SNSの運用を外部に任せようと見積りを取ると、月額3万円の会社から50万円を超える会社まで並び、同じ「Instagram運用代行」という名前で何が違うのか分からなくなります。安い会社は投稿を流すだけで、高い会社は戦略から広告まで入っている、という説明は合っていますが、それでは自社がどこに位置するのかは決まりません。SNS運用代行の費用は投稿本数ではなく、企画・撮影・制作・投稿・返信・分析のうちどこまでを外部に出すかという工数で決まります。そして、依頼して成立するかどうかは、金額ではなく「自社に残す作業を渡し続けられるか」で決まります。
この記事では、公開されている月額の幅がなぜ生じるのかを工数に分解した上で、自社に残すべき作業、アカウントの名義と権限の設計、契約終了時に残るものと残らないもの、費用を1件あたりに換算して広告と比べる判定、依頼して成立する会社としない会社、依頼する場合の順序を整理します。会社の選び方や比較一覧ではなく、「依頼する前に自社で決めること」に重心を置きます。
この記事でわかること
・公開されている料金表と比較記事では、投稿代行だけなら月額10万円以下、企画・制作・レポートを含めて20万〜30万円、戦略設計や広告運用まで含めると50万円以上という幅で示されている。幅の正体は投稿本数ではなく工数
・Instagram1媒体・月8投稿の構成を工程に分解すると、月34〜48時間になる。時間単価を掛けると相場の幅がそのまま再現される。撮影に同行する分と動画の本数が、費用を最も動かす
・店内の写真、当日の空きや入荷、お客様とのやり取りといった一次情報は外部が持てない。自社に残す作業を先に決め、渡し続けられる分担にしないと、いくら払っても投稿は薄くなる
・アカウントは自社名義で作り、代行会社にはビジネスポートフォリオやビジネスセンターの機能で権限だけを渡す。ログイン情報を共有した時点で、二段階認証の連絡先が相手のものになる危険がある
・契約終了時に残るのは、自社名義のアカウントとフォロワーだけではない。投稿済みの画像や動画の権利、撮影素材の元データ、分析データ、投稿ルールを契約で決めておかないと、解約後に広告へ二次利用できない
・費用対効果は、フォロワー数ではなく月額を来店や問い合わせの件数で割った1件あたりの金額で見る。広告の獲得単価と比べ、6か月で判定する

費用は工数で決まり、依頼の可否は「自社に残す作業」で決まる
最初に結論を示します。SNS運用代行の月額は、投稿本数ではなく、企画・撮影・制作・投稿・返信・分析のうち外部に出す工程の合計時間で決まります。同じ月8投稿でも、写真を自社が渡すのか代行会社が撮りに来るのか、動画が何本入るのか、コメントやDMの返信まで任せるのかで、時間は2倍以上変わります。金額の幅は、この工程の切り分けの違いです。
そして、依頼して成立するかどうかは金額では決まりません。店内の様子、当日の空き状況や入荷、お客様との実際のやり取りといった一次情報は自社にしかなく、代行会社はそれを受け取って編集する立場です。この受け渡しが続かないと、投稿は業種の一般論と素材集の写真で埋まり、同業のどの店にも当てはまる内容になります。依頼する前に決めるべきなのは、月額ではなく「自社が何を渡し続けるか」です。
加えて、アカウントの名義と権限、契約終了時に何が残るかを契約前に決めておかないと、解約したときに手元に何も残らない状態になります。SNSを始めるべきかどうかの判断そのものと、始めた後にやめる基準は店舗のSNS運用は何から始めるか|媒体の選び方と、続けない判断で扱っています。この記事は、その判断を済ませた上で「外部に出すか、出すならどこまでか」を決める段階を扱います。
月額の相場と、その幅が生じる理由
