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ロゴをリニューアルすべきタイミング|変える理由になるものと、ならないもの

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ロゴを変えたいという相談の入口は、ほぼ「古く見える」です。しかしこれは単独では判断の理由になりません。見慣れたものは古く見えるためで、社内で毎日見ている人ほどそう感じます。一方、顧客は年に数回しか目にしないため、同じようには感じていないことが多くあります。

判断材料になるのは2つだけです。1つは事業側の変化で、社名、事業領域、対象顧客、価格帯のいずれかが変わった場合。もう1つは実務上の不具合で、小さく表示すると読めない、正方形に収まらない、モノクロで判別できないといった、日々の運用で実害が出ている状態です。

この記事では、変える理由になるものとならないものを分け、全面刷新と調整と据え置きの3択をどう決めるか、そして変えた場合に差し替えが必要になるものの棚卸しまでを整理します。

この記事でわかること

・変える理由になるものと、ならないものの分類

・実務上の不具合から判断する6つのチェック項目

・トレンドを理由に変えてはいけない理由

・全面刷新・調整・据え置きの3択の分け方

・変えた場合に差し替えが必要になるものの棚卸し(記入欄つき)

・既存の取引先や顧客への伝え方

変える理由になるものと、ならないもの

きっかけ 理由になるか 補足
社名や法人格が変わった なる 表記が実態と合わなくなる
事業領域が変わった、または大きく広がった なる 図案が旧事業を指している場合は特に
対象顧客や価格帯が変わった なる 個人向けから法人向けなど、伝わるべき印象が変わる
合併、分社、グループ再編があった なる 所属の関係を示す必要が出る
実務で不具合が出ている なる 次の見出しで詳述
古く見える 単独ではならない 見慣れによる主観。顧客側の認識を確認する
社長や担当者が変わった ならない 個人の好みは判断材料にならない
競合が変えた ならない 追随する理由がない
デザインの流行と合わない ならない 次々の見出しで詳述
採用で若い人に響かない 条件付き 原因がロゴにあるかを先に確認する

最後の行は慎重に扱ってください。応募が集まらない原因がロゴであることは稀です。求人媒体の選定、掲載内容、応募フォームのいずれかで止まっていることのほうが圧倒的に多くあります。ロゴを変える前に、どの段階で応募者が離れているかを確認してください。

「古く見える」を扱うときは、社外の人に聞いてください。既存顧客数名に、自社のロゴを見てどう感じるかを尋ねる。社内の議論より確実です。多くの場合、顧客は何とも思っていません。

変える理由になるのは、事業側の変化と実務上の不具合の2つだけ。

「古く見える」は社内の見慣れであることが多い。顧客に聞いて確かめる。

実務上の不具合から判断する

感覚の議論を避けるには、運用で実害が出ているかを見ます。次の6項目のうち3つ以上に該当するなら、調整または刷新の検討に値します

確認項目 確認方法 該当
小さいサイズで読めない 名刺サイズで印刷し、腕を伸ばして見る (  )
正方形に収まらない SNSのアイコン枠に入れてみる (  )
モノクロで判別できない 白黒コピーを取る (  )
背景色を選ぶ 濃い色の上に置いてみる (  )
データが揃っていない 拡大しても劣化しない形式があるか確認する (  )
使われ方がばらついている 名刺、看板、資料、SNSを並べる (  )

5行目と6行目は、ロゴそのものではなく運用の問題であることが多い点に注意してください。データが見つからないだけなら作り直しではなく整備で足ります。使われ方がばらついているだけなら、規定を作れば解決します。何をどこまで決めれば運用が回るかはブランドガイドラインの作り方|どこまで決めれば運用が回るかで整理しています。

1行目から4行目に複数該当する場合は、図案そのものに起因しているため、調整または刷新の対象になります。

トレンドを理由に変えない

近年、多くの企業が装飾を削ぎ落とした形へロゴを変更しました。この流れに合わせるべきかという相談を受けますが、合わせる必要はありません

理由は2つあります。1つは、ロゴの価値が図案の新しさではなく見た回数の蓄積にあることです。変えるたびに蓄積は一度ゼロに近づきます。もう1つは、流行に合わせた図案は次の流行が来たときに再び古く見えることです。10年単位で使うものを、数年で変わる基準に合わせると、変更の頻度だけが上がります。

デザインのトレンドを取り入れる判断は、変更のコストが小さい領域から行ってください。Webサイトや広告クリエイティブであれば差し替えは容易ですが、ロゴは差し替え対象が社外にまで及びます。採用する基準と見送る基準の考え方は最新Webデザイントレンドの取り入れ方|採用する基準と見送る基準にまとめています。

全面刷新・調整・据え置きの3択

変えると決めた場合も、選択肢は2つあります。刷新と調整では、費用も影響範囲もまったく違います。

選択肢 内容 向いている状況 認知への影響
据え置き 変えず、運用規定とデータだけ整える 不具合が5〜6行目のみ なし
調整(リファイン) 図案の骨格を残し、線の太さ、字形、色、余白を整える 実務上の不具合はあるが、事業は変わっていない 小さい
全面刷新 図案から作り直す 社名や事業領域が変わった、統合や再編があった 大きい。認知の蓄積が一度切れる

相談の多くは、実際には調整で足ります。既存の図案の骨格を保ったまま、小さいサイズでの可読性、正方形への収まり、モノクロでの判別といった不具合を解消すれば、認知の蓄積を保ったまま実務の問題が消えます。

全面刷新が必要なのは、事業側が変わった場合です。この場合はロゴだけを変えても中途半端になり、名称、伝えるべき価値、制作物全体の見直しとセットになります。進め方はリブランディングの進め方|既存顧客を離さないための手順で解説しています。

