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BtoBのリスティング広告は何から決めるか|上限クリック単価を粗利から逆算し、資料請求と問い合わせを同じ1件で数えない

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BtoBのリスティング広告について調べると、「BtoBは検索数が少なくクリック単価が高い」「コンバージョンのハードルを下げて資料請求を置く」「平日の日中に配信を絞る」という助言が並びます。どれも間違いではありません。ただ、「クリック単価はいくらまでなら払ってよいのか」「自社の商材で月に何件取れるのか」「資料請求を増やした結果、商談は増えたのか」に答える計算は、ほとんど示されていません。

BtoBの検索広告は、この3つを先に計算しておかないと判定ができません。クリック単価が1,000円でも払える商材があり、300円でも赤字になる商材があります。月に取れる問い合わせが2件しかない市場で、予算を30万円用意しても使い切れません。資料請求を問い合わせと同じ1件として数えると、管理画面のCPAは大きく下がりますが、商談の数はほとんど変わらないことがあります。

この記事では、受注1件の粗利から上限クリック単価を逆算する式、検索回数から月の件数の天井を見積もる式、コンバージョンの重み付け、自動入札に渡せる件数が無いときの選び方、個人や求職者の検索を外す方法、配信時間の決め方、判定の仕方、見送ったほうがよい会社、始める順序を整理します。数値の例はすべて仮のもので、自社の数字に置き換えて使ってください。

この記事でわかること

・BtoBの検索広告は、検索する人が少なく、その一部しか買い手ではないという前提から設計する。先に決めるのは、上限クリック単価と、月に取れる件数の天井

・上限クリック単価は、受注1件の粗利×投下比率×受注率×商談化率×問い合わせ率で逆算する。仮の数字では粗利120万円から540円。資料請求を目的にするなら同じ式で180円になる

・月に取れる件数は予算ではなく検索回数で決まる。月2,000回の検索なら、問い合わせは約2件、広告費は約6万円で頭打ちになる

・資料請求を問い合わせと同じ1件で数えると、CPAは3万円から約6,800円に下がるが、商談は3件から3.2件でほぼ変わらない。営業が対応する件数だけが10件から44件に増える

・Google広告のコンバージョンには「メイン」と「サブ」があり、サブは入札に使われない。資料請求はサブに置くか、商談化率に比例した値を付けて区別する

・Googleは自動入札の評価に30日間で30件以上のコンバージョンを勧めている。届かないBtoBの広告主は、キャンペーンを分けず、上限クリック単価を置いて運用する

・判定は獲得月ごとに追い、商談1件あたりの費用で四半期ごとに行う。コンバージョンの計測期間は既定で30日、最長90日

BtoBの検索広告で決める順序
BtoBの検索広告で決める順序

BtoBの検索広告は、検索する人が少なく、その一部しか買い手ではない

最初に全体の答えを示します。BtoBのリスティング広告は、件数を増やす施策ではなく、今まさに発注先を探している少数の人を取りこぼさない施策です。先に決めるのは、クリック1回にいくらまで払えるか(上限クリック単価)と、月に何件取れるか(検索量の天井)の2つで、どちらも管理画面を開く前に計算できます。

理由は、BtoBの検索には2つの制約が重なっているためです。1つは、検索する人がそもそも少ないこと。対象企業が数千社の商材なら、今月発注先を探している会社はその一部で、検索回数は月に数百回から数千回です。もう1つは、その検索の中に買い手ではない人が混ざること。同じ語を、学生、求職者、同業者、個人の利用者も検索します。

この2つの制約の下では、BtoCの検索広告の進め方、つまりコンバージョンをためて自動入札に任せ、広告文とLPのテストを回すという進め方が、件数の不足で成立しません。件数が少ないことを前提に、少ない件数でも判定できる指標と、少ない件数を無駄にしない設定を選びます。

BtoBのリード獲得手段の中で、検索広告は最も温度の高いリードが取れる手段です。資料ダウンロードやウェビナー、展示会と比べた位置づけはBtoBのリード獲得手段はどう選ぶか|獲得単価ではなく商談化率から逆算するで扱っています。広告運用全体の決める順序は広告運用は何から決めるか|媒体選定から評価までの順序と、飛ばすと起きることにまとめています。