SNS運用代行の料金は、サービス各社が公開している料金表と、それらをまとめた比較記事から把握できます。ただし相場として示される数字は各社の料金表を並べたものであり、業界の統計ではありません。幅を見るための目安として使い、自社の見積りはこの後の工数から出します。
| 月額の帯 | 含まれることが多い作業 | 含まれないことが多い作業 |
|---|---|---|
| 10万円以下 | 自社が渡した写真と文章を整えて投稿する。ハッシュタグの設定。月1回程度の簡単な報告 | 企画、撮影、動画編集、コメントやDMの返信、改善提案 |
| 20万〜30万円 | 1媒体の企画と投稿カレンダー、画像制作、キャプション作成、月次レポート、簡単な改善提案。会社によってコメント対応 | 撮影への同行、動画の本数が多い構成、広告運用、複数媒体 |
| 50万円以上 | 戦略設計、複数媒体、動画制作、撮影、定例の打ち合わせ、SNS広告の運用まで一括 | 自社側の確認と一次情報の提供。これは金額に関係なく残る |
初期費用は0円から30万円程度まで幅があり、アカウントの設計や既存投稿の整理、撮影の初回分を初期費用に含める会社と、月額に均す会社があります。媒体別では、Instagramが最も高く、Facebookが最も低い傾向で示されています。これは媒体の難しさというより、Instagramでは画像と動画の制作が必ず発生し、Facebookでは文章中心の投稿で済むことが多いという、制作工数の差です。
この表で見るべきなのは金額ではなく、右の列です。「含まれないことが多い作業」を自社が担えるかどうかで、どの帯を選ぶべきかが決まります。10万円以下の帯は、企画と撮影を自社が続ける前提の金額であり、それができない会社が選ぶと、投稿は続いても内容が無くなります。
月額を工数に分解する|Instagram1媒体・月8投稿の試算
相場の幅が工数で説明できることを、1つの構成で試算します。前提は、Instagram1媒体、月8投稿(フィード4本とリール4本)、ストーリーズを週2回、コメントとDMの一次対応を含み、撮影は自社が写真を渡す場合です。時間の目安は当社の制作工程を基にしたもので、会社や投稿の作り込みで上下します。
| 工程 | 月の作業 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 企画・投稿カレンダー | 翌月の8投稿の題材と狙いを決め、確認に回す | 3〜4時間 |
| 素材の受け取りと整理 | 自社から届いた写真と情報を選び、足りない分を依頼する | 2〜3時間 |
| 画像制作とキャプション | フィード4本。1本あたり1〜1.5時間 | 4〜6時間 |
| リール編集 | 4本。1本あたり2〜3時間。素材が揃っている前提 | 8〜12時間 |
| 投稿とストーリーズ | 予約投稿の設定、ストーリーズ週2回 | 4時間 |
| コメント・DMの一次対応 | 定型の返信と、自社に回す判断。週1〜2時間 | 4〜8時間 |
| 月次レポートと打ち合わせ | 数値の整理、改善案、30〜60分の打ち合わせ | 3〜4時間 |
| 合計 | 34〜48時間 |
この時間に、代行会社の時間単価を掛けたものが月額の基本です。時間単価を5,000円とすれば17万〜24万円、8,000円とすれば27万〜38万円になり、相場として示される20万〜30万円の帯がそのまま再現されます。単価は会社の体制(担当者1人か、企画・制作・分析で分かれているか)と、その会社が抱える案件数で決まり、見積りには通常書かれません。
この試算から、費用を動かす要素が分かります。
- 撮影に同行すると跳ねる。移動を含めて半日から1日が加わり、機材と人が2人になる会社もある。月1回の同行で5万〜10万円程度が上乗せされるのは、この時間の分
- 動画の本数が費用を最も動かす。リール1本の編集時間は画像1本の2倍以上。月8投稿を全てリールにすると、制作時間だけで16〜24時間になる
