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飲食店のメニュー表デザインの作り方|見た目より先に、注文してほしい品と価格の書き方を決める

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メニュー表を作り直したいが、何から決めればよいか分からない。デザインを新しくしたのに、注文の中身は変わらなかった。値上げのたびに全部を刷り直している。飲食店の販促の相談では、こうした声がよくあります。

メニュー表は、料理を並べた一覧ではなく、お客様が注文を決める場所です。同じ料理と価格でも、どの品が目に入りやすいか、写真があるか、価格がどう書かれているかで、選ばれる品は変わります。見た目から作り始めると、店が売りたい品が他の品と同じ扱いになり、埋もれます。

この記事では、読まれる場所の整理、注文してほしい品の選び方、並べ方と写真、価格と表記の決まり、価格改定に耐える作り、効果の確かめ方を、個人店や小規模チェーンを前提に整理します。

この記事でわかること

・メニュー表は注文を決める場所。デザインの前に、どこで読まれるかと注文してほしい品を決める

・注文してほしい品は、原価率ではなく1品あたりの粗利額とよく出るかで選ぶ

・価格は税込の総額で書く。店内と持ち帰りで税率が違う店は、どちらの価格かを分かるようにする

・「国産」「手作り」「鮮魚」などは、実際と違えば景品表示法の問題になる。仕入れが変わったときに直せる作りにする

・効果は見た目の評判ではなく、改定前後の品目ごとの出数と客単価で確かめる

メニュー表で、デザインの前に決める順序
メニュー表で、デザインの前に決める順序

メニュー表は、読まれる場所で作り方が変わる

結論として、最初に「どこで、どの状態の人に読まれるか」を決めます。席で座って読む冊子と、店の外で立ち止まって見る掲示と、スマホで注文する画面では、読まれる時間も、伝えるべきことも違います。

読まれる場所 読む人の状態 先に伝えること 作り方の要点
席のメニュー(冊子・1枚) 入店済み。何を頼むかを決めている 看板の品、組み合わせ、追加の注文 ページの最初と目の行く場所に、注文してほしい品を置く
店頭の掲示・立て看板 通りがかり。入るかどうかを決めている 何の店か、価格帯、看板の品 品数を絞る。全品を載せず、席のメニューに任せる
持ち帰りのメニュー・チラシ 家や職場で、後から注文を決める 品目と価格、注文の方法、受け取りの時間 電話番号やQRコードなど、注文の手段を必ず載せる
スマホの注文画面・Webのメニュー 席や外出先で、画面を送りながら選ぶ 写真と価格、選びやすい分類 紙のメニューと品目・価格を揃える。片方だけ直さない

全ての場所を1種類のメニュー表で済ませようとすると、どの場所にも合わなくなります。まずは席のメニューを作り、店頭と持ち帰りは、そこから品数を絞って作るのが現実的です。

店頭の掲示は、通りから読まれる距離と、置ける場所の決まりが先に効きます。看板の考え方は看板のデザインを決める前に確認すること|条例と構造で、作れる看板が変わるで扱っています。

先に決めること1:注文してほしい品を、粗利額で選ぶ

注文してほしい品は、原価率の低さではなく、1品が売れたときに残る粗利額で選びます。原価率が低い品でも、価格が安ければ1品で残る金額は小さく、店の利益にはあまり効きません。

次の表は、考え方を示すための例です。数字は架空のもので、業態の平均ではありません。

品目(例) 価格(税込) 原価 原価率 1品の粗利額 よく出るか
A:サラダ 600円 120円 20% 480円 よく出る
B:ハンバーグ定食 1,300円 455円 35% 845円 よく出る
C:ステーキ定食 2,200円 990円 45% 1,210円 あまり出ない
D:季節の煮込み 1,500円 450円 30% 1,050円 あまり出ない

