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のぼり旗のデザインの作り方|文字を考える前に、誰がどの速さで前を通るかと、置ける場所を決める

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店の前にのぼり旗を立てたいが、何を書けばよいか分からない。既製品の「営業中」を立てているが、効いているのか分からない。目立たせたくて文字を詰め込んだら、近くに行かないと読めない旗になった。店舗の販促の相談では、こうした声がよくあります。

のぼり旗は、通りがかりの人に数秒だけ見られる販促物です。手に取られることも、立ち止まって読まれることもほとんどありません。前を通る人が歩いているのか、車に乗っているのかで、見えている時間は10倍ほど変わります。その時間で読める量しか、のぼり旗には載せられません。

この記事では、置ける場所の確認、前を通る人の速さから文字数を決める方法、揺れて裏返る旗ならではの作り方、本数と並べ方、色あせと交換、効果の確かめ方を、店舗や小規模な事業者を前提に整理します。

この記事でわかること

・のぼり旗は数秒だけ見られる販促物。デザインの前に、置ける場所と前を通る人の速さを決める

・歩道や車道には原則として置けない。敷地の内側に置き、屋外広告物条例の決まりも確かめる

・1本に載せるのは1つのことだけ。店名・品目・営業中を1本に詰めると、どれも読めない

・のぼり旗は風で揺れ、裏返り、下の方が隠れる。文字は上半分に、裏から見えることも前提にする

・色あせた旗は、営業していない店に見える。交換の時期を決めておく

のぼり旗で、デザインの前に決める順序
のぼり旗で、デザインの前に決める順序

のぼり旗は、手に取られず、立ち止まって読まれない

結論として、のぼり旗は「読ませる」ものではなく、「気づかせる」ものとして作ります。同じ屋外の販促物でも、看板やポスターとは見られ方が違います。

のぼり旗 ポスター 看板
見られ方 前を通りながら、数秒 掲示場所によって数秒から数分 前を通りながら、または探している人が見つける
形 縦に細長く、風で揺れる 平面で動かない 平面で動かない
出しておく期間 数週間から数か月。季節や催しで替える 数週間から数か月 数年
向いていること 営業中であること、いま売っている品、催しの開催 1つの告知を、立ち止まった人に読ませる 何の店か、どこにあるかを長く伝える

のぼり旗の強みは、動くことと、替えやすいことです。揺れる旗は、動かない看板より目に入りやすく、1本あたりの費用も小さいため、季節の品や催しに合わせて替えられます。反対に、詳しい説明や価格の条件を読ませることには向きません。

ポスターの作り方は目を引くポスターデザインの作り方|掲示場所から逆算する構図とコピー、常設の看板は看板のデザインを決める前に確認すること|条例と構造で、作れる看板が変わるで扱っています。

先に決めること1:置ける場所

最初に、のぼり旗を自分の敷地の内側に置けるかを確かめます。店の前の歩道に並べている例をよく見かけますが、道路の上に物を置くには道路管理者の許可が要り、のぼり旗は原則として許可されません。

たとえば東京都江東区は、道路の占用についての案内で、道路上に自動販売機、のぼり旗、置き看板、立て看板などを置くことは、道路交通上の支障となるため許可できないとしています。他の自治体でも、考え方は同じです。

置く場所 置けるか 確かめること
店の敷地の内側(軒下・駐車場など) 置ける 屋外広告物条例の対象になる。区域と大きさ、出しておける期間を確かめる
店の前の歩道 原則として置けない 道路管理者(市区町村や都道府県)の許可が要り、のぼり旗は許可されないのが通常
建物の外にはみ出す取り付け はみ出す部分による 旗が揺れて歩道の上に出ないか。ポールの長さと旗の幅で確かめる
商業施設やテナントの共用部 施設の規則による 管理会社の決まり。本数や大きさを指定されることが多い

