Google広告の管理画面やGA4の設定画面に「同意モードを設定してください」という案内が出る、あるいは広告代理店やCMPの提供会社から「Cookie規制への対応として同意モードv2を入れましょう」と提案される。この段階で多くの会社が、同意モードを「入れれば計測が守られる機能」と受け取っています。同意モードは、利用者が同意バナーで選んだ結果をGoogleのタグに伝える仕組みであり、同意バナーの代わりにはなりません。バナーが無いサイトに同意モードだけを入れても、タグの動きは何も変わりません。
この記事では、同意モードが何を伝えて何を止めるのかを押さえた上で、日本向けのサイトで必要になる条件、基本設定と詳細設定のどちらを選ぶか、拒否された分を推定で補うモデリングが動く条件、日本の法律の中で同意バナーがどう位置づけられるか、設定の順序と確認方法、設定後の数字の読み方を整理します。設定手順そのものはGoogleのヘルプに載っているため、この記事は「自社に必要か」と「入れた後に何が変わるか」に重心を置きます。
この記事でわかること
・同意モードは、利用者の同意状態(同意・拒否)をGoogleのタグに伝え、Cookieの読み書きやデータ送信を止めたり許したりする仕組み。同意バナーの代替ではなく、バナーが無ければ入れても何も変わらない
・日本向けサイトで必要になるのは2つの条件。欧州経済領域(EEA)・英国・スイスの利用者に広告を出しているか、既に拒否を選べるバナーがあって計測が落ちているか
・拒否された分を推定で補うコンバージョンモデリングは、国とドメインの組み合わせごとに7日間で700回の広告クリックが要る。月の広告クリックが数百回のアカウントでは、拒否した人の分は戻らない
・基本設定は同意まで全てのタグを止め、詳細設定はタグを先に読み込んでCookie無しの信号だけを送る。中小企業が詳細設定を選ぶ意味は、モデリングのしきい値に届くかで決まる
・日本の外部送信規律は、会社案内サイトと自社商品のみの通販を対象外とし、対象でも「公表」で足りる。同意バナーは日本の法律が求めているものではなく、入れるかどうかは事業の判断
・設定後に増えたコンバージョンはモデル化された推定値。問い合わせの増加ではなく計測の補完として扱い、コンバージョン単価の改善と混ぜない

同意モードは「入れるか」ではなく「同意バナーがあるか」で決まる
最初に結論を示します。同意モードを設定すべきかは、自社のサイトに、利用者がCookieや広告向けデータの利用を拒否できるバナーがあるか、あるいはこれから入れるかで決まります。拒否を選べるバナーが無いサイトでは、全ての利用者が「同意」の状態として扱われ、同意モードを入れてもタグの動きは変わりません。
理由は仕組みにあります。Googleのヘルプは同意モードを「ユーザーのCookieまたはアプリの識別子の同意ステータスをGoogleに伝えることができ、タグの動作が調整される」機能と定義しています。同意モードが行うのは「伝える」ことと「タグの動きを変える」ことで、同意を「取る」ことではありません。同意を取るのは同意バナー、つまり同意管理ツール(CMP)や自社で作ったバナーの役割です。
この順序を逆に理解すると、2つの失敗が起きます。1つは、バナーが無いのに同意モードを入れて「対応した」と思い込むこと。何も変わっていないため、対応したことにはなりません。もう1つは、バナーを入れたのに同意モードを入れず、バナーが飾りになること。利用者が拒否を選んでもタグは動き続け、バナーで約束した内容と実際の動きがずれます。
したがって判断の起点は、同意モードではなく同意バナーの要否です。バナーの要否は、後述するとおり、どの国の利用者を相手にしているかと、日本の法律のどこに当たるかで決まります。Cookieを巡る計測環境の変化と、必要な対応・不要になった対応の全体像はCookie規制で広告の計測はどう変わったか|必要な対応と、不要になった対応で整理しています。同意モードはその中の1つの部品で、単独で計測を守る機能ではありません。
同意モードの仕組み|何を伝え、拒否されると何が止まるか
同意モードは、7種類の「同意タイプ」ごとに「同意(granted)」か「拒否(denied)」の状態をタグに渡します。Googleのドキュメントが定義している7種類は次のとおりです。
