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ホームページ制作のRFP(提案依頼書)の書き方|項目を埋める前に、評価表と見積もりの書式を先に決める。ページ構成やデザインは指定せず、困っていることを書く

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ホームページのリニューアルで、制作会社3社に声をかけた。届いた提案は、1社はデザイン案が中心、1社はページ構成の一覧、1社はSEOの施策。見積もりも50万円から300万円まで開いていて、どれが良いのか比べられない。発注の担当者から、この相談をよく受けます。

原因の多くは、提案の質ではなく、依頼の仕方にあります。何を比べるかを決めずに依頼すると、各社は自分の得意な形で提案するため、出てきたものが揃いません。RFP(Request for Proposal、提案依頼書)は、依頼の条件を文書で揃えるためのものです。

この記事では、RFPに書く項目と書かないほうがよいこと、目的を数字で書く方法、予算の示し方、評価表を先に作る理由、見積もりの書式を揃える方法、現行サイトの資料の渡し方、声をかける社数と日程、権利と保守の条件を、企業サイトを発注する中小企業の担当者を前提に整理します。制作会社の選び方そのものはデザイン会社・制作会社の選び方で扱っているため、ここでは依頼する文書に絞ります。

この記事でわかること

・RFPの目的は、各社の提案を同じ物差しで比べられる形にすること。項目を多く埋めることではない

・ページ構成やデザインは指定しない。困っていることと、目標の数字を書く。解き方は提案で比べる

・予算は伏せずに幅で伝える。上限はサイト経由の粗利から出す

・評価表は提案を読む前に作る。読んだ後に作ると、印象の良かった提案に合わせて基準が動く

・見積もりは工程ごとの行を指定して出してもらう。書式が揃わないと総額しか比べられない

RFPを作る順序
RFPを作る順序

RFPとは何か。見積もり依頼と何が違うか

RFPは「何を作るか」が決まっていない段階で、解き方の提案を求める文書です。作るものが決まっていて金額だけを比べたいなら、見積もり依頼(RFQ)で足ります。

文書 求めるもの 向く場面
RFI(情報提供依頼) 会社の実績、体制、得意分野 候補の会社を絞る前
RFP(提案依頼書) 課題の解き方と、その費用 リニューアルや新規制作で、何を作るかから相談したい
RFQ(見積もり依頼) 決まった仕様に対する金額 ページ数や機能が決まっていて、金額を比べたい

中小企業のホームページ制作では、RFIを省いてRFPから始めることが多く、それで構いません。大事なのは、RFPを出すなら「解き方を比べる」と決めておくことです。ページ数や機能を細かく指定したRFPは、実質的には見積もり依頼になり、提案の差が出なくなります。

RFPに書く項目

RFPに書く項目は、大きく7つです。分量はA4で3〜6枚程度に収まることが多く、長ければ良いわけではありません。

項目 書く内容 書かないと起きること
会社と事業の概要 事業内容、主な顧客、売上の柱、競合 誰に向けたサイトかを各社が推測で決める
今のサイトの課題 困っていること、社内で出ている不満、分かっている数字 見た目の刷新だけの提案になる
目的と目標の数字 問い合わせ・応募・資料請求の今の件数と目標 成果を何で判断するかが決まらない
対象と範囲 対象のサイト、移すページ、使っているフォームや外部サービス 見積もりの範囲が各社で違う
予算と日程 予算の幅、公開したい時期、動かせない日付 予算から大きく外れた提案が来る
体制と社内の分担 窓口、決める人、原稿と写真を誰が用意するか 原稿の遅れで日程が崩れる
提案に含めてほしいもの 提案の形、見積もりの書式、評価の観点、締切 提案の形が揃わず比べられない

「今のサイトの課題」は、社内の声をそのまま書く

課題は、きれいな言葉に整えるより、社内で実際に出ている声をそのまま書くほうが提案の精度が上がります。「営業が名刺交換の後にサイトを見せたくない」「採用面接で応募者が会社の事業を知らずに来る」「更新を頼むたびに制作会社に1週間待たされる」。こうした具体的な不満から、制作会社は原因を推測できます。

問い合わせが少ないことが課題なら、どの段階で止まっているかを先に切り分けておくと、提案の焦点が合います。切り分け方はホームページから問い合わせが来ない原因の切り分け方|5段階で診断するで扱っています。

