キーワードを選ぶとき、多くの場合はツールで検索数を調べ、数字の大きい順に並べるところから始まります。ところがこの順番で選ぶと、上位表示は最も遠く、順位がついても問い合わせにはつながりにくいキーワードから着手することになります。
検索数が多い語は、それだけ多くの企業が狙っています。加えて、検索数が多い語ほど検索している人の目的がばらついており、読み手の半分以上が自社の見込み客ではないという状態になります。
この記事では、検索数を見る前に切るべき条件、検索数の数字をどう扱うか、検索結果を見て勝てるかを判断する方法、そして選んだキーワードを記事へ割り当てるまでの手順を整理します。
この記事でわかること
・検索数の多さで選ぶと何が起きるか
・検索数を見る前に確認する3つの条件
・ツールの検索数の数字をどう扱うか
・検索結果を見て勝てるかを判断する
・1つのキーワードに2記事を当てない
・書かないと決めるキーワード
検索数の多さで選ぶと何が起きるか
検索数が多いキーワードには、共通する2つの性質があります。競合が多いことと、検索している人の目的がばらついていることです。
| 検索数 | 競合の状態 | 検索している人 | 順位がついたときの成果 |
|---|---|---|---|
| 非常に多い(例:ホームページ制作) | 大手比較サイト・広告が占有 | 情報収集から発注検討まで混在 | 流入は増えるが問い合わせ率は低い |
| 中程度(例:ホームページ制作 依頼 流れ) | 同業の記事が中心 | 発注を具体的に検討している | 流入は少ないが問い合わせにつながる |
| 少ない(例:制作会社に渡す原稿 誰が書く) | 答えている記事が少ない | 実務で困っている担当者 | 件数は少ないが確度が高い |
3行目のようなキーワードは、ツール上の月間検索数がゼロや二桁で表示されることがあります。数字が小さいという理由で候補から外すと、最も成果に近い語を捨てることになります。
実際に問い合わせにつながるのは、多くの場合2行目と3行目です。1行目は事業として狙う価値がある場合もありますが、着手する順序としては最後です。SEOに何から着手するかの全体像は中小企業のSEOは何から始めるべきか|着手の順序と判断基準を参照してください。
検索数が多い語ほど、競合が強く、読み手の目的がばらつく。
問い合わせにつながるのは中程度から少ない検索数の語。着手順序では上位に置く。
検索数を見る前に確認する3つの条件
ツールを開く前に、次の3つで候補を絞ってください。この3つを通らない語は、検索数が多くても書く価値がありません。
- 自社が答えを持っているか:実際に手を動かして分かったことを書けるか。調べただけで書ける内容なら、他社も同じものを書ける
- その語で来た人に提供できるものがあるか:記事の先に自社のサービスや資料があるか。何も渡せないなら、順位がついても事業には返らない
- 検索している人が意思決定の途中にいるか:言葉の意味だけを知りたい語は、読まれても次の行動が起きにくい
1番目が最も重要です。実務経験がない領域のキーワードは、書いても既存の記事の言い換えにしかなりません。言い換えの記事は評価されにくく、仮に順位がついても、読んだ人が問い合わせる理由になりません。
3番目については、言葉の意味を調べているだけの検索(いわゆる定義系)は、検索結果の上部で要約が表示されることが増えています。順位がついても、読み手はページを開く前に答えを得ています。AI検索が流入に与える影響はAI検索で集客はどう変わるのか|AI Overview時代に必要な対応と不要な対応で詳しく整理しています。
ツールの検索数の数字をどう扱うか
キーワードプランナーの月間平均検索ボリュームは、広告費の支出が少ないアカウントでは範囲(例:100〜1,000)で表示されます。この範囲は幅が広く、100と1,000では判断が変わります。数字を信頼しすぎないでください。
加えて、月間平均は12か月の平均値です。季節性のある商材では、平均値は実態を表しません。年に2か月だけ検索される語も、通年で検索される語も、同じ数字で並びます。
| 確認する項目 | 見る場所 | 判断 |
|---|---|---|
| 範囲表示になっているか | キーワードプランナー | 範囲なら、他の指標で補う |
