広告を複数の媒体で出していると、月末に「Google広告の管理画面では12件、Meta広告では9件、GA4では8件、フォームの受信は10件」のような数字が並びます。どれが正しいのかを代理店に聞くと、「アトリビューションの違いです」と返ってきます。この答えは正しいのですが、そこで理解が止まると、モデルを変えれば件数が増える、あるいは合う数字がどこかにある、という誤解が残ります。
アトリビューションは、複数の広告に触れてから問い合わせた1件を、どの広告の成果として数えるかを決める規則です。件数を配り直す規則であって、件数を増やす仕組みではありません。そして、かつて教科書に並んでいたファーストクリック、線形、減衰、接点ベースの4つのモデルは、Google広告とGA4では2023年にサポートが終了しています。いま選べるのはデータドリブンとラストクリックの2つで、モデル選びに時間を使う場面はほとんど残っていません。
代わりに実務で起きているのは、媒体ごとに別の件数が出て、足すと実件数を超える問題です。これは間違いではなく、媒体ごとに数えている接点と計測期間が違うためです。この記事では、アトリビューションで件数が増えない理由、選べるモデルが2つに減った経緯、データドリブンで変わるのが配分と入札である点、媒体ごとに数字が合わない構造、設定を変えると遡って変わるものと以後だけ変わるもの、実件数の正を1つ決める運用、アトリビューションでは分からない増分の測り方、設定を変えるべき会社とそのままでよい会社を整理します。
この記事でわかること
・アトリビューションは、1件の問い合わせを「どの広告の成果にするか」を決める規則。件数を配り直すだけで、合計は増えない
・Google広告とGA4で選べるモデルは、データドリブンとラストクリックの2つ。ファーストクリック・線形・減衰・接点ベースは2023年にサポートが終了した。この4つを並べて選ばせる記事は、いまの管理画面と合っていない
・データドリブンで変わるのは、キャンペーンやキーワードの間の配分と、その配分を使う自動入札。Googleは30日間に200件以上のコンバージョンと2,000回以上の広告インタラクションを推奨しているが、それより少なくても使える
・媒体ごとに数字が合わないのは、既定の計測期間と接点が違うため。Google広告はクリック後30日、Meta広告はクリック後7日と表示後1日、GA4はクリックのみで最大90日。同じ1件を複数の媒体が自分の成果にする
・GA4のレポート用モデルを変えると、過去のデータも変わる。ルックバックウィンドウとGoogle広告の計測期間の変更は、変更後の分にしか効かない。比較の途中で変えると前後が繋がらなくなる
・実務で先に決めるのは、実件数の正を1つにすること。フォームの受信数を正とし、媒体の数字は配信の学習に使い、足さない
・アトリビューションは「広告が無くても起きた問い合わせ」を区別できない。増分は止めて測るしかなく、これは別の作業

アトリビューションで決まるのは「どの広告の成果にするか」で、件数は増えない
最初に結論を示します。アトリビューションとは、1件の問い合わせに至るまでに触れた複数の広告のうち、どれに、どれだけの貢献を割り当てるかの規則です。ディスプレイ広告を見て、翌週に検索広告をクリックして問い合わせた人がいたとき、成果を検索広告に100%付けるのがラストクリック、実績から計算した割合で2つに分けるのがデータドリブンです。
この定義から出てくる帰結が1つあります。モデルを変えても、問い合わせの合計は変わりません。変わるのは、キャンペーンやキーワードごとの内訳です。ラストクリックからデータドリブンに変えると、検索広告の指名キーワードに付いていた件数の一部が、ディスプレイや動画や一般キーワードに移ります。合計が同じまま内訳が動くので、「データドリブンにしたら件数が増えた」と見える場合は、同時に計測期間や計上の設定を変えたか、別の要因があります。
アトリビューションは、広告運用で決める順序の中では最後のほうに置かれる項目です。目的と指標、媒体、予算、計測の設定が決まってから、内訳の見方として決めます。順序の全体は広告運用は何から決めるか|媒体選定から評価までの順序と、飛ばすと起きることで扱っています。この記事は、その順序の中で「媒体ごとの数字が合わない」「モデルはどれにすべきか」と聞かれたときの判断を扱います。
選べるモデルは2つに減った|4つのモデルは2023年にサポートが終了している