BtoCとの違いは4つあり、それぞれ設定の別の場所に現れる

違い 起きること 設定に現れる場所
検索する人が少ない 月のクリック数に天井がある。予算を増やしても件数が増えない 予算、キーワードの数、キャンペーンの分け方
買い手ではない検索が混ざる 学生、求職者、個人、同業者のクリックに費用が出る 除外キーワード、広告文、フォームの項目
1件の粗利が大きい 高いクリック単価でも採算が合う。相場との比較は意味が薄い 上限クリック単価、入札戦略
問い合わせから受注までが長い 獲得した月と受注した月がずれ、管理画面の数字では成果が分からない コンバージョンの計測期間、判定の間隔、成約データの連携

よく挙げられる「クリック単価が高い」は、この表の3番目の結果です。1件の粗利が大きい商材には、高い入札をしても採算が合う広告主が集まるため、オークションの結果として単価が上がります。高いこと自体は問題ではなく、自社の上限より高いかどうかだけが問題です。上限の計算は次の章で示します。

製造業のように、取りたい引き合いの条件が先にある業種では、件数の少なさがさらに強く効きます。受けたい案件の条件の決め方は製造業のWebマーケティングは何を増やすべきか|問い合わせ数より先に決める、取りたい引き合いの条件で扱っています。

上限クリック単価を粗利から逆算する|相場ではなく、自社が払える額と比べる

クリック1回にいくらまで払えるかは、受注1件の粗利から順に割り戻すと決まります。式は次のとおりです。

上限クリック単価 = 受注1件の粗利 × 広告に回す比率 × 受注率 × 商談化率 × 問い合わせ率

項目 仮の数字 ここまでの結果
1 受注1件の粗利(初年度) 120万円 120万円
2 そのうち広告に回す比率 30% 受注1件に払える広告費 36万円
3 商談から受注に至る割合 25% 商談1件に払える広告費 9万円
4 問い合わせが商談になる割合 30% 問い合わせ1件に払える広告費 27,000円
5 クリックが問い合わせになる割合 2% 上限クリック単価 540円

この仮の数字なら、クリック単価が500円でも採算が合い、600円なら合いません。「BtoBはクリック単価が高い」という一般論は、この上限と比べて初めて意味を持ちます。受注1件の粗利が300万円の商材なら、同じ比率で上限は1,350円になり、1,000円のクリックを買い続けてよいことになります。

同じ式は、コンバージョンを資料請求に置いた場合にも使えます。資料請求はクリックからの発生率が高い代わりに、商談になる割合が低くなります。

目的に置くコンバージョン 商談化率(仮) 1件に払える広告費 クリックからの発生率(仮) 上限クリック単価
問い合わせ・見積もり依頼 30% 27,000円 2% 540円
資料請求 5% 4,500円 4% 180円

資料請求を目的にするなら、上限クリック単価は540円ではなく180円です。発生率が2倍になっても、商談化率が6分の1なら、払える額は3分の1になります。資料請求を置くこと自体が悪いのではなく、問い合わせと同じ基準で入札すると払いすぎになる、という話です。

広告に回す比率の置き方と、継続契約の商材で初年度の粗利をどう扱うかはLTVとCACから広告費を決めるには|「3倍」の目安はSaaS由来で、比率は継続年数の置き方で動き、先に見るのは回収に何か月かかるか、許容CPAの考え方は広告のCPA目安はどう決めるか|業種別平均が使えない理由で扱っています。

検索量の天井を先に見積もる|月に取れる件数は、予算ではなく検索回数で決まる

次に、月に何件取れるかを見積もります。BtoBでは、ここで出る数字が想像より小さいことが多く、先に知っておくと予算と期待値の両方を誤りません。

月の問い合わせ件数 = 対象キーワードの月間検索回数 × 広告が表示される割合 × クリック率 × 問い合わせ率

項目 仮の数字 ここまでの結果
1 対象キーワードの月間検索回数の合計 2,000回 2,000回
2 そのうち広告が表示される割合 70% 1,400回の表示
3 クリック率 8% 112クリック
4 問い合わせ率 2% 月に約2件

