クリエイティブ

KNOWLEDGE

採用パンフレットの作り方|採用サイトと同じことを載せず、渡す場面と読む人で中身を決める

  • #クリエイティブ

SHARE

採用パンフレットを作りたいが、採用サイトと何を変えればよいか分からない。前回の冊子は、説明会で配ったものの、何部が読まれ、応募につながったのかが分からない。採用の相談では、こうした声がよくあります。

採用パンフレットは、採用サイトの内容を紙に移したものではありません。採用サイトは、応募を考えている人が自分から読みに来る場所です。パンフレットは、こちらから手渡すもので、渡した後に誰が読むかは場面によって変わります。学生本人が読むこともあれば、学校の先生や家族が読むこともあります。

この記事では、渡す場面と読む人の決め方、採用サイトとの役割分担、冊子に残す情報と差し込みに分ける情報、募集情報の表示で確かめること、効果の確かめ方を整理します。

この記事でわかること

・採用パンフレットはこちらから手渡すもの。渡す場面で読む人が変わるため、先に場面と読む人を決める

・採用サイトは自分から読みに来る人のもの、パンフレットはまだ比べ始めていない人や、本人以外の人に読まれるもの

・年度で変わる数字や募集要項は、冊子に刷り込まず差し込みに分ける。古い数字が残った冊子を配り続けないため

・募集要項を載せるなら、職業安定法の募集情報の的確な表示の考え方に沿い、求人票・採用サイトと同じ数字にする

・効果は、配った部数と、その後の説明会の予約・応募・採用サイトへの流入で確かめる

採用パンフレットで、デザインの前に決める順序
採用パンフレットで、デザインの前に決める順序

採用パンフレットは、採用サイトと読まれ方が違う

結論として、採用パンフレットは、採用サイトにまだ来ていない人と、応募する本人以外の人に読まれる前提で作ります。

採用サイトに来る人は、求人媒体や検索で会社名を知り、仕事内容や給与を確かめに来ています。必要な情報を自分で探して読むため、情報が多くても困りません。採用サイトに載せる情報の順序は採用サイトに入れるべきコンテンツ|応募につながる情報の順序で扱っています。

一方、パンフレットを受け取る人は、まだその会社を比べる候補に入れていないことが多くあります。合同説明会で受け取った冊子は、他社の冊子と一緒に持ち帰られ、後から開かれるかどうかが決まります。最初の数ページで「自分に関係がある会社か」が分からなければ、それ以上は読まれません。

採用サイト 採用パンフレット
読む人 応募を考えて、自分から調べに来た人 手渡された人。本人のほか、先生や家族が読むこともある
読まれる時点 比べている途中、応募の直前 会社を知った直後、または面接や内定の後
向いている情報 仕事内容、給与、選考、よくある質問など、細かく確かめる情報 どんな会社で、どんな人が働いているかが短く分かる情報
更新 いつでも直せる 刷った後は直せない
次の行動 応募 採用サイトを見る、説明会を予約する、家族と話す

パンフレットだけで応募まで進めようとせず、続きを採用サイトで読めるようにします。紙で全てを説明しようとすると、ページが増え、刷った後に変わる情報まで載せることになります。

先に決めること1:どこで渡すか

渡す場面が決まると、読む人と、読まれる時点が決まります。場面を決めずに「採用に使える1冊」を作ると、説明会では情報が多すぎ、面接の後では物足りない冊子になります。

渡す場面 主に読む人 読まれる時点 先に載せること
合同説明会・就職イベント 学生本人 持ち帰って、他社の冊子と並べて見る 何の会社か、どの地域で、どんな仕事をするか。表紙と最初の見開きで伝える
学校・キャリアセンター・先生 先生、就職担当の職員 生徒や学生に紹介するかを決めるとき 仕事内容、働く場所、新卒の採用と定着の状況、問い合わせ先
自社の説明会・工場や店舗の見学 来場した本人 見学の後、思い出しながら読む 見学で見たものの説明、働く人の声、選考の流れ
面接の後・内定の後 本人と家族 応募や入社を決めるとき、家族と話すとき 会社の安定性、休みと働き方、教育の仕組み、入社までの流れ

中小企業が最初に作るなら、最も多く配る場面に合わせて1冊にし、他の場面は差し込みで補うのが現実的です。説明会用と内定者用を別々に作る必要があるのは、配る部数が多い会社に限られます。

合同説明会では、パンフレットはブースの掲示と一緒に機能します。通路から立ち止まってもらう掲示の考え方は展示会ブースのデザインは何から決めるか|通路から読まれる掲示と、会場の規定で作り直さない進め方で扱っています。

先に決めること2:誰が読むか

採用パンフレットは、応募する本人だけでなく、本人に影響を与える人にも読まれます。新卒採用、とくに高校生の採用では、先生や家族が会社を見る目が応募を左右します。読む人によって、知りたいことが違います。