アトリビューションの解説記事には、いまも5つや7つのモデルが並んでいます。しかしGoogle広告のヘルプは、「ファースト クリック」、「線形」、「減衰」、「接点ベース」のアトリビューション モデルのサポートは終了したと明記し、これらを使っていたコンバージョン アクションはデータドリブンに切り替えられたと書いています。GA4のヘルプも同じ4つを挙げて、2023年11月をもって利用できなくなったとしています。
| モデル | 何をするか | Google広告 | GA4 |
|---|---|---|---|
| データドリブン | アカウントの実績から、各接点の貢献度を計算して配る | 選べる。ほとんどのコンバージョン アクションの既定 | 選べる |
| ラストクリック | 最後にクリックした広告とキーワードに全部付ける | 選べる | 「有料およびオーガニックのラストクリック」と「Google の有料チャネル(ラストクリック)」の2種類 |
| ファーストクリック | 最初の接点に全部付ける | 終了 | 2023年11月に終了 |
| 線形 | 全接点に均等に配る | 終了 | 2023年11月に終了 |
| 減衰 | 問い合わせに近い接点ほど多く配る | 終了 | 2023年11月に終了 |
| 接点ベース | 最初と最後に40%ずつ、残りを中間に配る | 終了 | 2023年11月に終了 |
GA4のラストクリックが2種類ある点は、後の章の「数字が合わない理由」に直結します。「有料およびオーガニックのラストクリック」は、自然検索や直接アクセスも含めて最後のクリックに付けます。「Google の有料チャネル(ラストクリック)」は、経路の中にGoogle広告のクリックがあればそこに付け、無ければ有料およびオーガニックのラストクリックに戻ります。同じGA4でも、この2つで内訳は変わります。
つまり実務で選ぶのは、データドリブンかラストクリックかの二択です。4つのモデルの長所と短所を比較する時間は、いまの管理画面では使い道がありません。Meta広告も、モデルではなく計測期間(アトリビューション設定)を選ぶ形で、モデルの一覧から選ぶ画面はありません。
データドリブンとラストクリックで、何が変わるか|変わるのは配分と、その配分を使う入札
Google広告のヘルプによると、データドリブンは、コンバージョンに至ったユーザーと至らなかったユーザーの経路を比較して、コンバージョンに至るパターンを識別し、各広告インタラクションの実際の貢献度を計算します。推奨されているデータ量は、30日間にサポート対象ネットワークで200件以上のコンバージョンと2,000回以上の広告インタラクションです。ただしそれより少なくても機能し、データが多いほど精度が上がるとされています。対象は検索(ショッピングを含む)、YouTube、ディスプレイ、デマンド ジェネレーションの広告です。
変わるものは2つあります。1つはレポートの内訳です。データドリブンでは1件の貢献度が複数の接点に分かれるため、コンバージョン列に0.33や0.50のような小数が出ます。これは異常ではなく、配分の結果です。
もう1つが本体で、入札への影響です。Google広告のヘルプは、選択したアトリビューションの設定が、コンバージョン列のデータを使用するすべての入札戦略にも影響を与えると書いています。ラストクリックのままだと、指名キーワードと問い合わせ直前の検索語句に成果が集まり、自動入札はそこに予算を寄せます。データドリブンにすると、前段のディスプレイや一般キーワードにも貢献が付き、入札がそこにも回ります。だからモデルの選択は、レポートの見え方ではなく、自動入札に渡す学習データの選択です。自動入札の選び方と、機能しない条件は自動入札の選び方と切り替えるタイミング|機能しない条件も解説で扱っています。
変更の効き方には注意が要ります。Google広告でモデルを変えると、それ以降のコンバージョン列とすべてのコンバージョン列のカウント方法だけが変わります。過去のデータは遡って配り直されません。前月と今月を比べる途中で変えると、内訳の前後が繋がらなくなります。
媒体ごとに数字が合わない理由|見ている接点と計測期間が違う
冒頭の「Google広告12件、Meta広告9件、GA4で8件、フォーム受信10件」が起きる構造を、既定の設定で整理します。各媒体は自分の広告への接触だけを見て、自分の計測期間の中で起きた問い合わせを自分の成果にします。他の媒体が同じ人に何をしたかは見えません。
| 数字の出どころ | 既定で数える接点と期間 | 他と合わない理由 |
|---|---|---|