112クリックを上限の540円で買っても、広告費は約6万円です。この市場では、月30万円の予算を用意しても使い切れず、問い合わせは月に約2件で頭打ちになります。件数を増やすには、予算ではなく、対象キーワードを広げる、クリック率を上げる、問い合わせ率を上げる、のいずれかが必要です。月間検索回数はキーワードプランナーで確認でき、表示される割合の上限は、配信後にインプレッション シェアで確かめられます。インプレッション シェアの使い方は店舗集客のGoogle広告費用相場は?月額予算の決め方を計算式で解説で扱っています。

検索が少なすぎる語は、そもそも広告が出ません。Google広告のヘルプは、「検索ボリュームが少ない」というステータスを「Google での検索履歴がほとんどないキーワード」に表示されるものと説明し、この状態のキーワードは無効となり、検索トラフィックが増加するまで広告は表示されないとしています。専門用語や型番を細かく登録しても、このステータスになって動かないことがあります。ヘルプが挙げる対処は、自動の再確認を待つ、キーワードプランナーで代わりの語を探す、マッチタイプを完全一致からインテント マッチへ広げる、の3つです。

マッチタイプを広げる判断はインテントマッチ(旧・部分一致)は使うべきか|自動入札に渡せる件数で決め、キーワード単位で広げる、語の選び方はSEOキーワードの選び方|検索数で選ぶと問い合わせにつながらない理由の考え方が広告にも使えます。BtoBでは、製品名や手法名よりも、「課題+委託」「製品カテゴリ+比較」「製品カテゴリ+価格」のように、発注先を探している段階の語から登録します。

月2件の市場で、できなくなること

  • 自動入札の評価。後述のとおり、Googleが勧める件数は30日間で30件。月2件では、入札戦略の良し悪しを判定できない
  • 広告文やLPのテスト。月2件を2つに分けると月1件ずつ。差が出ても偶然と区別できない
  • 月次の判定。今月0件、来月4件は、どちらも月2件の市場で普通に起きる。判定は四半期で行う

件数が少ない段を細かく分解しても偶然の揺れしか見えない、という性質はKPIツリーの作り方|掛け算の段はどこを動かしても効き方は同じで、選ぶ基準は動かす費用と上限、月30件を切る段より下は分解しないで扱っています。

資料請求を問い合わせと同じ1件で数えると、CPAだけが下がる

件数が少ないBtoBでは、「コンバージョンのハードルを下げて、資料請求やホワイトペーパーのダウンロードを置く」という助言が定番です。検討の浅い人との接点を作れるという点では正しい助言です。問題は、資料請求を問い合わせと同じ1件として数え、その合計で広告を評価したり、自動入札に渡したりする場合に起きます。

月30万円の広告費で、問い合わせだけを目的にしていた広告主が、資料請求を同じコンバージョンとして加えた場合を、仮の数字で比べます。商談化率は問い合わせが30%、資料請求が5%と置きます。

項目 問い合わせだけを数える 資料請求も同じ1件で数える
問い合わせ 10件 4件
資料請求 数えない 40件
管理画面のコンバージョン 10件 44件
管理画面のCPA 30,000円 約6,800円
商談(問い合わせ30%、資料請求5%) 3件 3.2件
商談1件あたりの費用 100,000円 約94,000円
営業が対応する件数 10件 44件

管理画面のCPAは約4分の1に下がり、報告書の見た目は大きく改善します。ところが商談は3件から3.2件で、ほとんど変わっていません。変わったのは、営業が連絡する相手が10件から44件に増えたことです。資料請求の商談化率が3%なら商談は2.4件になり、元より減ります。

問い合わせが10件から4件に減っているのは、件数を最大化する自動入札が、同じ費用でより多く取れるコンバージョン、つまり資料請求が発生しやすい検索とユーザーへ配信を寄せるためです。自動入札は、渡された目標に対して正確に動きます。問い合わせと資料請求を同じ1件として渡せば、安く取れるほうを増やすのが正しい動きになります。

