ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリ、YouTube、Gmailに画像広告を配信する仕組みです。Googleは配信先の規模を3,500万のサイトとアプリと説明しています。
ただし、検索広告と同じ物差しで評価すると必ず負けます。Googleは検索ネットワークを「特定の商品やサービスを検索している時期に到達できる」もの、ディスプレイネットワークを「購買サイクルの初期段階で注意を引く」ものと位置づけています。担う段階が違います。
この記事では、両者の違い、成果が出る条件、そして向かない場合の見極め方を整理します。
この記事でわかること
・検索は顕在層、ディスプレイは購買サイクルの初期段階
・同じ獲得単価で比較すると、必ずディスプレイが負ける
・最も確実な使い道は、一度訪れた人を戻すこと
・新規への配信は、検索の予算を使い切ってから
・配信面の管理をしないと、費用が想定外の場所へ流れる
・評価は獲得単価ではなく、役割ごとの指標で行う

検索広告との違い
同じGoogle広告でも、接触する相手の状態が違います。
| 検索広告 | ディスプレイ広告 | |
|---|---|---|
| 相手の状態 | 探している最中 | 探していない |
| きっかけ | 検索した語句 | 閲覧している内容や属性 |
| 購買段階 | 検討〜比較 | 認知〜興味 |
| 主な形式 | テキスト | 画像・動画 |
| 向く評価軸 | 獲得数と単価 | 到達と、その後の指名検索 |
「探していない人」に見せる仕組みである以上、その場での獲得率は検索より低くなります。これは配信の失敗ではなく、性質です。
検索は探している人、ディスプレイは探していない人に届く。
その場での獲得率が低いのは性質であって失敗ではない。
最も確実な使い道
ディスプレイ広告で最初に取り組むべきは、一度サイトを訪れた人への再接触です。
- すでに商材を認識しており、関心の水準が高い
- 配信対象が限定されるため、費用の増え方が読める
- 成果の判定が比較的しやすい
- 新規への配信より、獲得単価が安定する
逆に、初めからリーチの拡大を狙うのは勧めません。母数が大きく、費用の割に判断材料が集まりにくいためです。設定と評価はリターゲティング広告の設定手順と、効果を正しく見極める方法を参照してください。
まず再接触から始める。対象が限定され、判定しやすい。
最初からリーチ拡大を狙わない。
新規に配信する前の条件
新規への配信を検討するのは、検索広告の予算を使い切ってからです。
- 検索広告で、需要のある語句を取りきっているか確認する
- 予算の上限に達しているか(機会損失が出ているか)を見る
- 取りきっていないなら、まず検索に配分する
- 使い切っていて、なお伸ばしたい場合にディスプレイを検討する
検索で取れる需要を残したままディスプレイに配分するのは、順序が逆です。探している人を取るほうが確実に安く済みます。使い切れる上限の考え方は広告予算はいくらが適正?売上比率ではなく粗利から決める方法で整理しています。
検索の需要を取りきってから、ディスプレイを検討する。
順序を逆にすると、安く取れる需要を取り逃す。
配信面を管理する
3,500万のサイトとアプリが対象になるため、放置すると意図しない場所へ費用が流れます。
| 確認する箇所 | 起きやすいこと | 対応 |
|---|---|---|
| 配信先のレポート | ゲームアプリなどで消化されている | 該当を除外する |
| 端末別の配分 | モバイルアプリに偏る | 配分を調整する |
| 誤タップの疑い | 直帰が極端に多い面がある | その面を除外する |
| ブランドとの適合 | 掲載面が事業と合わない | カテゴリ単位で除外する |
配信先の確認は、開始直後ほど頻度を上げてください。初期に除外を積み上げるほど、以降の費用対効果が安定します。
配信先を確認せずに回すと、費用が想定外の場所へ流れる。
開始直後ほど頻繁に確認し、除外を積み上げる。
素材の考え方
レスポンシブディスプレイ広告では、画像・見出し・ロゴ・説明文などを登録し、組み合わせは自動で決まります。
- どの組み合わせでも意味が通る素材を用意する
- 画像単体で何の広告か分かるようにする
- 文字を画像に焼き込みすぎない。切れることがある
- 複数の訴求を用意し、反応の差を見る
「探していない人」に見せる以上、素材で止められなければ何も起きません。作り方は反応率が上がるMeta広告バナーの作り方|媒体別のサイズと訴求の考え方の考え方が流用できます。