| Google広告 | クリック後30日以内。表示のみ(ビュースルー)は1日以内、エンゲージ ビューは3日以内で、別の列に出る | コンバージョン列にはクリック経由だけが入る。ビュースルーは「ビュースルー コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列にだけ入る。計測期間は1〜90日で変えられる |
| Meta広告 | 広告マネージャの既定は、クリック後7日以内と、表示後1日以内の合算 | クリックしていない人の問い合わせも成果に入る。その人はGA4では自然検索や直接アクセスとして記録される |
| GA4 | クリック(サイトへの流入)のみ。キーイベントのルックバック ウィンドウは既定で90日 | 表示だけの接触は見えない。自然検索、直接アクセス、メールも同じ土俵で最後のクリックに付けるため、広告の件数は媒体より少なく出る |
| フォームの受信数 | 受信した件数そのもの | 1件は1件。ここだけが接点や期間に依存しない。テスト送信とスパムを除いた数が実件数になる |
この表から、冒頭の数字は次のように読めます。Meta広告の9件のうち、クリックせずに表示だけで問い合わせた人が数件含まれ、その人はGA4では別の流入元に付いています。Google広告の12件のうち、Meta広告を見てから検索広告をクリックした人が数件含まれ、Meta側でも自分の成果にしています。だから足すと実件数の10件を超え、どれか1つが正しいわけでもありません。それぞれが「自分の接点から見た件数」として正しく、用途が違います。
GA4とGoogle広告の間には、もう1つ設定があります。GA4のキーイベントをGoogle広告にインポートする場合、貢献度を割り当てるチャネルを選ぶ形になっていて、2023年6月以降に初めてリンクしたプロパティの既定は「Google の有料チャネル」です。この経路では、ビュースルー コンバージョンは表示されません。GA4経由の数字とGoogle広告のタグで直接計測した数字が違うのは、この差によります。
計測環境そのものが変わり、媒体とGA4の差が広がっている事情はCookie規制で広告の計測はどう変わったか|必要な対応と、不要になった対応で扱っています。Meta広告で計測の取りこぼしを補う設定はMetaのコンバージョンAPIは導入すべきか|ピクセルの置き換えではなく併用が前提で、効果は重複排除と送る情報の中身で決まるで扱っており、補った分は媒体の件数を増やしますが、実件数は変わりません。
設定を変えると何が起きるか|遡って変わるものと、以後だけ変わるもの
アトリビューションに関わる設定は、変更が過去のデータに及ぶものと、変更後の分にしか効かないものが混ざっています。これを知らずに月の途中で変えると、前月比が作れなくなります。
| 設定 | どこにあるか | 変更の効き方 | 影響する範囲 |
|---|---|---|---|
| GA4のレポート用アトリビューション モデル | GA4の管理 > アトリビューション設定 | 過去と将来のデータに適用される | 参照元、メディア、キャンペーン、デフォルト チャネル グループなど、イベント スコープのトラフィック ディメンションを使うキーイベントのレポートと探索 |
| GA4のルックバック ウィンドウ | 同上 | 変更後に発生した分から適用される | ユーザー獲得のキーイベント(first_open、first_visit)は既定30日で7日も選べる。それ以外は既定90日で30日・60日も選べる |
| Google広告のアトリビューション モデル | コンバージョン アクションの設定 | 変更後のコンバージョン列とすべてのコンバージョン列から適用される | そのコンバージョン アクションを使う入札戦略にも影響する |
| Google広告のコンバージョン計測期間 | 同上 | 変更後に記録されたコンバージョンから適用される。既に計測期間外になったものは遡って計測されない | 既定はクリック後30日、ビュースルー1日、エンゲージ ビュー3日 |
| Meta広告のアトリビューション設定 | 広告セットの設定 | 既定はクリック後7日と表示後1日。広告マネージャの比較機能で複数の設定を並べて見られる | その広告セットの成果の数え方と、配信の最適化 |
GA4で影響を受けないものも明記されています。セッションの参照元やユーザーの最初のメディアといった、ユーザー スコープとセッション スコープのトラフィック ディメンションには、レポート用モデルを変えても影響が生じません。つまりユーザー獲得レポートは変わらず、トラフィック獲得とキーイベントの内訳が変わります。GA4で最初に見る画面と、そこで見える範囲はGA4レポートの見方|最初に見るべき3画面で扱っています。