- 投稿本数を倍にしても、費用は倍にならない。企画・レポート・打ち合わせは本数に関係なく固定で、増えるのは制作と投稿の時間だけ
- 返信を任せると、時間より判断の設計が要る。定型の質問(営業時間、駐車場、予約方法)は任せられるが、クレームや個別の相談は自社に回す。回す基準を先に決めないと、返信が遅れて信用を落とす
- 複数媒体は、媒体数の分だけ増えるとは限らない。同じ素材を縦型に加工して使い回す設計なら、2媒体目の制作時間は半分以下で済む。別々の企画を立てるなら、ほぼ2倍になる
自社に残す作業を先に決める|一次情報は外部が持てない
工数の表を見ると、外部に出せる作業と出せない作業が分かれます。編集、制作、投稿、分析は外部に出せます。素材と情報は出せません。代行会社が撮影に来ても、それは月に1回か2回で、日々の店内の様子や、その日の空き状況、新しく入った商品、お客様との会話は、そこにいる人にしか撮れず、書けません。
| 作業 | 外部に出せるか | 理由 |
|---|---|---|
| 投稿の企画と月間カレンダー | 出せる | 業種の傾向と過去の数値から組める。ただし題材の候補は自社から出す |
| 画像制作、動画編集、キャプション | 出せる | 素材と情報があれば、編集は外部のほうが速く、質も安定する |
| 投稿の予約と実行 | 出せる | 作業そのもの。時間帯の設計も過去の数値から決められる |
| 数値の集計と月次レポート | 出せる | 媒体のインサイトから作れる。事業の数字との接続は自社と一緒に見る |
| 店内・現場の写真と動画 | 出せない | その場にいる人にしか撮れない。撮影の同行は月1〜2回が限度で、日常の素材は自社が撮る |
| 当日の情報(空き、入荷、限定、天候) | 出せない | その日に自社にしか分からない。ストーリーズの価値はここにある |
| お客様とのやり取り、個別の相談、クレーム | 出せない | 回答の責任が自社にある。定型の質問だけを切り出して任せる |
| 投稿内容の最終確認 | 出せない | 事実の誤り、価格、在庫、表現の適否は自社にしか判断できない |
依頼して成立するかどうかは、「出せない」と書いた4行を自社が担い続けられるかで決まります。担当者が週に1時間、写真を送り、当日の情報を伝え、投稿案を確認する。この1時間が取れない会社は、月額の帯に関係なく、投稿が一般論に寄っていきます。逆に、この1時間を出せる会社は、10万円以下の帯でも成立します。
確認の作業は、任せきりにしないためだけではありません。SNSの投稿は自社の名前で出る表示であり、価格の誤り、効果の言い過ぎ、他社との比較の書き方は、代行会社ではなく自社の責任になります。投稿前の確認を契約の工程に入れ、確認なしに公開しない設計にします。なお、お客様の投稿を自社の投稿に使う場合や、投稿を依頼した相手に対価を払う場合には、広告であることの表示が要る場面があります。線引きはUGCを集客に活用する方法|二次利用の許諾と、依頼が「広告」になる線引きで扱っています。
コメントやDMの返信を任せる場合は、もう1つ確認することがあります。DMには氏名や電話番号、予約内容が含まれます。個人情報の取り扱いを外部に委託する場合、委託先を監督する義務は依頼した側に残ります(個人情報保護法第25条)。返信を任せる範囲、DMの内容を代行会社のどこに保存するか、契約終了時に削除するかを、契約に書きます。
アカウントの名義と権限|ログイン情報ではなく、権限を渡す
運用代行で最も取り返しがつかない失敗は、投稿の質ではなく、アカウントの所有です。アカウントは自社の名義で、自社のメールアドレスと電話番号で作り、代行会社には各媒体の権限の仕組みで必要な範囲だけを渡します。IDとパスワードを共有する方法は、作業としては簡単ですが、次の2つの問題を生みます。