原価率だけで見るとAが最も良く見えますが、1品で残るのは480円です。Dは原価率が低めで粗利額も大きいのに、あまり出ていません。このような品は、目の行く場所に置き、写真や説明を足すことで、注文が増える余地があります。

Cは粗利額が最も大きい一方、原価率が高く、仕入れ値が上がると利益が削られやすい品です。粗利額と、よく出るかの2つで品目を分けると、メニュー表で手を入れる品が決まります。

よく出る あまり出ない
粗利額が大きい 看板の品。今の場所を守る メニュー表で手を入れる品。目の行く場所、写真、説明を足す
粗利額が小さい 集客の品。価格を見直すか、組み合わせて粗利の大きい品と一緒に頼まれるようにする 減らす候補。品数を絞ると、残した品が目に入りやすくなる

原価は、仕入れ値だけでなく、1品に使う量で計算します。POSレジやレシートから品目ごとの出数を出し、直近1〜3か月で並べると、この表は1日で作れます。

先に決めること2:並べ方と写真

注文してほしい品を、目の行く場所と写真に割り当てます。全ての品に同じ大きさの写真を付けると、どれも目立たなくなります。

  • ページや分類の最初:最初に目に入る位置に、看板の品と手を入れる品を置く。目の動きには諸説あるため、決まった型に頼らず、実際の出数で確かめる
  • 枠や余白で囲む:注文してほしい品だけを枠で囲む、余白を広く取るなど、他の品と扱いを変える
  • 写真は絞る:写真を付ける品を、注文してほしい品に限る。写真が多すぎると、写真を付けた意味が薄れる
  • 説明の一言:何が違うのかを一言で書く。「こだわり」「絶品」など、何も伝わらない言葉は使わない
  • 品数を絞る:選ぶ品が多いほど、決めるまでに時間がかかる。出ていない品は、減らす候補として毎回見直す

写真は、実際に出す料理を、出すときの盛り付けで撮ります。写真と違う料理が出ると、注文の満足が下がるだけでなく、量や中身によっては表示の問題にもなります。撮影の進め方はWeb用写真のディレクション|撮影前に決めるべきことと当日の進め方で扱っています。

価格の並べ方

価格は、品名の近くに、同じ書き方で揃えます。価格だけを右端に縦一列で並べると、価格を比べて安い品から選ばれやすくなるとよく言われます。品名と説明の後に価格を続けて書くと、料理を読んでから価格を見る順になります。どちらが合うかは店によって違うため、改定の前後で出数を比べて決めます。

先に決めること3:価格は税込の総額で書く

消費者に向けて価格を表示するときは、消費税を含めた総額で書きます。2021年4月1日から、税抜きの価格だけを表示することを認めていた特例が終わり、総額表示が義務になっています。メニュー表、店頭の掲示、チラシ、Webのメニューのいずれも対象です。

書き方の例 総額表示として
1,100円 よい
1,100円(税込) よい
1,100円(税抜1,000円) よい。税込の総額が分かる
1,000円(税抜) よくない。総額が分からない
1,000円+税 よくない。総額が分からない

店内飲食と持ち帰りで税率が違う店

店内での飲食は標準税率の10%、持ち帰りや出前は軽減税率の8%です。両方を扱う店では、同じ品でも税込の価格が変わるため、メニュー表でどちらの価格かを分かるようにします。

  • 両方を書く:「店内1,100円/持ち帰り1,080円」のように並べる
  • 片方だけを書く:どちらの価格かを明記し、もう一方では価格が変わることを、メニューや店内の目立つ場所に書く
  • 同じ価格に揃える:税抜の価格を調整し、店内と持ち帰りの税込価格を同じにする

店内のほうが高いのに、区別せず持ち帰りの価格だけを書くと、実際より安く見えるため、景品表示法の有利誤認になるおそれがあります。税の扱いの詳細は、財務省・国税庁の資料や税理士に確かめてください。

