方で扱っています。

追わない基準を先に決めないと、時間が最も低温の層に消える。

個別フォローから外すことと、リストから消すことは分ける。

ブースと配布物の役割を分ける

ブースの役割は足を止めさせることではなく、対象外の人を通過させることです。誰にでも受ける訴求にすると、名刺は増えて商談は増えません。

持ち帰られる印刷物の設計は会社案内パンフレット制作の進め方|作るべきかの判断と費用の考え方、限られた面積で伝える構成の考え方は反響が出るチラシデザインの作り方|捨てられる前の2秒で決まることが参考になります。

ブースの目的は、対象外の人を止めないこと。

ノベルティは枚数を増やすが、商談は増やさない。

出展を続けるかの判断

出展の継続は、その回の名刺ではなく、前回の出展から生まれた受注粗利で判断します。BtoBは検討期間が長いため、判断できるようになるのは半年から1年後です。

  1. 前回の出展で得た名刺に、獲得経路として展示会名と年を記録しておく
  2. 半年後と1年後に、その経路から商談になった件数と受注件数を数える
  3. 受注の粗利合計と、出展にかかった総額(人件費と移動を含む)を比較する
  4. 回収できていない場合、原因がブースかフォローかを切り分ける

4行目の切り分けが要点です。会話が成立した件数が少なければブースの問題、会話は多いのに商談が少なければフォローの問題です。前者はブース位置や訴求、後者は会期中の記録とフォローの順序を直します。出展そのものをやめる判断は、この切り分けの後です。

獲得経路を取り違えないための記録方法はUTMパラメータの設計と命名規則|流入元を正しく計測する方法の考え方をオフラインにも適用できます。

継続判断は前回の出展の受注粗利で行う。判断できるのは半年から1年後。

回収できない原因を、ブースとフォローに切り分けてからやめる。

ブースで配る記念品は、何を基準に選ぶか

名刺を集める前段として、ブースで足を止めてもらう配布物を用意することがあります。ここで重いものやかさばるものを選ぶと、その日のうちに会場のゴミ箱に入ります。来場者は複数のブースを回り、資料を抱えて移動しているためです。

決めること 判断の基準 詳しくは
配布物の品目とデザイン 持ち帰りやすさと、会社に戻ってからも使われ続けるか ノベルティグッズのデザインで効果を出す方法|企画から制作まで

よくある失敗

名刺の枚数を目標にする

ノベルティを配れば達成できる数字です。翌年の出展額を決める根拠にならず、社内では成功したように見えてしまいます。

会期中に何も記録しない

温度は後から復元できません。記録がなければ全件が同じ扱いになり、今すぐ発注したい相手が定型メールの中に埋もれます。

全件に同じ内容を一斉送信する

温度の高い相手には遅く、低い相手には唐突です。開封率だけが残り、商談は増えません。

受信拒否の反映が配信経路ごとに分かれている

一斉配信では止まっているのに、営業担当の個別メールが送られ続ける状態が起きます。法令上も問題になり、相手の心証も損ないます。

展示会の成果をその月だけで判断する

検討期間が長いため、翌月の商談数だけを見ると必ず費用対効果が悪く見えます。獲得月を記録して追跡してください。

ブースの訴求を誰にでも受ける内容にする

通行量が多いほど名刺は増えますが、対象外の人が増えるだけです。フォローの人件費が上がり、商談化率が下がります。

よくある質問

名刺交換した相手にメールマガジンを送ってよいのでしょうか

名刺のように書面でアドレスを通知された場合は、事前同意がなくても送信できる範囲があると整理されています。ただし無制限ではなく、想定される範囲を超える配信は認められません。受信拒否の通知を受けた後は送信できず、送信者名と受信拒否の連絡先の表示も必要です。個別の判断は自社の法務または専門家に確認してください。

フォローの最初の連絡は電話とメールのどちらがよいですか

会期中に日程調整まで話が進んだ相手には電話、それ以外はメールが基本です。ただし電話は相手の時間を強制的に取るため、会話の記憶が薄い相手にかけると印象を悪くします。会期中の記録がない相手には使わないでください。

何日以内に連絡すべきですか

段階によって変えます。今すぐ検討している相手は当日中、情報収集の相手は3日以内が目安です。全件を24時間以内に処理しようとすると、内容が定型になり、最も重要な層への対応が薄くなります。

小規模なブースでも成果は出せますか

出せます。ただし通行量が少ない分、対象を絞る訴求が前提になります。誰にでも受ける文言にすると、少ない通行量の中でさらに対象外の比率が上がります。

展示会とウェビナーはどちらを優先すべきですか

予算が限られている場合はウェビナーが先です。1回あたりの費用が小さく、開催のたびに録画とリストが残ります。展示会は費用が大きく、フォロー体制ができていない段階では回収が難しくなります。設計はウェビナーでリードを獲得する設計を参照してください。

まとめ

展示会の成果は名刺の枚数では測れません。枚数はブースの位置と配布物で決まる数字であり、翌年の出展額を判断する根拠になりません。判断に使えるのは、課題を口にした件数、商談化した件数、そして受注粗利です。

そのために必要なのは、会期中の記録です。相手が口にした課題、検討の段階、対応者の名前。この3つは後から復元できません。記録がなければ全件が同じ扱いになり、今すぐ発注したい相手が定型メールに埋もれます。会期中に日程調整だけを担当する人を1人置くだけでも結果は変わります。

名刺のアドレスへ広告メールを送る場合、書面でアドレスを通知された相手として扱われ、公開情報とは別の条項で整理されています。ただし無制限の配信許可ではなく、受信拒否の通知を受けた後は送信できません。営業担当の個別メールと配信ツールで管理が分かれていると反映漏れが起きるため、経路を1か所に寄せてください。

追わない基準を先に決めることも必要です。全件を平等に追うと、時間が最も温度の低い層に消えます。個別のフォローから外すことと、リストから消すことは分けて考えてください。

当社ではデザイン制作でブースと配布物を、ホームページ制作で持ち帰った後に見られる受け皿をご相談いただけます。