- 二段階認証の連絡先が相手のものになる。ログインの確認コードが代行会社の電話やメールに届く設定になっていると、契約終了後に自社がログインできなくなる。パスワードを知っていても、認証コードが届く先が相手なら復旧できない
- 誰が何をしたか分からない。1つのログインを複数人で使うと、投稿の削除やプロフィールの変更が誰の操作か追えない。媒体側からも不正なログインと見なされ、アカウントが一時的に止まることがある
| 媒体 | 権限を渡す仕組み | 渡す範囲の考え方 |
|---|---|---|
| Instagram・Facebook | 自社のビジネスポートフォリオ(旧ビジネスマネージャ)に、代行会社をパートナーとして追加し、Facebookページとインスタグラムのアカウントへのアクセスを割り当てる | 「フルコントロール」ではなく部分的なアクセスにし、コンテンツとインサイトを許可する。返信を任せるならメッセージを追加する。広告を任せる場合は広告アカウントの権限を別に付ける |
| TikTok | 自社のビジネスセンターにアカウントを置き、代行会社のビジネスセンターへ権限を割り当てる | アカウントの所有は自社のビジネスセンターに残す。代行会社の所有にすると、契約終了時に移管の手続きが要る |
| LINE公式アカウント | 管理画面の権限管理で、代行会社の担当者を運用担当者として追加する | 管理者は自社に残す。配信と分析の権限を担当者の役割に応じて分ける |
| X | 共有ログインではなく、委任の機能で代行会社のアカウントに投稿の権限を渡す | パスワードと認証の連絡先は自社のまま。担当者が変わっても自社側の設定を変えずに済む |
TikTokの所有と権限の設計は、代理店との関係を含めてTikTokのビジネスセンターは何のために使うのか|代理店との権限設計から考えるで扱っています。InstagramとFacebookも考え方は同じで、「所有は自社、作業の権限は相手」の形にしておけば、契約終了時はパートナーを削除するだけで済みます。
アカウントの作成そのものを代行会社に任せる提案は、断ります。作成時に使ったメールアドレスと電話番号が相手のものになり、後から自社のものに変えるには相手の協力が要ります。既に相手の名義や連絡先で作られている場合は、契約が続いているうちに、連絡先の変更と所有の移管を済ませます。
契約終了時に残るもの、残らないもの
運用代行は、いつか終わります。内製化する、別の会社に変える、SNSそのものをやめる、いずれの場合も、終了時に何が手元にあるかは契約で決まります。アカウントとフォロワーが残るだけでは足りません。
| 対象 | 何もしないとどうなるか | 契約で決めること |
|---|---|---|
| アカウントとフォロワー | 自社名義なら残る。相手の名義や連絡先で作られていれば、引き渡しの交渉になる | 自社名義で作ること。既存のアカウントを渡す場合は、権限の付与だけで名義を変えないこと |
| 投稿済みの画像・動画・文章 | 著作権は制作した側に残るのが原則。投稿は残るが、広告やホームページへの転用は許諾の範囲次第 | 著作権を自社に譲渡するか、期間と用途を限定しない利用許諾にするか。二次利用(広告、印刷物、ホームページ)を含めるか |
| 撮影素材の元データ | 編集後の投稿だけが手元に残り、元の写真や動画は代行会社の保管に残る | 元データの納品と形式。終了時にまとめて渡すか、月ごとに渡すか |
| 分析データと月次レポート | 代行会社のツール上にあり、契約終了とともに見られなくなる | レポートはファイルで納品すること。媒体のインサイトは自社のアカウントから見られるため、権限を自社に残す |
| 投稿ルール、テンプレート、返信の定型文 | 代行会社のノウハウとして残らない | 運用の手順書と定型文を納品物に含める。内製化するならこれが無いと引き継げない |