敷地の内側でも、のぼり旗は屋外広告物条例の対象です。自治体によっては、広告旗や立看板を出しておける期間を短く区切っています。区域ごとの決まりと確かめ方は、先に挙げた看板の記事で整理しています。

置ける場所が決まると、旗が見える方向と、前を通る人の種類が決まります。敷地の奥にしか置けないなら、車からはほとんど見えないと考えて、歩く人に向けた旗にします。

先に決めること2:前を通る人と、その速さ

載せられる文字の量は、旗が見えている秒数で決まります。見えている秒数は、旗が見え始める距離と、前を通る人の速さで計算できます。

次の表は計算の例です。旗が20メートル手前から見え始めるとして、通り過ぎるまでの秒数を出しました。

前を通る人 速さ(例) 1秒で進む距離 20メートルを通る秒数
歩く人 時速4キロ 約1.1メートル 約18秒
自転車 時速15キロ 約4.2メートル 約5秒
車(一般道) 時速40キロ 約11メートル 約2秒

歩く人と車では、見えている時間に10倍近い差があります。さらに車の運転手は前を見ているため、旗に目を向けられるのはそのうちの一瞬です。車に向ける旗は、2〜4文字程度の、意味がすぐ分かる言葉に絞ります。「ラーメン」「車検」「内覧会」のように、それだけで何の店か、何をしているかが分かる言葉です。

歩く人に向ける旗なら、品目と一言の説明まで載せられます。ただし歩く人も、旗を読むために立ち止まるわけではありません。歩きながら読み終えられる量が上限です。

文字の大きさは、実際の距離から見て決める

文字の大きさは、画面で見て決めず、旗を実寸で印刷するか、紙に原寸で文字を書いて、置く場所から実際に見て確かめます。のぼり旗の多くは幅60センチ、高さ180センチ前後で、使える幅は60センチしかありません。縦に1列で並べるなら、1文字の大きさは幅で決まります。文字を増やすと、文字が旗の下の方まで届きます。下の方は次の節で書くとおり隠れやすいため、文字を増やすほど、読まれない部分が増えます。

読みやすさは大きさだけで決まりません。背景との明るさの差と、線の太さも効きます。細い書体を淡い色で置くと、大きさが足りていても遠くからは消えます。明るさの差の考え方は配色のコントラスト比の基準|WCAGの数値と、実務での使い方が参考になります。

先に決めること3:1本に1つのことだけを載せる

1本ののぼり旗に載せるのは、1つのことだけにします。店名、品目、価格、営業時間、キャンペーンを1本に入れると、数秒では何も読み終えられません。

旗の役割 載せること 向いている場面
何の店かを伝える 業種や品目の言葉(「うどん」「整体」など) 店の外観から業種が分かりにくい店
いま売っている品を伝える 季節の品、新しい品の名前 定番以外の品を試してもらいたいとき
営業中であることを伝える 「営業中」「OPEN」など 外から店内が見えにくく、開いているか分からない店
催しを伝える 「内覧会」「開催中」など 期間の決まった催し。終わったら必ず下げる

伝えたいことが複数あるなら、旗を分けます。1本に3つを詰め込むより、1つずつの旗を3本立てるほうが、それぞれが読まれます。

価格を載せる場合は、消費税を含めた総額で書きます。「最安値」「地域No.1」のような言葉は、根拠がなければ景品表示法の問題になります。問題になりやすい言い方は広告表現で問題になりやすい言い方|景表法・薬機法と媒体ポリシーの整理で扱っています。

のぼり旗は揺れて、裏返り、下が隠れる

のぼり旗のデザインは、平らな紙の上ではなく、風で動く布として見られることを前提にします。画面の上ではきれいに見えた旗が、立ててみると読めないことがあります。

  • 下の方は隠れる:植え込み、止めてある車や自転車、歩く人の体で、旗の下の方は隠れやすい。読ませたい文字は上半分に置く
  • 風で巻き付き、裏返る:風が強い日はポールに巻き付き、向きが変わると裏側が見える。一般的なのぼり旗は片面だけを印刷し、色を裏まで染み込ませるため、裏からは文字が左右反対に見える
  • ポール側は見えにくい:旗はポールに通す側(チチの側)が縦に固定され、反対側が揺れる。文字はポールに寄せすぎず、中央に置く
  • 止まった旗は目に入りにくい:風のない日は旗が垂れ下がり、文字が折れて読めない。横棒で上辺を張る形のポールを使うと、垂れ下がりを抑えられる

