クリエイティブ

KNOWLEDGE

営業資料の作り方|商談で映す前提ではなく、営業がいない稟議の場で読まれる前提で、費用対効果と比較のページから作る

  • #クリエイティブ

SHARE

営業資料の作り方を調べると、「基本の構成は12ステップ」「1ページに1メッセージ」「色は3色まで」という助言が並びます。表紙、課題、サービス紹介、強み、事例、料金、導入の流れ、会社概要。挙げられているページも、デザインの注意点も、どれも間違っていません。ただ、その通りに作った資料でも、商談の後に買い手の社内で止まることは珍しくありません。資料が読まれる場面の想定が、商談の席に偏っているためです。

BtoBの商談では、営業が会った担当者がその場で決めることはほとんどありません。担当者は資料を持ち帰り、上長に説明し、稟議書を書き、決裁者が承認します。営業資料が最も仕事をするのは、営業が同席していないこの場面です。話して補うことを前提に作った資料は、送られた先では説明の抜けた紙になります。

この記事では、営業資料の改善で動く段と試算、稟議で聞かれることと要るページ、見出しの書き方、場面ごとの使い分け、デザインで決めることと依頼の範囲、版の管理、効果の測り方、作り直さなくてよい会社、決める順序を整理します。数値の例は、出典を示した調査を除き、すべて仮のものです。自社の数字に置き換えて使ってください。

この記事でわかること

・営業資料は、商談で映す資料としてではなく、商談の後に買い手の社内で、営業がいない場で読まれる資料として設計する。担当者が上長と決裁者に説明する材料になるかで、結果が分かれる

・公表されている調査(2026年8月、540名)では、営業から提供された資料のうち稟議で役立ったのは59.8%。役立った割合が高いのは見積書73.2%、競合比較表67.6%、提案書66.2%

・承認のポイントは「明確な費用対効果」が43.7%で最多。一方で、試算を根拠として準備していた人は19.3%。買い手が作れていない試算を、売り手が式と前提つきで資料に入れておく

・資料の改善で動くのは、商談が次の段へ進む割合。仮の数字では、初回商談が月20件の会社で次へ進む割合が40%から50%になると、受注は月2.4件から3.0件。月3件の会社では0.36件から0.45件で、差は年に約1件

・各ページの見出しは「料金」のような項目名ではなく、結論の文にする。見出しだけを上から読んで話が通じれば、営業がいない場でも読める

・資料は「送る版」を原本にして1本で作り、商談ではその中から選んで映す。映す版を原本にすると、送った先で説明が抜ける

・デザインを依頼するときの納品物は、清書した資料だけでなく、営業が自分で更新できるテンプレートと部品まで含める。清書だけだと、半年後に元の状態へ戻る

稟議で聞かれることと、営業資料に要るページ
稟議で聞かれることと、営業資料に要るページ

営業資料は、商談の席ではなく「営業がいない場」で読まれる前提で作る

最初に全体の答えを示します。営業資料の設計で先に決めるのは、ページの構成でも配色でもなく、この資料が誰に、どの場面で、営業の説明なしに読まれるかです。構成とデザインは、そこから決まります。

理由は、BtoBの購買が複数人で決まるためです。営業が会うのは担当者ですが、承認するのは上長と決裁者で、その人たちは商談に出ていません。担当者は、聞いた話を自分の言葉で社内に説明し直します。このとき手元に残っているのは、営業の話ではなく資料です。

ネオマーケティングが、直近1年以内にBtoB商材の導入の社内稟議に関わった国内BtoB企業の勤務者540名に行った調査(2026年8月17日〜18日、2026年9月公表)では、稟議で最も説得力があった根拠として挙げられた割合は、営業担当者からの提案書が14.6%で最も多く、自社の売上・実績データの14.1%を上回りました。買い手の社内で稟議を通す根拠の筆頭は、売り手が渡した資料です。

同じ調査で、稟議の差し戻しを経験した人は57.2%でした。稟議書に記載される項目は13項目のうち平均4.35項目、用意される根拠データは14種類のうち平均2.91種類です。担当者は、限られた材料で稟議を書き、半数以上が差し戻されています。営業資料が足すべきものは、この材料です。

