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展示会ブースのデザインは何から決めるか|通路から読まれる掲示と、会場の規定で作り直さない進め方

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展示会への出展が決まり、ブースのデザインを考え始めた。施工会社から装飾のプランが届いたが、何を基準に選べばよいか分からない。前回はブースの前に人が集まったのに、商談はほとんど生まれなかった。BtoBの出展では、こうした相談がよくあります。

展示会ブースのデザインで最初に決めるのは、色や形ではなく「誰に足を止めてもらい、誰には通り過ぎてもらうか」です。来場者は通路を歩きながら、そのブースが自分に関係あるかを一瞬で判断します。誰にでも受ける見た目にすると人は集まりますが、名刺が増えるだけで商談は増えません。

この記事では、止めたい相手の決め方、遠くから・ブースの前・手元の3つの距離に分けた掲示、出展者マニュアルにある規定と締切、発注の分け方、次回も使える作り方を整理します。会期後の名刺のフォローは展示会で集めた名刺を商談につなげる方法|フォローの順序と、追わない基準で扱っています。

この記事でわかること

・ブースの役割は人を集めることではなく、話すべき相手を止め、対象外の人を通過させること

・掲示は遠くから(通路)・ブースの前・手元の3つの距離に分け、距離ごとに載せる情報を変える

・通路から読める位置には業種か課題を1つだけ書く。社名とロゴだけでは、来場者は自分に関係があるか判断できない

・装飾の高さ・防炎・通路へのはみ出し・提出物の締切は展示会ごとに出展者マニュアルで決まっている。デザインの前に確かめる

・見た目から決めると、規定と締切に合わせて作り直しになる。決める順序を守る

展示会ブースのデザインを決める順序
展示会ブースのデザインを決める順序

ブースの役割は、話すべき相手を止めること

結論として、BtoBの展示会ブースは、話すべき相手を止め、対象外の人には通り過ぎてもらうように設計します。

展示会の成果は、会期後に商談がいくつ生まれたかで決まります。ブースの前に人が集まっても、対象外の人との会話に説明員の時間を使えば、本当に話すべき相手を逃します。派手な装飾やノベルティは足を止める人を増やしますが、商談の数はほとんど増やしません。

そのため、デザインの最初の作業は、止めたい相手を言葉にすることです。

決めること 例 決めないと起きること
業種 製造業、医療機関、自治体など 誰向けか分からず、来場者が素通りする
役職・立場 工場長、情報システム担当、経営者など 決める立場にない人との会話が増える
今抱えている課題 人手不足、検査の手間、老朽化した設備など 製品の説明から入り、相手の関心と合わない
会期中にしてほしいこと デモを見る、相談の日程を決める、資料を持ち帰る 会話が雑談で終わり、次の約束が残らない

展示会がリード獲得の手段として自社に合うかどうかはBtoBのリード獲得手段はどう選ぶか|獲得単価ではなく商談化率から逆算するで整理しています。止めたい相手が決められないなら、デザインより先に、出展する展示会の選び方を見直します。

掲示は、遠くから・ブースの前・手元の3つの距離で分ける

ブースの掲示は、見る人との距離ごとに、載せる情報を変えます。通路を歩いている人と、ブースの前で立ち止まった人と、説明員と話している人では、読める文字の量も、知りたいことも違います。1枚のパネルにすべてを載せると、どの距離からも読めない掲示になります。

距離 見る人の状態 載せるもの 載せないもの
遠くから(通路) 歩きながら、関係があるかを判断している 業種か課題を1つ。社名 製品の仕様、細かい説明、複数の訴求
ブースの前 立ち止まり、何ができる会社かを確かめている 解決できる範囲、実績(業種・社数・事例名)、デモの内容 全製品の一覧、長い文章
手元 説明員と話しながら、比べる材料を探している 資料、事例、料金の考え方、デモ画面 会場でしか意味の無い情報

遠くから:人の頭より上に、業種か課題を1つだけ

通路から見える位置には、来場者が「自分のことだ」と分かる言葉を1つだけ置きます。「製造業の検査工程を自動化」「医療機関の予約業務を減らす」のように、業種か課題が入っている言葉です。社名とロゴだけでは、初めて見る人には何の会社か分かりません。

混雑する会場では、ブースの前に人が立つと、腰の高さのパネルは隠れます。通路向けの言葉は、人の頭より上の高さに置きます。どこまで高くできるかは、後述する会場の規定で決まります。

ブースの前:解決できる範囲と、実績

立ち止まった人が確かめたいのは、自社の状況に当てはまるかどうかです。解決できる範囲(何ができて何ができないか)と、同じ業種での実績を置きます。導入社数、業種別の事例名、導入前後の変化などです。社名を出せない事例でも、業種と規模と変化を書けば判断の材料になります。事例の書き方は導入事例の作り方|本数は相場ではなく買い手が自分を見つけられる組み合わせで決め、社名が出せなくても業種・規模・数字の前提を書けば稟議の材料になるで扱っています。