| 同意タイプ | 何への同意か | 拒否されると止まるもの |
|---|---|---|
| ad_storage | 広告に関連する情報の保存(Cookieや端末識別子) | 広告用Cookieの新規書き込みと既存Cookieの読み取り。広告のクリックとコンバージョンをCookieで結び付けられなくなる |
| ad_user_data | 広告目的でGoogleにユーザーデータを送ること | 拡張コンバージョンなど、利用者が入力した情報をGoogleへ送る機能 |
| ad_personalization | パーソナライズド広告(個人に合わせた広告) | リマーケティングリストへの追加と、それを使った配信 |
| analytics_storage | 分析に関連する情報の保存(滞在時間など) | GA4のCookieの読み書き。利用者やセッションを識別できなくなる |
| functionality_storage | 言語設定など、サイトの機能を支える情報の保存 | サイト側の機能に関わる保存 |
| personalization_storage | おすすめ表示など、パーソナライズに関する情報の保存 | サイト側のおすすめ機能に関わる保存 |
| security_storage | 認証や不正防止など、セキュリティに関する情報 | 通常は拒否の対象にしない |
広告と計測に直接効くのは上の4つです。このうち ad_user_data と ad_personalization は2023年11月に追加されたもので、この2つを含む形を「同意モードv2」と呼びます。Googleは既存の利用者に対してv2への更新を求めています。CMPを使っている場合はCMP側の更新で自動的に対応され、自社で作ったバナーの場合は自分で2つのパラメータを追加する必要があります。
拒否された場合の動きを、広告の運用に引き付けて言い直します。ad_storage が拒否されると、広告をクリックした人がその後に問い合わせても、クリックとコンバージョンをCookieで結び付けられません。ad_personalization が拒否されると、その人はリマーケティングの対象になりません。ad_user_data が拒否されると、フォームに入力されたメールアドレスを使う拡張コンバージョンは送られません。拡張コンバージョンを入れるかどうかの判断は拡張コンバージョンは設定すべきか|フォームで取れる情報の有無で決め、増えた件数を成果と混ぜないで扱っており、同意の設計は拡張コンバージョンの前提になります。
同意モードは「利用者が拒否した」という事実を無かったことにする機能ではありません。拒否された分の計測は落ちます。落ちた分の一部を統計的に推定で補うのが、次に述べるモデリングで、これには条件があります。
基本設定と詳細設定の違い|タグを止めるか、Cookie無しの信号を送るか
同意モードの実装には2つの方式があります。違いは、利用者がバナーを操作するまでの間にタグを読み込むかどうかです。
| 基本設定(Basic) | 詳細設定(Advanced) | |
|---|---|---|
| タグの読み込み | 利用者がバナーを操作するまでGoogleのタグを読み込まない | ページの表示と同時にタグを読み込む。同意状態の初期値は「拒否」 |
| 同意前に送られるデータ | 何も送られない | Cookieを使わない信号(Cookie無しping)が送られる |
| 拒否された場合 | 何も送られない | Cookie無しpingだけが送られ続ける |
| モデリング | Google広告では業界全体の傾向に基づく一般的なモデルが使われる | 自社のサイトの信号を使った広告主固有のモデリングが使える(条件あり) |
| 向いている状況 | 同意前に一切のデータを送らない方針を取る場合 | 拒否された分をできるだけ推定で補いたい場合 |
詳細設定で送られる「Cookie無しping」の中身は、Googleのヘルプによると、タイムスタンプ、ユーザーエージェント、参照元URL、同意の状態、そのページや直前のページのURLに広告のクリック情報(GCLID/DCLID)が含まれていたかどうか、乱数、同意管理ツールの情報などです。利用者を識別するCookieや識別子は含まれず、「同意しなかった訪問が、広告経由でこのページに来た」という集計用の事実だけを送ります。この信号を材料に、同意した人の行動との関係から、同意しなかった人のコンバージョンを推定するのがモデリングです。
