BtoBで問い合わせの手前に置く導線として、資料のダウンロードがあります。まだ相談する段階ではない相手と接点を持てるため、検討期間の長い商材では有効です。
ただし、用意しても取られない資料には共通点があります。記事を読めば分かる内容を、PDFにまとめただけのものです。読み手から見れば、連絡先を渡してまで受け取る理由がありません。
この記事では、持ち帰る価値がある資料の条件、入力項目と獲得数の関係、ダウンロード後の対応、そして1点目に作るべき資料の選び方を整理します。
この記事でわかること
・資料が取られない3つの原因
・持ち帰る価値がある資料の条件
・入力項目をどこまで求めるか
・1点目に作るべき資料の選び方
・ダウンロード後の対応
・効果の測り方
取られない資料の3つの原因
| 原因 | 起きていること | 対処 |
|---|---|---|
| 記事の要約になっている | 読めば分かる内容に連絡先を払う理由がない | 記事にない形式にする |
| 置き場所が分かりにくい | 存在に気づかれていない | 関連する記事の中に置く |
| 入力項目が多い | 検討段階の相手には重い | 最小限にする |
1つ目が本質的な問題です。資料は記事の要約ではなく、記事では提供できない形のものである必要があります。読むだけで終わる情報ではなく、自社の数字を書き込んで持ち帰れる形にすると、価値が生まれます。
2つ目も見落とされます。トップページやフッターにだけ置いても、探しに来る人はいません。その資料が役に立つ話題を扱っている記事の中に置いてください。
資料は記事の要約にしない。記事では渡せない形にする。
置き場所はトップやフッターではなく、関連する記事の中。
持ち帰る価値がある資料の条件
次のいずれかを満たすと、連絡先を渡す理由が生まれます。
- 空欄がある:自社の数字を書き込んで使える
- チェックボックスがある:確認しながら進められる
- 計算式がある:自社の数値を入れると答えが出る
- 比較の表がある:候補を並べて判断できる
- 社内で共有できる:上長や他部署へそのまま渡せる
5つ目が意外に効きます。BtoBでは検討する人と決める人が違うことが多く、社内で説明する材料が必要になります。そのまま会議に出せる形になっていると、渡す価値が上がります。
逆に、読み物として完結している資料は記事で代替できます。「読む」ではなく「使う」ものにしてください。
| よくある資料 | 取られにくい理由 | 変える方向 |
|---|---|---|
| ◯◯の基礎知識 | 検索すれば分かる | 自社の状況を診断できるシートにする |
| サービス紹介資料 | 売り込みに見える | 選定の比較表にする(自社以外も含む) |
| 事例集 | 他社の話で終わる | 自社に当てはめる手順を付ける |
| 用語集 | 調べれば済む | 判断が必要な場面の一覧にする |
| 業界レポート | 読んで終わる | 自社の数値を記入する欄を作る |
入力項目をどこまで求めるか
項目を増やすほど、獲得できる件数は減ります。ただし少なすぎると、後の対応ができません。検討段階に応じて分けてください。
| 資料の性質 | 求める項目 | 理由 |
|---|---|---|
| 検討の初期向け(診断シートなど) | メールアドレスのみ | まだ関係ができていない |
| 検討の中盤向け(比較表など) | 会社名、氏名、メール | 対応の必要が出てくる |
| 検討の終盤向け(見積の考え方など) | 上記+電話番号、役職 | 個別の連絡が想定される |
1点目の資料は1行目から始めるのが確実です。件数が取れないうちに項目を増やすと、判断材料がたまりません。
また、項目の数だけでなく入力の手間も影響します。選択式にできるものは選択式にし、自由入力を減らしてください。改善の観点は入力フォームの離脱率を改善するデザインの工夫を参照してください。
1点目に作るべき資料
何点も用意する必要はありません。まず1点、次の条件で選んでください。
- 問い合わせで最も多い質問に関するもの:需要が確認できている
- 判断に迷う場面のもの:比較や選定が必要な話題
- 自社が答えを持っているもの:一般論で終わらない
- 既存の記事と結びつくもの:置き場所が確保できる
1番目が最も確実です。受付や営業に繰り返し寄せられる質問は、検討している人が共通して持っている疑問です。その質問に答える形の資料は、需要が保証されています。
4番目については、資料を置く記事がないと存在に気づかれません。資料を作る前に、どの記事に置くかを決めてください。
1点目は「問い合わせで最も多い質問」から作る。需要が確認できている。
作る前に、どの記事に置くかを決める。
ダウンロード後の対応