対処1:資料請求は「サブ」に置く

Google広告のコンバージョン アクションには、メインとサブの区別があります。ヘルプによると、メイン アクションはレポートの「コンバージョン」列に表示され、標準の目標に含まれる場合は入札に使用されます。サブアクションは「モニタリングのみに使用されるコンバージョン アクション」で、「すべてのコンバージョン」列に表示され、標準の目標に含まれていても入札には使用されません。

資料請求をサブに置けば、件数は「すべてのコンバージョン」で把握しつつ、入札は問い合わせだけを見て動きます。注意点が1つあります。ヘルプは、カスタム目標に含まれるコンバージョン アクションは、メインとサブのどちらに設定されていても、レポートと入札に使用されるとしています。キャンペーンにカスタム目標を設定している場合は、その中身を確認します。

対処2:入札に使うなら、商談化率に比例した値を付ける

件数が少なすぎて問い合わせだけでは入札が動かない場合は、資料請求もメインに置き、コンバージョン値で重みを付けます。値は、商談1件に払える広告費に、それぞれの商談化率を掛けたものです。前の章の数字なら、問い合わせは27,000円、資料請求は4,500円です。入札戦略を「コンバージョン値の最大化」にすれば、資料請求6件と問い合わせ1件が同じ重さとして扱われます。

値の設定手順はコンバージョン値の設定方法|CV数ではなく金額で広告を運用するで扱っています。商談化率は、3か月から6か月の実績が出た時点で見直します。

対処3:商談になったことを広告に戻す

最も確実なのは、フォーム送信ではなく、商談になった時点をコンバージョンとして広告に戻すことです。問い合わせにクリックの識別子を持たせ、営業の記録で商談になったものを後からアップロードします。仕組みと必要な準備はオフラインコンバージョンとは?来店・成約データを広告に反映する方法、フォームで取得した情報を使う方法は拡張コンバージョンは設定すべきか|フォームで取れる情報の有無で決め、増えた件数を成果と混ぜないで扱っています。

ただし、月に商談が3件の広告主がこれを入札に使っても、件数が足りず入札は安定しません。件数が少ないうちは、連携の目的を入札ではなく判定に置きます。どのキーワードから商談が出たかを四半期で確認できれば十分です。

自動入札に渡せる件数が無いときの選び方

Google広告のヘルプは、目標コンバージョン単価の評価について「評価の際は、過去 30 日間のパフォーマンスを測定し、少なくとも 30 件のコンバージョンを含めることをおすすめします。」としています。これは開始の条件ではなく、正確に評価するための推奨です。それでも、月の問い合わせが1桁のBtoBの広告主にとっては、自動入札の良し悪しを判定する手段が無いことを意味します。

月のコンバージョン 選び方 理由
30件以上 目標コンバージョン単価、または値を付けて目標広告費用対効果 評価できる件数がある。値の重み付けと組み合わせる
10〜29件 コンバージョン数の最大化から始め、目標値は四半期の実績で置く 月次では評価できない。目標を厳しく置くと配信が止まりやすい
10件未満 クリック数の最大化に上限クリック単価を置く。または個別クリック単価 入札に学ばせる材料が無い。逆算した上限を人が置くほうが確実

件数が少ないときに避けたいのは、キャンペーンや広告グループを細かく分けることです。製品別、業種別、地域別に分けると、もともと少ないコンバージョンがさらに分散します。BtoBでは、分けるのは予算を別に持ちたい単位だけにとどめ、指名とそれ以外の2つから始めるのが現実的です。分け方の基準はGoogle広告のキャンペーン構成はどう分けるか|分ける基準と、分けすぎの弊害、入札戦略の切り替え時期は自動入札の選び方と切り替えるタイミング|機能しない条件も解説で扱っています。自社名の検索に広告を出すかどうかは自社名の指名検索に広告を出すべきか|止めても自然検索で戻る分を測ってから決めるで判断できます。

買い手ではない検索を外す|除外キーワード、広告文、フォームの3つの層

BtoBの語は、買い手以外にも検索されます。「勤怠管理システム」は導入を検討する総務担当も、使い方を調べる従業員も、業界研究をする学生も検索します。1つの層で完全に外すことはできないため、3つの層で段階的に選別します。