実務上の不具合が理由なら、多くは調整で足りる。

全面刷新が要るのは、事業側が変わったとき。ロゴ単体では終わらない。

変えた場合に差し替えが必要になるもの

費用の見積で最も外れるのが、ロゴ制作費そのものではなく差し替えの費用です。着手前に一覧を作り、それぞれの数量と時期を埋めてください。

区分 対象 数量 差し替え時期
印刷物 名刺、封筒、伝票、パンフレット、チラシ (  ) (  )
店舗・施設 看板、のぼり、ドア、案内表示 (  ) (  )
車両 社用車、作業車のマーキング (  ) (  )
Web サイト、SNSアイコン、バナー、メール署名 (  ) (  )
社内 資料テンプレート、制服、備品 (  ) (  )
社外の掲載先 取引先サイト、業界名簿、地図サービス (  ) (  )
権利関係 商標登録の要否と手続き (  ) (  )

6行目が最も抜けます。自社で管理していない場所に旧ロゴが残ると、新旧が混在した状態が数年続きます。取引先や業界団体の掲載欄、地図サービスの登録情報は、着手前に洗い出して連絡先を控えておいてください。

7行目も確認が必要です。図案を変えると、登録済みの商標との関係を整理する必要が生じる場合があります。専門家への確認が必要な領域なので、制作の前に相談先を決めておくと進行が止まりません。

差し替えは一斉に行う必要はありません。在庫がなくなる順に切り替える計画にすれば、廃棄費用を抑えられます。ただし看板とWebは同時期にしてください。ここがずれると、来訪者が別の会社だと感じます。

既存の取引先や顧客への伝え方

変更そのものより、伝え方で印象が決まります。次の3点を押さえてください。

  1. 変わらないものを先に言う:社名、事業内容、担当者、連絡先のうち変わらないものを明示する
  2. 理由を1文で書く:事業領域が広がった、表示上の不具合を解消した、など事実で書く
  3. 切り替えの期間を示す:いつからいつまで新旧が混在するかを伝える

1番目が最も重要です。取引先が知りたいのはデザインの意図ではなく、何かが変わったのかどうかです。「社名、担当、連絡先に変更はありません」の一文があるかどうかで、問い合わせの量が変わります。

2番目で「新たなステージへ」といった表現だけを書くと、何が起きたのか分からず憶測を呼びます。事実を短く書いてください。

よくある失敗

社内の多数決で決める

ロゴは見慣れによって評価が変わるため、社内投票では既存案が有利になるか、逆に目新しさが勝ちます。判断基準を先に決めて、それに照らして選んでください。

差し替え費用を見積もらずに着手する

制作費より差し替え費用のほうが大きくなることがあります。看板と車両がある業種では特に顕著です。

Webだけ先に切り替える

店舗の看板や名刺が旧のままだと、来訪者が混乱します。看板とWebは同時期に揃えてください。

元データを受け取らないまま進める

拡大しても劣化しない形式のデータがないと、その後の展開のたびに費用が発生します。納品時に必ず確認してください。

規定を作らずに運用を始める

新しいロゴでも、余白や配色のルールがなければ半年でばらつきます。制作と同時に最小限の規定を作ってください。

よくある質問

何年くらいで変えるものですか

年数で決めるものではありません。事業側の変化か実務上の不具合が生じたときが、検討のタイミングです。何も変わっていないのであれば、20年使っていても変える理由はありません。

調整と刷新では費用はどのくらい違いますか

制作費そのものより、差し替え費用に差が出ます。調整であれば図案の骨格が変わらないため、旧版と並んでも違和感が小さく、切り替えを段階的に進められます。刷新は一斉切り替えに近い進め方が必要になります。費用の内訳の考え方はロゴデザインの費用を参照してください。

生成AIで作った案を使ってもよいですか

方向性の検討には有効です。ただし最終案として採用する場合、生成物の著作物性は一律には判断されないため、他社が似たものを使ったときに止められない可能性があります。長期に使う識別標として位置づけるなら、慎重に判断してください。

ロゴを変えたら売上は上がりますか

直接には上がりません。ロゴが効くのは、見た人が自社を識別できるかどうかです。売上に効くのは、識別されたうえで選ばれる理由があることで、その理由自体はロゴでは作れません。

シンボルマークをやめて文字だけにしてもよいですか

表示できる場面が広がるという実務上の利点があります。ただし正方形のアイコンが必要な場面では、頭文字などの代替が要ります。文字だけにする場合も、アイコン用の要素は別に用意してください。

まとめ

ロゴを変える判断材料は2つです。社名や事業領域、対象顧客が変わったという事業側の変化と、小さく表示すると読めない、正方形に収まらないといった実務上の不具合。この2つに該当しないのであれば、変える理由はありません。「古く見える」は社内の見慣れであることが多く、顧客に聞くと違う答えが返ってきます。

変えると決めた場合も、選択肢は全面刷新だけではありません。実務上の不具合が理由であれば、図案の骨格を残した調整で足りることが多く、認知の蓄積を保ったまま問題を解消できます。全面刷新が必要なのは事業側が変わったときで、その場合はロゴ単体では終わらず、伝えるべき価値と制作物全体の見直しになります。

着手前に必ず作るのは、差し替えが必要になるものの一覧です。制作費より差し替え費用のほうが大きくなることがあり、特に自社で管理していない掲載先が抜けやすくなります。切り替えは在庫がなくなる順で構いませんが、看板とWebだけは同時期に揃えてください。

当社ではデザイン制作において、判断の整理から差し替え計画までをご相談いただけます。自社の状況を整理したい場合は、資料をダウンロードのうえご活用ください。

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