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人材派遣・人材紹介会社のWeb集客は何を増やすべきか|求職者と求人企業のどちらが詰まっているかで打ち手が変わる

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人材会社からWeb施策の相談を受けるとき、依頼の内容はほぼ「登録者を増やしたい」で共通しています。ただし登録者を増やしても売上が動かない会社が一定数あります。求人の在庫が足りていない、あるいは決定率が低いために、登録が増えた分だけ未決定の求職者が積み上がる状態です。

人材ビジネスは、求職者と求人企業の両方が揃わなければ1円も売上になりません。片側だけを増やす施策は、需給の悪い側をさらに悪化させます。そのため最初にやるのは集客チャネルの選定ではなく、どちら側で詰まっているかの判定です。

「人材紹介 集客」「人材派遣 集客」で検索して出てくる記事は、SEO・Indeed・SNS・オウンドメディアを並べる構成でほぼ一致します。書いているのはWeb制作会社か求人媒体の運営会社です。これらの記事に共通して抜けているのは、人材ビジネスでは自社サイトが集客媒体である前に、法律で定められた情報開示の媒体だという点です。派遣のマージン率も、紹介の手数料率も、公開が義務づけられています。集客の前に、比較される情報がすでに外に出ています。

この記事では、詰まっている側の判定方法、事業モデルごとの売上の式、法定開示が競争条件を変えている状況、求人ページを掲載終了後にどう扱うか、そして追うべきKPIを整理します。業種を問わないチャネルの選び方は自社の業種に合う集客チャネルの決め方|業種名ではなく4つの軸で選ぶで扱っています。

この記事でわかること

・求職者側と求人企業側の、どちらが詰まっているかを先に判定する

・登録型派遣・無期雇用派遣・人材紹介で、売上の式もWebの役割も違う

・派遣はマージン率など7項目の情報提供が義務。2021年4月からインターネットが原則

・紹介は2025年4月から、職種ごとの平均手数料率が人材サービス総合サイトで公開される

・求人ページは、掲載終了後の扱いを決めてから作る。的確表示義務と検索の両方に関わる

・KPIは登録者数ではなく、稼働人数と決定数、そして返戻を差し引いた粗利で置く

事業モデルごとに、売上の式もWebの効き方も違う
事業モデルごとに、売上の式もWebの効き方も違う

求職者と求人企業、どちらが詰まっているかを先に判定する

人材ビジネスは、需要と供給の両方を自社で集める必要がある事業です。片側が余っている状態で同じ側を増やしても、増えるのは在庫であって売上ではありません。判定に必要な数字は2つで、どちらも社内の管理台帳から取れます。

確認する数字 計算のしかた 低いときに詰まっている側
決定率 就業開始した人数 ÷ 登録・面談した人数 求人側。紹介できる案件が足りていない
充足率 充足したオーダー数 ÷ 受注したオーダー数 求職者側。条件に合う人が出せていない
失注理由の内訳 決まらなかった案件を理由別に分類 どちらが原因かを個別に確認できる

決定率が低いのに求職者の集客に予算を足すと、面談だけが増えて担当者の稼働が埋まります。登録者1人あたりの対応コストは、決まらなくても発生します。面談・条件確認・フォローの人件費は、成約の有無にかかわらず出ていくためです。ここを踏まえずに登録単価だけで広告を評価すると、赤字の方向に最適化されます。

逆に充足率が低い場合は、求人企業の開拓を止めて求職者側に寄せます。オーダーを取っても埋められない状態が続くと、次のオーダーが来なくなるためです。人材ビジネスでは、取引の継続がオーダー数を決めています。

どちらが詰まっているかは四半期ごとに変わります。年に1度の判定では遅く、月次で見る数字として置いてください。どの段階で止まっているかを切り分ける考え方そのものはホームページから問い合わせが来ない原因の切り分け方|5段階で診断すると同じです。人材ビジネスの場合は、この診断を求職者側と求人企業側で2本持つことになります。

決定率が低ければ求人側、充足率が低ければ求職者側が詰まっている。

詰まっている側と反対に予算を投じると、在庫と対応コストだけが増える。

事業モデルで、売上の式もWebの役割も変わる

「人材会社」と一括りにされますが、売上のつくり方は事業モデルごとに違います。式が違えば、Webで増やすべき項も違います。まず自社がどの式で売上を立てているかを確認してください。