この記事では、商材やサービスを紹介する共通の営業資料(サービス紹介資料)を主に扱います。顧客ごとに作る提案書は、共通の資料に、その顧客の課題、試算、見積の前提を差し込んだものと位置づけます。サイトの側で買い手が何を確認しているかはBtoBサイトの制作は何から決めるか|ページ一覧より先に、誰が何を確認しに来るかを決め、出口は温度で分けるで扱っています。

営業資料の改善で動くのは、商談が次へ進む割合|商談の数は動かない

営業資料を作り直す前に、資料で動く数字と動かない数字を分けます。資料で動くのは、初回の商談が次の段(提案、見積もり)へ進む割合と、提案が受注に至る割合です。商談の件数そのものは、集客と営業活動の側で決まります。

初回商談が月20件の会社と、月3件の会社で、資料の改善の効果を仮の数字で比べます。初回商談が提案へ進む割合を40%、提案が受注に至る割合を30%と置き、資料の改善で前者が50%になったとします。

項目 初回商談が月20件の会社 初回商談が月3件の会社
提案へ進む件数(40%) 8件 1.2件
受注(提案の30%) 2.4件 0.36件
改善後に提案へ進む件数(50%) 10件 1.5件
改善後の受注(提案の30%) 3.0件 0.45件
受注の差 月0.6件 月0.09件(年に約1件)

初回商談が月20件の会社では、受注は月2.4件から3.0件に増えます。1件あたりの粗利が120万円なら、月72万円の差です。資料の制作を外部に依頼しても、数か月で回収できる計算になります。

一方で、初回商談が月3件の会社では、受注は月0.36件から0.45件で、差は年に約1件です。この会社が先に取り組むのは、資料ではなく商談の数です。リードの獲得手段の選び方はBtoBのリード獲得手段はどう選ぶか|獲得単価ではなく商談化率から逆算する、段を掛け算で並べて動かす段を選ぶ考え方はKPIツリーの作り方|掛け算の段はどこを動かしても効き方は同じで、選ぶ基準は動かす費用と上限、月30件を切る段より下は分解しないで扱っています。

この試算を行うには、初回商談の件数、提案へ進んだ件数、受注の件数が記録されている必要があります。記録が無い会社は、資料を作り直しても良くなったかを判定できません。残す項目は問い合わせ後の歩留まりを改善する|リード管理の始め方で扱っています。

稟議で役立つ資料は3つ|見積書、比較表、提案書

買い手の社内で、営業から受け取った資料がどの程度使われているかを確認します。前の章と同じネオマーケティングの調査では、営業担当者から提供された資料について、提供を受けた人のうち稟議を通す上で役立ったと答えた割合は次のとおりでした。

営業から提供された資料 稟議で役立った割合
見積書 73.2%
競合比較表 67.6%
提案書 66.2%
決裁者から想定される質問への回答集 48.8%
デモ・トライアル 48.4%
導入企業への訪問ヒアリングの機会 44.7%
14項目の通算 59.8%(役立たなかったのは40.2%)

読み取れることは2つあります。1つは、役立った割合が高い資料は、金額、比較、提案の中身という、稟議書にそのまま転記できるものだということです。稟議書は、何を、いくらで、なぜこの会社から買うのかを書く書類です。見積書は「いくらで」、比較表は「なぜこの会社から」、提案書は「何を」に対応しています。

もう1つは、渡した資料の約4割が役立っていないことです。資料の点数を増やすことは、稟議の助けになりません。転記できる情報が、探さなくても見つかる形で入っているかが問われています。

承認のポイントは費用対効果。買い手は試算を自分では作れていない

同じ調査で、承認のポイントとして最も多く挙げられたのは「明確な費用対効果」で43.7%でした。一方で、費用対効果の試算を根拠として準備していた人は19.3%にとどまります。承認する側が最も見たいものを、稟議を書く側の8割は用意できていません。

担当者が試算を作れない理由は、怠慢ではありません。導入後に何がどれだけ変わるかの数字を、買い手は持っていないためです。持っているのは、他社での導入の結果を知っている売り手の側です。

営業資料に入れる試算のページは、結果の数字だけでなく、式と前提を見せます。「年間300万円の削減」とだけ書かれたページは、決裁者に「どういう計算か」と聞かれたときに、担当者が答えられません。

