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デザイン業務を定額で外注するメリットとは?損益分岐点と契約前の確認項目

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「バナーを差し替えたいが社内に作れる人がいない」「チラシの修正を都度発注していたら見積と請求の往復だけで時間が溶ける」。デザイン業務が事業のボトルネックになっている企業は少なくありません。その解決策として広がっているのが、月額固定でデザインを依頼できる定額制(サブスクリプション型)の外注サービスです。

ただし、定額制はすべての企業にとって得になる仕組みではありません。月にどれだけ依頼するか、どんな種類の制作物か、社内に依頼を出せる人がいるかによって、都度発注より高くつくこともあります

この記事では、定額制デザイン外注の仕組みとメリットを整理したうえで、都度発注・内製・採用と比較した損益分岐点の計算方法、向いている業務と向いていない業務、契約前に必ず確認すべき項目を解説します。

この記事でわかること

・定額制デザイン外注の仕組みと、料金に含まれる範囲

・都度発注と比べて得になる損益分岐点の計算式

・「月何件でも依頼可能」の実態を決める同時進行数という考え方

・定額制に向いている業務・向いていない業務の切り分け

・内製・都度外注・定額外注・採用の4択比較

・契約前に確認すべき8項目のチェックリスト

結論:定額制が得になるのは「小〜中規模の制作物が毎月継続的に発生する」場合

定額制デザイン外注は、次の条件が揃うときに効果を発揮します。

  • バナー、SNS投稿画像、チラシ改訂など小〜中規模の制作物が毎月発生する
  • 依頼内容を言語化して渡せる担当者が社内にいる
  • スピード(数営業日での納品)が事業成果に影響する
  • 制作物のトーンを揃え続けたい

逆に、年に数回しか制作が発生しない、あるいはブランド設計や大規模サイトのような一件あたりの重い案件が中心であれば、都度発注のほうが合理的です。定額制は「制作の量」ではなく「制作の頻度」に対して効く仕組みだと理解してください。

定額制の価値は単価の安さではなく、見積・発注・検収の往復をなくして着手までのリードタイムを縮める点にあります。

依頼が月1件しか出ない体制では、その価値は生まれません。

定額制デザイン外注の仕組み

料金と対応範囲

月額はサービスによって幅がありますが、一般的には月3万円台から15万円程度の価格帯に分布しています。対応範囲は次のように分かれます。

価格帯 対応範囲の傾向 想定される使い方
月3万〜5万円 バナー、SNS画像、簡易な修正が中心。同時進行は1件 SNS運用や広告バナーの差し替えを回す
月5万〜10万円 上記+チラシ、名刺、資料、LPの一部改修 販促物とWebの更新を継続的に回す
月10万〜15万円以上 上記+LP制作、デザインシステム運用、複数同時進行 マーケティング施策の実行スピードを上げる

「依頼し放題」の実態は同時進行数で決まる

定額制の説明でよく見る「何件でも依頼可能」という表現は、依頼の受付が無制限という意味であって、納品が無制限という意味ではありません。多くのサービスは同時進行できる案件数(通常1〜2件)を定めており、1件が完了してから次に着手します。

つまり、月に実際に納品される点数は次の式で決まります。

月間の納品可能点数 = 同時進行数 × (営業日数 ÷ 1件あたりの平均所要日数)

同時進行1件、1件あたり3営業日、月20営業日なら、理論上の上限は約6〜7点です。ここに修正の往復が入るため、実際は月4〜5点程度に落ち着きます。契約前に「月にいくつ納品されるか」を確認せず、「依頼し放題だから」と期待すると、必ずギャップが生まれます。

都度発注と比べた損益分岐点の出し方

定額制が得かどうかは、次の2つを比べれば判断できます。

損益分岐点となる月間制作点数 = 月額料金 ÷ 都度発注した場合の1点あたり単価

計算例(すべて仮の数値です)

項目 ケースA:バナー中心 ケースB:チラシ・LP中心
都度発注の1点あたり単価 8,000円 60,000円
定額制の月額 60,000円 120,000円
損益分岐点(月間点数) 約7.5点 2点
実際の月間依頼数 10点 1点
判定 定額制が有利(月2万円相当お得) 都度発注が有利

この計算で見落としがちなのが、都度発注に伴う社内コストです。1件ごとに要件をまとめ、相見積を取り、発注書を作り、検収する工数が発生します。この間接コストを1件あたり1時間(人件費3,000円相当)と置くと、ケースAの1点あたり実質単価は11,000円になり、損益分岐点は約5.5点に下がります。