| 月別の推移 | キーワードプランナーの推移グラフ | 季節性があるなら公開時期を逆算する |
| 自社サイトで既に表示されているか | Search Console の検索パフォーマンス | 表示があるなら需要は実在する |
| 関連する語の広がり | 検索結果下部の関連キーワード | 広がりがないなら記事1本にまとまらない |
3行目が最も確実です。Search Console に表示回数が出ている語は、自社サイトで実際に検索されている語です。ツールの推計値より優先してください。確認方法はSearch Consoleで最初に見る3つの画面|順位が分かっても打ち手にならない理由を参照してください。
検索結果を見て勝てるかを判断する
候補が絞れたら、実際にその語で検索してください。ツールの競合性指標は広告の指標であり、SEOの難易度とは別物です。
| 上位に並んでいるもの | 意味 | 判断 |
|---|---|---|
| 大手比較サイト・ポータルが5件以上 | 掲載側として参加する領域 | 記事では取りに行かない |
| 公的機関・辞書サイトが中心 | 定義を求める検索 | 書いてもクリックされにくい |
| 同規模の事業者の記事が中心 | 内容で差をつけられる | 着手する |
| 内容の薄い記事が並んでいる | 答えている記事がまだない | 最優先で着手する |
| 自社の既存記事が既に表示されている | 新規ではなく加筆の対象 | 既存記事へ追記する |
5行目は見落とされがちです。すでに自社の記事が11位から20位に入っている語は、新しく書くより既存記事に足すほうが早く上がります。その判断手順は記事のリライトはどれから手をつけるか|実データで対象を決める手順にまとめています。
難易度はツールの数字ではなく、実際の検索結果を見て判断する。
既に自社が11位から20位で表示されている語は、新規記事ではなく加筆の対象。
キーワードを記事に割り当てる
選んだ語は、そのまま1本ずつ記事にするのではなく、主となる語と、同じ記事で扱う語に分けます。
- 主となる語を1つ決める:タイトルと本文の冒頭に入れる語。記事1本に1つだけ
- 同じ記事で扱う語を集める:主となる語で検索した人が、同じページで答えを求める語
- 別記事に分ける語を判定する:検索結果の顔ぶれが半分以上入れ替わるなら、別記事にする
- 見出しに割り当てる:同じ記事で扱う語を、それぞれH2かH3に対応させる
3番目の判定が実務上の要点です。2つの語で検索して、上位10件の顔ぶれが大きく重なるなら、同じ記事で扱うべき語です。言葉が違うという理由だけで記事を分けると、どちらも中途半端になります。
タイトルへの入れ方はタイトルとメタディスクリプションの書き方|順位とクリック率は別の問題を参照してください。
1つのキーワードに2記事を当てない
同じ検索意図の記事が2本あると、評価が分散し、どちらも上がりにくくなります。加えて、検索結果に表示されるページが日によって入れ替わり、順位が安定しません。
記事数を増やすことを目標にすると、この状態が起きます。新規記事を作る前に、既存記事の一覧で同じ意図の記事がないかを必ず確認してください。
| 状態 | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 同じ意図の記事が2本ある | 評価が分散し、両方が中位に留まる | 統合するか、片方の角度を変える |
| 語は違うが検索結果が重なる | 同上 | 1本にまとめる |
| 語も検索結果も違う | 問題なし | 相互にリンクを張る |
統合する場合は、残す側に内容を寄せ、統合した側から転送を設定します。ページを消すだけにすると、それまでの評価が失われます。手順はURLを変えるときのリダイレクト|評価を落とさない手順と、やってはいけない転送を参照してください。
書かないと決めるキーワード
次に該当する語は、検索数が多くても着手しないでください。
- 自社に実務経験がない領域:調べただけの内容になり、差がつかない
- 言葉の意味だけを求める語:検索結果の上部で答えが完結し、クリックされにくい
- 相場や平均値の列挙が求められる語:出典を示せる数値がないなら、算出方法に置き換えるか書かない
- 比較サイトが占有している語:記事で順位を取るより、掲載側で検討するほうが早い
