WEB制作

KNOWLEDGE

Web制作の見積書の読み方|同じ金額が別の買い物になる理由

  • #WEB制作

SHARE

Web制作の相見積もりで、A社が80万円、B社が200万円——この差は、どちらかが高いのではなく、まったく別のものを見積もっていることがほとんどです。

同じ「ホームページ制作一式」でも、含まれる作業と成果物が違います。金額を並べて安いほうを選ぶと、後から追加費用が発生するか、必要なものが入っていない状態で納品されます。

この記事では、見積書を比較可能な状態に揃えるための確認項目を整理します。

この記事でわかること

・「一式」の中身を分解する方法

・金額差が生まれる6つの要因

・見積書に書かれない費用

・比較する前に揃えるべき条件

・契約前の最終確認

「一式」を分解する

「ホームページ制作一式 ◯◯円」という見積書は、比較できません。次の項目に分けてもらってください。

工程 含まれる作業 確認すること
ディレクション 進行管理、打ち合わせ 回数、担当者
要件定義 必要な機能・ページの整理 どこまで決めるか
情報設計 サイト構成、ページ一覧 成果物は何か
ワイヤーフレーム 各ページの構成 全ページか、代表ページのみか
デザイン ページデザイン 何ページ分か、案は何案か
コーディング HTML/CSS実装 レスポンシブ対応の範囲
CMS構築 更新機能の実装 どのページを自社更新できるか
原稿作成 文章の執筆 自社で用意するか
写真撮影 撮影・レタッチ 含まれるか
テスト・検証 動作確認 対象ブラウザ・端末
公開作業 サーバー設定、ドメイン 移管作業を含むか

太字の3項目が、金額差の主因です。原稿と写真を自社で用意するかどうかで、見積は大きく変わります。

比較する前に、原稿・写真・自社更新の範囲を揃えてください。

この3つが揃っていない見積書は、金額を並べても意味がありません。

金額差が生まれる6つの要因

# 要因 安くなる 高くなる
1 原稿 自社で用意 取材して執筆
2 写真 既存素材を使用 新規撮影
3 デザイン テンプレート活用 オリジナル制作
4 ページ数 少ない 多い
5 機能 静的ページのみ 予約、会員、検索など
6 自社更新の範囲 お知らせのみ 全ページ

3番目は判断が分かれます。テンプレートの活用は品質が低いという意味ではありません。予算と要件によっては合理的な選択です。ただし他社と同じ見た目になる可能性がある点は理解しておいてください。

制作会社の選び方全般はデザイン制作会社の選び方|見積り比較で確認すべきポイントを参照してください。

見積書に書かれない費用

制作費以外に、継続的に発生する費用があります。初期費用だけを比較すると、総額を見誤ります

費用 発生タイミング 確認すること
サーバー費用 毎月・毎年 どこの何を使うか、名義は自社か
ドメイン費用 毎年 名義が自社になっているか
SSL証明書 毎年 無償のものか、有償か
保守費用 毎月 作業範囲は何か
CMS・機能のライセンス 毎年 テーマ、プラグイン、外部サービス
更新代行費 都度 自社更新できない部分の依頼費
写真素材の使用料 契約による 期間・範囲の制限

ドメインの名義は必ず確認してください。制作会社名義になっていると、契約終了時に移管できないことがあります。ドメインは自社の資産です。

保守の内容はホームページの保守運用とは?何を、どの頻度でやるのかを参照してください。

3年間の総額で比較する

A社 B社
初期制作費 80万円 200万円
月額保守 3万円 1万円
3年間の保守費 108万円 36万円
3年総額 188万円 236万円

※説明のための例です。

初期費用の差だけを見ると判断を誤ります。月額費用を含めた総額で比較してください。ただし、保守の作業範囲が違えば、この比較も成立しません。範囲を揃えてから計算してください。

比較する前に揃える条件

複数社に依頼する場合、同じ条件を提示してください。各社が違う前提で見積もると、比較になりません。

  1. ページ数と構成:おおよそのページ一覧を渡す
  2. 原稿は誰が用意するか:自社/制作会社
  3. 写真は誰が用意するか:既存/新規撮影
  4. 自社で更新したい範囲:どのページのどこか
  5. 必要な機能:フォーム、予約、検索など
  6. 公開希望日
  7. 予算の上限

7番目を伝えることに抵抗がある方が多いですが、伝えたほうが精度は上がります。予算が分からないと、各社が違う規模の提案を出し、比較できなくなります。

4番目の整理方法は更新しやすい企業サイトの作り方|CMS選定と運用設計のポイントを参照してください。更新対象・頻度・担当を表にして渡すと、見積の精度が大きく上がります