裏から見られる場面が多い場所(両方向から人が来る道など)では、両面に印刷した旗を選ぶ方法があります。2枚の布の間に光を通さない布を挟んだ仕立てが一般的で、片面の旗より重く、費用も上がります。まずは片面の旗で、どちらの方向から来る人が多いかを数えてから決めても遅くありません。

色の選び方は、周りとの差で決まる

目立つ色は、色そのものではなく、周りとの差で決まります。商店街で赤や黄色の旗が多く並んでいる場所では、同じ色の旗は埋もれます。置く場所の写真を撮り、その上にデザインを重ねて、周りの店の旗や看板の中でどう見えるかを確かめます。色と印象の関係は色彩心理をデザインに使うときの前提|色だけで印象は決まらないで扱っています。

先に決めること4:本数と並べ方

本数を増やすときは、同じ旗を並べるのか、役割の違う旗を組み合わせるのかを先に決めます。目的によって、正しい並べ方が違います。

並べ方 向いている目的 注意すること
同じ旗を数本並べる 遠くから店の場所に気づかせる。車に向ける 本数が多すぎると、敷地の外にはみ出しやすい
役割の違う旗を組み合わせる 何の店か+いま売っている品、のように歩く人に順に伝える 人が来る方向から見て、伝える順に並べる
既製品の旗とオリジナルの旗を混ぜる 「営業中」は既製品、品目や店名はオリジナルにして費用を抑える 既製品は他の店でも使われているため、それだけでは店を覚えてもらえない

本数は、多いほど効くわけではありません。旗が多すぎると、それぞれの旗の言葉が読まれなくなり、店の入口も見えにくくなります。まず少ない本数で始め、入店の数を見ながら足すか替えるかを決めます。

倒れない置き方と、色あせたときの交換

のぼり旗は風で倒れることがあり、通る人にけがをさせれば、置いた店の責任になります。ポールの土台には、水や砂を入れて重くする台を使い、強い風の日や台風の前は、旗を外して店の中にしまいます。誰が出して、誰がしまうかを、開店・閉店の作業に入れておきます。

屋外に出し続けた旗は、日光と雨で色があせ、端がほつれます。色あせた旗は、店がきちんと手入れされていない、あるいは営業していない店のように見え、立てていないより悪い印象を与えることがあります。

交換を決める目安 見るところ
色あせ 新しい旗と並べて、色の差が分かるか。特に赤や黄色は差が出やすい
ほつれ・破れ 揺れる側の端と、ポールに通す部分(チチ)が切れていないか
内容が古い 季節の品が終わっている、催しが終わっている、価格が変わっている

色のあせ方は、布の種類と、日の当たり方で大きく変わるため、決まった期間はありません。同じ旗を予備として1枚とっておき、ときどき並べて比べると、替える時期が分かります。季節の品や催しの旗は、終わった日に下げます。終わった催しの旗を出し続けると、来た人をがっかりさせます。

効果は、設置の前後で入店した人の数を数えて確かめる

のぼり旗の効果は、旗を立てる前と後で、前を通った人のうち何人が店に入ったかで確かめます。「目立つようになった」という印象だけでは、続けるか、替えるかの判断ができません。

確かめること 数え方 動かなかったときに見直す場所
入店した人の数 レジの客数や来店の記録を、設置前と後の同じ曜日・時間帯で比べる 置く場所、旗の言葉
前を通った人のうち入った割合 同じ曜日・時間帯に15〜30分、前を通った人と入った人を数える 旗が見える方向、文字の量
旗に書いた品の出数 POSで、旗に書いた品の注文の数を前後で比べる 旗の言葉と、店内のメニューの書き方が揃っているか
来店のきっかけ 初めての客に「何で知りましたか」と聞く 旗が見られていないなら、置く場所か高さ