RFPに書かないほうがよいこと

結論として、ページ構成・デザイン・使う技術は、指定せずに提案で比べます。発注側が解き方を決めてしまうと、各社が持っている知見を使えなくなり、RFPを出す意味が薄れます。

書きがちなこと 代わりに書くこと 理由
「トップ・会社概要・事業紹介・実績・お問い合わせの5ページ」 「初めて知った人が、事業の中身と実績を見て問い合わせまで進めるようにしたい」 ページ構成は目的から逆算するもので、提案の中心になる
「◯◯社のサイトのようなデザインで」 「参考にしたいサイトと、どこが良いと思ったか」 見た目の模倣ではなく、何を良いと感じたかが伝わる
「WordPressで作ってほしい」 「社内の誰が、何を、どの頻度で更新するか」 更新の体制が決まればCMSは提案で選べる
「SEOに強いサイトに」 「どんな言葉で探している人に見つけてほしいか」 「SEOに強い」は誰でも約束でき、比べられない
「おしゃれで信頼感のある」 「取引先や応募者にどう見られたいか、今どう見られているか」 形容詞は会社ごとに解釈が違う

例外は、動かせない条件です。社内の基幹の仕組みとつながっているフォーム、ブランドガイドラインで決まっている色やロゴ、法令で載せる必要がある表記などは、条件として書きます。条件と要望を分けて書くと、提案の自由度を残しながら、外してはいけない点が伝わります。

CMSを提案で選ぶときの判断軸はCMSの選び方と運用で扱っています。

目的は、今の数字と目標の数字で書く

目的は「今いくつで、いつまでにいくつにしたいか」の形で書きます。数字があると、制作会社は必要な施策と費用を逆算でき、公開後に成果を判断する基準にもなります。

悪い書き方 良い書き方
問い合わせを増やしたい サイト経由の問い合わせが月2件。公開後1年で月6件にしたい
採用を強化したい 自社サイト経由の応募が年3件。来年度は年12件にしたい
ブランドイメージを上げたい 営業の商談で、サイトを見せて説明に使える状態にしたい

今の数字が分からない場合は、「分からない」と書きます。そのうえで、公開時に計測を整えることを提案の範囲に含めてもらいます。数字が無いまま作ると、公開後に良くなったのかどうかが誰にも判断できません。計測の整え方はGA4とGTMの計測設定で扱っています。

予算は伏せずに、幅で伝える

予算を伏せると、提案の規模が各社でばらばらになり、比べられなくなります。「安く出してくる会社を探したい」という理由で伏せても、最も安い提案は、多くの場合いちばん範囲が狭い提案です。

伝えるのは幅です。「初期費用150万〜200万円、保守は月2万円まで」のように、初期と月額を分けて書きます。上限の出し方は、サイト経由で見込む粗利から逆算します。

項目 式(例)
サイト経由の年の粗利の見込み 目標の問い合わせ件数 × 12か月 × 受注率 × 1件あたりの粗利
制作費の上限の目安 年の粗利の見込み × 回収したい年数

仮に目標が月6件、受注率20%、1件あたりの粗利20万円なら、年の粗利の見込みは288万円です(6×12×0.2×20万円)。これは目標を達成した場合の数字なので、上限はその一部に抑えます。この式で出るのは「払ってよい上限」で、相場ではありません。費用の相場と予算の決め方はホームページ制作の費用相場|金額はページ数より「原稿と更新を誰が持つか」で動く。予算は見積もりの前に上限から決めるで扱っています。

評価表は、提案を読む前に作る

RFPでいちばん効くのは、評価表を先に作ることです。提案を読んでから基準を決めると、プレゼンの印象が良かった会社に合わせて基準が動き、社内の説明もつきにくくなります。評価の観点はRFPに書いて各社に伝え、配点は社内だけで持つ形でも構いません。

観点 配点の例 見るところ
課題の理解 25 RFPに書いた課題を、自分の言葉で言い直せているか。書いていない原因の仮説があるか
目標までの道筋 25 数字の目標に対して、何をすれば届くと考えているか
体制と進め方 15 誰が担当し、社内に何を求めるか。原稿と写真の分担が明確か
費用の妥当性 15 揃えた書式で、範囲に対して金額が説明できるか
公開後の運用 10 更新の体制、保守の範囲、改善の進め方
実績 10 同じ業種や、同じ課題を解いた例があるか

