「ホームページから問い合わせが来ない」——この相談で最も多い対応は、サイトのリニューアルです。しかし多くの場合、これは最も費用がかかり、最も効果が読めない選択です。
問い合わせが来ない状態には、まったく異なる5つの原因があります。原因が違えば、打ち手も費用も期間も変わります。切り分けずに着手すると、直っていない場所に費用を投じることになります。
この記事では、自社の状況がどの段階にあるかを特定し、次に何をすべきかを判断できるようにします。
この記事でわかること
・問い合わせが来ない5つの原因
・どこで止まっているかを数字で特定する方法
・段階別の打ち手と、かかる費用の目安感
・リニューアルを検討すべき条件
・確認の順序
問い合わせまでの5段階
問い合わせは、次の段階をすべて通過して初めて発生します。掛け算であるため、最も低い段階を直すのが最も効きます。
| # | 段階 | 止まる理由 | 打ち手の方向 |
|---|---|---|---|
| 1 | 見つけられない | 検索に出ない、広告を出していない | SEO、広告、MEO |
| 2 | クリックされない | タイトル・広告文が合っていない | タイトル、広告文 |
| 3 | すぐ離脱する | 期待と違う、遅い、読めない | ファーストビュー、速度 |
| 4 | CVボタンまで届かない | 情報不足、長すぎる、迷う | 構成、導線 |
| 5 | フォームで離脱する | 項目が多い、不安が残る | フォーム、文言 |
「サイトが古いから」という理由でリニューアルすると、段階3〜5に対応することになります。しかし止まっているのが段階1(そもそも訪問がない)であれば、どれだけ美しく作り直しても問い合わせは増えません。
まず、訪問者数を確認してください。
月間のセッションが数十件しかないなら、サイトの中身ではなく集客の問題です。
どこで止まっているかを特定する
GA4で次の数字を確認してください。これを見ずに施策を決めないでください。
| 確認する数字 | 判断 |
|---|---|
| 月間セッション数 | 数十件 → 段階1の問題 |
| 流入経路の内訳 | 自然検索・広告・直接のどれが多いか |
| 直帰率/エンゲージメント | 高い → 段階3の問題 |
| 主要ページの平均滞在 | 極端に短い → 段階3の問題 |
| 問い合わせページの表示回数 | 少ない → 段階4の問題 |
| フォーム表示 → 送信完了の割合 | 低い → 段階5の問題 |
レポートの見方はGA4レポートの見方|最初に見るべき3画面を参照してください。
そもそも計測できていない場合は、そこから始めてください。数字がなければ切り分けは不可能です。設定方法は店舗ビジネスのためのGA4×GTM計測設定ガイド、計測されない場合はGA4のコンバージョンが計測されない時に確認すべき5つのポイントを参照してください。
段階1:見つけられていない
最も多い原因です。そして、サイトのデザインとは無関係です。
| 状況 | 打ち手 | 成果までの期間 |
|---|---|---|
| 広告を出していない | 検索広告を始める | 数日〜 |
| 地図検索で出てこない | Googleビジネスプロフィールを整備 | 数週間〜 |
| 検索で上位に出ない | コンテンツを増やす、内部リンクを整える | 数か月〜 |
| 指名検索もされない | 認知施策(SNS、動画、紙媒体) | 数か月〜 |
最も早く結果が出るのは検索広告です。すでに探している人に当てるため、当日から流入が発生します。予算の決め方は店舗集客のGoogle広告費用相場は?月額予算の決め方を計算式で解説を参照してください。
店舗・地域ビジネスであれば、費用のかからないGoogleビジネスプロフィールの整備が先です。手順はMEO対策とは?Googleビジネスプロフィールで来店数を増やす具体的手順を参照してください。
段階2:クリックされていない
検索結果や広告に表示されているのに、クリックされていない状態です。
- Search Consoleで表示回数とクリック率を確認する:表示はあるがクリックが少ないか
- ページタイトルを確認する:検索語と一致しているか、地域名が入っているか
- 広告文を確認する:抽象的な文言になっていないか
- 競合の表示と見比べる:区別がつくか
広告文の作り方は検索広告の訴求文の作り方|見出しと説明文に入れるべき情報を参照してください。
段階3:すぐ離脱している
| 原因 | 確認方法 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 表示が遅い | 一般的な回線・端末で開く | 画像の最適化 |
| スマートフォンで崩れている | 実機で確認 | レスポンシブ対応 |
| 何の会社か分からない | 3秒で判断できるか | ファーストビューの見出し |
| 検索語と内容が違う | 流入キーワードとページ内容を照合 | ページの内容を合わせる |
| 文字が読めない | 屋外・実機で確認 | サイズとコントラスト |
1番目は費用対効果が高い改善です。原因の大半は画像であり、書き出し設定の変更で解決することが多くあります。詳細はサイトの表示速度を改善する優先順位|何から手をつけるかを参照してください。
ファーストビューの設計はファーストビュー設計の重要性|離脱を防ぐ最初の3秒の作り方を参照してください。
段階4:CVボタンまで届いていない
ページは読まれているのに、問い合わせページへ遷移していない状態です。
- スクロール到達率を確認する:どこで落ちているか
- CTAの位置を確認する:ページ最下部にしかないか
- 料金・費用の情報があるか:ないと探し続けて離脱する
- 対応エリア・営業時間が分かるか
- 実績・事例が載っているか:判断材料になる