事業モデル 売上の式 増やすべき項
登録型派遣 稼働人数 × 時間単価 × 稼働時間 稼働の継続。次の就業までの空白を短くする
無期雇用派遣 在籍人数 × 稼働率 × 単価 稼働率。待機を減らし、単価の上がる案件を取る
人材紹介 成約数 × 理論年収 × 手数料率 − 返戻 成約数と、返戻の発生率

規模の感覚として、厚生労働省の労働者派遣事業の事業報告の集計結果(令和7年6月1日現在の速報)では、派遣労働者数は約201万人で前年比5.0%増、うち無期雇用派遣労働者が874,747人、有期雇用派遣労働者が1,134,347人でした。無期雇用が全体の4割強を占めています。

この比率が意味するのは、業界の売上の相当部分が「新規登録」ではなく「すでに雇っている人の稼働」で立っているということです。無期雇用派遣では、在籍者の待機が1か月あれば、その分の人件費は自社の持ち出しになります。この構造では、登録者の集客より、自社の正社員採用と派遣先の開拓のほうが売上に近い場所にあります。

登録型派遣では話が変わります。ここでは求職者の集客が直接の供給になりますが、それでも新規登録の獲得単価だけを見るのは危険です。すでに登録している人の再稼働は、新規登録より圧倒的に安く供給を増やせます。就業が終わった人へのフォロー、稼働可能日の更新、条件が合う案件の通知。この運用が回っていない会社ほど、新規登録の広告費が膨らみます。

人材紹介では、成約数の手前に「求人の在庫」があります。求職者を集めても、その人の希望職種・年収帯・勤務地に合う求人がなければ決まりません。職種を絞っている会社ほど求人在庫の回転が読めるため、求職者集客の投資判断もしやすくなります。

派遣労働者約201万人のうち、無期雇用が874,747人と4割強を占める(令和7年6月1日現在・速報)。

無期雇用派遣では、登録者集客より稼働率と派遣先の開拓が売上に近い。

自社サイトは、集客媒体である前に法定の情報開示媒体

他の業種と決定的に違うのがここです。人材派遣会社には、事業所ごとに定められた情報を提供する義務があり、2021年4月1日からはインターネットでの提供が原則になっています。根拠は労働者派遣法第23条第5項です。つまり自社サイトは、集客のために作るかどうかを選べる媒体ではなく、法令上の開示先として先に存在しています。

提供が求められている項目は次のとおりです。

  • 派遣労働者の数
  • 派遣先の数
  • 派遣料金の平均額
  • 派遣労働者の賃金の平均額
  • マージン率(=(派遣料金の平均額 − 賃金の平均額)÷ 派遣料金の平均額 × 100)
  • 労使協定を締結しているか否か(締結している場合は対象となる派遣労働者の範囲と有効期間の終期)
  • 派遣労働者のキャリア形成支援制度の概要

実務で見かける典型は、サイトの隅にPDFを1枚置いて終わりにしている形です。事業所ごとに分かれておらず、いつ時点の数字かも書かれていないことが少なくありません。これは法令の要件を満たしているかという問題であると同時に、求職者が他社と比較する場面で不利に働きます。

もう1つ、開示のしかたで差が出るのがマージン率の説明です。マージンには社会保険料の事業主負担分、有給休暇に対応する賃金、教育訓練費、募集や事業運営の費用が含まれます。したがってマージン率は低いほど良いという数字ではありません。厚生労働省も、率だけで判断せず他の情報と併せて見るべき旨を示しています。ところが、率の数字だけを置いて内訳を説明しているサイトはごく少数です。

ここが実際の差になります。求職者は複数社のマージン率を並べて見ますが、内訳の説明が無ければ、低い会社が良い会社に見えます。自社の教育訓練や社会保険の負担が率に含まれていることを説明したページを1枚持つだけで、比較の土俵が変わります。開示は義務として最低限を満たすものと考えられがちですが、比較される前提で作れば、そのまま訴求の材料になります。