- 提供していないサービスの語:問い合わせが来ても対応できない
3番目は判断が分かれる項目です。相場を知りたいという需要は実在します。他社の平均値を並べる代わりに、読み手が自社の数字で算出できる手順と計算式を出せば、根拠のない数値を書かずに答えられます。
選んだ後に確認すること
公開して終わりにせず、選定が正しかったかを後から検証してください。
| 確認時期 | 見る指標 | 判断 |
|---|---|---|
| 公開後2週間 | インデックスされているか | されていないなら技術面を確認する |
| 公開後1〜2か月 | 表示回数 | 表示がゼロなら語の選定を見直す |
| 公開後3か月 | 平均順位と実際のクエリ | 想定と違う語で表示されていないか |
| 公開後3か月 | クリック数と問い合わせ | 流入があるのに問い合わせがないなら記事内の導線を見直す |
3行目で見つかることが多いのは、想定した語ではない語で表示されているケースです。この場合、実際に表示されている語のほうが読み手の関心に近いことがあります。タイトルと見出しをそちらへ寄せる判断ができます。
よくある失敗
検索数の多い順に着手する
最も競合が強く、読み手の目的がばらつく語から始めることになります。順序としては最後です。
検索数がゼロ表示の語を捨てる
ツールの表示がゼロでも、実務で困っている人が検索している語はあります。Search Console の表示回数で確認してください。
語ごとに記事を分ける
検索結果の顔ぶれが重なる語は、同じ記事で扱うべき語です。分けると両方が中位に留まります。
自社に経験がない領域まで広げる
調べた内容の言い換えになり、差がつきません。順位がついても問い合わせる理由になりません。
選定した後に検証しない
想定と違う語で表示されていることは頻繁に起きます。3か月後に実際のクエリを確認してください。
よくある質問
無料のツールだけでキーワードを選べますか
選べます。キーワードプランナー、Search Console、検索結果の関連キーワードの3つで足ります。有料ツールは候補の網羅性と競合の被リンク調査に強みがありますが、着手段階では不要です。
月間検索数はどのくらいから狙う価値がありますか
数字で線を引かないでください。検索数10でも、発注を検討している人の語なら価値があります。判断は「その語で来た人に提供できるものがあるか」で行ってください。
競合が使っているキーワードを真似すべきですか
候補を集める目的では有効です。ただしそのまま同じ語を狙うと、既に上位にいる相手と同じ土俵に立つことになります。競合の調べ方は競合サイト分析のやり方|何を見て、どう自社の判断に変えるかを参照してください。
地域名を含むキーワードはどう扱いますか
地域名を機械的に組み合わせて量産すると、内容がほぼ同じページが並びます。地域固有の情報を書けるページだけに絞ってください。考え方は地域キーワードのコンテンツ設計|量産せずに成果を出す方法にまとめています。
広告の除外キーワードと同じ考え方ですか
方向が逆です。広告は無駄な配信を削るために除外し、SEOは答えられる語だけを選びます。ただし「自社が答えられない語を切る」という点は共通しています。広告側の手順は検索語句レポートの見方と除外キーワードの決め方を参照してください。
まとめ
キーワード選定でまず捨てるべきなのは、検索数の多い順に並べるという発想です。検索数が多い語は競合が強く、検索している人の目的もばらついています。順位がついても、読み手の半分以上は見込み客ではありません。
先に見るべきは3つです。自社が実務経験から答えを持っているか、その語で来た人に提供できるものがあるか、検索している人が意思決定の途中にいるか。この3つを通った語だけを、検索数で並べてください。順序が逆になると、書けない語や成果に返らない語に工数を使うことになります。
そして選定は一度で終わりません。公開から3か月後に実際のクエリを確認すると、想定と違う語で表示されていることが頻繁にあります。その語のほうが読み手の関心に近いなら、タイトルと見出しを寄せる判断ができます。選ぶことより、選び直すことのほうが成果に効きます。
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