読む人 知りたいこと 載せ方の例
本人 自分にできる仕事か、どんな人と働くか、成長できるか 1日の流れ、先輩の入社前と入社後、配属の例
先生・就職担当 紹介して問題のない会社か、続けられる職場か 新卒の採用と定着の状況、教育の仕組み、職場見学の受け入れ
家族 安心して働ける会社か、生活が成り立つか 事業の内容と取引先の業種、休みと働き方、住む場所、福利厚生

1冊の中で、読む人ごとにページを分けると、全員に向けた曖昧な文章を避けられます。たとえば、前半を本人向けの仕事と人の紹介、後半を先生や家族向けの会社の情報と数字に分ける構成です。

誰に向けて何を伝えるかの土台は、採用全体の方針と揃えます。求人を出す前に決めておくことは採用ブランディングは何から始めるか|求人を出す前に決めておくことで扱っています。

先に決めること3:冊子に残す情報と、差し込みに分ける情報

年度で変わる数字と募集要項は、冊子に刷り込まず、差し込みの用紙に分けます。冊子を多めに刷ると、翌年に給与や採用人数が変わったとき、古い数字が載った冊子を配り続けることになります。

冊子に残す情報(数年は変わらない) 差し込みに分ける情報(年度や募集ごとに変わる)
事業の内容と、仕事の種類 募集する職種と人数
働く人の紹介、1日の流れ 給与、手当、勤務時間、休日などの労働条件
会社の考え方、教育の仕組み 採用と定着の数字(採用者数、離職者数、平均勤続年数など)
働く場所の写真と説明 選考の日程、説明会の日程、応募の方法
採用サイトへの案内 担当者の名前と連絡先

差し込みにすると、冊子は数年使えるため、1部あたりの印刷費を下げやすくなります。部数と単価の考え方は会社案内パンフレット制作の進め方|作るべきかの判断と費用の考え方で扱っています。会社案内パンフレットに採用のページを足して1冊で済ませる方法は、営業用と採用用で読む人が違うため、おすすめしません。

募集要項を載せるときに確かめること

募集要項を載せるなら、求人票・求人媒体・採用サイトと同じ数字にし、古い情報を配り続けないようにします。

2022年10月1日に施行された改正職業安定法では、求人をする企業が広告などで募集の情報を出すとき、虚偽の表示や、誤解を生じさせる表示をしてはならず、情報を正確で最新の内容に保つ措置を講じることが求められています。印刷して配る冊子も、募集の情報を載せれば、この考え方に沿って作る必要があります。刷った後に直せない冊子は、ここで最も問題が起きやすい媒体です。

  • 給与や手当:求人票と同じ金額と内訳にする。「モデル年収」などを載せるなら、どの条件の例かを書く
  • 就業場所と業務の変更の範囲:2024年4月1日から、募集のときに明示する労働条件に、業務の内容と就業場所の「変更の範囲」が加わった。転勤や配置転換がある会社は、差し込みの募集要項で書き方を求人票と揃える
  • 有期の契約:同じく2024年4月から、契約の更新に上限がある場合は、その内容の明示が求められている
  • 写真や先輩の声:実際の職場と違う印象を与えないものを使う。撮影から時間が経った写真は、現在の職場と合っているかを確かめる
  • 載せた日付:差し込みには、何年何月時点の情報かを書く

新卒の募集では、若者雇用促進法(職場情報の提供は2016年3月1日施行)により、企業の規模にかかわらず、職場の情報を幅広く提供することが努力義務になっています。応募者などから求めがあった場合は、募集・採用に関する状況、職業能力の開発・向上に関する状況、企業における雇用管理に関する状況の3つの類型それぞれについて、1つ以上の情報を提供する義務があります。

過去3年間の新卒の採用者数と離職者数、平均勤続年数、研修の有無などが、その例です。先生や家族が知りたい情報と重なるため、聞かれる前に差し込みに載せておくと、説明の手間も減ります。

法令の詳しい内容や最新の改正は、厚生労働省や各都道府県の労働局の資料で確かめてください。この記事は、パンフレットを作るときに確かめる点を整理したもので、個別の求人が法令に合っているかの判断ではありません。

デザインの進め方:表紙と最初の見開きで決まる

表紙と最初の見開きで、「何の会社で、どんな仕事をするか」を伝えます。合同説明会で受け取った冊子は、他社の冊子と並べて見られます。表紙に社名とロゴだけを置くと、どの会社だったかを思い出してもらえません。

場所 載せること 避けること
表紙 仕事の様子が分かる写真と、何をする会社かを一言で 社名とロゴだけ、意味の伝わらない抽象的な言葉だけ
最初の見開き 事業と仕事の全体像、働く場所 代表のあいさつだけで見開きを使う
中のページ 働く人の紹介、1日の流れ、教育の仕組み 全員が同じ表情と言葉で並ぶ集合写真
最後のページ 採用サイトへの案内(QRコード)、説明会や見学の申し込み方 問い合わせ先が会社の代表番号だけ