実務での結論は単純で、設定を変えるなら月初に変え、いつ何を変えたかを記録し、変更をまたぐ比較はしないことです。GA4のレポート用モデルだけは過去も変わるため、変えても前後の比較はできますが、その代わり「先月報告した内訳」が今月見ると違う数字になります。報告に使った数字は、月次で出力して残しておきます。
中小企業の実務で、モデルより先に決める3つ
ここまでの構造を踏まえると、月に数十件までの問い合わせを扱う会社が先に決めるべきことは、モデルの選択ではありません。次の3つを決めれば、媒体ごとの数字が合わなくても判断は止まりません。
1. 実件数の正を1つにする
フォームの受信数(メールやCRMで受けた件数)を実件数の正にします。テスト送信、スパム、二重送信を除いた数です。媒体の管理画面の件数もGA4のキーイベントも、この数を超えることがあり、超えていても異常ではありません。社内への報告は実件数で行い、媒体別の数字は別の表に置きます。同じ表に並べると、合計を足したくなります。合計が実件数を超える3つの原因と、カウント方法の設定は複数媒体で同じサンクスページを使うときのCV計測|重複と水増しを防ぐ設定で扱っています。
2. 媒体の数字は、その媒体の中の判断にだけ使う
Google広告の管理画面の件数は、Google広告の中でキャンペーンやキーワードのどれを増やすかを決めるための数字です。Meta広告の件数も同じで、広告セットとクリエイティブの比較に使います。媒体をまたいで「Google広告のCPAはMeta広告より安い」と比べるのは、計測期間も接点も違う数字の比較です。比べるなら、実件数を流入元の記録で割り付けた数字か、同じ計測期間に揃えた数字で行います。媒体別CPAを単純比較しない理由と、増分を簡易に確認する方法は複数媒体への広告予算配分の考え方|テスト予算と本予算の分け方で扱っています。
3. 問い合わせに流入元を残す
どの媒体から来た人が問い合わせたかを、媒体の管理画面ではなく、自社の問い合わせデータに残します。フォームの送信時に流入元の情報を引き継いで記録する形です。これがあると、媒体のアトリビューションに依存せず、実件数の側から媒体別の内訳が作れます。さらに成約まで繋げると、CPAではなく受注で媒体を評価できます。流入元を正しく記録するための命名規則はUTMパラメータの設計と命名規則|流入元を正しく計測する方法で扱っています。
代理店のレポートで媒体の件数とGA4の件数の差が説明されないまま並んでいる場合、まずこの3つが決まっているかを確認します。レポートで最低限確認すべき項目は広告レポートの見方|代理店の報告で最低限確認すべき項目で扱っています。
アトリビューションでは分からないこと|増分は別に測る
アトリビューションをどう設定しても、分からないことが1つ残ります。その問い合わせが、広告が無くても起きていたかどうかです。自社名で検索して指名キーワードの広告をクリックした人は、広告が無ければ自然検索の結果をクリックしていた可能性があります。ラストクリックでもデータドリブンでも、この人の問い合わせは広告の成果として数えられます。
これを区別するには、止めて測るしかありません。広告を出した期間と止めた期間で、広告と自然検索の合計クリックと問い合わせを比べ、戻る分を見ます。止めたときに戻る割合は会社によって大きく違い、指名広告の実験では自然検索がほぼ全てを代替した例と、3割弱しか戻らなかった例の両方があります。自社の戻る分を2週間で測る手順は自社名の指名検索に広告を出すべきか|止めても自然検索で戻る分を測ってから決めるで扱っています。
アトリビューションは「広告に触れた人の中で、どの広告に成果を付けるか」を決めるもので、増分は「広告が無い場合と比べて何件増えたか」を測るものです。前者は設定、後者は実験で、片方がもう片方の代わりにはなりません。データドリブンに変えて内訳が動いたことを、広告の効果が上がった証拠として読まないようにします。
モデルや設定を変えたほうがよい会社と、そのままでよい会社
ここまでの条件を判断の形にまとめます。
設定を見直したほうがよい会社
- 複数の媒体を同時に運用していて、媒体をまたぐ接触が起きている。ディスプレイや動画で認知を取り、検索で刈り取る構成なら、ラストクリックは検索に偏る。データドリブンに変えると入札の配分も変わる
