求人広告で応募が集まらないとき、最初に検討されるのは媒体の追加や掲載プランの引き上げです。しかし媒体を変えて増えるのは表示回数までで、そこから先は原稿と応募フォームが決めます。表示が10倍になっても、原稿が同じなら応募率は変わりません。
実際、求人票を見た人が応募しない理由の大半は「情報が足りず、応募していいのか判断できない」ことです。給与の幅が広すぎる、勤務時間が読めない、誰と働くのか分からない。これらは掲載料を上げても解決しません。
この記事では、応募数を3つの段階に分けてどこで止まっているかを特定し、Indeed PLUSによって変わった配信の前提を整理したうえで、原稿で動かせる項目と有料化の判断基準を扱います。
この記事でわかること
・応募数を表示・クリック・応募完了の3段階に分けた診断
・Indeed PLUSで変わった求人の配信のされ方
・応募率を動かす原稿の項目と、書き方
・無料掲載で足りるか、有料に切り替えるかの判断
・応募後の対応速度が歩留まりに与える影響
・媒体を追加すべき状況と、追加しても変わらない状況
応募数は3つの掛け算で決まる
「応募が来ない」を1つの問題として扱うと、対策が媒体の話に偏ります。次の3段階に分けると、手を入れるべき場所が決まります。
| 段階 | 何が起きているか | 確認する数字 | 効く打ち手 |
|---|---|---|---|
| 表示 | 求人が求職者の画面に出ているか | 表示回数 | 媒体、掲載プラン、職種名、勤務地の設定 |
| クリック | 一覧で選ばれているか | クリック率 | 職種名、給与の表示、冒頭の1行 |
| 応募完了 | 求人票を読んで応募まで進むか | 応募率(応募数÷クリック) | 原稿の中身、応募フォームの項目数 |
多くの店舗では、止まっているのは3段目です。表示もクリックもあるのに応募がない。この状態で掲載プランを上げると、費用だけが増えます。
逆に、表示回数そのものが出ていない場合は原稿を直しても変わりません。先に数字を見て、どの段で落ちているかを確定させてください。採用全体のどこで止まっているかの切り分けは応募が集まらない原因の切り分け方|求人広告・採用サイト・応募フォームのどこで止まっているかで扱っています。
媒体で変えられるのは表示回数まで。クリックと応募は原稿が決める。
どの段で落ちているかを確定させてから、打ち手を選ぶ。
Indeed PLUSで配信の前提が変わった
求人の掲載先を1つずつ選ぶ、という前提が変わりつつあります。Indeed PLUSは、複数の求人サイトと採用管理システム(ATS)を接続するプラットフォームで、連携する求人サイトを通じて求人が表示される仕組みです(Indeedヘルプ「Indeed PLUS とは?」)。
同ヘルプに挙げられている提携先には、Indeed、リクナビNEXT、タウンワーク、フロム・エー ナビ、とらばーゆ、はたらいく、リクナビ派遣、Airワーク、求人ジャーナルネットなどが含まれます。
| 従来の考え方 | 現在の前提 |
|---|---|
| 媒体ごとに掲載を申し込む | 配信の対象が接続されたプラットフォーム側で決まる部分がある |
| 媒体ごとに原稿を作る | 同じ求人情報が複数の求人サイトに表示されうる |
| 媒体ごとに応募を確認する | 採用管理システム側で応募をまとめて確認できる |
| どの媒体が効いたかを媒体別に見る | 配信先の内訳を確認できるかは利用している経路による |
実務上の要点は2つです。1つは原稿の重要性がさらに上がったこと。同じ原稿が複数のサイトに出るため、原稿の質がそのまま全体の応募率になります。もう1つは応募の受け口を1か所にまとめやすくなったことで、対応の速度を上げやすくなりました。
掲載の申し込み方法、料金の体系、どの経路を使うかは、利用するサービスや代理店によって条件が異なります。契約前に、配信先の内訳が確認できるか、応募単価をどう見るかを必ず質問してください。
応募率を動かす原稿の項目
求人票を読んだ人が応募しない理由は、多くの場合「判断に必要な情報がないこと」です。次の項目を具体化すると応募率が変わります。
| 項目 | よくある書き方 | 応募につながる書き方 |
|---|---|---|
| 給与 | 月給20万円〜35万円 | 未経験の初年度は月給◯円、3年目の実績は月給◯円 |
| 勤務時間 | シフト制 | 実際のシフト例を2〜3パターン記載する |
| 休日 | 週休2日 | 土日の休みが取れるか、希望はいつまでに出すか |
| 仕事内容 | 接客、店舗運営全般 | 1日の流れを時間帯で記載する |
| 求める人物像 | 明るく元気な方 | 未経験でよいか、必要な資格、体力面の条件 |
| 職場 | アットホームな職場です | スタッフの人数、年齢層、入社後の教育の流れ |
| 応募後 | 追って連絡します | 何日以内に、どの手段で連絡するか |
右列に共通しているのは、読んだ人が自分に当てはまるかを判断できることです。「明るく元気な方」では判断できませんが、「未経験可、入社後3か月は先輩と2人体制」なら判断できます。
特に1行目と2行目は応募率への影響が大きい項目です。給与の幅が広いと、求職者は下限で読みます。上限を出すより、どの条件でいくらになるかを書くほうが応募につながります。
掲載する情報の順序については採用サイトに入れるべきコンテンツ|応募につながる情報の順序も参考になります。求人広告と採用サイトで書くべきことは共通しています。