配点は例で、会社の状況で変えます。デザイン案の出来は、配点に入れないか、入れても小さくします。提案の段階のデザイン案は、ヒアリングを経ていない仮のもので、良し悪しを決めるには情報が足りません。デザイン案を求めると制作会社の負担が大きく、提案を辞退する会社も出ます。

評価は1人で決めず、決める人を含む2〜3人で別々に点を付けてから突き合わせます。点が大きく割れた観点は、何を見たかの違いなので、そこを話し合います。

見積もりの書式を揃える

見積もりは、工程ごとの行を発注側で指定して出してもらいます。書式を各社に任せると、「ディレクション一式」「デザイン一式」のようにまとめられ、総額しか比べられません。

行 含めてもらう内容
企画・設計 ヒアリング、サイトの構成、ページごとの設計図
デザイン トップと下層のデザイン、修正の回数
実装 ページの組み込み、CMSの設定、フォーム
原稿・写真 原稿の作成や整理、撮影、素材の購入
移行 既存ページの移し替え、転送の設定
計測 GA4やSearch Consoleの設定、問い合わせの計測
公開後 保守の月額と含まれる作業、スポットの単価

各行に「含む」「含まない」「別途」を書いてもらうと、範囲の違いが一目で分かります。同じ総額でも、原稿と写真を含むかどうかで別の買い物になります。見積書の読み方はWeb制作の見積書の読み方|同じ金額が別の買い物になる理由で、保守の月額の比べ方はホームページ保守費用の相場|月額を比べる前に、止まったら1か月で失う粗利から上限を出し、月額に含まれない作業まで含めた5年総額で判断するで扱っています。

現行サイトの資料は、数字まで渡す

リニューアルのRFPでは、現行サイトの数字を渡すほど提案が具体的になります。数字が無いと、各社は外から見える情報だけで提案を作ります。

渡すもの 渡し方 注意
ページの一覧 URLの一覧、またはサイトマップ 移す・捨てるの判断の材料になる
アクセスの数字 GA4の主なページの閲覧数と、問い合わせの件数を表で 管理画面の権限は、契約前には渡さない
検索の数字 Search Consoleの主な検索語と表示回数 流入のあるページを消すと、検索の流入が落ちる
使っている外部サービス フォーム、予約、チャット、地図など 移行で止まるものがないか
サーバー・ドメインの契約 契約先と名義 名義が前の制作会社のままだと移行が止まる

管理画面の権限は、契約前の会社に渡す必要はありません。数字を表にして渡せば足ります。契約したら、閲覧の権限から渡します。秘密にしたい数字がある場合は、RFPと一緒に秘密保持の約束を交わしてから渡します。

検索の流入があるページを移すときの扱いはサイト移行のリダイレクト設計で扱っています。

声をかける社数と日程

声をかけるのは3〜4社が目安です。多いほど良い提案が見つかるわけではなく、提案を読んで比べる社内の時間が増えます。1社の提案に向き合うには、読む時間とプレゼンの時間で数時間かかります。

段階 期間の目安 やること
RFPの送付 — 締切と質問の受け付け方を書いて送る
質問の受け付け 送付から1週間 質問と回答は全社に同じ内容で共有する
提案の締切 送付から2〜3週間 短すぎると、使い回しの提案が増える
プレゼン 締切から1週間以内 担当者本人に話してもらう
決定と連絡 プレゼンから1〜2週間 選ばなかった会社にも理由を短く伝える

質問と回答を全社に共有するのは、条件を揃えるためです。1社だけが知っている条件があると、その会社の提案だけが的確になり、比べたことになりません。

提案は多くの場合、無償で作られます。そのため、最初から決めている会社がある場合に、比較のためだけに他社へRFPを出すのは避けます。選ばなかった会社に理由を伝えておくと、次に相談するときの関係が残ります。

権利・保守・契約の条件も、RFPに書いておく

選んだ後に揉めやすい条件は、RFPの段階で書いておくと、提案の金額に織り込まれます。契約の段階で持ち出すと、条件を足すたびに金額が上がります。

条件 書いておくこと
著作権と素材 納品物の著作権をどうするか。写真やイラストの使える範囲
サーバー・ドメイン 自社名義で契約すること
CMSの権限 管理者の権限を自社が持つこと
公開後の保守 月額に含める作業と、スポットの単価を見積もりに出すこと
再委託 制作の一部を外部に出す場合は、事前に知らせること