派遣は7項目の情報提供が義務。2021年4月1日からインターネットでの提供が原則。

マージン率には法定福利費・有給休暇費用・教育訓練費が含まれる。低いほど良い数字ではない。

紹介手数料は、2025年4月から横並びで比較できるようになった

人材紹介側にも、同じ構造の変化が起きています。職業紹介事業者は、厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトで、職業紹介の実績に関する情報を提供する義務を負っています。公開される項目には次が含まれます。

  • 各年度に就職した者の数
  • 期間の定めのない労働契約を締結した者(無期雇用就職者)の数
  • 無期雇用就職者のうち、就職から6か月以内に解雇以外の理由で離職した者の数
  • 手数料に関する事項
  • 返戻金制度の導入の有無およびその内容

そして2025年(令和7年)4月1日から、取扱職種ごとの常用就職1件あたりの平均手数料率が、この公開項目に加わりました。令和6年度に徴収した実績から掲載が始まっています。対象は常用就職(4か月以上の有期または無期の雇用)の実績が多い上位5職種で、常用就職の実績が10件以下の職種は掲載不要とされています。平均手数料率は「求人者から徴収した手数料の総額 ÷ 求職者の予定年収の総額 × 100」で算出します。

これが競争条件に与える影響は小さくありません。求人企業の担当者は、商談の前に自社と他社の手数料率を同じ画面で比較できます。価格交渉の材料が、こちらの提示より先に公開情報として存在している状態です。

手数料の制度そのものも確認しておきます。有料職業紹介の手数料には上限制手数料と届出制手数料の2種類があり、上限制手数料は求人者から徴収する場合に支払われた賃金額の11%(免税事業者は10.3%)が上限です。届出制手数料は届け出た手数料表に基づいて徴収します。実務でこちらを選ぶ事業者が多いのは、上限制より徴収できる額が大きくなるためです。なお求職者からの手数料徴収は原則として禁止されており、芸能家やモデルなど限られた職種が例外として認められています。

サイト上の訴求として避けたいのは、「手数料が相場より安い」という書き方です。理由は2つあります。第一に、自社の平均手数料率は公開されているため、書いた内容と実績が食い違えば確認できてしまいます。第二に、価格で選ばれた取引は次も価格で比較されます。公開されているのは手数料率だけではなく、6か月以内の離職者数も並んでいます。ここは価格ではなく定着で語れる数少ない領域です。

2025年4月から、職種別の平均手数料率が人材サービス総合サイトで公開される。

手数料率と6か月以内の離職者数が並んで見られる。訴求は価格ではなく定着に置く。

求人ページのSEOは、掲載終了後の扱いを決めてから始める

人材会社のサイトで最大のページ数を占めるのは求人詳細ページです。ここには、他の業種のオウンドメディアには無い制約があります。2022年10月1日から、職業安定法第5条の4により、求人等に関する情報の的確な表示が義務になりました。それまでの努力義務から法的義務に変わっています。

内容は2つです。虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならないこと、そして求人等に関する情報を正確かつ最新の内容に保つための措置を講じることです。つまり、充足して募集が終わった求人を検索結果に残したままにする運用は、この2つ目に照らして問題になります。

同時に、これは検索側の問題でもあります。掲載終了した求人ページが大量に残ると、内容の薄いページの比率が上がり、サイト全体のクロールとインデックスの効率が落ちます。法令の側からも検索の側からも、掲載終了後の扱いを先に決める必要があるということです。選択肢は3つあります。

終了後の扱い 向いている場合 注意点
ページを削除し、410を返す 求人が単発で、再掲載の見込みがない 外部リンクや保存済みURLからの流入は失われる
職種・エリアの一覧ページへ301 同じ条件の求人が継続的に出る 無関係な一覧へまとめて転送しない。関連性を保つ
ページは残し、終了を明示してnoindex 応募実績があり、募集再開の可能性がある 終了である旨をページ上部に明示する。募集中と誤認させない

どれを選ぶかは、求人の出方によって決まります。判断を後回しにして数千ページを放置している状態が最も悪く、法令上のリスクと検索上の不利を同時に抱えます。ページがインデックスされない状態の切り分けはページがインデックスされない原因と確認の順序|検索に出ない状態を切り分けるに、似た内容のページが増えたときの整理は似た内容のページが複数あるときの整理|正規URLの指定と、統合の判断にまとめています。