デモを行う場合は、モニターの画面もこの距離の掲示です。音を出さなくても内容が伝わるように、画面に短い文字を重ねます。会場は騒がしく、音声はほとんど聞こえません。

手元:持ち帰った後に読まれる資料

手元で渡す資料は、会場では読まれません。持ち帰った後に、社内で他の人に回される前提で作ります。会場での説明を聞いていない人が読んでも分かるか、問い合わせ先と次の手順が書いてあるかを確かめます。

資料の作り方は会社案内パンフレット制作の進め方|作るべきかの判断と費用の考え方と営業資料の作り方|商談で映す前提ではなく、営業がいない稟議の場で読まれる前提で、費用対効果と比較のページから作る、配る記念品はノベルティグッズのデザインで効果を出す方法|企画から制作まで、使われ続ける条件で扱っています。資料にQRコードを載せる場合は、どの展示会から来たかを分けられるよう、リンクに計測用のパラメータを付けておきます(UTMパラメータの設計と命名規則|流入元を正しく計測する方法)。

文字の大きさと色は、原寸で確かめる

パネルの文字が読めるかは、画面ではなく原寸に近い大きさで確かめます。パソコンの画面で縮小して見たデザインは、実物より読みやすく見えます。主要な言葉だけでも原寸で印刷し、通路の幅ぶん離れて読めるかを確かめると、会場での失敗を防げます。

  • 文字の量:遠くから読ませる言葉は1行に収める。2行目以降は読まれない前提にする
  • 背景と文字の明暗の差:写真の上に文字を重ねると、会場の照明で読めなくなることがある。文字の下は無地か、暗い帯を敷く
  • 写真:製品の全体より、使われている場面や、変化が分かる写真を大きく1枚使う
  • 色:会社の色を使うのは良いが、隣のブースと同じ系統の色だと埋もれる。会場の配置図で両隣の出展者を確かめる

掲示する場所から逆算して構図とコピーを決める考え方は、目を引くポスターデザインの作り方|掲示場所から逆算する構図とコピーと同じです。限られた面積で何を削るかは反響が出るチラシデザインの作り方|捨てられる前の2秒で決まることも参考になります。

デザインの前に、出展者マニュアルで規定と締切を確かめる

装飾の高さ、使える材料、通路へのはみ出し、提出物の締切は、展示会ごとに出展者マニュアル(出展規定)で決まっています。デザインを決めた後に規定に合わないと分かると、作り直しになります。主催者から届くマニュアルは、デザインを考える前に読みます。

確かめる項目 規定の例 デザインへの影響
装飾の高さ 照明を含めて3mまでとし、通路や隣の小間から下がった範囲だけ高くできる、などの規定がある 通路向けの言葉を置ける高さが決まる
基礎パネル(小間を仕切る壁) 主催者が用意する壁の仕様や、壁への取り付け方の条件が書かれている パネルを貼れるか、自立する什器が要るかが変わる
材料の防炎 装飾に使う材料は、消防法で定める防炎性能を満たすものに限る、とする規定が多い 布や合板、床に敷くものを選ぶ条件になる
通路へのはみ出し 小間の外に看板や什器、配布の人を出すことを禁じる規定が多い 通路側の掲示を小間の内側に収める
提出物と締切 装飾の図面、電気の申込、搬入の時間などに締切がある デザインの確定日と印刷の入稿日がここから逆算で決まる

防炎は、見落とすと会場で使えなくなる項目です。消防法では、展示用の合板(展示用のパネルや仕切り用パネルなどに使う合板)や、じゅうたんなどの床に敷くものが、防炎性能が求められる物品として定められています。布や大判の出力物を吊るす場合も、防炎の材料を使えるか、制作会社に確かめます。

規定の数字は、会場ではなく展示会ごとに違うことがあります。同じ会場でも前回のマニュアルを使い回さず、毎回、今回の版を読みます。判断に迷う項目は、主催者の事務局に図面を添えて確かめます。

法律や規定で作れるものが変わる構造は、店舗の看板と同じです。考え方は看板のデザインを決める前に確認すること|条例と構造で、作れる看板が変わるで扱っています。

誰に何を頼むか:施工会社、デザイン会社、システムパネル

ブースの制作は、造作と電気を担う施工会社と、掲示する内容と見た目を担うデザイン会社に分けて考えます。施工会社がデザインまで一括で請け負うことも多くありますが、その場合も、誰に何を伝えるかを決めるのは出展する自社です。

