デジタルマーケティング

KNOWLEDGE

不動産店舗の集客戦略|賃貸と売買で設計を分けるWeb広告の使い方

  • #デジタルマーケティング

SHARE

不動産仲介の集客は、賃貸と売買を同じ設計で考えると成立しません。賃貸は検討期間が短く単価も低い代わりに件数が多く、売買は検討期間が長く単価が高い代わりに件数が少なくなります。必要な媒体も、社内で用意すべき情報もまったく違います。

もうひとつの構造的な課題が、ポータルサイトへの依存です。物件情報で比較される限り、掲載順位と掲載数で決まります。同じ物件を扱う他社と並んだとき、選ばれる理由が物件以外にない状態では、掲載費を上げ続けることになります。

この記事では、賃貸と売買それぞれの設計、ポータル依存を下げる順序、売却査定の獲得、反響から来店までの歩留まりを整理します。

この記事でわかること

・賃貸と売買は別の事業として設計する

・ポータル依存を下げるには自社への直接流入が必要

・売却査定は検討期間が長い前提で設計する

・反響から来店までの歩留まりを分けて見る

・物件ではなく会社で選ばれる状態を作る

・成果は反響数ではなく成約単価と粗利で測る

賃貸と売買は別の事業として設計する

同じ不動産業でも、この2つは集客の構造がまったく違います。

賃貸 売買(購入) 売買(売却)
検討期間 数日から数週間 数か月から1年 数か月
1件あたり粗利 小さい 大きい 大きい
主な入口 ポータル、地図 ポータル、検索 検索、地域での認知
決め手 物件条件と対応の速さ 物件と担当者 査定額と信頼
再取引 更新、住み替え 少ない 少ない

賃貸は対応の速さが成約率を左右し、売買は判断材料の量が成約率を左右します。この違いを踏まえずに同じ広告を出すと、どちらも中途半端になります。

特に売却の獲得は、他の2つと性質が違います。物件を探す人ではなく、資産の判断をしたい人が対象になるためです。

賃貸は速さ、売買は判断材料の量で決まる。

売却の獲得は、物件探しとは別の設計が必要。

ポータル依存を下げる順序

ポータルサイトは反響の主要な入口ですが、物件情報だけで比較される場では、掲載費の競争から抜けられません。依存を下げるには段階が必要です。

  1. 自社サイトで、物件検索が問題なく使える状態にする
  2. 地図表示を整え、店舗名や地域名での流入を作る
  3. ポータル経由と自社経由の成約率を分けて集計する
  4. 自社経由の比率が上がった分だけ、掲載プランを見直す

順序を逆にして先に掲載を減らすと、反響が落ちます。自社への流入が増えたことを数字で確認してから、掲載を調整してください。依存度の測り方は口コミ・予約ポータルサイトは使い続けるべきか|費用の測り方と依存度の下げ方で整理しています。

自社流入を増やしてから、掲載を調整する。

先に掲載を減らすと反響が落ちる。

売却査定は検討期間が長い前提で設計する

売却を検討する人は、すぐに売ると決めているわけではありません。相場を知りたい段階から接触が始まります。

段階 知りたいこと 提供すべき情報
情報収集 だいたいの相場 地域の取引事例の傾向
検討開始 売却の流れと期間 手続きの全体像と所要期間
比較 どの会社に任せるか 販売方法と手数料の考え方
決定 いくらで売れるか 根拠のある査定

査定の申込だけを求める広告は、この長い検討期間の最後の一点しか捉えていません。相場を調べる段階から接触できる情報を用意するほうが、結果的な獲得数は増えます。

また、査定額を高く出して受任し、後から下げる進め方は、口コミと紹介の両方を損ないます。この業種では地域での評判が次の依頼に直結します。

査定申込だけを狙うと、検討期間の最後しか捉えられない。

高い査定で受任して後から下げる進め方は、評判を損なう。

反響から来店までの歩留まりを分けて見る

反響数が増えても来店が増えないことがあります。段階を分けて確認してください。

段階 見る数字 落ちる原因
表示から反響 反響率 物件情報の不足、写真の質
反響から連絡到達 接触率 折り返しが遅い
連絡から来店 来店率 提案物件が条件に合わない
来店から成約 成約率 内見の組み方、条件のすり合わせ

賃貸では、反響から連絡到達までの時間が成約率に強く影響します。他社も同じ物件を扱っているため、先に接触したほうが有利になります。反響対応の体制は広告設定より優先度が高い場合があります。

問い合わせ後の管理は問い合わせ後の歩留まりを改善する|リード管理の始め方を参照してください。

賃貸では、折り返しの速さが成約率を左右する。

反響数を増やす前に、対応体制を確認する。

物件ではなく会社で選ばれる状態を作る

同じ物件を複数社が扱う構造では、物件以外の判断材料がないと、価格と掲載順位だけで比較されます。

  • 対応エリアと得意な物件種別を具体的に書く
  • 担当者の情報を、経歴ではなく対応範囲で示す
  • 初回問い合わせから成約までの流れと期間を明示する
  • 手数料の考え方と、追加費用の発生条件を書く
  • 地域の情報を、住む人の視点で継続的に発信する