金額以外に見るべきこと

項目 確認内容
修正回数 各工程で何回まで含まれるか、超過時の費用
スケジュール 各工程の期間と、自社の確認に要する日数
担当体制 窓口は誰か、デザイナー・エンジニアは誰か
実績 同業種・同規模の制作事例
成果物の権利 デザインデータ、写真の使用範囲
公開後の対応 不具合対応の範囲と期間
解約時の扱い データの移管、ドメイン・サーバーの引き継ぎ

1番目は後からトラブルになりやすい項目です。「デザイン修正3回まで」と書かれていても、何をもって1回と数えるかが曖昧だと、認識がずれます。

デザインの確認方法はデザインカンプの作り方と進め方|制作会社とのやり取りをスムーズにを参照してください。修正回数を無駄にしない進め方があります

安い見積書で確認すべきこと

金額が極端に低い場合、次のいずれかである可能性があります。

  • テンプレートをそのまま使用する:それ自体は問題ないが、事前に把握しておく
  • 原稿・写真がすべて自社負担:自社の工数が発生する
  • ページ数が想定より少ない:追加分は別料金
  • 自社更新の範囲が狭い:更新のたびに依頼費が発生
  • 保守費用が高く設定されている:総額では高くなる
  • 公開後の対応が含まれない:不具合も有償

どれも「悪い」わけではありません。条件を理解したうえで選べば、合理的な判断になります。問題は、把握しないまま契約することです。

契約前の最終確認

  1. 見積書の各項目に「一式」がないか:あれば内訳を求める
  2. 含まれないものが明記されているか:範囲外が分かる状態に
  3. ドメイン・サーバーの名義自社名義か
  4. デザインデータの納品可否
  5. スケジュールに自社の作業日数が含まれているか:原稿確認、素材提供
  6. 公開後の保守内容と費用
  7. 解約時のデータ移管

5番目が見落とされます。「3か月で公開」というスケジュールに、自社が原稿を用意する期間や確認に要する日数が含まれていないと、必ず遅れます。遅延の原因は発注者側にあることも多くあります

よくある失敗

失敗1:初期費用だけで比較する

保守費用を含めた総額では逆転することがあります。

失敗2:「一式」のまま比較する

含まれる作業が違えば、金額は比較できません。

失敗3:原稿・写真の担当を決めずに依頼する

金額差の主因です。条件を揃えてから比較してください。

失敗4:ドメインの名義を確認しない

契約終了時に移管できないことがあります。

失敗5:予算を伝えない

各社が違う規模の提案を出し、比較できなくなります。

よくある質問

Q. 相場はいくらくらいですか?

ページ数、原稿・写真の担当、機能の有無で大きく変わるため、一律の相場は判断材料になりません。自社の条件を揃えたうえで、複数社の見積を比較してください。

Q. 何社に依頼すべきですか?

3社程度が実務的です。多すぎると比較の工数が増え、判断が遅れます。ただし、同じ条件を提示することが前提です。

Q. 一番安い会社を選んで問題ありませんか?

条件が揃っており、含まれる範囲を把握したうえでなら問題ありません。問題になるのは、何が含まれていないかを把握しないまま選ぶ場合です。

Q. 見積書に「一式」としか書かれていない場合は?

内訳を求めてください。応じない場合、その後の進行でも認識のずれが生じる可能性があります。

Q. 追加費用が発生しやすいのはどこですか?

修正回数の超過、ページの追加、原稿・写真の制作依頼、公開後の変更です。契約時に、それぞれの単価を確認しておいてください。

まとめ

Web制作の見積書は、「一式」のままでは比較できません。同じ金額でも、含まれる作業と成果物がまったく違うことがあります。

金額差の主因は、原稿・写真を誰が用意するか、そして自社更新の範囲です。この3点を揃えてから比較してください。

また、初期費用だけを見ないでください。サーバー、ドメイン、保守、ライセンス——継続的に発生する費用を含めた総額で判断すると、順位が逆転することがあります。

そして、ドメインの名義は必ず自社にしてください。制作会社名義になっていると、契約終了時に移管できず、選択肢そのものがなくなります。

当社ではホームページ制作において、見積の内訳と含まれない範囲を明示したうえで進めています。資料では発注の進め方と確認事項をまとめていますので、比較検討中の方はぜひダウンロードしてご活用ください。

SHARE