先に決めること4:産地や「手作り」は、事実と照らす

メニューの表記は、景品表示法の「表示」に当たります。実際より良いものと誤認させる書き方は、優良誤認表示として問題になります。2013年には、ホテルや百貨店のレストランで、メニューの表記と実際の食材が違う事例が相次ぎ、消費者庁は2014年に、メニューや料理の表示についての考え方を示しました。

その後、各地の自治体でも、牛脂を注入した加工肉を「ステーキ」と表示した例や、ブラックタイガーやバナメイエビを「車海老」と表示した例などに、指導が行われています。

よく使う言葉 確かめること
「国産」「〇〇県産」 今の仕入れ先の産地と合っているか。仕入れが変わったときに誰が直すか
「手作り」「自家製」 店で作っているか。仕入れた既製品を温めて出していないか
「鮮魚」「朝どれ」 冷凍品を解凍していないか。仕入れの頻度と合っているか
「ステーキ」「〇〇牛」 加工した肉や、別の品種・産地の肉ではないか
「数量限定」「期間限定」 実際に数量や期間を区切っているか

問題は、作ったときは正しかった表記が、仕入れの変更で事実と合わなくなることです。産地など変わりやすい情報は、刷り込まずに差し替えられる場所に置くか、変わる可能性があるなら書かない判断もあります。

外食の原料の産地表示は、農林水産省のガイドラインに沿った任意の取り組みです。書くと決めたら、正しく保つ責任が店に生じます。広告全体で問題になりやすい言い方は広告表現で問題になりやすい言い方|景表法・薬機法と媒体ポリシーの整理で扱っています。

アレルゲンの情報

飲食店で出す料理には、容器包装に入った加工食品のようなアレルゲンの表示義務はありません。ただし、食物アレルギーのある人は、情報がないと食べられるかを判断できません。載せるなら、正確で最新の情報にし、調理の過程で意図せず混入する可能性があることも書きます。メニュー表には「アレルギーについてはスタッフにお尋ねください」と書き、店内に一覧を用意して、答える担当を決めておく方法もあります。

価格改定に耐える作りにする

価格や品目が変わる部分を、刷り込まずに差し替えられる作りにします。仕入れ値が上がるたびに全部を刷り直すと、費用がかかるだけでなく、刷り直しを待つ間、古い価格のメニューを使い続けることになります。

作り方 向いている店 注意すること
冊子の中身を差し替える(バインダー・クリアポケット) 品数が多く、価格を年に何度か直す店 差し替えたページだけ色や紙が違って見えないよう、同じ紙で刷る
定番は刷り込み、季節の品は別の1枚にする 定番が安定していて、季節の品が多い店 季節の1枚に、注文してほしい品を集める
自店で印刷できるデータで作る 価格をよく直す店、小規模な店 元のデータと、使ったフォントを納品してもらう条件にする
価格だけをシールで直す 急な改定で、刷り直しが間に合わないとき 一時的な対応にとどめる。シールが増えると読みにくい

紙のメニュー、店頭の掲示、Webのメニュー、Googleビジネスプロフィールのメニューは、価格を同時に直します。片方だけ古い価格が残ると、来店してから価格が違うことになり、クチコミで指摘される原因になります。業種ごとにGoogleビジネスプロフィールで効く項目はMEO対策は業種で何が変わるのか|共通して効くことと、業種別に分かれることで扱っています。

効果は、品目ごとの出数と客単価で確かめる

メニュー表の効果は、見た目の評判ではなく、改定の前後で、注文がどう変わったかで確かめます。

確かめること 数え方 動かなかったときに見直す場所
手を入れた品の出数 POSで、改定前と後の同じ曜日・同じ期間の出数を比べる 置いた場所、写真、説明の一言
客単価 売上を客数で割る。改定前後の同じ期間で比べる 組み合わせの提案、追加の注文を促す位置
粗利額の合計 品目ごとの出数×1品の粗利額を足す 注文が粗利の小さい品に寄っていないか
注文を決めるまでの時間 席に着いてから注文までの時間を、スタッフが数回測る 品数、分類の分け方