試算のページに入れるもの 内容 欠けると起きること
式 何と何を掛けて、何を引いたか 担当者が社内で計算を説明できない
前提の数字 人数、件数、単価など。どの規模の会社を想定したか 「うちには当てはまらない」で止まる
買い手が書き換える欄 自社の人数や件数を入れる空欄 自社の数字での結果が出せず、稟議書に転記できない
効果が出るまでの期間 導入から何か月で効果が出始めるか 初年度の予算で承認してよいかを判断できない
数字の根拠 自社の導入先の実績か、仮の想定か 根拠を問われたときに、資料の信用が全体で下がる

効果を金額で示せない商材もあります。デザイン、ブランディング、研修などです。その場合も、「何が、どの指標で、どの時期に変わる見込みか」と「変わらなかった場合に何を見直すか」を1ページにまとめます。金額に換算できないことと、費用対効果のページが無いことは別です。回収までの期間から投資の上限を決める考え方はLTVとCACから広告費を決めるには|「3倍」の目安はSaaS由来で、比率は継続年数の置き方で動き、先に見るのは回収に何か月かかるかで扱っています。

稟議で聞かれることから、要るページを決める

営業資料のページは、「よくある構成」からではなく、買い手の社内で聞かれることから決めます。冒頭の図と同じ内容です。

稟議で聞かれること 聞く人 営業資料に要るページ 欠けると起きること
何の課題を解くのか 上長 課題と解決を1枚にまとめたページ(サマリー) 担当者の説明が長くなり、要点が伝わらない
費用はいくらか。何で変わるか 上長、決裁者、購買 料金の決まり方、見積の前提、含まれるものと含まれないもの 見積書だけが回り、金額の理由を誰も説明できない
効果は費用に見合うか 決裁者 費用対効果の試算(式、前提、書き換える欄) 「効果が不明」で差し戻される
他社と何が違うか。なぜこの会社か 上長、決裁者 比較表。先に選ぶ基準を示し、自社が向かない条件も書く 担当者が自分で比較表を作り、自社に不利な軸で並べられる
任せて大丈夫か 決裁者、情報システム、法務 同じ規模・業種の事例、体制、導入の流れ、会社概要 稟議の最後で「聞いたことがない会社」として止まる
導入後に自社は何をするのか 担当者、現場 導入の流れと、買い手の側の作業と期間 現場の負担が見えず、現場の反対で止まる

比較表は、載せることをためらう会社が多いページです。ただ、売り手が用意しなければ、担当者が自分で作ります。その表の軸は、価格や機能の数といった、比べやすいものになりがちです。自社が選ばれる理由になる軸を、選ぶ基準として先に示しておくほうが、結果として公平な比較になります。競合の社名を出す必要はありません。「自社で行う場合」「一般的な外注」「当社」のような区分でも、稟議の材料になります。自社が向かない条件を1行入れておくと、表全体の信用が上がります。

事例の集め方と許諾の取り方は「お客様の声」の効果的な掲載方法|信頼につながる集め方と見せ方で扱っています。社名を出せない事例も、業種、規模、課題、期間、結果を書けば、上長が「自社と同じ規模か」を判断する材料になります。

見出しだけで話が通じるように書く|項目名ではなく、結論の文にする

営業がいない場で読まれる資料にするための、最も効果の大きい手直しは、各ページの見出しを変えることです。見出しを「料金」「導入事例」のような項目名ではなく、そのページの結論を述べた文にします。

項目名の見出し 結論の文の見出し
市場の課題 問い合わせの3割は、初回の返信が翌日以降になり失注している
サービスの特長 返信の下書きを自動で作り、初回の返信を当日中に終える
料金 料金は利用人数で決まり、30人までは月額◯万円
導入事例 従業員50名の商社で、初回の返信が平均1.5日から3時間になった
導入の流れ 契約から利用開始まで4週間。お客様の作業は初期設定の2時間

表の例は、返信の下書きを作る架空のサービスを想定した仮のものです。決裁者は、資料を最初から最後まで読むとは限りません。見出しを拾い読みし、気になったページだけを見ることが多くなります。項目名の見出しでは、拾い読みで伝わる情報がありません。結論の文になっていれば、見出しだけで提案の全体が伝わります。