無料掲載で足りるか、有料に切り替えるか
有料化の判断は、応募数ではなくどの段で止まっているかで決めます。
| 状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 表示回数が出ていない | 有料化を検討する | 露出そのものが不足している |
| 表示はあるがクリックが少ない | 先に原稿を直す | 有料化しても一覧での見え方は変わらない |
| クリックはあるが応募がない | 先に原稿とフォームを直す | 費用を増やしても応募率は変わらない |
| 応募はあるが面接に来ない | 有料化しない | 対応速度と条件の問題 |
| 急ぎで採用が必要 | 有料化する | 期間の制約があるため露出を買う |
2行目と3行目で有料化すると、費用に対する応募数の効率が悪いまま規模だけが大きくなります。先に直すべきものを直してから露出を買うほうが、同じ予算で採用できます。
応募フォームの項目数も応募率に効きます。項目が多いほど途中で離脱します。改善の考え方は入力フォームの離脱率を改善するデザインの工夫を参照してください。
有料化して効くのは、表示が足りていない場合だけ。
クリックや応募で落ちているなら、費用を増やしても比率は変わらない。
応募後の対応速度で歩留まりが変わる
応募数を増やす取り組みと同じくらい、応募後の対応が結果を左右します。求職者は複数社へ同時に応募していることが多く、最初に連絡が来た会社から面接が進みます。
- 連絡までの時間を決める:営業時間内の応募は当日、時間外は翌営業日の午前など
- 連絡手段を求職者に合わせる:電話がつながらない層には、メッセージ機能やSMSを使う
- 担当を決める:店長不在で数日空く状態をなくす
- 1通目に日程の候補を入れる:往復の回数を減らす
- 応募から連絡までの日数を記録する:改善したかどうかを数字で見る
5番目まで実施すると、応募数を増やさずに面接数を増やせます。求人広告の費用を上げる前に、まずここを確認してください。応募から連絡まで3日空いている状態なら、掲載プランの引き上げより効果があります。
よくある失敗
媒体を増やして原稿を使い回す
表示は増えますが、応募率は変わりません。原稿が同じなら、費用に比例して応募が増えるだけで効率は改善しません。
「アットホームな職場」で職場の説明を済ませる
読んだ人が判断できません。スタッフの人数、年齢層、入社後の教育の流れを書くほうが、同じ文字数で情報量が増えます。
給与の上限だけを大きく見せる
求職者は下限で読みます。入社時の金額と、何年でいくらになるかを条件つきで書くほうが応募につながります。
応募フォームで長い自己PRを求める
応募段階での離脱が増えます。まず連絡先だけ取り、詳細は面接の前後で確認する順序にしてください。
採用できたら掲載を止めて終わりにする
次に必要になったとき、また同じ状態から始めることになります。どの原稿でどれだけ応募があったかを記録しておくと、次回の立ち上がりが速くなります。
よくある質問
求人広告と自社の採用サイト、どちらを先に整えるべきですか
応募がまったくない段階では求人広告が先です。露出がないと、採用サイトを作っても見られません。応募はあるが辞退が多い段階になったら、採用サイトの整備が効いてきます。判断の目安は中小企業が採用サイトを作るべき理由と制作のポイントにまとめています。
写真は必要ですか
応募率に影響します。ただし用意すべきなのはイメージ写真ではなく、実際の職場と働いている人の写真です。誰と、どこで働くのかが分かることが目的です。
応募単価はどのくらいが適正ですか
業種と職種で大きく違うため、外部の平均値は基準になりません。自社の基準は、採用1人あたりにかけられる金額から逆算します。応募数、面接率、内定承諾率を掛け合わせれば、応募1件あたりの上限が出ます。
複数店舗の求人はまとめるべきですか
勤務地が離れている場合は分けてください。求職者は勤務地で絞り込むため、まとめると検索に出にくくなります。原稿の共通部分だけをテンプレート化し、勤務地と時間は個別に書くのが現実的です。
応募が来ない期間はどのくらい様子を見るべきですか
表示回数が出ているかを3日で確認してください。表示があってクリックがないなら、様子を見る意味はありません。原稿を直すほうが速く結果が出ます。
まとめ
求人広告で応募を増やす取り組みは、表示、クリック、応募完了の3段階に分けると打ち手が決まります。媒体や掲載プランで変えられるのは表示回数までで、そこから先は原稿と応募フォームが決めます。表示もクリックもあるのに応募がない状態で費用を増やすと、効率が悪いまま規模だけが大きくなります。
Indeed PLUSのように複数の求人サイトと採用管理システムを接続する仕組みが広がったことで、同じ原稿が複数のサイトに表示されるようになりました。掲載先を個別に選ぶ比重が下がった分、原稿の質がそのまま全体の応募率になります。掲載の申し込み方法や料金の体系は利用する経路によって異なるため、配信先の内訳を確認できるかを契約前に質問してください。
原稿で最も効くのは、給与と勤務時間を条件つきで具体的に書くことです。「月給20万円〜35万円」より「未経験の初年度は月給◯円」のほうが応募につながります。そして応募数を増やす前に、応募から連絡までの日数を確認してください。ここが3日空いているなら、掲載プランを上げるより先に直すべき箇所です。
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