もう1つ、職種×エリアの掛け合わせでページを量産する設計にも注意が必要です。求人が1件も無い組み合わせのページを先に作ると、中身の無いページが並びます。作るなら、求人が一定数ある組み合わせに限り、件数が0になったときの扱いも同じ規則で決めておいてください。

職業安定法第5条の4により、求人情報を正確かつ最新に保つ措置が義務(2022年10月1日から)。

掲載終了後の扱いを410・301・noindexのどれにするかを、作る前に決める。

広告文は、求人票と一致する範囲でしか書けない

的確表示義務は、求人詳細ページだけの話ではありません。求人を広告として出す場面にも同じ規制がかかります。虚偽の表示と、誤解を生じさせる表示が禁止されているためです。実際に問題になりやすいのは、次のような書き方です。

  • 上限額だけを示す:ごく一部の人にしか届かない月収を、そのまま見出しに置く
  • 条件を省く:一定の資格や経験がある場合に限られる待遇を、全員に適用されるように書く
  • 就業先を実際より大きく見せる:子会社での就業を親会社での就業のように示す

この制約があるため、人材会社の広告では条件の良さで差をつけにくくなります。そこで訴求の軸は、条件そのものではなく、応募前後の体験に移ります。選考の速さ、面談の形式と所要時間、就業開始までの日数、担当者が同席する範囲。これらは事実として書けて、他社と比較したときの差にもなります。

求人媒体と自社サイトの役割分担も整理しておいてください。媒体は比較の場であり、自社サイトは会社そのものを確認される場です。Googleしごと検索への掲載の仕組みはGoogleしごと検索に求人を載せるには|掲載の仕組みと、載らないときの確認順序に、媒体の費用を採用1名あたりで比較する方法は求人サイトの費用はどう比較すべきか|掲載料ではなく採用1名あたりで見るにまとめています。

登録フォームの設計も、ここでは事業指標に直結します。人材会社の登録フォームは、他業種の問い合わせフォームより項目が多くなりがちです。希望職種、勤務可能日、経験年数、資格。必要な情報ではありますが、すべてを初回に取ろうとすると離脱します。初回は連絡先と希望職種までにし、残りは面談で埋める設計が現実的です。項目数と離脱の関係は入力フォームの離脱率を改善するデザインの工夫で扱っています。

求人企業の開拓に、Webはどこまで効くか

求職者側に比べると、求人企業側の獲得は「Webでは取れない」と扱われがちです。実際には、検索は発生しています。ただし検索するのは発注の直前ではなく、条件を調べる段階です。

人事や現場の担当者は、社内で人材会社の利用を検討する時点で、手数料の相場、契約の流れ、派遣期間の制限、直接雇用に切り替える場合の扱いを調べます。ここで自社の記事が読まれていれば、比較の候補に入ります。BtoBで手段をどう選ぶかはBtoBのリード獲得手段はどう選ぶか|獲得単価ではなく商談化率から逆算するに整理しています。

そのうえで、実際に受注が決まる場面で見られているのは記事ではありません。社名で検索したときに出てくる情報です。取引を始める前に、次が確認されます。

  1. 許可を持っているか:許可番号と、人材サービス総合サイトの掲載内容
  2. 実績があるか:対応してきた職種、業種、規模
  3. 体制があるか:拠点、担当者数、対応エリア、緊急時の連絡先
  4. 開示が整っているか:マージン率や手数料率が、最新の数字で確認できるか

この4点は、記事を何本書いても代替できません。会社概要と実績のページで扱う情報です。とくに4点目は、他の業種には存在しない確認項目です。公開が義務づけられている情報が最新でない会社は、その1点で候補から外れることがあります。

業種特化で開拓する場合は、その業種側の事情を理解していることが伝わるかどうかで差がつきます。たとえば製造業への派遣であれば、繁閑の波、必要な資格、安全教育の扱いが論点になります。製造業がWebに何を求めているかは製造業のWebマーケティングは何を増やすべきか|問い合わせ数より先に決める、取りたい引き合いの条件で扱っています。実績は制作実績の形でまとめておくと、商談の場でそのまま使えます。