何をするか 外せる相手 限界
除外キーワード 「求人」「採用」「年収」「とは」「意味」「資格」「無料」「個人」「使い方」「ログイン」などを分類ごとに登録する 求職者、学生、既存の利用者、個人 語に意図が現れない検索は外せない
広告文 「法人向け」「導入◯社」「月額◯万円から」「最小ロット◯個」など、対象と条件を書く 個人、予算が合わない会社、小口の依頼 クリック率は下がる。それが目的なので問題ない
フォーム 会社名、部署、会社のメールアドレスを必須にする 個人、営業目的の送信 項目を増やすと買い手も減る。必須は4〜5項目まで

広告文に価格や最小ロットを書くと、クリック率は下がります。BtoCの運用ではクリック率の低下は悪化のサインですが、BtoBでは、対象外のクリックを広告文の段階で減らすことは費用の節約です。クリック率ではなく、問い合わせ率と商談化率で評価します。広告文に入れる情報の選び方は検索広告の訴求文の作り方|見出しと説明文に入れるべき情報、除外の分類と運用は検索語句レポートの見方と除外キーワードの決め方で扱っています。

検索語句レポートには限界もあります。Google広告のヘルプは、「クエリ アクティビティが十分でない検索語句は、データのプライバシーに関する Google の基準を遵守することを目的として、検索語句レポートから除外される場合があります。」としています。検索の少ないBtoBでは、レポートに出てこない語句の割合が大きくなります。レポートを見て後から除外する方法だけに頼らず、配信前に分類ごとの除外リストを入れておきます。

配信時間は、最初から絞らない

「BtoBは平日の日中に配信を絞る」という助言もよく見ます。Google広告のヘルプによると、キャンペーンのスケジュール設定は既定で「終日」になっており、1日を通じて広告を表示できます。これを平日9時から18時に絞ると、検索量の天井がさらに下がります。

月2件の市場で、夜間と休日の検索を捨ててよいかは、データを見てから決めます。決裁者や経営者は、業務時間外に調べものをすることがあります。最初の3か月は終日で配信し、曜日と時間帯ごとに、問い合わせではなく商談になった件数を見ます。夜間や休日の問い合わせが商談にならないと確認できてから止めれば、失うものはありません。電話の問い合わせを受ける商材で、営業時間外に電話番号を出さないようにする設定は別の話で、こちらは最初から入れます。

遷移先は、問い合わせを受ける語と資料請求を受ける語で分ける

BtoBの買い手は、広告をクリックした後、そのページだけで問い合わせを決めません。会社情報、事例、価格の考え方を確認し、社内で共有できる資料を探します。1枚のLPで完結させるより、サイト内の事例や会社情報へ移動できる構成のほうが合う商材が多くあります。判断の基準はLPと通常サイト、広告の遷移先はどちらにすべきか、広告の語とページの内容がずれている場合の切り分けはリスティング広告のLPで成果が出ない原因|広告とページのズレを切り分けるで扱っています。

語の段階によって、遷移先の出口を変えます。「委託」「見積もり」「価格」を含む語は問い合わせフォームを主に、「比較」「選び方」を含む語は資料請求を主に置きます。資料の中身が記事の要約では請求されません。資料の設計は資料ダウンロードでリードを獲得する設計|記事の要約を配っても取れない理由で扱っています。

判定の仕方|獲得した月ごとに追い、商談1件あたりの費用で見る

BtoBの広告を管理画面のCPAで判定すると、前の章で見たとおり、資料請求を増やすほど良く見えます。判定に使うのは、商談1件あたりの費用と、受注1件あたりの費用です。どちらも管理画面には無く、営業の記録と突き合わせて出します。

見る数字 どこで取るか 判定の間隔
問い合わせ件数と流入元 フォームの送信記録と、クリックの識別子またはパラメータ 月次。参考値として
商談になった件数 営業の記録。問い合わせ1件ごとに結果を書く 四半期
商談1件あたりの費用 その四半期の広告費÷同じ期間に獲得した問い合わせから出た商談 四半期。上限(仮の数字では9万円)と比べる
受注1件あたりの費用 同上。獲得した月ごとに追跡する 半年から1年