中小企業が詳細設定を選ぶ意味は、モデリングが動くかどうかで決まります。動かなければ、詳細設定にしても「Cookie無しpingを送っているだけ」で、拒否された分の数字は戻りません。しきい値は次の節で扱います。
なお、詳細設定であっても「タグが先に読み込まれて信号を送る」ことを、自社のプライバシーポリシーや同意バナーの説明と整合させる必要があります。同意前に何も送らないと明記しているなら、基本設定を選ぶか、記載を直すかのどちらかになります。
モデリングが動く条件|7日間で700回の広告クリック
同意モードの説明で「拒否した人の分もAIが推定して補う」と紹介されるのが、コンバージョンモデリングです。Googleのヘルプはこれを、観測できるデータと過去の傾向をGoogleのAIで分析し、同意した利用者と同意しなかった利用者の関係を数値化する機能と説明しています。ただし、動くには条件があります。
| 対象 | 条件 | 出典 |
|---|---|---|
| Google広告のコンバージョンモデリング | 同意モードを正しく実装した上で、国とドメインの組み合わせごとに7日間で700回以上の広告クリックがある | Google広告ヘルプ「同意モードにおけるモデリング機能について」 |
| GA4の行動モデリング | 詳細設定で、同意ダイアログの前にタグが必ず読み込まれる実装であること。過去28日間のうち少なくとも7日間、1日あたり1,000件以上の analytics_storage=拒否 のイベントがあり、少なくとも7日間、1日あたり1,000人以上の利用者が同意済みのイベントを送っていること | GA4ヘルプ「行動モデリング」 |
Google広告の条件を月に直すと、1つの国と1つのドメインで、月におよそ3,000回の広告クリックです。クリック単価が200円なら月60万円、500円なら月150万円の広告費に相当します。それに満たないアカウントでは、詳細設定にしてもモデリングは有効になりません。管理画面の診断タブには「同意モードが実装されました」と出ますが、その後ろに「コンバージョンモデリングのしきい値にまだ達していません」と続きます。
GA4の条件はさらに高く、拒否のイベントだけで1日1,000件が要ります。仮に拒否率が3割なら、1日3,000件以上のイベントが必要で、中小企業のサイトで満たすのは容易ではありません。行動モデリングが動いたとしても、モデル化された数字はオーディエンス、ユーザーエクスプローラ、コホート、維持率レポート、データエクスポートには反映されず、レポート用識別子を「混合」にしている場合にだけ表示されます。
この条件から導かれる判断は明確です。月の広告クリックが数百回の会社が、同意バナーで拒否を選べるようにすれば、拒否された分の計測は落ち、推定でも戻りません。「同意モードを入れれば大丈夫」という説明を受けたら、自社のクリック数がしきい値に届くかを先に計算してください。届かない場合、バナーを入れるかどうかの判断は、計測が落ちることを前提に行うことになります。自動入札は落ちた件数で学習するため、判断できる件数が確保できるかは自動入札の選び方と切り替えるタイミング|機能しない条件も解説の基準で見直します。
日本向けサイトで同意モードが必要になる2つの条件
同意バナーを入れるかどうかの判断が起点だと述べました。ここでは、日本の会社のサイトで同意モードが実際に必要になる条件を2つに絞ります。
条件1:EEA・英国・スイスの利用者に広告を出している、またはそこからの流入がある
GoogleのEUユーザーの同意ポリシーは、欧州経済領域(EEA)・英国・スイスのエンドユーザーについて、Cookieなどの利用と、パーソナライズド広告のための個人データの収集・共有・利用に同意を得ることを、Googleの製品を使う広告主とパブリッシャーに求めています。Google広告のヘルプは、EEAのエンドユーザーからデータを取得している広告主に対し、同意シグナルを送らない場合は広告のパーソナライズ、測定、リマーケティングが使えなくなると告知しており、この扱いは2024年3月から始まっています。