- Google広告で月に数十件以上のコンバージョンがあり、自動入札を使っている。推奨されるデータ量に近く、データドリブンの配分が入札に反映される
- 検討期間が長い商材で、クリックから問い合わせまで30日を超えることがある。Google広告の計測期間を延ばさないと、期間外の問い合わせが数えられない。GA4のルックバック ウィンドウも同じ
- Meta広告の件数がGA4やフォーム受信より大きく出ていて、理由を説明できていない。表示後1日の分を比較機能で分けて見る。ビュースルーを成果に含めるかを決める
- 報告の数字が月によって変わり、いつ何を変えたか分からない。設定の変更日を記録し、月初に変える運用に切り替える
そのままでよい会社
- 媒体が1つで、検索広告だけを出している。接点が1つなら配分の問題は起きない。見るべきは計測期間と実件数の突き合わせだけ
- 問い合わせが月に数件で、自動入札が学習に使える件数に届いていない。データドリブンに変えても、配分の精度より件数の少なさが効く。先に実件数の正と流入元の記録を整える
- 実件数の正が決まっていて、媒体の数字を足していない。数字が合わないこと自体は問題ではない。合わない理由を説明できていれば、設定を変える必要はない
- 比較の途中にある。前月比や施策の前後比較をしている期間は、設定を変えない。変えるなら比較が終わった月初
設定を確認する順序|実件数、計測期間、モデル、記録
確認すると決めた場合の順序です。順序を守る理由は、モデルの選択を最後に回し、先に「何を1件と数えるか」と「いつまで数えるか」を固めるためです。先にモデルを触ると、内訳が動いた理由が設定の変更なのか実際の変化なのか分からなくなります。
1. 実件数の正を決め、媒体とGA4の差を説明できる状態にする
フォームの受信数を正とし、Google広告、Meta広告、GA4の件数との差が、計測期間と接点の違いで説明できるかを確認します。説明できない差は、タグの重複やテスト送信の混入で、アトリビューションより先に直す問題です。
2. 計測期間を商材の検討期間に合わせる
クリックから問い合わせまでに通常かかる日数を、問い合わせデータから見ます。30日を超えることがあるなら、Google広告の計測期間とGA4のルックバック ウィンドウを延ばします。変更は以後の分にしか効かないため、月初に行います。
3. ビュースルーを成果に含めるかを決める
Google広告では別の列に出るため、コンバージョン列だけ見ていれば混ざりません。Meta広告は既定で含まれるため、比較機能でクリック後7日だけの数字を並べ、表示後1日の分がどれだけあるかを見ます。含めるなら、その分はGA4やフォーム受信には現れないことを報告に書きます。
4. モデルはデータドリブンを既定とし、変えるなら理由を書く
Google広告の既定はデータドリブンです。ラストクリックに戻す理由があるとすれば、件数が少なく配分が安定しない場合と、指名と一般を分けて評価したい場合です。いずれも「なぜ変えたか」を記録に残します。GA4のレポート用モデルは過去も変わるため、報告に使った数字は変更前に出力しておきます。
5. 変更日を記録し、変更をまたぐ比較をしない
設定の変更日と内容を1枚にまとめ、レポートの前月比を見るときに参照します。変更をまたぐ比較は、内訳では行わず、実件数でだけ行います。
計測全体の設定
個別の計測は、全体の実装が動いていることが前提になります。設定の全体像は店舗ビジネスのためのGA4×GTM計測設定ガイドを参照してください。
よくある失敗
媒体別の件数を足して、全体のCPAを出す
同じ1件を複数の媒体が自分の成果にするため、合計は実件数を超えます。全体のCPAは、広告費の合計をフォームの受信数で割って出します。
データドリブンに変えたら件数が増えたと報告する
アトリビューションは配分の規則で、合計は変わりません。増えて見えるなら、計測期間か計上の設定を同時に変えたか、別の要因です。内訳が動いたことと、効果が上がったことは別です。
4つのモデルを比較して選ぼうとする
ファーストクリック、線形、減衰、接点ベースは、Google広告とGA4では2023年にサポートが終了しています。選べるのはデータドリブンとラストクリックの2つで、比較に時間を使っても管理画面に反映できません。
月の途中で設定を変える
Google広告のモデルと計測期間、GA4のルックバック ウィンドウは、変更後の分にしか効きません。前月比の途中で変えると、前後が繋がらなくなります。変えるなら月初にし、変更日を記録します。