3番目が最も多い離脱要因です。料金を載せない方針であっても、「見積もり無料」「事例から費用感を確認できる」といった導線がなければ、探した末に離脱されます。
ページ内の挙動はヒートマップ分析のやり方|何を見て、どこを直すのかで確認できます。使いやすさ全般の点検は使いやすいWebサイトの条件とは?自社で点検できるチェック項目を参照してください。
段階5:フォームで離脱している
最も購買意欲が高い人が離脱する段階です。1件の損失が最も大きくなります。
| 問題 | 対処 |
|---|---|
| 入力項目が多い | 必須項目を最小限に |
| 何を書けばよいか分からない欄がある | 記入例を添える |
| エラーで入力内容が消える | 必ず保持する |
| 営業されるのが不安 | 「ご相談のみでも承ります」と明記 |
| 返信時期が分からない | 「営業日24時間以内に返信」と明記 |
| スマートフォンで入力しにくい | 実機で実際に送信してみる |
最も簡単な確認方法は、自分でスマートフォンから実際に送信してみることです。ここで面倒だと感じたら、訪問者はもっと早く離脱しています。
改善の詳細は入力フォームの離脱率を改善するデザインの工夫、文言はマイクロコピーとは?CVRを動かす短い文章の書き方を参照してください。
「問い合わせは来ているが成約しない」場合
これは別の問題です。サイトではなく、問い合わせ後の対応を見てください。
| 確認 | よくある原因 |
|---|---|
| 初回連絡までの時間 | 複数社に問い合わせており、先に返した会社が有利 |
| 問い合わせの質 | 対象外の人を集めている(訴求・ターゲティングの問題) |
| 見積提示までの期間 | 遅いと他社で決まる |
| 失注理由の記録 | 記録がないと改善できない |
詳細は問い合わせ後の歩留まりを改善する|リード管理の始め方を参照してください。ここが原因の場合、サイトを直しても成果は変わりません。
リニューアルを検討すべき条件
部分的な改善では対応できない場合に限り、リニューアルを検討してください。
- スマートフォンに対応していない:部分修正では対応しきれない
- 構造そのものが検索意図と合っていない:ページ構成から見直しが必要
- 更新できず情報が数年間古いまま:CMSから見直す
- 事業内容が変わり、サイトと実態が乖離している
- セキュリティ・保守が継続できない状態
「見た目が古い」だけでは、リニューアルの根拠として弱くなります。段階1が原因であれば、リニューアル後も問い合わせは増えません。進め方はコーポレートサイトのリニューアルを参照してください。
確認の順序
- 計測が動いているか確認する:数字がなければ始まらない
- 月間セッション数を見る:数十件なら段階1
- 流入経路の内訳を見る:どこから来ているか
- 問い合わせページの表示回数を見る:段階4か5かの切り分け
- 自分でスマートフォンから問い合わせてみる:段階3〜5の体感確認
- 最も落ちている段階から着手する
5番目は誰でも今日できます。検索から自社サイトを開き、問い合わせ完了まで実際に操作してください。ここで見つかる問題が、最も費用のかからない改善対象です。
よくある失敗
失敗1:原因を特定せずリニューアルする
最も費用がかかり、最も効果が読めない選択です。
失敗2:訪問者数を確認せずサイトの中身を直す
月間数十セッションの状態では、CVRを倍にしても件数はほとんど変わりません。
失敗3:計測が動いていない状態で判断する
切り分けが不可能です。まず計測環境を整えてください。
失敗4:成約しない問題をサイトの問題と考える
問い合わせ後の対応が原因なら、サイトを直しても変わりません。
失敗5:複数の施策を同時に実施する
何が効いたか分からず、次の判断ができません。
よくある質問
Q. どのくらいのセッション数があれば「集客はできている」と言えますか?
一律の基準はありません。判断は、必要なCV数から逆算してください。月に5件の問い合わせが必要で、CVRが1%なら、月500セッションが必要という計算になります。自社のCVRから逆算してください。
Q. 広告とSEO、どちらを先にすべきですか?
すぐに流入が必要なら広告、中長期の資産を作るならSEOです。ただし店舗・地域ビジネスであれば、費用のかからないGoogleビジネスプロフィールの整備が最優先です。
Q. 改善してからどのくらいで結果が出ますか?
段階によって違います。広告は当日から、フォームの改善は数週間、SEOは数か月です。この違いを理解せずに「効果がない」と判断しないでください。
Q. 制作会社に相談する場合、何を伝えればよいですか?
「問い合わせが来ない」ではなく、本記事の段階のどこで止まっているかを伝えてください。GA4の数字を添えられれば、より具体的な提案が得られます。
Q. 全部を一度に直したほうが早くないですか?
費用が膨らむうえ、何が効いたか分かりません。最も落ちている段階から1つずつ直し、数字の変化を確認してください。
まとめ
問い合わせが来ない状態には、見つけられていない、クリックされていない、すぐ離脱する、CVボタンまで届かない、フォームで離脱する——という5つの原因があります。原因が違えば、打ち手も費用も期間もまったく違います。
最も多い原因は段階1、そもそも訪問がないことです。この場合、サイトをどれだけ美しく作り直しても問い合わせは増えません。まず月間セッション数を確認してください。
特定は、GA4の数字と、自分でスマートフォンから実際に問い合わせてみることの2つで進められます。後者は今日できて、費用もかかりません。
そして、リニューアルは部分的な改善で対応できない場合に限って検討してください。「見た目が古い」だけでは、根拠として弱くなります。
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