該当するのは、海外向けに配信している会社だけではありません。日本語のサイトでも、欧州在住の日本人や出張者からの流入はあります。GA4の「同意設定」画面(管理から「データの収集と修正」の「同意設定」)には、EEAからのトラフィックとコンバージョンの割合が表示されます。ここを開いて、割合がほぼゼロなら条件1には当たりません。数パーセントあり、その利用者のコンバージョンを計測したいなら、EEA向けにだけ同意バナーと同意モードを用意する判断になります。同意モードは地域ごとに初期値を分けられるため、EEAの利用者にだけ「拒否」を初期値にし、日本の利用者は「同意」のままにする設定が可能です。
条件2:既に拒否を選べる同意バナーがあり、計測が落ちている
海外の事例や親会社の方針に合わせて同意バナーを入れた会社で、入れた月から広告のコンバージョンとGA4の利用者数が減った、という相談は珍しくありません。バナーで拒否を選んだ分だけ、タグが止まっているためです。この状態なら、同意モードを詳細設定で実装することで、Cookie無しpingが送られ、しきい値に届けばモデリングで一部が補われます。
ただし、前節のとおり、しきい値に届かなければ戻りません。届かない会社にとっての現実的な選択肢は、バナーの必要性そのものを見直すことです。日本の利用者だけを相手にしているなら、次の節で扱うとおり、日本の法律は同意バナーを必須にしていません。バナーを外せない事情(親会社の方針、海外の顧客への説明)があるなら、計測が落ちた状態を前提に、落ちた分を実際の問い合わせ件数で補って評価する運用に切り替えます。
2つに当たらない会社は、今は入れなくてよい
日本の利用者だけを対象にし、同意バナーも無く、入れる法的な必要も無い会社は、同意モードを入れても何も変わりません。管理画面の案内は全ての広告主に表示されるもので、自社に必要かどうかを判定した結果ではありません。ただし、将来バナーを入れる可能性があるなら、タグマネージャーの構成を同意対応にしておく価値はあります。後述する「同意の概要」を有効にし、各タグがどの同意タイプに依存しているかを一覧できる状態にしておけば、バナーを入れる判断をした時に、タグ側の作業が数日で済みます。
日本の法律の中での位置づけ|外部送信規律と個人情報保護法
「規制対応として同意モードを」という提案を受けたら、どの法律のどの条文への対応なのかを確認してください。日本の法律で、企業サイトの計測タグに関わるものは主に2つです。
電気通信事業法の外部送信規律(2023年6月16日施行)
利用者の端末から外部へ情報を送信させる場合に、送信される情報の内容、送信先、利用目的を、利用者が確認できるようにすることを求める規律です。求められる措置は「通知」「公表」「同意の取得」「オプトアウト措置」のいずれかで、同意が必須ではなく、公表で足ります。GA4やGoogle広告のタグは、利用者の端末から情報を外部に送るため、対象サービスであれば外部送信に当たります。
対象になるかどうかは、そのサイトが「電気通信役務の提供を本来の業務とするサービス」かで決まります。総務省のFAQと法律事務所の解説によると、会社の概要や商品・サービスの周知・宣伝のための企業ホームページは対象外で、自社の商品だけを販売し他者の情報を掲載していない自社ECサイトも対象外とされています。一方、ニュースやコラムをオンラインで提供するオウンドメディア、他社の商品を扱うモール、SNSや検索などは対象です。自社サイトに記事コンテンツがあり、それが「各種情報のオンライン提供」に当たるかは判断が分かれるため、記事を多く持つサイトは専門家に確認することをおすすめします。
対象であっても、対応の主流はプライバシーポリシーに外部送信の一覧(送信先、送信される情報、利用目的)を公表する方法です。同意バナーは選択肢の1つで、義務ではありません。
個人情報保護法の個人関連情報(2022年4月施行の改正)
個人情報保護委員会のQ&Aは、Cookieなどの端末識別子は、それ自体では個人情報に当たらない場合でも、端末の利用者に関する情報として「個人関連情報」に当たるとしています。個人関連情報を第三者に提供し、提供先がそれを個人データとして取得することが想定される場合、提供元は本人の同意が得られていることを確認し、記録を残す義務を負います。