頼み方 向く場合 注意
施工会社に一括で頼む 木工の造作や照明を使う大きめのブース。会場の規定に慣れた会社に任せたい 掲示の言葉は自社で決める。プランの比較は、見た目より「止めたい相手に何が伝わるか」で行う
施工会社とデザイン会社に分ける 掲示の内容や、配布物・営業資料と一緒に作り込みたい 入稿の形式とサイズ、締切を両社の間で先に揃える
システムパネルをレンタルし、出力物だけ作る 小さめのブース。出展回数が多い パネルの規格サイズに合わせて掲示を作る。組み立てを誰が行うか決める

外注するときに最初に渡すものは、止めたい相手、通路向けの言葉の候補、実績、出展者マニュアル、配置図です。「おしゃれにしてほしい」だけで頼むと、見た目の良い案は出てきますが、誰に向けた掲示かが曖昧になります。依頼の進め方はグラフィックデザインを外注する流れ|初めての依頼で決めておくことで扱っています。

次回も使えるように作る

複数回出展する予定があるなら、毎回作り直す部分と、使い回す部分を分けて作ります。

  • 使い回す部分:社名、通路向けの言葉、会社の色や写真。日付や展示会名は入れない
  • 差し替える部分:その回の新製品、デモの内容、事例。小さな面に分けておくと、差し替えの印刷だけで済む
  • 大きさ:小間の大きさが変わっても使えるよう、パネルを組み合わせて並べられる単位で作る

会期後は、ブースのどの掲示の前で人が止まったか、会話のきっかけになった言葉は何だったかを、説明員から聞き取って記録します。次回の通路向けの言葉は、この記録から選びます。名刺の記録とあわせて残しておくと、どの言葉で止まった人が商談に進んだかまで比べられます。

よくある失敗

社名とロゴを一番大きく掲げる

初めて見る来場者には、社名だけでは何の会社か分かりません。通路から見える一番大きな面には、業種か課題を書きます。社名はその近くに添えれば十分です。

1枚のパネルに、製品の特長をすべて並べる

通路を歩く人は、長い文章を読みません。すべてを並べると、どの距離からも読めない掲示になります。遠くから見せる言葉は1つに絞り、詳しい説明はブースの前と手元に分けます。

デザインを決めてから、出展者マニュアルを読む

高さの上限や防炎の条件に合わないと、作り直しになります。締切に間に合わず、準備していた装飾を使えないこともあります。マニュアルは、デザインを考え始める前に読みます。

人を集めることを目標にする

ノベルティや派手な演出で人を集めても、対象外の人との会話が増えるだけです。説明員の時間が限られる以上、話すべき相手に時間を使えるように、ブースで対象を絞ります。

よくある質問

小さいブースでも、デザインで成果は変わりますか

変わります。小さいブースほど置ける掲示が少ないため、何を書くかの差が大きく出ます。通路向けの言葉を1つに絞り、手元の資料を充実させる作り方が向いています。

ブースのデザインはいつから準備すればよいですか

出展者マニュアルにある装飾図面の提出や、電気の申込、印刷の入稿の締切から逆算して決めます。締切は展示会ごとに違うため、出展が決まった時点でマニュアルを入手し、締切を一覧にしておきます。

施工会社のプランを比べるときは、何を見ればよいですか

見た目の良さより、止めたい相手に向けた言葉が通路から読める位置にあるか、会場の規定に合っているか、次回に使い回せるかを比べます。見積もりは、造作・電気・出力物・運搬・組み立てに分けて出してもらうと比べやすくなります。

展示会のブースと、ウェブサイトのデザインは揃えるべきですか

揃えたほうが、会期後にサイトを見た来場者が同じ会社だと気づきやすくなります。ブースで使った言葉と同じ言葉でサイトの見出しや資料を作っておくと、会場で関心を持った人が迷わずにたどり着けます。

まとめ

展示会ブースのデザインは、止めたい相手を決めることから始めます。ブースの役割は人を集めることではなく、話すべき相手を止め、対象外の人に通り過ぎてもらうことです。

掲示は遠くから・ブースの前・手元の3つの距離に分け、通路から見える位置には業種か課題を1つだけ書きます。ブースの前には解決できる範囲と実績、手元には持ち帰って読まれる資料を置きます。

デザインの前に出展者マニュアルで高さ・防炎・はみ出し・締切を確かめ、見た目から決めて作り直す事態を避けます。複数回出展するなら、使い回す部分と差し替える部分を分けて作ります。販促物全体の使い分けは販促物は何を作るべきか|種類ごとの使い分けと、品目より先に決める4つの条件で整理しています。

展示会のパネルや配布物、営業資料のデザインは販促・広告デザインで承っています。これまでの制作事例は制作実績、ご相談はお問い合わせからご連絡ください。

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