KPIは登録者数ではなく、稼働と決定に置く

最後に、何を数えるかを決めます。登録者数は、増やしても売上と結びつかない場合がある指標です。それでも多くの会社が主要KPIに置いているのは、広告の管理画面から取れる数字だからです。人材ビジネスでは、管理画面の外まで数えないと投資判断ができません。

事業モデル 追う指標 追わなくてよい指標
登録型派遣 就業開始人数、平均稼働月数、再稼働率 登録者数の絶対値
無期雇用派遣 稼働率、待機日数、1人あたり月額単価 サイトのセッション数
人材紹介 決定数、平均理論年収、返戻率 求人票の掲載本数

紹介の場合、広告費の上限は返戻を差し引いた粗利から逆算します。仮に平均理論年収が400万円、手数料率が30%であれば1件あたりの売上は120万円です。ここから返戻の発生率を10%と置くと、期待できる売上は108万円になります。決定率が登録者20人に1人であれば、登録1件あたりに使える金額の上限は、担当者の人件費を差し引いた残りを20で割った額です。この計算をせずに登録単価だけを他社と比べても、高いか安いかは判断できません。数値は例であり、自社の実績値で置き換えてください。CPAの基準の決め方は広告のCPA目安はどう決めるか|業種別平均が使えない理由で扱っています。

返戻率を計算に入れる理由はもう1つあります。職業安定法の指針では、紹介により無期雇用で就職した者に対し、就職した日から2年間、転職の勧奨を行うことが禁止されています。つまり一度成約した求職者を短期間で再び動かして売上にすることは制度上できません。1件あたりの粗利は、その1回で確定します。獲得単価の許容範囲を広く見積もる根拠にはなりません。

測定の設計は、着手する時点で決めておいてください。登録から就業開始までは自社の基幹システムの中で進むため、広告の管理画面とは接続されていません。登録時に流入元を記録しておかなければ、後から遡ることはできません。

紹介の広告費上限は、返戻を差し引いた粗利と決定率から逆算する。

無期雇用で就職した人への転職勧奨は2年間禁止。1件の粗利は1回で確定する。

稼働と決定までを、1本の掛け算で置く

登録者数ではなく稼働と決定で置くと決めたら、登録から稼働、決定までを掛け算でつなぎます。掛け算でつないだ段は、登録数を1割増やしても、面談率を1割上げても、決定数への効き方は同じです。差が出るのは、その1割を動かす費用が毎月かかるか、一度で済むかです。広告で登録を増やす費用は毎月出続け、面談までの対応の速さは費用をかけずに動かせます。

確認すること 判断の基準 詳しくは
登録を増やす前に、下の段の費用と比べたか 各段に「1割動かす費用」と「上限の余地」を書いて比べる。数字が広告の管理画面と基幹システムに分かれているため、登録時の流入元を鍵にしてつなぐ。月30件を切る段の比率は四半期で見る KPIツリーの作り方|掛け算の段はどこを動かしても効き方は同じで、選ぶ基準は動かす費用と上限、月30件を切る段より下は分解しない

人材紹介の集客手段は、求職者側と求人企業側で別の一覧になる

「人材紹介 集客」で調べるとき、知りたいのは手段の一覧であることが多いはずです。ただし人材ビジネスでは、集める相手が2種類いるため、一覧も2つに分かれます。1つの表に混ぜると、求職者向けの手段を求人企業の開拓に流用するような取り違えが起きます。冒頭の判定で詰まっている側が決まったら、その側の表だけを見てください。

求職者を集める手段

手段 集まる人の状態 向いている場面 注意点
求人検索エンジンへの求人掲載 職種と勤務地が決まっていて、今すぐ応募先を探している 求人の在庫が多く、職種と地域が明確 掲載基準は媒体ごとに違う。求人票と一致しない表現は載せられない
スカウト型の求職者データベース 登録はしているが、自分からは動いていない 専門職や管理職など、対象者が少ない領域 送信数ではなく、返信から面談に進んだ数で評価する
自社サイトの求人ページと検索流入 職種名や地域名で検索している 同じ職種の求人が継続的に出る 掲載終了後の扱いを先に決める。放置すると的確表示の問題になる
検索広告・SNS広告 転職を考え始めた段階から、応募直前まで幅がある 登録の件数を短期間で確保したい 登録の単価ではなく、決定1件あたりの費用で判定する
登録者・就業者からの紹介 知人の経験を聞いて、相談先として信頼している 特定の職種や地域で実績が積み上がっている 件数は読めない。紹介が生まれた経路を記録しておく