広告や計測のタグで送られる情報がこの規律に当たるかは、提供先がその情報を個人データと結び付けるかどうかで変わり、事業の形態と送る情報の内容によって判断が分かれます。この記事では「同意バナーが法律上必須である」とも「不要である」とも断定しません。自社の構成で確認と記録の義務が生じるかは、法務か専門家に確認してください。
実務上の整理
- 日本の利用者だけを相手にする会社案内サイト:外部送信規律は対象外。個人情報保護法上の整理を専門家に確認した上で、プライバシーポリシーに計測タグの記載を整える。同意バナーは事業の判断で、法律が求めているものではない
- 記事コンテンツを多く持つサイト、モール型のEC:外部送信規律の対象になり得る。対応は公表で足りる。同意バナーを入れるなら同意モードもセットで入れる
- EEA・英国・スイスの利用者を相手にする会社:Googleのポリシー上、同意の取得と同意モードが要る。地域を限定した実装ができる
企業サイトに必要な表記の全体と、プライバシーポリシーに何を書くかの整理は企業サイトに必要な表記の整理|プライバシーポリシーと、特商法表記が要る条件で扱っています。同意バナーを入れる前に、外部送信の一覧が現状のポリシーにあるかを確認してください。
設定の順序|バナーの要否、CMPか自社バナーか、タグマネージャー、確認
入れると決めた場合の順序です。順序を守る理由は、同意モードの不具合が「バナー」「タグマネージャー」「タグ」のどこで起きているかを切り分けられるようにするためです。
1. 同意バナーの要否と方針を決める
前節の整理に沿って、バナーを入れるか、入れるならどの地域の利用者に出すか、初期値を「拒否」にする地域と「同意」のままにする地域をどう分けるかを決めます。同意前に一切のデータを送らない方針なら基本設定、Cookie無しpingを送ってモデリングを狙うなら詳細設定です。この方針はプライバシーポリシーの記載と一致させます。
2. CMPを使うか、自社でバナーを作るかを選ぶ
| 方法 | 何をするか | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Google認定のCMPを使う | CMPの提供会社のタグを入れ、同意モードの連携を有効にする。Googleタグの管理画面から数回の操作で導入できるものもある | 自社で実装の手が無い。同意の記録を残す要件(EEA向け)を満たしたい | 月額費用がかかる。CMP側の設定で同意タイプの対応付けを誤ると、バナーの選択がタグに伝わらない |
| 自社でバナーを作る | バナーの選択に応じて、同意モードの更新命令をタグマネージャー経由で送る | デザインや文言を細かく制御したい。開発者がいる | v2の2つのパラメータを自分で追加する必要がある。同意の記録と撤回の導線も自作になる |
3. タグマネージャーの「同意の概要」を有効にする
Googleタグマネージャーの「管理」から「コンテナの設定」を開き、「同意の概要を有効にする」にチェックを入れます。有効にすると、コンテナ内の各タグがどの同意タイプに依存しているかを一覧で確認できます。GoogleのタグにはCookieの読み書きを同意状態に応じて変える「組み込みの同意チェック」があり、Google以外のタグには「追加の同意チェック」で「タグの配信時に追加の同意が必要」と設定して、拒否時に発火しないようにします。同意モードはGoogleのタグの動きを変えるもので、他社のタグは自動では止まりません。他社のタグは追加の同意チェックで止める必要があります。
4. 初期値の設定と、同意の初期化トリガー
同意状態の初期値(デフォルト)を設定し、CMPのタグや初期値を設定するタグを「同意の初期化」トリガーで配信します。このトリガーは、他の全てのトリガーより先に配信されるように設計されており、初期値が設定される前に計測タグが動いてしまう事故を防ぎます。初期値は地域ごとに分けられるため、EEAの利用者には全て「拒否」、それ以外の地域には「同意」のように設定します。利用者がバナーで選択した後は、その結果で同意状態を更新します。
5. 動作を確認する
- 設定直後:タグマネージャーのプレビューモードで「同意」タブを開き、ページ表示時の初期値と、バナー操作後の更新が想定どおりかを見る。GoogleのTag Assistantでも、初期値、操作後の更新、タグが配信されたか止まったかを確認できる