見出しだけを読むテスト

  • 各ページの見出しだけを、上から順に書き出す。本文と図は見ない
  • 商談に出ていない社内の人に、それだけを読んでもらう。何の会社が、何を、いくらで、なぜ勧めているかが伝わるかを聞く
  • 伝わらなかった箇所の見出しを、結論の文に直す。結論が書けないページは、そのページで言いたいことが決まっていない
  • 1ページに結論が2つあるなら、ページを分ける。「1ページに1メッセージ」は、見出しが1文で書けるかで確認できる

このテストは、デザインを整える前に行います。見出しが決まっていない資料の見た目を整えても、読まれ方は変わりません。Webページでの見出しの役割は見出しデザインで目を引くには?装飾のパターンと使い分けで扱っています。

ページは1枚だけ抜き出されても意味が通じるようにする

稟議書には、資料の全体ではなく、料金や試算のページだけが貼られます。チャットで1枚だけが共有されることもあります。前のページを読んでいない人が見ても意味が通じるよう、ページごとに、何の数字か、どの前提か、いつ時点かを書きます。各ページの隅に社名、資料名、日付を入れておくと、抜き出された後も出どころが分かります。

映す、送る、配る|3つの場面で資料を分けるべきか

営業資料が使われる場面は3つあります。場面ごとに別の資料を作る方法もありますが、更新の手間が3倍になり、古い版が出回る原因になります。勧めるのは、「送る版」を原本として1本作り、他の場面ではそこから選んで使う方法です。

場面 読む人 資料に求められること 原本からの使い方
商談で映す 担当者。営業が説明する 話の流れに沿って、要点が目に入る 原本から、その商談で話すページだけを選んで映す。全ページは映さない
商談の後に送る 担当者、上長、決裁者。営業はいない 見出しが結論の文。式、前提、注記がある。1枚で意味が通じる 原本をそのまま送る。顧客ごとの課題、試算、見積の前提を差し込む
サイトで配る 比較表を作っている、まだ会っていない担当者 サービスの内容、料金の決まり方、事例、連絡先 原本から、個別の条件や社外に出せない事例を除いた版を作る

映す版を原本にすると、文字が少なく、営業の説明で補う作りになります。これを送ると、買い手の社内では説明の抜けた資料になります。送る版を原本にすると、映したときに文字が多く見えますが、営業が要点を話し、詳しくは後で送ると伝えれば足ります。どちらかを優先するなら、営業がいない場面を優先します。

サイトで配る資料については、注意が1つあります。検討を始める前の人との接点を作るための資料(チェックリストや診断シート)と、比較の段階にいる人が社内で回すための資料(サービスの紹介資料)は、役割が別です。前者の設計は資料ダウンロードでリードを獲得する設計|記事の要約を配っても取れない理由で扱っています。営業資料をサイトに置く場合は、サービスや料金のページのそばに置き、問い合わせとは別の件数として数えます。

紙で渡す会社案内との関係も整理しておきます。会社案内は「取引してよい会社か」を判断してもらう資料で、営業資料は「この提案を採るか」を判断してもらう資料です。兼ねると、どちらの用途でも不要なページが増えます。会社案内を作るかどうかの判断は会社案内パンフレット制作の進め方|作るべきかの判断と費用の考え方で扱っています。

デザインで決めるのは装飾ではなく規則|営業が更新しても崩れない状態を作る

営業資料のデザインというと、配色やイラストの話になりがちです。営業資料は、公開した後も営業が自分で直し続ける制作物です。デザインで決めるべきものは、1枚ずつの見た目ではなく、誰が直しても揃う規則です。

決める規則 内容 決めていないと起きること
文字の大きさの段 見出し、本文、注記の3段程度に固定する ページごとに大きさが違い、どこが重要かが伝わらない
色の役割 基本の色、強調の色、注意の色。強調は1ページに1か所 全部が強調され、何も強調されない
余白と位置 見出しの位置、左右の余白、ページ番号の位置を全ページで固定する ページをめくるたびに視線が動き、読む負担が増える
図解の型 流れ、比較、構成の3種類程度に絞り、部品として用意する 営業が各自で図を作り、資料ごとに表現が変わる
表の型 罫線、見出しの行の色、数字の右揃え 比較表や料金表が読みにくく、転記のときに間違える
写真とイラストの方針 使う種類と、使わない種類を決める 素材サイトの画像が混ざり、会社の印象がばらつく