写真は、借りてきた素材より、自社の職場で撮った写真を使います。採用では「どこで、誰と働くか」が判断の中心になるため、素材の写真では伝わりません。チラシやポスターと同じく、印刷物全体の考え方は販促物は何を作るべきか|種類ごとの使い分けと、品目より先に決める4つの条件で扱っています。

採用サイトへの導線は、場面ごとに分けて計測する

QRコードで採用サイトへ案内するときは、リンクに計測用のパラメータを付けます。説明会用、学校用、面接後用と、渡す場面ごとに別のQRコードにすると、どの場面で配った冊子から読まれたかが分かります。QRコードは差し込みの用紙に置くと、場面ごとに刷り分けやすくなります。パラメータの付け方はUTMパラメータの設計と命名規則|流入元を正しく計測する方法で扱っています。

効果は、配った部数とその後の行動で確かめる

採用パンフレットの効果は、出来栄えではなく、配った部数に対して、その後の行動がどれだけあったかで確かめます。

確かめること 数え方 少ないときに見直す場所
配った部数 場面ごとに、何部渡したかを記録する 渡す場面そのもの。読む人に届いていない
採用サイトへの流入 場面ごとのQRコードに付けたパラメータで数える 最後のページの案内、QRコードの位置
説明会・見学の予約 予約のときに、何で知ったかを聞く 表紙と最初の見開き。自分に関係がある会社か伝わっていない
応募・内定承諾 面接や内定のときに、冊子を読んだか、家族と見たかを聞く 先生や家族向けのページ、差し込みの数字

QRコードからの流入は、実際に読まれた量の一部しか示しません。冊子を読んで、後から会社名で検索して採用サイトに来る人もいるためです。数字だけで判断せず、面接や内定のときの聞き取りと合わせて見ます。

パンフレットを見直しても応募が増えない場合は、止まっている場所が別にあることがあります。求人広告、採用サイト、応募フォームのどこで止まっているかの切り分けは応募が集まらない原因の切り分け方|求人広告・採用サイト・応募フォームのどこで止まっているかで扱っています。

よくある失敗

採用サイトの文章をそのまま載せる

採用サイトは自分から読みに来る人のために書かれているため、文章が長く、冊子では読まれません。パンフレットでは、何の会社で、どんな人が働いているかを短く伝え、細かい情報は採用サイトに任せます。

給与や採用人数を冊子に刷り込む

翌年に条件が変わると、古い数字が載った冊子が残ります。求人票と違う数字の冊子を配ると、応募者に誤解を与えるおそれがあります。年度で変わる情報は差し込みに分けます。

渡す場面を決めずに部数だけ決める

どこで誰に渡すかが決まっていないと、中身も部数も決められません。前年に配った場面と部数を確かめてから、今年の部数を決めます。

配った後の行動を何も記録しない

何部をどこで渡し、そのうち何人が予約や応募をしたかを記録しないと、次に作り直すときの判断材料が残りません。場面ごとのQRコードと、予約や面接のときの聞き取りを用意しておきます。

よくある質問

採用サイトがあれば、採用パンフレットは不要ですか

手渡す場面が少ない会社では、無くても困らないことがあります。合同説明会に出る、学校を訪問する、内定者の家族に説明したいなど、紙を渡す場面がある会社では役に立ちます。渡す場面が無いなら、先に採用サイトを整えます。

何ページくらいが適切ですか

決まった数はありません。渡す場面で読まれる時間に合わせます。合同説明会で配る冊子は、持ち帰って他社と並べて見られるため、短くても伝わる構成にします。内定者と家族に渡す冊子は、ページを増やしてもよい場面です。

PDFで配れば、印刷しなくてよいですか

説明会の後にメールで送る、学校にデータで渡すなどの場面では、PDFが便利です。一方、家族と一緒に見る、先生が手元に置くといった場面では、紙のほうが読まれやすいことがあります。両方を用意し、PDFには最新の差し込みの内容を反映させます。

自社で作れますか

撮影と原稿の材料は自社にしかありません。働く人への聞き取り、職場の撮影、数字の確認は自社で行い、構成とデザイン、印刷の手配を外部に任せる分け方が現実的です。外部に任せる場合も、元のデータを納品してもらう条件にしておくと、差し込みの更新を自社で行えます。

まとめ

採用パンフレットは、採用サイトの内容を紙に移したものではなく、こちらから手渡すものです。先にどこで渡すか、誰が読むかを決めると、載せる中身が決まります。

年度で変わる数字と募集要項は差し込みに分け、求人票・採用サイトと同じ数字にします。募集の情報は、職業安定法の考え方に沿って正確で最新の内容に保ち、2024年4月からの労働条件の明示の追加にも書き方を揃えます。

効果は、配った部数と、その後の採用サイトへの流入、予約、応募で確かめます。渡す場面ごとにQRコードを分け、予約や面接のときに聞き取ると、次に作るときの判断材料が残ります。

採用パンフレットや会社案内などの印刷物のデザインは販促・広告デザインで、採用サイトの制作はWEB制作・ホームページ制作で承っています。会社紹介資料は資料ダウンロードから、ご相談はお問い合わせからご連絡ください。

SHARE