比べる期間は、改定前後で季節や曜日、天候、近くの催しの影響が揃うように取ります。改定と同時に価格や品目も変えると、どれが効いたか分からなくなるため、できるだけ一度に変えるものを絞ります。

メニュー表を見直しても来店が増えない場合は、店に来る前の段階で止まっています。来店までの集客の手段は飲食店の集客に効くWeb広告とは?予約数を伸ばす媒体の選び方で扱っています。

よくある失敗

全ての品に同じ大きさの写真を付ける

全ての品が同じ扱いになり、注文してほしい品が目立ちません。写真は、粗利額が大きく、もっと出てほしい品に絞ります。

原価率だけで推す品を決める

原価率が低くても、価格が安い品は1品で残る金額が小さく、利益にあまり効きません。1品の粗利額と、よく出るかの2つで決めます。

税抜の価格だけを書く

総額表示の義務に反します。店内と持ち帰りで価格が違う店は、どちらの価格かも分かるようにします。

仕入れが変わっても表記を直さない

作ったときは正しかった産地や「手作り」の表記が、仕入れの変更で事実と合わなくなります。変わりやすい情報は差し替えられる場所に置き、仕入れを変えたときに表記を確かめる担当を決めます。

改定の効果を確かめない

新しくしたこと自体で満足すると、次に直すときの判断材料が残りません。改定前に、手を入れる品と、比べる期間を決めておきます。

よくある質問

メニュー表は自分で作れますか

作れます。品目の選び方と並べ方は、店にしか分からない数字で決まるため、自店で決める部分が大きい作業です。写真の撮影と、デザインの仕上げ、印刷の手配を外部に任せる分け方が現実的です。外部に任せる場合も、元のデータを納品してもらうと、価格の改定を自店で行えます。

品数はどのくらいが適切ですか

決まった数はありません。業態や客層で変わります。出数の少ない品を減らすと、残した品が目に入りやすくなり、仕込みの手間と食材のロスも減ります。品数を減らす前後で、客単価と出数を比べて決めます。

紙のメニューはやめて、スマホの注文だけにしてもよいですか

スマホでの注文は、注文の手間や人手を減らせる一方、写真と並べ方で選ばれる品が変わる点は紙と同じです。スマホを使わないお客様もいるため、紙を残すか、店員に注文できる手段を残すかを、客層を見て決めます。どちらにしても、紙と画面で品目と価格を揃えます。

英語のメニューは必要ですか

海外からのお客様が来る店では役に立ちます。品名をそのまま訳すより、何の料理かと、主な食材が分かる説明を付けます。宗教や食習慣で避ける食材があるお客様もいるため、主な食材を書いておくと、注文の前の確認が減ります。

まとめ

メニュー表は、料理を並べた一覧ではなく、注文を決める場所です。先にどこで読まれるかと、注文してほしい品を決めます。注文してほしい品は、原価率ではなく、1品の粗利額と、よく出るかで選びます。

価格は税込の総額で書き、店内と持ち帰りで税率が違う店は、どちらの価格かを分かるようにします。産地や「手作り」などの表記は、仕入れが変わったときに直せる作りにします。

効果は、改定前後の品目ごとの出数と客単価、粗利額の合計で確かめます。一度に変えるものを絞ると、何が効いたかが残ります。販促物全体の考え方は販促物は何を作るべきか|種類ごとの使い分けと、品目より先に決める4つの条件で、持ち帰りのチラシは反響が出るチラシデザインの作り方|捨てられる前の2秒で決まることで扱っています。

メニュー表や店頭の掲示、チラシなどの印刷物のデザインは販促・広告デザインで、Webのメニューを含むホームページの制作はWEB制作・ホームページ制作で承っています。会社紹介資料は資料ダウンロードから、ご相談はお問い合わせからご連絡ください。

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