GA4のレポート用モデルを変えて、過去の報告と数字が違うと騒ぐ
GA4のレポート用モデルは、過去と将来のデータに適用されます。先月の報告と今月見た数字が違うのは、この仕様です。報告に使った数字は出力して残します。
Meta広告のビュースルーをGA4で探す
クリックしていない人の問い合わせは、GA4では自然検索や直接アクセスとして記録されます。GA4にMeta広告の件数が出ないのは、計測の失敗ではなく接点の違いです。
アトリビューションの設定で、広告の増分を判断する
どのモデルでも、広告が無くても起きた問い合わせは区別できません。増分は、止めた期間と出した期間を比べて測ります。設定ではなく実験です。
よくある質問
アトリビューションモデルはどれを選べばよいですか
Google広告とGA4で選べるのは、データドリブンとラストクリックの2つです。Google広告の既定はデータドリブンで、ほとんどの場合はそのままにします。ラストクリックに戻すのは、件数が少なく配分が安定しない場合と、指名と一般を分けて評価したい場合です。
データドリブンに必要なデータ量はどのくらいですか
Google広告のヘルプは、30日間に200件以上のコンバージョンと2,000回以上の広告インタラクションを推奨しています。ただしそれより少なくても機能し、データが多いほど精度が上がるとされています。届かない場合はラストクリックも選べます。
Google広告とGA4とMeta広告で件数が違います。どれが正しいですか
どれも自分の接点と計測期間から見た件数として正しく、実件数はフォームの受信数です。Google広告はクリック後30日、Meta広告はクリック後7日と表示後1日、GA4はクリックのみで最大90日を既定にしています。差が説明できていれば問題ありません。
コンバージョン列に小数が出ます。壊れていますか
壊れていません。データドリブンでは1件の貢献度が複数の接点に分かれるため、0.33や0.50のような小数が出ます。合計すれば整数に近づきます。
設定を変えたら、過去のデータも変わりますか
GA4のレポート用アトリビューション モデルは、過去と将来のデータに適用されます。GA4のルックバック ウィンドウ、Google広告のモデル、Google広告の計測期間は、変更後の分にしか効きません。
ビュースルーコンバージョンは成果に含めるべきですか
Google広告では別の列に出るため、コンバージョン列だけを見れば混ざりません。Meta広告は既定で含まれます。含めるなら、その分はGA4やフォーム受信には現れないことを前提に報告します。表示だけの接触にどれだけ意味があるかは、止めて測らないと分かりません。
アトリビューション分析のツールを入れるべきですか
月に数十件までの問い合わせなら、実件数の正を決め、問い合わせに流入元を残すほうが先です。それでも媒体をまたぐ評価ができないと判断できるようになってから、ツールを検討します。ツールを入れても、広告が無くても起きた問い合わせは区別できません。
まとめ
広告のアトリビューションは、1件の問い合わせをどの広告の成果にするかを決める規則で、件数を配り直すだけで合計は増えません。選べるモデルは、Google広告とGA4ではデータドリブンとラストクリックの2つに減り、ファーストクリック、線形、減衰、接点ベースは2023年にサポートが終了しています。
データドリブンで変わるのは、キャンペーンやキーワードの間の配分と、その配分を使う自動入札です。媒体ごとに数字が合わないのは、Google広告がクリック後30日、Meta広告がクリック後7日と表示後1日、GA4がクリックのみで最大90日と、既定の接点と計測期間が違うためです。足すと実件数を超えますが、それぞれの数字は用途が違い、どれか1つが正しいわけではありません。
設定の変更は、GA4のレポート用モデルだけが過去にも及び、ルックバック ウィンドウとGoogle広告のモデルと計測期間は変更後の分にしか効きません。変えるなら月初にし、変更日を記録し、変更をまたぐ比較は実件数でだけ行います。
中小企業の実務で先に決めるのは、実件数の正を1つにすること、媒体の数字はその媒体の中の判断にだけ使うこと、問い合わせに流入元を残すことの3つです。広告が無くても起きた問い合わせは、どのモデルでも区別できず、止めて測るしかありません。
複数媒体の計測設計から、実件数を正にした報告の形、自動入札に渡す設定までの設計はWEBマーケティング・広告運用で承っています。会社紹介資料は資料ダウンロードから、ご相談はお問い合わせからご連絡ください。