| DMやコメントの履歴 | 媒体上には残る。代行会社が別のツールに保存していれば、そちらの扱いは不明 | 代行会社側の保存分は終了時に削除する。個人情報の扱いとして契約に書く |
特に2行目は、費用対効果に直結します。SNS用に撮った写真や動画を広告やホームページに転用できれば、制作費は1回で複数の用途に回ります。転用できない契約では、広告用に同じものをもう一度作ることになります。制作物の権利が誰のもので、譲渡しても直せない場合があることはホームページの著作権は誰のものか|譲渡しても直せない場合と、ドメインで手が止まる理由で扱っており、SNSの投稿でも構造は同じです。
解約の条件も、終了時の問題です。最低契約期間、解約の申し出期限、自動更新の有無を確認し、初期費用が「最低6か月」などの期間で回収される設計なら、その期間内の解約でいくら残るのかを見積りの段階で聞きます。
費用対効果の判定|フォロワー数ではなく、1件あたりの金額で見る
運用代行の成果指標に「フォロワー増加数」や「エンゲージメント率」を置く提案は多く、契約書にその数値目標を書くよう勧める記事もあります。当社はこれを勧めません。フォロワー数を目標にすると、代行会社は増やしやすい投稿(プレゼント企画、業種と無関係な話題、フォロワーを買う施策)に寄り、来店や問い合わせと結び付かない数字が積み上がります。フォロワー数を目標にしたときに何が起きるかは、先に挙げた運用開始の記事で整理しています。
見るべきなのは、月額を、SNSを経由した来店や問い合わせの件数で割った、1件あたりの金額です。
| 指標 | 出し方 | 比べる相手 |
|---|---|---|
| 1件あたりの費用 | 月額(代行費+自社の確認工数を時給換算した分)÷ SNS経由の来店・問い合わせ件数 | 同じ目的で出している広告の獲得単価。広告のほうが安いなら、代行費の一部を広告に回す判断になる |
| SNS経由の件数の取り方 | プロフィールのリンクに計測用のパラメータを付ける。予約や問い合わせのフォームに「何を見て知ったか」を入れる。来店時に聞く | 件数が取れていなければ、この判定はできない。依頼する前に取れる状態にする |
| 判定の時期 | 契約から3か月で投稿の型と数値の動き、6か月で1件あたりの金額 | 3か月以内では、投稿の型が固まっておらず判定できない。6か月で来店や問い合わせが月1件に届かなければ、構成を変えるかやめる |
広告の獲得単価をいくらにすべきかは業種別の平均では決まらず、粗利から逆算します。その考え方は広告のCPA目安はどう決めるか|業種別平均が使えない理由で扱っており、SNS運用の1件あたりの費用も同じ基準で比べます。「SNSは長期で効く」という説明は正しい場合もありますが、6か月で1件も来ていない状態を「長期」で説明することはできません。
代行会社のレポートに載る数値(リーチ、保存、プロフィールへのアクセス)は、投稿の改善には使えますが、費用対効果の判定には使いません。それらは来店や問い合わせに向かう途中の数字であり、途中の数字が伸びても最後の件数が動かないなら、投稿ではなく導線(プロフィール、予約の入口、店舗情報)に問題があります。
依頼して成立する会社と、しない会社
ここまでの条件を判断の形にまとめます。
依頼して成立する会社
- 目的が来店か問い合わせで、月に何件を目指すのかが決まっている。件数が決まれば、1件あたりの費用で判定できる
- 現場の写真と当日の情報を、週1時間で出せる担当者がいる。一次情報が渡り続ければ、編集は外部のほうが速く安定する
- アカウントは自社名義で、権限だけを渡す設計にできる。終了時にパートナーを外すだけで済む
- 6か月分の費用を先に確保できる。3か月で型を作り、6か月で判定する期間を、途中で止めずに走れる