比べる期間は、季節、天気、近くの催しの影響が揃うように取ります。旗を立てるのと同時に、チラシを配ったり、Web広告を始めたりすると、どれが効いたか分からなくなります。旗に書いた品を店内でも同じ名前で載せておくと、旗を見て入った人が迷わず注文できます。店内のメニューの作り方は飲食店のメニュー表デザインの作り方|見た目より先に、注文してほしい品と価格の書き方を決めるで扱っています。

よくある失敗

1本に店名も品目も価格も入れる

数秒では読み終えられず、どれも伝わりません。1本に載せることを1つに絞り、伝えたいことが複数あるなら旗を分けます。

歩道に並べる

道路の上に置くには道路管理者の許可が要り、のぼり旗は原則として許可されません。通る人の邪魔にもなります。敷地の内側に置き、揺れて歩道にはみ出さないかも確かめます。

読ませたい文字を旗の下の方に置く

下の方は、植え込みや止めてある車、歩く人で隠れます。読ませたい言葉は上半分に置きます。

色あせた旗を出し続ける

手入れされていない店、営業していない店に見えます。予備の旗と並べて比べ、替える時期を決めておきます。

催しが終わっても旗を下げない

終わった催しを見て来た人をがっかりさせ、旗の言葉そのものが信用されなくなります。催しの旗は、終わった日に下げます。

よくある質問

既製品ののぼり旗とオリジナルの旗は、どちらがよいですか

「営業中」「ランチ」など、どの店でも同じ言葉で足りる旗は既製品で十分です。店名や、自店で売りたい品を載せる旗はオリジナルで作ります。既製品だけでは、他の店と同じ旗になり、店を覚えてもらうことにはつながりません。

のぼり旗のサイズはどう選べばよいですか

幅60センチ、高さ180センチ前後が多く使われていて、ポールや土台も揃えやすい大きさです。置く場所の広さと、旗が揺れたときに敷地からはみ出さないかを先に測り、その中で選びます。大きくしても文字を増やさず、文字を大きくするために使います。

のぼり旗に許可は要りますか

自分の敷地の内側に置く場合も、屋外広告物条例の対象です。区域や大きさによって許可が要るかどうか、出しておける期間が自治体ごとに決まっています。店の所在地の自治体の屋外広告物の窓口で確かめてください。歩道など道路の上には、原則として置けません。

デザインは自分で作れますか

作れます。多くの印刷会社が、のぼり旗用のひな形を用意しています。ただし、置く場所から実際に見て確かめることは、自分で作るときも外部に頼むときも省かないでください。店名やロゴを載せる旗は、看板やチラシと見た目を揃えると、店を覚えてもらいやすくなります。

まとめ

のぼり旗は、通りがかりの人に数秒だけ見られる販促物です。デザインの前に、置ける場所と、前を通る人の速さを決めます。歩道や車道には原則として置けず、敷地の内側でも屋外広告物条例の対象になります。

載せられる文字の量は、旗が見えている秒数で決まります。車に向けるなら2〜4文字程度、歩く人に向けるなら品目と一言までです。1本に載せるのは1つのことだけにし、読ませたい言葉は隠れにくい上半分に置きます。

旗は色があせる前に替え、催しの旗は終わった日に下げます。効果は、設置の前後で入店した人の数と、旗に書いた品の出数で確かめます。販促物全体の考え方は販促物は何を作るべきか|種類ごとの使い分けと、品目より先に決める4つの条件で扱っています。

のぼり旗や看板、チラシなどの店頭の販促物のデザインは販促・広告デザインで承っています。会社紹介資料は資料ダウンロードから、ご相談はお問い合わせからご連絡ください。

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