著作権の扱いはホームページの著作権は誰のものかで扱っています。個人のデザイナーやエンジニアにも提案を求める場合、発注する会社にはフリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月1日施行)の義務がかかり、業務の内容、報酬の額、支払期日などを書面やメールで示します(出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法 Q&A」)。個人と会社の違いはフリーランスと制作会社、依頼するならどちらか|費用差の正体と発注側に生じる義務で扱っています。

RFPを書くべき会社と、書かなくてよい会社

状況 判断 理由
リニューアルで、何を変えるべきかから相談したい RFPを書く 解き方を比べる価値がある
社内で決める人が複数いる RFPを書く 比べた根拠を社内で説明できる
補助金や社内の稟議で、相見積もりが求められている RFPを書く 条件を揃えないと、比べたことにならない
作るものが決まっていて、金額だけ比べたい 見積もり依頼で足りる 提案を求めても差が出ない
依頼したい会社が1社に決まっている RFPは要らない。要望書として同じ項目を渡す 比べないなら、評価表は不要

依頼する会社が1社でも、RFPの項目(課題、目標の数字、予算、日程、分担)を文書にして渡す価値はあります。打ち合わせの回数が減り、認識のずれが記録で残ります。

よくある失敗

ページ構成まで指定して、提案の差が無くなる

ページ構成やデザインを細かく指定すると、各社は指定どおりに見積もるだけになります。困っていることと目標の数字を書き、解き方は提案で比べます。

提案を読んでから評価の基準を決める

プレゼンの印象で基準が動き、社内でなぜその会社を選んだのか説明できなくなります。評価表は提案を読む前に作ります。

見積もりの書式を各社に任せる

「一式」でまとめられた見積もりは、範囲の違いが見えません。工程ごとの行を指定して、含む・含まないを書いてもらいます。

提案にデザイン案を求める

ヒアリング前のデザイン案は仮のもので、判断の材料になりません。制作会社の負担も大きく、良い会社ほど辞退することがあります。

原稿と写真の分担を書かない

公開が遅れる原因で多いのは、社内の原稿と写真の遅れです。誰が用意するかを書き、制作会社に任せるなら見積もりの行に含めてもらいます。

よくある質問

RFPのテンプレートはありますか

項目の例は上の表のとおりです。テンプレートの空欄を埋めるより、評価表と見積もりの書式を先に決めるほうが、比べられる提案が集まります。分量はA4で3〜6枚程度に収まることが多いです。

予算を書くと、上限いっぱいの見積もりが来ませんか

来ることはあります。ただし、見積もりの書式を揃えていれば、上限いっぱいの見積もりが何に使われているかを比べられます。予算を伏せると、範囲がばらばらの提案が来て、比べられなくなります。

提案は有償にすべきですか

ホームページ制作では、提案は無償で行われることが多いです。デザイン案まで求める場合や、調査を伴う提案を求める場合は、有償にするか、求める範囲を絞ります。

RFPを自社で書く時間がありません

課題、目標の数字、予算の幅、公開したい時期、分担の5つだけでも文書にして渡すと、提案の精度は上がります。評価の観点と見積もりの書式を添えれば、比べられる形になります。

まとめ

ホームページ制作のRFPは、各社の提案を同じ物差しで比べるための文書です。項目を多く埋めることが目的ではありません。

書くのは、会社と事業の概要、今のサイトの課題、目的と目標の数字、対象と範囲、予算と日程、体制と分担、提案に含めてほしいものです。ページ構成・デザイン・使う技術は指定せず、困っていることを書き、解き方は提案で比べます。

効くのは、評価表を提案の前に作ることと、見積もりの書式を揃えることです。予算は伏せずに幅で伝え、権利と保守の条件もRFPの段階で書いておきます。

企業サイトの制作とリニューアルはWEB制作・ホームページ制作で、公開後の集客の改善はWEBマーケティング・広告運用で承っています。これまでの制作物は制作実績、会社紹介資料は資料ダウンロードから、RFPの段階からのご相談もお問い合わせからご連絡ください。

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