- 投稿の確認と、自社に回された返信を担う人が社内にいる。確認なしの公開と、返信の放置を防げる
- 撮影素材を広告やホームページにも使う予定がある。二次利用の権利を契約に入れれば、制作費が複数の用途に回る
今は依頼しないほうがよい会社
- 目的が「とりあえずSNSを始めたい」で、件数の目標が無い。成果の判定ができず、フォロワー数で評価することになる
- 一次情報を渡す時間が社内に無い。金額に関係なく、投稿は一般論に寄る。先に担当者を決める
- IDとパスワードを渡して任せきりにするつもりでいる。所有を失う危険があり、確認の工程も無くなる
- 3か月以内に売上の結果を求められている。投稿の型が固まる前に判定することになる。その期間で結果が要るなら、広告のほうが向く
- SNS経由の来店や問い合わせを数える仕組みが無い。1件あたりの費用が出せず、続けるかやめるかを決められない
- Googleビジネスプロフィールが整っていない。店舗業種では、SNSより先に効く。順序が逆
広告運用の内製化と委託の判断は、手数料だけでなく人件費と教育の費用まで含めた損益分岐で決めます。その計算は広告運用は内製化すべきか|代理店委託とのコスト構造と判断基準で扱っており、SNS運用でも「自社にしかない情報は残し、作業は出す」という分け方は共通です。
依頼する場合の順序|目的、残す作業、権限、契約、初月の設計、判定
依頼すると決めた場合の順序です。順序を守る理由は、金額の比較を最後に回し、先に自社側の条件を固めるためです。先に見積りを並べると、安い会社を選んで自社に残す作業が増えるか、高い会社を選んで一次情報の受け渡しが無いまま任せきりになります。
1. 目的と件数を決める
来店か、問い合わせか、採用の応募か。月に何件を目指すか。この2つが無いと、費用対効果の判定ができません。件数は現在の広告やホームページの実績から置きます。
2. 自社に残す作業と、担当者を決める
現場の写真と当日の情報を出す人、投稿案を確認する人、回ってきた返信に答える人を決めます。1人で兼ねて構いませんが、週1時間を確保できるかを見ます。ここで確保できなければ、依頼を見送るか、撮影の同行を月2回に増やして費用を上げる判断になります。
3. アカウントの名義と権限を整える
自社名義のアカウントと、自社のビジネスポートフォリオやビジネスセンターを用意し、二段階認証の連絡先を自社のものにします。既存のアカウントが相手や前の担当者の連絡先になっていれば、先に変えます。
4. 契約に入れる項目を決めてから、見積りを取る
- 業務の範囲:企画、制作、投稿、返信、分析のどれを含むか。投稿本数と動画の本数。撮影の同行の回数
- 確認の工程:投稿前の確認を必須にし、確認の期限(例:公開の2営業日前)を決める
- 権利:投稿済みの画像・動画・文章の著作権の帰属か、用途と期間を限定しない利用許諾。撮影素材の元データの納品
- 納品物:月次レポートのファイル、運用の手順書、返信の定型文
- 個人情報:DMやコメントの内容の保存場所と、終了時の削除
- 期間と解約:最低契約期間、申し出期限、自動更新の有無。初期費用の扱い
この項目を先に渡して見積りを取ると、各社の金額が同じ範囲で比べられます。項目を渡さずに取った見積りは、範囲が揃っておらず、安い会社が安い理由が分かりません。
5. 初月は設計に使い、2か月目から回す
初月は、投稿の型(フィードとリールの役割、ストーリーズの使い方、返信の基準)とカレンダーを決める期間に充てます。ここで決めた型が、その後の工数と費用の根拠になります。2か月目から、企画・素材の受け渡し・制作・確認・投稿・分析の月次で回します。
6. 3か月と6か月で判定する
3か月で投稿の型が固まり、数値の動きが見えているか。6か月で1件あたりの費用が広告の獲得単価と比べてどうか。6か月で来店や問い合わせが月1件に届かなければ、構成を変える(媒体、投稿の型、撮影の頻度)か、やめる判断をします。