獲得した月ごとに追う理由は、BtoBでは問い合わせの月と受注の月がずれるためです。4月の問い合わせが9月に受注になるなら、4月の広告費の成果は9月まで確定しません。月ごとの広告費と月ごとの受注を並べても、対応していない数字を比べることになります。問い合わせ1件ごとに残す項目は問い合わせ後の歩留まりを改善する|リード管理の始め方で扱っています。

管理画面側の設定も確認します。Google広告のヘルプによると、クリックスルー コンバージョンの計測期間は、カスタマイズしなければ既定で30日で、検索キャンペーンでは1〜30日、60日、または90日の範囲で指定できます。最初のクリックから問い合わせまでに1か月以上かかる商材では、既定の30日のままだと、広告の成果が数え漏れます。検討期間が長い商材は、最長の90日にしておきます。

見送ったほうがよい会社と、出してよい会社

見送ったほうがよい会社

  • 逆算した上限クリック単価が、実際の単価の半分に満たない。受注1件の粗利が小さいか、商談化率と受注率が低い。広告より先に、問い合わせ後の歩留まりを直す
  • 対象キーワードの検索回数が月に数百回しかない。取れても月に1件未満。広告の設定と判定にかける手間に見合わない。既存の名刺への連絡や、展示会のほうが件数を作れる
  • 商材の名前がまだ検索されていない。新しいカテゴリの商材は、検索する語が存在しない。検索広告は需要を作る手段ではなく、すでにある需要を受ける手段
  • 問い合わせが商談になったかを記録していない。判定ができず、資料請求の件数だけを追う運用になる。先に記録を始める
  • 営業が問い合わせに当日中に連絡できない。検索広告のリードは温度が高い分、比較されている。対応が遅いと他社に決まる

出してよい会社

  • 上限クリック単価が、キーワードプランナーの入札単価の目安を上回っている。採算が合う見込みがある
  • 発注先を探す段階の語(委託、比較、価格、見積もり)に、月1,000回以上の検索がある。月に数件の問い合わせが見込める
  • 問い合わせから受注までの記録があり、商談化率と受注率が分かっている。逆算式に実数を入れられる
  • 事例と会社情報がサイトにある。クリックした買い手が確認する材料が揃っている
  • 展示会や紹介に受注が偏っていて、経路を増やしたい。件数は少なくても、温度の高い経路が1本増える意味がある