地域情報の発信は、この業種で有効性が高い施策です。物件を探す人は同時に地域を調べており、その段階で接触できます。ただし物件紹介に終始する内容では読まれません。

会社としての信頼の示し方は会社案内サイトで信頼感を作る方法|見た目より先に埋めるべき情報が参考になります。

物件以外の判断材料がないと、価格と順位で比較される。

地域情報の発信は、検討の早い段階で接触できる。

媒体ごとの役割

取り扱いによって、使う媒体の優先度が変わります。

媒体 賃貸 購入 売却
ポータルサイト 主力 主力 補助
自社サイト 受け皿 受け皿と判断材料 主力
検索広告 補助 補助 主力
地図表示 重要 重要 重要
地域情報の発信 補助 有効 有効

売却の獲得は、ポータルではなく検索と地域での認知が中心になります。物件を探す場ではないためです。エリア設定は営業範囲に合わせてください。設定はGoogle広告の地域ターゲティング設定方法|商圏に絞った集客のコツを参照してください。

売却の獲得は、ポータル以外の導線が中心になる。

地図表示は、どの取引でも重要になる。

成果は反響数ではなく粗利で測る

反響数を目標にすると、成約につながらない反響が増えます。

見る指標 分かること 頻度
取引種別ごとの成約数 事業の構成 毎月
1件あたり粗利 収益性 四半期
反響から成約までの率 対応と提案の状態 毎月
自社経由の比率 ポータル依存度 四半期
成約1件あたり広告費 広告の効率 毎月

賃貸と売買を混ぜて平均を取ると、判断を誤ります。1件あたりの粗利が大きく違うためです。取引種別ごとに分けて集計してください。指標の考え方は広告のCPA目安はどう決めるか|業種別平均が使えない理由を参照してください。

取引種別を混ぜて平均を取らない。

反響数ではなく、種別ごとの粗利で判断する。

業種ではなく軸で選ぶ

同じ業種でも、業態が違えば有効なチャネルは変わります。自社がどの型に当てはまるかを判断したい場合は、自社の業種に合う集客チャネルの決め方を参照してください。

よくある失敗

賃貸と売買を同じ広告設計にする

検討期間も単価も決め手も違います。どちらも中途半端になります。

自社流入を作る前に掲載を減らす

反響が落ちるだけになります。自社経由が増えたことを確認してから調整してください。

査定申込だけを狙う

検討期間の最後しか捉えられません。相場を調べる段階から接触できる情報を用意してください。

反響対応の体制を整えずに広告を増やす

特に賃貸では折り返しの速さが成約率を左右します。反響を増やしても取りこぼします。

物件情報だけで差をつけようとする

同じ物件を複数社が扱う構造では、価格と掲載順位の競争になります。会社としての判断材料が必要です。

よくある質問

ポータルサイトはやめられますか

完全に外すのは現実的ではありません。特に賃貸では物件探しの起点になっています。目標は依存度を下げることであり、自社経由の比率を上げながら掲載プランを調整する形になります。

売却査定の広告は費用対効果が合いますか

1件あたりの粗利が大きいため、成約率が確保できれば成立します。ただし査定申込のうち実際に売却へ進む比率は高くありません。申込単価ではなく、成約1件あたりの費用で判断してください。

地域情報の発信は効果がありますか

検討の早い段階で接触できるため有効です。ただし物件紹介に終始すると読まれません。住む人の視点で、生活に関わる情報を扱ってください。効果が出るまでには時間がかかります。

担当者の顔を出すべきですか

売買では判断材料になります。高額かつ長期の取引であり、誰が担当するかが検討要素になるためです。賃貸では優先度が下がります。

口コミは集めるべきですか

地図表示からの流入に影響します。ただし取引内容が特定される記載は避けるよう配慮が必要です。対応の姿勢に関する内容にとどめる依頼が現実的です。

まとめ

不動産仲介の集客では、賃貸と売買を別の事業として設計してください。賃貸は検討期間が短く、反響への折り返しの速さが成約率を左右します。売買は検討期間が長く、判断材料の量が成約率を左右します。同じ広告設計にすると、どちらも中途半端になります。特に売却の獲得は、物件を探す人ではなく資産の判断をしたい人が対象であり、ポータル以外の導線が中心になります。

この業種の構造的な課題は、ポータルサイトへの依存です。同じ物件を複数社が扱う場で比較される限り、掲載順位と掲載費の競争から抜けられません。ただし依存を下げる順序を間違えると反響が落ちます。まず自社サイトと地図表示を整えて自社経由の流入を作り、その比率が上がったことを数字で確認してから掲載を調整してください。

物件以外の判断材料を用意することが、価格競争から離れる唯一の方法です。対応エリアと得意な物件種別、成約までの流れと期間、手数料の考え方。これらを具体的に示すことで、物件が同じでも選ばれる理由が生まれます。評価する数字は反響数ではなく、取引種別ごとの粗利です。

当社ではホームページ制作において、物件検索を含めた自社サイトの設計をご相談いただけます。集客全体の整理はお問い合わせよりご連絡ください。

SHARE