7. 内製化するなら、型ができてから移す
運用代行を内製化への準備として使う会社もあります。その場合、初月に決めた型と手順書、定型文が引き継ぎの材料になります。型が無いまま内製化すると、担当者が毎回ゼロから企画することになり、続きません。投稿の題材を毎回考えない仕組みは店舗SNSの投稿ネタが尽きたときの考え方|企画を毎回考えない仕組みにするで扱っています。
地図表示の基本設定
個別の施策は、基本の情報が整っていることが前提になります。設定の全体像はMEO対策とは?Googleビジネスプロフィールで来店を増やす方法を参照してください。
他人のアカウントで紹介してもらう費用は、別の式で決まる
運用代行は自社のアカウントを育てる費用で、インフルエンサーへの依頼は他人のアカウントで紹介してもらう費用です。後者の提示額はフォロワー数×単価で出されますが、払える上限は来店1件に払える金額と、商圏内に届く人数から見積もった件数で決まります。終了時に何が残るかを契約で決める点は、どちらも同じです。
| 確認すること | 判断の基準 | 詳しくは |
|---|---|---|
| インフルエンサーへの依頼費用と契約 | フォロワーの上位の都市が商圏と重なるかを依頼前に確認する。契約には掲載を維持する期間、投稿前の確認、二次利用の範囲と費用、報酬と支払期日を入れ、個人に頼む場合はフリーランス法の取引条件を明示する。転載先にも広告である旨を表示する | インフルエンサーに依頼する費用はいくらか|フォロワー単価ではなく、商圏内に届く人数から払える上限を決める |
よくある失敗
月額の安さで選び、自社に残る作業が増える
10万円以下の帯は、企画と撮影を自社が担う前提の金額です。それを分からずに選ぶと、代行会社から「素材をください」と毎週言われ、社内の負担が増えた上に投稿は薄くなります。安い理由は、自社が担う作業の量です。
IDとパスワードを渡し、二段階認証が相手の連絡先になる
契約終了後にログインできず、パスワードを知っていても認証コードが届かない状態になります。自社名義のビジネスポートフォリオやビジネスセンターから権限を割り当て、認証の連絡先は自社のままにします。
フォロワー数を成果指標にする
増やしやすい投稿に寄り、来店や問い合わせと結び付かない数字が積み上がります。月額を来店・問い合わせの件数で割った1件あたりの金額を指標にし、広告の獲得単価と比べます。
投稿済みの写真を広告に使えない
著作権が代行会社に残り、利用許諾がSNSの投稿に限られていると、同じ写真を広告やホームページに使えません。契約で著作権の譲渡か、用途と期間を限定しない利用許諾にし、元データの納品を入れます。
確認の工程を省き、価格や表現の誤りがそのまま出る
SNSの投稿は自社の名前で出る表示で、誤りの責任は自社にあります。投稿前の確認を契約の工程にし、確認なしに公開しない設計にします。確認の期限を決めないと、公開が遅れる原因にもなります。
3か月で判定し、型が固まる前にやめる
初月は設計、2〜3か月目で型が固まり、数値の動きが見えるのは3か月以降です。3か月で結果が要るなら、運用代行ではなく広告が向きます。判定は6か月で行います。
撮影の同行が月1回で、日常の素材が無い
同行の日に撮った写真だけで1か月を回すと、投稿が全て同じ日の雰囲気になります。日常の素材を自社が撮って渡す分担を決めていないと、月1回の同行では足りません。
よくある質問
SNS運用代行の月額はいくらが妥当ですか
投稿代行だけなら10万円以下、企画・制作・レポートを含めて20万〜30万円、戦略や広告運用まで含めて50万円以上が、公開されている料金の幅です。妥当かどうかは金額ではなく、自社に残す作業と、月額を来店や問い合わせの件数で割った1件あたりの金額で判断します。