相手の環境で崩れないかを確認する

  • 送るときはPDFにする。編集できる形式のまま送ると、相手の環境に同じフォントが無い場合に別のフォントへ置き換わり、文字の位置がずれる
  • 白黒で印刷して読めるかを確認する。稟議に添付される資料は、白黒で印刷されることがある。色だけで区別したグラフは、印刷すると見分けがつかなくなる
  • ノートパソコンの画面で読める大きさにする。オンラインの商談では、相手は小さな画面で見ている。社内で下限の文字サイズを決めておく
  • ファイルの大きさを確認する。写真が多いと、メールに添付できない大きさになる。書き出すときに画像を圧縮する

色だけに頼らない区別のつけ方は色覚多様性に配慮した配色の考え方|色だけで情報を分けない設計、文字と背景の明るさの差の基準は配色のコントラスト比の基準|WCAGの数値と、実務での使い方、会社全体で色や書体の規則を揃える方法はブランドガイドラインの作り方|どこまで決めれば運用が回るかで扱っています。

デザインを依頼する範囲は3段階ある

依頼の範囲 納品されるもの 向く会社
清書 今ある資料の見た目を整えたもの 構成と見出しが固まっていて、当面は内容を変えない会社
構成から 聞かれることの整理、ページの構成、見出し、図解、清書 資料はあるが、商談の後に止まる案件が多い会社
テンプレートと部品まで 上に加えて、スライドのひな形、図解と表の部品、使い方の規則をまとめた1枚 営業が複数いて、各自が資料を直している会社

清書だけを依頼すると、半年後には元の状態に戻ります。料金が変わり、事例が増え、営業がページを足すたびに、整えた見た目が少しずつ崩れるためです。営業が2人以上いる会社では、ひな形と部品まで含めて依頼するほうが、長い目では費用がかかりません。

費用は、ページ数、構成から依頼するか、新しく作る図解の数、原稿がどこまで確定しているか、ひな形まで作るかで変わります。見積もりを比べるときは、この5つの条件を揃えてから金額を見ます。依頼先の比べ方はデザイン制作会社の選び方|見積り比較で確認すべきポイント、紙の販促物を含めて何を作るかの判断は販促物は何を作るべきか|種類ごとの使い分けと、品目より先に決める4つの条件で扱っています。

版を管理する|古い料金の資料が出回るのを防ぐ

営業資料で実際に起きる事故は、デザインの崩れよりも、古い版が使われ続けることです。営業が各自のパソコンに保存した資料を直して使い、改定前の料金や、掲載の許諾が切れた事例が買い手に渡ります。

  • 原本は1か所に置く。共有のフォルダに最新版だけを置き、古い版は別の場所へ移す。ファイル名に日付を入れる
  • 直してよいページと、直してはいけないページを分ける。顧客ごとの課題、試算、見積の前提は直してよい。料金、事例、会社概要は原本のまま使う
  • 更新の担当と時期を決める。四半期に1回、料金、事例、実績の数字、社員数を見直す。担当が決まっていないと、誰も直さない
  • 営業が足したページを、原本に取り込む。商談でよく聞かれて営業が足したページは、買い手の疑問そのもの。四半期の見直しで集め、原本に入れる

4つ目が、資料を良くしていく最も確実な方法です。営業が個別に足したページを放置すると、良い説明が1人の営業の中にとどまります。

効果の測り方|資料の出来ではなく、商談が次へ進んだ割合で見る

見る数字 何が分かるか 注意点
初回商談が提案へ進んだ割合 資料が、担当者の社内での説明に使えたか 改善の前後で、四半期ごとに比べる。月ごとでは件数が少なく判断できない
提案が受注に至った割合 稟議で聞かれることに、資料が答えていたか 価格や競合の影響も受ける。失注の理由とあわせて見る
失注の理由 「社内で通らなかった」「優先度が下がった」の件数 選択肢に「社内の承認が下りなかった」を足しておく
商談で聞かれた質問 資料に足りないページ 営業の記録に1行で残す。同じ質問が3回出たらページを足す
受注までの日数 稟議の往復が減ったか 資料に答えがあれば、確認の往復が減り、日数が縮む