求人企業を開拓する手段

手段 届く相手 向いている場面 注意点
業界・職種に絞った自社サイトの情報 採用手段を比較している人事担当者 得意な職種と決定実績を具体的に示せる 手数料率は公開情報で比較される前提で書く
検索広告 「職種名+人材紹介」などで依頼先を探している企業 対応できる職種と地域が明確 求職者の検索と語が重なる。除外の設定と広告文で企業向けだと示す
採用市場のデータや調査の発信 今すぐではないが、採用計画を立てている企業 登録者のデータを集計できる規模がある 成果が出るまで時間がかかる。短期の件数を求めない
既存の取引先からの追加依頼と紹介 すでに決定実績のある企業とその周辺 決定後の定着まで追えている Webの外の活動だが、開拓の件数では最も確実なことが多い

2つの表で同じ「検索広告」が出てきますが、語も広告文も遷移先も別物です。同じキャンペーンに混ぜると、どちらの成果か判別できなくなります。企業向けの検索広告の組み立てはBtoBのリスティング広告は何から決めるか|上限クリック単価を粗利から逆算し、資料請求と問い合わせを同じ1件で数えない、求職者向けにSNS広告を使う場合の考え方は採用にSNS広告を使う方法|求人媒体との違いと、応募につながる訴求が参考になります。

手段を増やす前に、1つの手段で登録から決定までの数字を取り切ってください。3つの手段を同時に始めると、どれが決定につながったかが分からないまま費用だけが増えます。

人材紹介の集客手段は、求職者側と求人企業側で別の一覧として持つ。

同じ検索広告でも、語、広告文、遷移先は側ごとに分ける。

よくある失敗

詰まっている側を確認せずに登録者集客を増やす

決定率が低い状態で登録を増やすと、面談だけが増えて担当者の稼働が埋まります。対応コストは決まらなくても発生します。決定率と充足率を月次で見て、投じる側を決めてください。

マージン率をPDF1枚で置いて終わりにする

事業所ごとの数字か、いつ時点か、内訳に何が含まれるかが読み取れない開示は、比較の場面で不利に働きます。法令の要件を満たすことと、比較されたときに選ばれることは別の設計です。

手数料の安さを訴求の軸にする

2025年4月から職種別の平均手数料率が公開されています。書いた内容と実績は突き合わせられます。価格で選ばれた取引は、次も価格で比較されます。

掲載終了した求人ページを放置する

職業安定法第5条の4は、求人情報を正確かつ最新に保つ措置を義務づけています。同時に、薄いページが積み上がることで検索側の評価にも影響します。410・301・noindexのどれで扱うかを、作る前に決めてください。

職種×エリアの掛け合わせでページを量産する

求人が0件の組み合わせまで作ると、中身の無いページが並びます。求人が一定数ある組み合わせに限り、件数が0になったときの扱いも同じ規則で決めておいてください。

登録フォームで面談用の情報まで取ろうとする

希望職種、勤務可能日、経験年数、資格。すべてを初回に求めると離脱します。初回は連絡先と希望職種までにして、残りは面談で埋めてください。

よくある質問

登録者を増やす広告と、求人企業を開拓する広告は、どちらを先に始めるべきですか

決定率と充足率を出してから決めてください。決定率が低ければ求人企業側、充足率が低ければ求職者側です。どちらも問題ない場合は、事業モデルで判断します。無期雇用派遣なら派遣先の開拓、登録型派遣と人材紹介なら求職者側から始めるほうが、売上への距離が近くなります。

マージン率を公開すると、求職者に敬遠されませんか

公開は労働者派遣法第23条第5項に基づく義務であり、選択の余地はありません。実務上の論点は、公開するかどうかではなく、どう説明するかです。マージンには社会保険料の事業主負担分、有給休暇に対応する賃金、教育訓練費が含まれます。この内訳を説明したページを併せて置いている会社は多くありません。率だけが並ぶ状態では、低い会社が良い会社に見えてしまいます。