投稿本数を増やせば費用はその分上がりますか
倍にはなりません。企画・レポート・打ち合わせは本数に関係なく固定で、増えるのは制作と投稿の時間だけです。費用を最も動かすのは、動画の本数と撮影の同行です。
フリーランスと会社のどちらに依頼すべきですか
工数の切り分けは同じです。違いは、担当者が1人か、企画・制作・分析で分かれているかと、契約終了時の権利と納品物を契約に書けるかです。フリーランスに依頼する場合も、アカウントの名義、著作権、元データの納品、個人情報の扱いは同じように決めます。
アカウントは代行会社に作ってもらってもよいですか
勧めません。作成時のメールアドレスと電話番号が相手のものになり、二段階認証の連絡先も相手になります。自社の連絡先で作り、ビジネスポートフォリオやビジネスセンターの権限で作業を渡します。
コメントやDMの返信まで任せられますか
定型の質問(営業時間、駐車場、予約方法)は任せられます。クレームや個別の相談は自社に回す基準を決めます。DMには個人情報が含まれるため、委託先の監督は依頼側の義務として残り、保存場所と終了時の削除を契約に書きます。
成果はどのくらいで判断すべきですか
3か月で投稿の型と数値の動き、6か月で1件あたりの費用を見ます。6か月で来店や問い合わせが月1件に届かなければ、構成を変えるかやめる判断をします。3か月以内に結果が要るなら、広告のほうが向きます。
複数の媒体をまとめて依頼したほうが安くなりますか
同じ素材を加工して使い回す設計なら、2媒体目の制作時間は半分以下で済み、割安になります。別々の企画を立てるなら、ほぼ2倍です。先に1媒体で型を作り、素材の転用で2媒体目を足す順序が現実的です。
撮影の同行は必要ですか
月1〜2回の同行は、投稿の質を上げますが、日常の素材の代わりにはなりません。同行の日に撮った写真だけで1か月を回すと、投稿が全て同じ雰囲気になります。日常の素材は自社が撮り、同行は商品や店内をまとめて撮る日として使います。
まとめ
SNS運用代行の月額は、投稿代行だけなら10万円以下、企画・制作・レポートを含めて20万〜30万円、戦略や広告運用まで含めて50万円以上という幅で公開されています。この幅は投稿本数ではなく、企画・撮影・制作・投稿・返信・分析のうち外部に出す工程の合計時間で決まります。Instagram1媒体・月8投稿の構成で34〜48時間になり、動画の本数と撮影の同行が費用を最も動かします。
依頼して成立するかどうかは、金額ではなく「自社に残す作業を渡し続けられるか」で決まります。現場の写真、当日の情報、お客様とのやり取り、投稿の確認は外部が持てず、週1時間を出せる担当者がいなければ、どの帯を選んでも投稿は一般論に寄ります。
アカウントは自社名義で作り、ビジネスポートフォリオやビジネスセンターの権限で作業だけを渡します。IDとパスワードを共有すると、二段階認証の連絡先が相手のものになり、契約終了後にログインできなくなる危険があります。契約終了時に残るものは、アカウントとフォロワーだけでなく、投稿済みの画像や動画の権利、撮影素材の元データ、分析データ、運用の手順書まで、契約で決めます。
費用対効果は、フォロワー数ではなく、月額を来店や問い合わせの件数で割った1件あたりの金額で見ます。広告の獲得単価と比べ、3か月で型、6か月で判定します。
依頼する場合は、目的と件数、残す作業と担当者、名義と権限、契約の項目を先に決めてから見積りを取り、初月を設計に使って2か月目から回します。型ができれば、内製化へ移す材料にもなります。
アカウントの設計から投稿の企画・制作、撮影、内製化への移行まではSNS運用・コンテンツマーケティングで承っています。撮影素材を広告に転用する設計はWEBマーケティング・広告運用と合わせてご相談いただけます。会社紹介資料は資料ダウンロードから、ご相談はお問い合わせからご連絡ください。