資料を開いたかどうかや、どのページを何秒見たかを記録できるツールもあります。導入は任意です。先に要るのは、商談が次へ進んだかどうかの記録で、これが無いまま閲覧の記録だけを取っても、資料が受注に効いたかは分かりません。展示会の後に資料を送る場合の追い方は展示会で集めた名刺を商談につなげる方法|フォローの順序と、追わない基準で扱っています。

作り直さなくてよい会社と、作り直したほうがよい会社

作り直さなくてよい会社

  • 初回商談が少ない会社。月に数件なら、次へ進む割合が上がっても、受注の差は年に1件ほど。先に商談の数を増やす
  • その場で決まる取引が中心の会社。決める人が商談の席にいて、稟議が無い。営業の説明を助ける資料で足りる
  • 足りないのがページの会社。試算と比較表が無いだけなら、今の資料に2ページ足せば済む。全体を作り直す必要はない
  • 商談の記録が無い会社。作り直しても、良くなったかを判定できない。先に記録を始める

作り直したほうがよい会社

  • 商談の感触は良いのに、その後に止まる案件が多い会社。担当者が社内で説明できていない疑いがある
  • 営業ごとに資料が違う会社。料金や説明が人によって違い、買い手に渡る情報が揃っていない
  • 資料が、サービスの説明だけで終わっている会社。料金の決まり方、試算、比較、買い手の側の作業が無い
  • 見積書だけを送っている会社。金額の理由を説明する資料が無く、価格だけで比べられる
  • 事業の内容が変わったのに、資料が昔のままの会社。主力のサービスが後ろのページにあり、最初の数ページで伝わらない

決める順序|場面、聞かれること、見出し、規則、更新

1. 資料で動く段と、商談の件数を確認する

初回商談の件数、提案へ進んだ割合、受注の割合を出します。商談が月に数件なら、資料より先に商談の数に取り組みます。

2. 買い手の社内で聞かれることを集める

直近の受注先と失注先について、誰が承認し、何を聞かれたかを営業に聞きます。3件から5件聞けば、自社の商材で要るページが分かります。

3. 見出しを結論の文で書き、見出しだけのテストをする

デザインに入る前に、見出しだけを並べて、商談に出ていない人に読んでもらいます。試算と比較のページは、式と前提まで書きます。

4. デザインの規則を決め、ひな形と部品にする

文字の大きさ、色の役割、余白、図解と表の型を決めます。依頼する場合は、清書だけか、ひな形と部品までかを先に決めます。

5. 原本の置き場所、更新の担当、測る数字を決める

原本を1か所に置き、直してよいページを決め、四半期ごとに見直します。判定は、商談が次へ進んだ割合で行います。

営業資料に入れる事例は、サイトの事例と同じ格子から選ぶ

この記事では、営業資料に同じ規模の事例を入れることを勧めました。その事例は、サイトの事例ページと同じ材料です。買い手の業種と規模の格子を1つ作り、サイトには一覧として、営業資料にはその商談の相手に近い1本を差し込む形で使います。許諾の範囲は、サイトと営業資料の両方を最初から伝えておかないと、後から使えません。

確認すること 判断の基準 詳しくは
商談の後に送れる事例が、業種と規模で揃っているか 格子のマスごとに1本を用意し、各事例に固有のURLとPDFを持たせる。数字は前提とセットで書き、比較した選択肢と社内の懸念を省かない。掲載媒体の許諾に営業資料と展示会を含めておく 導入事例の作り方|本数は相場ではなく買い手が自分を見つけられる組み合わせで決め、社名が出せなくても業種・規模・数字の前提を書けば稟議の材料になる