定額制の本質的な価値は、この間接コストとリードタイムの削減にあります。単価だけで比較すると、判断を誤ります。

損益分岐点=月額 ÷ 都度単価。ここに1件あたりの社内工数を上乗せして再計算してください。

依頼が月2〜3件で止まるなら、定額制は割高になります。

定額制に向いている業務・向いていない業務

業務 向き不向き 理由
広告バナー・SNS投稿画像 向いている 点数が多く、仕様が定型化しやすい。差し替え頻度も高い
チラシ・DMの改訂 向いている 元データがあり、季節ごとに更新が発生する
営業資料・提案書のデザイン 向いている 社内発生が多く、都度発注しにくい領域
ECの商品ページ用画像 向いている 点数が多く、テンプレート化できる
LPの部分改修 向いている 数字を見ながら細かく直す運用と相性が良い
ロゴ・CI/VI設計 向いていない 調査と合意形成に時間がかかり、定額の枠に収まらない
ブランドコンセプト設計 向いていない 経営レイヤーの意思決定を伴い、制作作業とは性質が異なる
大規模サイトのUI設計 向いていない 情報設計や実装との調整が必要で、同時進行数の制約に合わない
撮影を伴う制作 向いていない 外部手配と実費が発生し、定額の範囲外になることが多い

判断基準はシンプルです。「仕様を文章で伝えられる制作物」は定額制に向き、「議論しながら決めていく制作物」は向きません

内製・都度外注・定額外注・採用の4択比較

デザインリソースの確保手段は4つあります。定額制だけを他と切り離して評価せず、自社の状況に照らして比較してください。

手段 月あたりのコスト目安 立ち上がり 品質の安定性 リスク
社内の非デザイナーが対応 人件費の一部(見えにくい) 即日 低い。担当者のスキルに依存 本来業務の時間が奪われる。品質のばらつきが大きい
都度外注(制作会社・フリーランス) 発生ベース 1〜2週間 高いが会社により差 発注のたびに調整コスト。繁忙期は着手されない
定額外注(サブスク) 3万〜15万円 数日 中〜高。担当固定なら安定 依頼が出せない月は割高。重い案件は範囲外
デザイナーを採用 月30万〜50万円+採用費 2〜6か月 高い。事業理解が深まる 稼働の閑散期も固定費。1人体制は属人化しやすい

採用と比較したときの定額外注の位置づけは、「デザイナー1人分の人件費を払えるほどの業務量はないが、非デザイナーが片手間でやるには量が多い」段階の選択肢です。月の制作点数が20点を超え、かつ事業理解が求められる領域が増えてきたら、採用や内製化の検討時期になります。

定額制で失敗する3つのパターン

失敗1:依頼を出す人がいない

最も多い失敗です。契約したものの、何を依頼すればよいか整理できず、月に1〜2件しか出ないまま更新月を迎えるケースです。定額制は「依頼のストック」がある前提の仕組みです。契約前に、直近3か月で発生した制作物を書き出し、月何件になるかを確認してください。

失敗2:指示が曖昧で修正の往復が増える

「もう少しかっこよく」「いい感じに」といった指示は、修正回数を消費するだけで前に進みません。定額制では修正回数に上限があることが多く、往復が増えるほど月の納品点数が減ります。依頼時には、目的・掲載先・サイズ・入れる文言・参考デザイン・NG要素の6点を最低限そろえてください。

失敗3:ブランドの一貫性が担保されない

担当デザイナーが毎回変わるサービスでは、制作物ごとにトーンがぶれます。ロゴの使い方、フォント、余白のルールを最低限まとめた資料を渡しておくと、誰が担当しても一定の水準に収まります。ここは発注側の準備で防げる問題です。

契約前に確認すべき8項目

  • 同時進行できる件数と、1件あたりの標準納期
  • 1点の定義(バナー5サイズ展開は1点か5点か)
  • 修正回数の上限と、上限を超えた場合の扱い
  • 対応できない業務の範囲(撮影、印刷手配、コーディング、動画など)
  • 納品データの形式と、編集可能な元データ(ai/psd/Figma)を受け取れるか
  • 著作権・利用範囲の扱い。二次利用や改変が可能か
  • 最低契約期間と解約通知の期限
  • 担当者が固定か非固定か、および連絡手段と対応時間帯