- 48時間後から2週間:Google広告の「目標」から「コンバージョン」の「概要」を開き、ウェブ用のコンバージョンアクションを選んで「診断」タブを見る。「同意モードが実装されました」と出れば認識されている。しきい値に届いていれば「モデリングは現在有効です」と続く。ヘルプによると、ステータスの表示には48時間かかることがあり、場合によっては2週間ほどかかる
- GA4側:「管理」から「データの収集と修正」の「同意設定」を開き、広告関連の同意シグナルと行動分析の同意シグナルが検出されているかを見る
同意モードの実装は、コンバージョンタグが正しく動いていることが前提です。タグそのものが発火していない状態で同意モードを入れても、切り分けができなくなります。コンバージョンが計測されない原因の確認順序はGA4のコンバージョンが計測されない時に確認すべき5つのポイントで扱っており、同意モードの導入前に一度通しておくと、導入後の不具合を同意モードのせいにせずに済みます。計測の基盤をタグマネージャーで組む考え方は店舗ビジネスのためのGA4×GTM計測設定ガイドで扱っています。
設定後の数字の読み方|同意率と、モデル化された分を分ける
同意バナーと同意モードを入れると、管理画面の数字は2段階で動きます。まず拒否された分だけ下がり、モデリングが有効になれば推定分が上乗せされて一部戻ります。この2つを分けて読まないと、バナーの影響とモデリングの効果が混ざります。
計算の例
数字は仮のものです。月に4,000回の広告クリックがあり、管理画面のコンバージョンが80件、コンバージョン単価が10,000円だったアカウントで、同意バナーと同意モード(詳細設定)を入れました。バナーの同意率は70%でした。クリックは1つの国と1つのドメインで週に約920回あり、700回のしきい値を超えています。
| 広告クリック | 同意率 | 観測されたコンバージョン | モデル化されたコンバージョン | 管理画面の合計 | 実際の問い合わせ | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 導入前 | 4,000回 | 計測なし | 80件 | 0件 | 80件 | 95件 |
| 導入直後(モデリング前) | 4,000回 | 70% | 56件 | 0件 | 56件 | 95件 |
| 導入から数週間後(モデリング有効) | 4,000回 | 70% | 56件 | 18件 | 74件 | 95件 |
導入直後は、拒否した30%の分がそのまま消え、80件が56件に見えます。問い合わせは95件で変わっていません。モデリングが有効になると、Cookie無しpingを材料に18件が推定され、合計74件になります。この18件は、問い合わせが増えたのではなく、消えた24件のうち一部が推定で戻ったものです。導入前の80件には戻っておらず、推定であるため個々の問い合わせとは対応しません。
見るべき指標は3つです。1つ目は同意率で、CMPの管理画面か、タグマネージャーの同意状態の集計で取れます。2つ目はモデル化されたコンバージョンの割合で、Google広告の診断タブに同意モードによる増加率として表示されます。ヘルプによると、増加率を出すには実装から7日以上経過し、最小しきい値に達している必要があります。3つ目は実際の問い合わせ件数で、フォームの受信箱や注文管理の件数です。管理画面の合計を実際の件数で割った計測カバー率で見ると、導入前84.2%、導入直後58.9%、モデリング後77.9%と動いたことになります。
目標コンバージョン単価を据え置いてよいかも、ここで見直します。導入直後は管理画面の単価が10,000円から約14,286円に上がって見えますが、実際の1件あたりの費用は変わっていません。ここで目標単価を据え置くと、自動入札は管理画面の単価を10,000円に戻そうとして配信を絞ります。カバー率が下がった分だけ目標単価を上げるか、モデリングが有効になるまで判断を保留するかを決めます。1件に払える上限の決め方は広告のCPA目安はどう決めるか|業種別平均が使えない理由で扱っています。