よくある失敗

商談で映すことだけを想定して作る

営業が話して補う前提の資料は、送った先では説明が抜けます。営業がいない場面を基準に作ります。

よくある構成を埋めて完成とする

ページがあることと、稟議で聞かれることに答えていることは別です。料金のページがあっても「別途お見積もり」だけなら、稟議書には何も書けません。

効果の数字だけを大きく載せる

式と前提が無い数字は、決裁者に聞かれたときに担当者が説明できません。数字の根拠を問われると、資料全体の信用が下がります。

比較表を載せない

売り手が用意しなければ、担当者が自分で作ります。その表は、価格や機能の数といった比べやすい軸で作られます。

資料の点数を増やす

調査では、渡された資料の約4割が稟議の役に立っていませんでした。点数ではなく、転記できる情報が見つけやすいかを見直します。

清書だけを依頼する

料金の改定や事例の追加のたびに、整えた見た目が崩れます。営業が直しても揃うひな形と部品まで用意します。

営業が各自の版を使い続ける

古い料金や、許諾の切れた事例が買い手に渡ります。原本は1か所に置き、直してよいページを決めます。

よくある質問

営業資料は何ページくらいが適切ですか

ページ数からは決めません。稟議で聞かれることに答えるページが揃っているかで決めます。送る版はページが多くても、見出しが結論の文になっていれば拾い読みができます。商談で映すのは、その中から選んだ一部です。

営業資料と提案書は、別に作るべきですか

別のファイルにする必要はありません。共通の営業資料に、その顧客の課題、試算、見積の前提のページを差し込んだものが提案書になります。差し込むページのひな形を用意しておくと、営業ごとの差が小さくなります。

PowerPoint、Googleスライド、Canvaのどれで作ればよいですか

営業が日常的に使っていて、自分で直せるものを選びます。見た目の自由度より、更新が続くかのほうが結果に効きます。デザインを依頼する場合は、納品の形式を営業が使うツールに合わせてもらいます。どのツールでも、送るときはPDFにします。

生成AIで営業資料を作ってもよいですか

構成の下書きや、文章の言い換えには使えます。一方で、料金、事例、効果の数字は、自社の事実に基づいて人が確認する必要があります。生成された数字や事例をそのまま載せると、根拠を問われたときに答えられません。画像を生成して使う場合の注意点は生成AIをデザイン制作に活用する方法と注意点で扱っています。

料金を資料に載せたくない場合はどうすればよいですか

金額そのものを載せられなくても、料金が何で決まるか、含まれるものと含まれないもの、過去の案件の費用の帯は載せられます。何も無いと、見積書の金額だけが社内を回り、金額の理由を誰も説明できなくなります。

アニメーションや動画は入れたほうがよいですか

商談で映す場面では効果がありますが、PDFにして送ると失われます。動きが無いと意味が通じないページは作らないようにします。動画を使う場合は、資料とは別に用意し、資料にはリンクを置きます。

営業資料をサイトからダウンロードできるようにしてよいですか

比較の段階にいる買い手にとって、社内で回せる資料は役に立ちます。個別の条件や社外に出せない事例を除いた版を用意し、サービスや料金のページのそばに置きます。件数は問い合わせとは別に数え、商談になった割合も分けて記録します。

まとめ

営業資料は、商談で映す資料としてではなく、商談の後に買い手の社内で、営業がいない場で読まれる資料として設計します。担当者は、資料を使って上長と決裁者に説明し、稟議書を書きます。話して補う前提で作った資料は、その場面で説明の抜けた紙になります。

公表されている調査(2026年8月、540名)では、営業から提供された資料のうち稟議で役立ったのは59.8%で、役立った割合が高いのは見積書73.2%、競合比較表67.6%、提案書66.2%でした。承認のポイントは明確な費用対効果が43.7%で最多ですが、試算を準備していた人は19.3%です。買い手が作れていない試算と比較を、売り手が式と前提つきで用意します。

資料の改善で動くのは、商談が次へ進む割合です。仮の数字では、初回商談が月20件の会社で受注は月2.4件から3.0件に増えますが、月3件の会社では0.36件から0.45件で、差は年に約1件です。見出しは結論の文で書き、見出しだけで話が通じるかを確認します。デザインは、営業が直しても揃う規則として決め、原本を1か所に置いて四半期ごとに見直します。

聞かれることの整理から、構成と見出し、図解、営業が自分で更新できるひな形と部品の制作までは販促・広告デザインで承っています。これまでの制作物は制作実績、会社紹介資料は資料ダウンロードから、ご相談はお問い合わせからご連絡ください。

SHARE