特に2番目の「1点の定義」は、サービス間の実質単価を大きく左右します。同じ月額でも、サイズ展開を1点として扱うかどうかで納品量が数倍変わります。

効果をどう測るか|KPIの置き方

定額制の効果は「安くなったか」だけでは測れません。次の3つで評価してください。

KPI 見方 改善したときの意味
制作リードタイム 依頼から納品までの平均日数 施策の実行スピードが上がり、検証回数が増える
月間の施策実施本数 広告クリエイティブやSNS投稿の本数 検証の母数が増え、勝ちパターンが見つかりやすくなる
社内工数の削減時間 発注・調整にかけていた時間の減少分 担当者が企画や分析に時間を使えるようになる

広告運用と組み合わせている場合は、クリエイティブの入れ替え頻度とCVR・CPAの推移を並べて見てください。定額制の投資対効果は、制作費の削減ではなく検証回数の増加による成果改善として現れます。

導入前にやっておく3つの準備

  1. 直近3か月の制作物を棚卸しする:何を、何点、どのくらいの頻度で作ったかを書き出す。ここが月4〜5点に満たなければ、都度発注のままで問題ありません
  2. 依頼テンプレートを作る:目的・掲載先・サイズ・文言・参考・NGの6項目を埋めるだけの様式を用意する。指示の質が納品の質を決めます
  3. 最低限のデザインルールをまとめる:ロゴデータ、指定色、使用フォント、禁止事項を1枚にまとめる。担当が変わっても一貫性が保てます

この3つを準備してから契約すると、初月から稼働が立ち上がります。準備なしで契約すると、最初の1〜2か月が様子見で消え、その分だけ実質単価が上がります。

よくある質問

Q. 定額制と都度発注、結局どちらが安いですか?

月間の制作点数によります。「月額 ÷ 都度発注の1点単価」で損益分岐点を出し、直近3か月の実績点数と比べてください。バナーなど単価の低い制作物が毎月10点以上発生するなら定額制が有利になりやすく、単価の高い制作物が年数回であれば都度発注が有利です。

Q. 「依頼し放題」と書いてあるサービスなら無制限に頼めますか?

依頼の登録は無制限でも、同時進行できる件数に制限があるのが一般的です。実際の納品可能点数は「同時進行数 × 営業日数 ÷ 1件あたり所要日数」で決まります。契約前に、標準納期と同時進行数を必ず確認してください。

Q. ロゴやブランド設計も定額で頼めますか?

制作作業としては可能な場合もありますが、推奨しません。ロゴやブランドコンセプトは調査と合意形成のプロセスが本体であり、定額の枠内で完結させると、意思決定の質が下がります。これらは個別のプロジェクトとして予算を切り分けてください。

Q. 途中で解約できますか?

最低契約期間(3〜6か月)を設けているサービスが多く、期間内の解約には違約金が発生する場合があります。また、解約通知の期限(当月末までなど)も設定されています。トライアル期間の有無とあわせて、契約書で確認してください。

Q. 社内にデザイナーがいる場合でも使う意味はありますか?

あります。社内デザイナーが上流の設計やブランド管理に集中し、量産系の制作を外部に出すという分担は有効です。この場合、デザインルールを社内で管理し、外部にはそのルールに沿った量産を依頼する形にすると、一貫性と量の両方を確保できます。

まとめ

定額制のデザイン外注は、小〜中規模の制作物が毎月継続的に発生する企業にとって、発注の手間とリードタイムを大きく削減できる仕組みです。一方で、依頼が月2〜3件で止まる場合や、ブランド設計のような議論を伴う案件では、都度発注のほうが合理的です。

判断に使う数字は「月額 ÷ 都度発注の1点単価」で求めた損益分岐点と、直近3か月の実際の制作点数です。そこに1件あたりの社内工数を上乗せして再計算すると、実態に近い比較ができます。

契約前には、同時進行数、1点の定義、修正回数の上限、元データの受け取り可否を必ず確認してください。この4点が曖昧なまま契約すると、想定していた稼働量が得られません。

「デザイン業務が特定の担当者に集中して回らない」「施策は考えているが制作が追いつかず実行できていない」「都度見積のやり取りで着手までに時間がかかる」といった状態にある場合は、外注先の単価比較だけでなく、制作フローと依頼体制を含めて見直す必要があります。

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