リマーケティングにも影響が出ます。ad_personalization を拒否した利用者はリストに入らないため、リストの蓄積が同意率の分だけ遅くなります。リストの規模が配信の条件を下回るようになったら、リタゲの評価も見直します。リターゲティングの設定と増分の見極めはリターゲティング広告の設定手順と、効果を正しく見極める方法で扱っています。
拒否された分は、サーバーサイドGTMでも戻らない
同意バナーで計測が落ちた会社に「サーバーサイドGTMで戻す」という提案が来ることがあります。拒否は利用者の選択で、自社のサーバーを経由しても媒体へ送ってよいことにはなりません。サーバーサイドGTMで変わるのはCookieを書く主体と送るデータの制御で、同意の扱いは変わりません。
| 確認すること | 判断の基準 | 詳しくは |
|---|---|---|
| サーバーサイドGTMは何を戻すのか | 戻るのはSafariの7日制限で切れた分のうち、同一オリジンの経路を用意した場合に限られる。サブドメインを向けるだけではサーバーから書いたCookieも7日で切れる。拒否された分はモデリングのしきい値の話で、サーバーサイドGTMとは別に判断する | サーバーサイドGTMは導入すべきか|Cookieの延命はサブドメインでは足りず、戻る件数を見積もってから費用を決める |
よくある失敗
同意バナーが無いのに、同意モードだけを入れて「対応した」とする
同意モードはバナーの結果を伝える仕組みで、バナーが無ければ全ての利用者が同意の状態のまま扱われ、何も変わりません。管理画面の案内は全ての広告主に出るもので、自社に必要かの判定ではありません。先に、バナーを入れる必要があるかを決めてください。
バナーを入れたのに、同意モードを入れない
利用者が拒否を選んでもGoogleのタグは動き続け、バナーで説明した内容と実際の動きがずれます。バナーを入れるなら、同意モードと、他社のタグの追加の同意チェックをセットで入れます。
初期値を全地域で「拒否」にして、日本の利用者まで拒否扱いにする
海外の設定例をそのまま使うと、バナーに反応しない日本の利用者の計測が全て消えます。初期値は地域ごとに設定できます。同意を必須にする地域だけ「拒否」を初期値にし、それ以外は「同意」にしてください。
しきい値に届かないのに、詳細設定でモデリングを期待する
Google広告のコンバージョンモデリングは、国とドメインの組み合わせごとに7日間で700回の広告クリックが要ります。月に数百回のクリックでは有効になりません。詳細設定にしてもCookie無しpingを送るだけで、拒否された分は戻りません。クリック数を先に計算してください。
CMPの自動連携を信じて、Tag Assistantで確認しない
CMP側の同意タイプの対応付けが誤っていると、バナーの選択がタグに伝わりません。タグマネージャーのプレビューモードの同意タブと、Tag Assistantで、初期値と操作後の更新を必ず見てください。Google広告の診断タブに反映されるまでには時間がかかります。
同意率を上げるために、拒否の選択肢を分かりにくくする
拒否ボタンを目立たなくする、同意しないと閉じられないようにするといった設計は、EEA向けではGoogleのポリシーと現地の規制に反します。日本向けでも、バナーで説明したことと実際の動きが一致しないと、利用者への説明として成り立ちません。同意率はバナーの設計で作るものではなく、結果として観測するものです。
モデル化された分を「増えた」と読む
モデリングが有効になって増えた件数は推定値で、問い合わせの増加ではありません。導入前の件数、導入直後の件数、モデリング後の件数と、実際の問い合わせ件数を並べて、計測カバー率で読んでください。
よくある質問
代理店から「Cookie規制対応として同意モードv2を入れましょう」と提案されました。入れるべきですか
先に、自社に同意バナーがあるか、これから入れる必要があるかを確認してください。バナーが無く、日本の利用者だけを相手にしているなら、同意モードを入れても何も変わりません。EEA・英国・スイスの利用者に広告を出している、または既にバナーがあって計測が落ちているなら、入れる意味があります。提案を受けたら「どの法律のどの条文への対応か」と「自社の広告クリック数でモデリングのしきい値に届くか」の2点を確認してください。
同意モードを入れると、日本の利用者の計測も減りますか