始める順序|上限、天井、重み付け、選別、判定

1. 上限クリック単価を逆算する

受注1件の粗利、広告に回す比率、受注率、商談化率、問い合わせ率を置きます。実績が無い比率は仮で置き、3か月後に入れ替えます。

2. 検索量の天井を見積もる

キーワードプランナーで、発注先を探す段階の語の月間検索回数を合計し、月に取れる件数と、使い切れる広告費の上限を出します。予算はこの上限から決めます。

3. コンバージョンの重み付けを決める

問い合わせをメインに置きます。資料請求を置くならサブにするか、商談化率に比例した値を付けます。計測期間は商材の検討期間に合わせ、長い商材は90日にします。

4. 買い手以外を外す

分類ごとの除外リストを配信前に入れ、広告文に対象と条件を書き、フォームで会社名と会社のメールアドレスを必須にします。配信時間は終日で始めます。

5. 商談1件あたりの費用で、四半期ごとに判定する

問い合わせ1件ごとに結果を記録し、獲得した月ごとに追います。3か月後に、仮で置いた比率を実数に入れ替え、上限クリック単価を計算し直します。

よくある失敗

クリック単価の相場と比べて、高い安いを判断する

比べる相手は相場ではなく、自社の粗利から逆算した上限です。上限が1,350円の商材にとって、1,000円のクリックは安い買い物です。

資料請求を足してCPAが下がったことを、改善として報告する

件数の合計とCPAは、浅いコンバージョンを足せば必ず良くなります。商談の件数と、商談1件あたりの費用で確かめます。

製品別、業種別にキャンペーンを細かく分ける

月10件のコンバージョンを5つに分けると、月2件ずつになります。入札も判定も機能しなくなります。

専門用語や型番を大量に登録する

検索がほとんど無い語は「検索ボリュームが少ない」のステータスになり、広告が出ません。発注先を探す段階の語を優先します。

最初から平日の日中だけに絞る

もともと少ない検索をさらに減らします。終日で始め、商談になった件数を曜日と時間帯で確認してから絞ります。

月次の件数で、続けるかやめるかを決める

月2件の市場では、0件の月も4件の月も普通に起きます。判定は四半期で、商談1件あたりの費用で行います。

計測期間を既定の30日のままにする

検討期間が長い商材では、クリックから問い合わせまでが30日を超え、成果が数え漏れます。

よくある質問

BtoBのリスティング広告の予算はいくら必要ですか

検索量の天井から決めます。対象の語の月間検索回数に、表示される割合、クリック率、上限クリック単価を掛けたものが、使い切れる広告費の上限です。仮の数字では、月2,000回の検索で約6万円でした。これを大きく超える予算を用意しても消化されません。

資料請求のコンバージョンは置かないほうがよいですか

置いて構いません。問い合わせと同じ1件で数えないことが条件です。サブのコンバージョンに置くか、商談化率に比例した値を付けて区別します。

Yahoo!広告にも出すべきですか

検索量の天井が低いBtoBでは、媒体を増やすことが件数を増やす数少ない手段の1つです。ただし管理の手間も増えます。追加して成果が出る条件はYahoo!広告とGoogle広告は併用すべきか|追加して成果が出る条件と、出ない条件で扱っています。

自動入札は使わないほうがよいですか

月のコンバージョンが30件以上あれば使えます。10件未満なら、逆算した上限クリック単価を置いて、クリック数の最大化か個別クリック単価で運用するほうが確実です。

効果はどのくらいの期間で判断しますか

問い合わせの件数は3か月、商談1件あたりの費用は3か月から6か月、受注1件あたりの費用は半年から1年です。検討期間が長い商材ほど、判定は後ろにずれます。

競合他社の社名で広告を出してもよいですか

キーワードとして登録すること自体は、Google広告のポリシー上は制限されていません。ただし広告文に他社の商標を使うと、申し立てにより制限されることがあります。クリック単価に対して問い合わせ率が低くなりやすいため、上限クリック単価の式に、その語の実際の問い合わせ率を入れて判断します。

運用を代理店に任せる場合、何を確認すればよいですか

報告がCPAとコンバージョン数だけで構成されていないかを確認します。資料請求と問い合わせを分けて報告しているか、商談の件数を受け取る仕組みがあるか、の2点です。

まとめ

BtoBのリスティング広告は、検索する人が少なく、その一部しか買い手ではないという前提から設計します。先に決めるのは、粗利から逆算した上限クリック単価と、検索回数から見積もった月の件数の天井です。仮の数字では、受注1件の粗利120万円から上限クリック単価は540円、月2,000回の検索から取れる問い合わせは約2件、使い切れる広告費は約6万円でした。

資料請求を問い合わせと同じ1件で数えると、管理画面のCPAは3万円から約6,800円に下がりますが、商談は3件から3.2件でほとんど変わらず、営業が対応する件数だけが10件から44件に増えます。資料請求はサブのコンバージョンに置くか、商談化率に比例した値を付けて区別します。Googleは自動入札の評価に30日間で30件以上を勧めており、届かない広告主は、キャンペーンを分けず、逆算した上限クリック単価を人が置いて運用します。

買い手ではない検索は、除外キーワード、広告文、フォームの3つの層で外します。配信時間は終日で始め、商談になった件数を見てから絞ります。コンバージョンの計測期間は既定で30日、最長90日で、検討期間が長い商材は延ばしておきます。判定は獲得した月ごとに追い、商談1件あたりの費用で、四半期ごとに行います。

上限クリック単価の逆算から、キーワードとコンバージョンの設計、商談までを含めた判定の仕組みづくりはWEBマーケティング・広告運用で承っています。会社紹介資料は資料ダウンロードから、ご相談はお問い合わせからご連絡ください。

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