自社の平均手数料率が他社より高い場合、どう扱えばよいですか

下げる前に、公開されている他の項目と併せて見てください。人材サービス総合サイトには、無期雇用就職者のうち6か月以内に離職した者の数も掲載されています。定着している実績があるなら、それが手数料率の根拠になります。率だけを下げても、比較の軸が価格に固定されるだけです。

求人ページはSEOに有効ですか

職種名と勤務地の組み合わせで検索する求職者がいるため、有効な場合はあります。ただし大手の求人媒体が上位を占めている領域でもあります。着手するなら、自社が継続的に求人を持っている職種に絞ってください。そして掲載終了後の扱いを先に決めてください。ここを決めずに始めると、ページ数が増えるほど管理できなくなります。

求職者向けのサイトと、求人企業向けのサイトは分けるべきですか

読む人も判断材料も違うため、入口は分けてください。サイト自体を分ける必要は通常ありません。同一サイト内で導線を分け、求職者側には登録の流れと就業条件、求人企業側には対応職種・実績・契約の流れと開示情報を置く形で足ります。分けるとドメインの評価も運用も二重になります。

SNSでの発信は人材ビジネスに向いていますか

求職者側には有効です。就業先の雰囲気や働き方は、求人票からは読み取れない情報になるためです。求人企業側の開拓を目的にすると効率は落ちます。人材会社の利用を検討する担当者は、まず条件を検索して調べる行動を取るためです。なお発信内容も的確表示義務の対象になりうるため、具体的な求人条件を扱う場合は求人票と一致させてください。

まとめ

人材ビジネスのWeb施策で最初に決めるのは、チャネルでも予算配分でもありません。求職者側と求人企業側の、どちらが詰まっているかです。決定率が低ければ求人の在庫が足りておらず、充足率が低ければ条件に合う人を出せていません。詰まっている側と反対に予算を投じると、在庫と対応コストだけが増えます。

次に、自社の売上の式を確認します。登録型派遣は稼働人数と稼働時間、無期雇用派遣は稼働率、人材紹介は成約数と返戻率で決まります。派遣労働者約201万人のうち無期雇用が874,747人と4割強を占めており(令和7年6月1日現在・速報)、業界の売上の相当部分は新規登録ではなく既存の稼働で立っています。この構造では、登録者集客より稼働の継続と派遣先の開拓のほうが売上に近い位置にあります。

人材会社のサイトには、他の業種に無い前提があります。集客媒体である前に、法定の情報開示媒体だということです。派遣ではマージン率を含む7項目の情報提供が義務で、2021年4月1日からインターネットでの提供が原則になりました。紹介では人材サービス総合サイトに就職者数・6か月以内の離職者数・手数料・返戻金制度が掲載され、2025年4月からは職種別の平均手数料率が加わっています。比較される情報は、こちらが訴求を考える前にすでに公開されています。

この状況で、手数料の安さやマージン率の低さを訴求の軸に置くのは得策ではありません。数字は突き合わせられるうえ、価格で選ばれた取引は次も価格で比較されます。開示されている項目のうち、定着に関する数字は価格以外で語れる数少ない材料です。マージン率の内訳を説明するページ、6か月以内の離職状況を踏まえた実績の示し方。ここに手を入れている会社は多くありません。

求人ページを作るなら、掲載終了後の扱いを先に決めてください。職業安定法第5条の4により、求人情報を正確かつ最新に保つ措置が2022年10月1日から義務になっています。掲載終了した求人の放置は、法令の側からも検索の側からも不利になります。410で消すのか、関連する一覧へ301で転送するのか、終了を明示してnoindexにするのか。求人の出方に応じて、作る前に規則として決めておくことです。

そしてKPIは、登録者数ではなく稼働人数と決定数、返戻を差し引いた粗利で置いてください。これらは広告の管理画面には現れず、社内の基幹システムの側にあります。登録時に流入元を記録していなければ、後から遡ることはできません。着手する時点で残す形にしておいてください。会社の紹介資料は資料ダウンロードからご覧いただけます。

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