同意モードそのものは減らしません。減るのは、バナーで拒否を選んだ分です。初期値を地域ごとに分け、日本の利用者は「同意」のままにし、バナーを出す地域を限定すれば、日本の計測は変わりません。逆に、全地域で初期値を「拒否」にすると、バナーに反応しない日本の利用者の計測が消えます。
基本設定と詳細設定はどちらを選ぶべきですか
同意前に一切のデータを送らない方針なら基本設定です。拒否された分をできるだけ推定で補いたいなら詳細設定ですが、Google広告のモデリングは国とドメインの組み合わせごとに7日間で700回の広告クリックが要り、届かなければ詳細設定にしても戻りません。クリック数を計算してから決めてください。
日本の法律で、同意バナーは義務ですか
外部送信規律は、会社案内サイトと自社商品のみの通販を対象外とし、対象でも「公表」で足りるため、同意バナーを義務にはしていません。個人情報保護法は、Cookieを個人関連情報として、第三者への提供で確認と記録の義務が生じる場合を定めていますが、自社の構成で該当するかは判断が分かれます。この記事では義務か否かを断定しません。法務か専門家に確認してください。
GA4の同意設定に警告が出ています。すぐ対応が必要ですか
警告は、EEAからのトラフィックがあるのに同意シグナルが検出されていない場合などに出ます。同じ画面にEEAからのトラフィックとコンバージョンの割合が表示されるため、まずその割合を見てください。ほぼゼロなら、対応しても計測に差は出ません。数パーセントあり、その利用者を広告の対象にしているなら、EEA向けに限定した同意バナーと同意モードを用意します。
同意モードを入れてから、診断タブに何も出ません
ヘルプによると、有効なステータスの表示には48時間かかることがあり、場合によっては2週間ほどかかります。それ以前に確認するなら、タグマネージャーのプレビューモードの同意タブと、Tag Assistantで、初期値と更新が送られているかを見てください。2週間経っても出ない場合は、CMPの同意タイプの対応付けか、同意の初期化トリガーの設定を疑います。
Yahoo!広告やMeta広告のタグにも同意モードは効きますか
同意モードが動きを変えるのはGoogleのタグです。他社のタグは自動では止まらないため、タグマネージャーの「追加の同意チェック」で、拒否時に配信しない設定を各タグに入れます。各社が独自の同意連携を用意している場合もあるため、それぞれの公式ヘルプで確認してください。
まとめ
Googleの同意モードは、利用者が同意バナーで選んだ結果をGoogleのタグに伝え、Cookieの読み書きやデータ送信を止めたり許したりする仕組みです。同意バナーの代替ではなく、バナーが無いサイトに入れても何も変わりません。判断の起点は、同意バナーを入れる必要があるかどうかです。
日本向けのサイトで同意モードが必要になるのは、EEA・英国・スイスの利用者に広告を出しているか、既に拒否を選べるバナーがあって計測が落ちているかの2つの条件に当たる場合です。どちらにも当たらない会社は、今は入れなくてよく、将来に備えてタグマネージャーの「同意の概要」を有効にしておけば十分です。
拒否された分を推定で補うコンバージョンモデリングは、国とドメインの組み合わせごとに7日間で700回の広告クリックが要ります。月に数百回のクリックの会社では、拒否された分は戻りません。バナーを入れる判断は、計測が落ちることを前提に行います。
日本の外部送信規律は、会社案内サイトと自社商品のみの通販を対象外とし、対象でも公表で足ります。同意バナーは法律が求めているものではなく、個人情報保護法上の整理は事業の形態で分かれるため、専門家に確認します。「規制対応」と言われたら、どの法律のどの条文かを確認してください。
入れる場合は、バナーの方針、CMPか自社バナーか、タグマネージャーの同意の概要、地域別の初期値と同意の初期化トリガー、プレビューモードとTag Assistantでの確認の順に進めます。設定後の数字は、同意率、モデル化された分、実際の問い合わせ件数の3つに分け、増えた分を成果と混ぜずに計測カバー率で読みます。
同意設計を含む計測環境の整備と広告運用はWEBマーケティング・広告運用で承っています。会社紹介資料は資料ダウンロードから、ご相談はお問い合わせからご連絡ください。