組み合わせは自動で決まる。どの組み合わせでも成立させる。
画像だけで何の広告か分かるようにする。
評価の仕方
検索広告と同じ獲得単価で並べないでください。役割ごとに見る指標を変えます。
| 役割 | 見る指標 | 見ない指標 |
|---|---|---|
| 再接触 | 再訪と獲得、獲得単価 | 到達数 |
| 認知の獲得 | 到達、指名検索の推移 | 直接の獲得単価 |
| 検討の後押し | サイト内の回遊、資料請求 | 初回訪問での獲得 |
認知目的の配信を獲得単価で評価すると、必ず「効果なし」という結論になります。役割を決めてから指標を選んでください。媒体ごとの役割分担は広告運用は何から決めるか|媒体選定から評価までの順序と、飛ばすと起きることを参照してください。
役割を決めてから指標を選ぶ。
認知目的を獲得単価で測れば、必ず効果なしになる。
Yahoo!のディスプレイ広告との違い
同様の仕組みはYahoo!にもあります。併用するかは、配信面の重なりで判断してください。
- 掲載面が異なるため、届く相手も一部異なる
- Yahoo!は日本国内の主要メディアに強い
- 同じ素材を流用できるため、追加の作業量は小さい
- ただし予算を分けると、どちらも判断できる件数に届かないことがある
詳細はYahoo!ディスプレイ広告の費用の考え方と設定の要点|検索広告との違いから理解するを参照してください。
掲載面が違うため、届く相手も一部異なる。
予算を分けすぎると、どちらも判定できなくなる。
よくある失敗
検索広告と同じ獲得単価で比較する
購買段階が違うため、必ずディスプレイが負けます。役割ごとに指標を変えてください。
検索の需要を取りきる前に配分する
探している人を取るほうが安く済みます。順序が逆です。
配信先を確認しない
意図しないアプリやサイトで費用が消化されます。開始直後ほど頻繁に確認してください。
いきなりリーチ拡大から始める
母数が大きく、判断材料が集まりにくくなります。再接触から始めてください。
画像に文字を詰め込む
組み合わせや表示枠によって切れます。画像単体で何の広告か分かる作りにしてください。
よくある質問
いくらから始められますか
金額の下限より、判断できる件数が集まるかで決めてください。再接触から始める場合、対象の母数が小さいため、少額でも判定できることがあります。
成果が出るまでどのくらいかかりますか
役割によります。再接触は数週間で傾向が見えますが、認知目的は指名検索の推移で見るため数か月単位になります。短期で判定しないでください。
クリック単価は検索より安いですか
一般に安くなりますが、獲得までの距離が遠いため、獲得単価が安いとは限りません。クリック単価だけで比較しないでください。
P-MAXとどちらを使うべきですか
P-MAXは複数の掲載面をまとめて扱う仕組みで、配信面の個別管理はできません。面を指定して管理したい場合はディスプレイ、任せる場合はP-MAXという分け方になります。
表示回数だけ増えて成果がありません
配信先を確認してください。意図しない面で消化されている可能性があります。除外を積み上げたうえで、役割に応じた指標で再評価します。
まとめ
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリ、YouTube、Gmailに配信される仕組みで、Googleは対象を3,500万のサイトとアプリと説明しています。ただし検索広告とは担う段階が違います。Google自身が、検索ネットワークは探している時期に到達するもの、ディスプレイネットワークは購買サイクルの初期段階で注意を引くものと位置づけています。同じ獲得単価で比較すれば、必ずディスプレイが負けます。
最初に取り組むべきは、一度サイトを訪れた人への再接触です。関心の水準が高く、対象が限定されるため費用の増え方が読め、成果の判定もしやすい。新規への配信を検討するのは、検索広告の予算を使い切ってからです。探している人を取り逃したまま、探していない人に配分するのは順序が逆になります。
配信を始めたら、配信先の確認を怠らないでください。対象が広いため、放置すると意図しないアプリやサイトで費用が消化されます。開始直後ほど頻度を上げ、除外を積み上げるほど以降が安定します。そして評価は、役割を決めてから指標を選ぶことです。認知目的の配信を獲得単価で測れば、結論は必ず「効果なし」になります。