資料を渡して終わりにすると、獲得した連絡先が活きません。ただし、すぐに営業の連絡をすると逆効果になります。
| タイミング | やること | 避けること |
|---|---|---|
| 直後 | 資料の送付と、関連する記事の案内 | 売り込み |
| 数日後 | 資料の内容に関する補足 | 面談の強い要求 |
| 数週間後 | 新しい情報の提供 | 同じ内容の繰り返し |
| 問い合わせがあったとき | 個別の対応 | 資料を送った経緯の確認漏れ |
1行目で売り込むと、次から資料を取られなくなります。資料をダウンロードした時点では、まだ相談したい段階ではありません。
4行目については、後日問い合わせがあったときに、どの資料をいつダウンロードしたかが分かる状態にしておいてください。関心のある領域が事前に分かるため、初回の対応の質が変わります。獲得後の管理は問い合わせ後の歩留まりを改善する|リード管理の始め方で扱っています。
効果の測り方
| 指標 | 何が分かるか | 注意点 |
|---|---|---|
| ダウンロード数 | 資料そのものの需要 | これだけを目標にしない |
| 資料ページへの到達率 | 置き場所が適切か | 低いなら記事内の導線を見直す |
| フォームの完了率 | 入力項目が適切か | 低いなら項目を減らす |
| ダウンロード後の問い合わせ率 | 資料が検討を進めたか | 最も重要な指標 |
| 問い合わせまでの日数 | 検討期間の実態 | 対応の設計に使う |
4行目を見てください。ダウンロード数が多くても、問い合わせにつながっていないなら、資料の内容か対応の設計に原因があります。
5行目が分かると、その後の接触の設計ができます。検討期間が2か月なら、その間に何回、どんな内容で接点を持つかを決められます。メールでの接点設計はメール施策の始め方|配信して終わりにしないための設計を参照してください。
よくある失敗
記事の要約をPDFにする
読めば分かる内容に連絡先を渡す理由がありません。記事では渡せない形にしてください。
フッターにだけ置く
存在に気づかれません。関連する記事の中に置いてください。
1点目から項目を多く求める
件数が取れず、判断材料がたまりません。まずメールアドレスのみで始めてください。
ダウンロード直後に売り込む
次から取られなくなります。まだ相談したい段階ではありません。
ダウンロード数を目標にする
数が増えても問い合わせにつながらなければ意味がありません。問い合わせ率を見てください。
よくある質問
資料は何点用意すべきですか
まず1点で構いません。1点で獲得と問い合わせの流れができてから増やしてください。点数が増えるほど、どれを置くかの判断も必要になります。
PDFとWebページのどちらがよいですか
持ち帰って書き込む用途ならPDFが向きます。ただし、連絡先を求めずにWebページで公開し、記事として流入を得る選択肢もあります。目的が接点を持つことなのか、流入を増やすことなのかで決めてください。
既存顧客にも配ってよいですか
有効です。特に社内で共有できる形の資料は、既存顧客が自社内で説明する材料になります。追加の商談につながることがあります。
広告の遷移先に使えますか
使えます。問い合わせより心理的な負担が小さいため、検討の初期段階の相手を獲得できます。ただし獲得単価だけで評価すると、問い合わせより安く見えます。成果の種類ごとに価値を分ける方法はコンバージョン値の設定方法|CV数ではなく金額で広告を運用するを参照してください。
どんな形式が作りやすいですか
チェックリストと比較表が最も作りやすく、使われやすい形式です。既存の記事にある判断基準を、記入できる形に組み替えるだけで作れます。
まとめ
資料が取られない最大の原因は、記事を読めば分かる内容をPDFにまとめていることです。読み手から見れば、連絡先を渡してまで受け取る理由がありません。資料は記事の要約ではなく、記事では提供できない形にしてください。空欄、チェックボックス、計算式、比較表。「読む」ではなく「使う」ものにすると価値が生まれます。
そして置き場所も重要です。トップページやフッターにだけ置いても探しに来る人はいません。その資料が役に立つ話題を扱っている記事の中に置いてください。資料を作る前に、どの記事に置くかを決めておくと無駄が出ません。
1点目に作るなら、問い合わせで最も多い質問に関するものを選んでください。受付や営業に繰り返し寄せられる質問は、検討している人が共通して持っている疑問であり、需要が保証されています。入力項目はメールアドレスのみから始め、ダウンロード直後に売り込まないこと。この段階ではまだ相談したい状態ではありません。
当社ではホームページ制作において、資料の設計とリード獲得の導線をご相談いただけます。実際の資料の形は、資料をダウンロードからご確認ください。